戦略的不動産活用のススメ

変革の時代に有効な企業の不動産対策
不動産への意識を変えより積極的な活用を

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不動産への意識を変えより積極的な活用を

専門家からの情報を積極的に活かした不動産の活用で、生産性を向上させ変革の時代を生き抜く

 少子高齢化によって労働人口が減少し、マーケットの縮小が進む中、技術革新やグローバル化が重なる変化の激しい時代にあって、企業はさまざまな難題を乗り越えていかなければならない。企業の事業用不動産を全国で扱う大手不動産流通の東急リバブル榊真二社長は、今はこれまでにない大きなパラダイムシフトが起こっている時代だと話す。今、企業は所有する不動産をどのように活用するべきか、優良な不動産に投資をしたほうがよいか否か、判断が難しくなっている。
 「自動化技術やAIの進化など、以前は想像もできなかったようなことが、次々に現実化する時代になっています。また、産業がグローバル化していますから、生産拠点をコストの安い国に移しても、商品のクオリティに大きな差がなければ、すぐにコモディティ化して競争力を失ってしまいます。今は新しい技術やノウハウによる製品、あるいは新しいビジネスモデルをもった企業が、ボーダレス化の流れの中で世界シェアをどれだけ握るかによって、産業構造が大きく変わってくるのではないでしょうか。
 不動産のバリューはもともとドメスティックなマーケットの中での需給バランスで決まっていくものですが、ここでもボーダレス化が進み、不動産の相場観や取引にも影響を与えています。さらに、事業構造の変化を受けて、これまでの不動産対策を見直す企業も増えてきました」
 先が見えにくい時代を生き抜くには、戦略を立て不動産を活用していくことが必要なようだ。

 世の中の激しい変化にともない、不動産の評価も大きく変わっていく。所有または売買する不動産の正確な価値や今後の推移など、専門的な知識を要する情報の判断は不動産を専門としない企業には困難だ。
 「企業が不動産をどう考え、どう利用したらいいのかについては、企業の資産のポートフォリオや業績、あるいは資金調達の状況によって大きく違いがあるので、一律に言い切れるものではありませんが、不動産の将来的な資産性や不況抵抗力としてのニーズには根強さがあり、不動産を持つこと自体に価値があると考え、使わなくなった社宅や事業所などをそのままにしておく企業が多く見られます。中には、所有する不動産の情報や資産価値を正確に把握できていない企業もあります。
 しかし、今は発想を転換して、最善の利用法を積極的に考えなければならない時代です。たとえば、老朽化した自社ビルから賃貸オフィスに切り替えて資金化するとか、事業所を継続して使用したい場合にはリースバックする方法も考えられます。社宅など本業に影響のない土地なら、マンション用地として売却したり、アパートに転換する方法もあります。当社でもそのような事例を扱っていますし、企業から要望を受け、全国各地の遊休資産をまとめて買い取るケースもあります。
 いずれにしても、持っている不動産をより有効に使うためには正確な情報が必要です。企業の状態によっても、外部環境によっても事情は変わってきます。正しい情報を得るために、人が定期的に健康診断を受けるのと同じように、所有不動産についても定期的に専門家に相談をし、そのアドバイスを活用して常に見直すことが大切です」

 最近は「働き方改革」という言葉が生まれ、オフィスのあり方についても考え直す必要が出てきている。これまで日本企業の多くは、会社を大きく育てて、やがて自社ビルを持つということを1つの理想としてきた。働き方が多様化している今、これからのオフィスはどうあるべきだろうか。
 「オフィスについても今は大きく変わる節目にきています。日立は10万人規模のテレワークを提唱していますし、コワーキング出来るビジネスオフィスのような業態があちこちに出来ています。また、ベンチャー企業などは他の企業とコミュニケーションを図りながら付加価値を生むような、新しいオフィス空間を必要としていて、今後企業のオフィス事情が変わってくることは間違いないでしょう。大型オフィスビルに対する志向は依然として強いものの、最近は中小ビルでも非常に優れた付加価値機能を持つビルが出来てきており、多様化する企業のオフィスニーズに合わせて棲み分けが進んでいくのではないでしょうか。
 地方でも中核都市には人が集まる傾向にあって、土地の価格も上がっています。コールセンターのようなバックオフィスを比較的コストの安い地方に作って、業務を外注していくという動きもあります。里山オフィスとよばれているものもその1つで、鯖江や仙台など数ヵ所に出来ています。人材の確保が難しいと言われるIT技術者を地方で採用するケースも増えているようです。IT化が進んでくると地方と東京のハンデ差は小さくなるわけですから、コストバランスの中で地方都市がもう少し見直されて、不動産のニーズが高くなってくることは十分にあり得ることだと思います。地方の活性化にもつながるので、非常にいい傾向ではないでしょうか」

 今、企業がおかれている課題の1つに後継者の問題があり、ここでも企業が所有する不動産がキーを握っているケースが多い。最適な解決法は、どのように考えたらいいのだろうか。
 「今は、後継者難で事業承継の悩みを抱えている企業も少なくありません。会社を売却する場合、所有する不動産が正しく評価されているか正確な価値を把握することが重要で、それによって売却対象となる企業の価値が大きく変わることもあります。当社でもM&A仲介を展開し、譲渡企業が所有する不動産の評価を行っていますが、実勢価格に基づく評価によって当初想定していた企業価値を上回るケースがあります。また、税務会計事務所や法律事務所とも連携し、事業承継時や、相続でも、不動産に関わる最適なご提案ができるようサポート体制を整えています。専門家からの意見を活かし、常に不動産の価値を見直すことで生産性を生む活用をしてほしいです」
 時代の変化により、企業の不動産に関わる課題やニーズも多様化している。事業の効率化や生産性の向上は企業にとって非常に大きなテーマで、そのソリューションとして大きな比重を占める不動産。専門家から得る正しく適切な情報は、不動産の「もったいない」を見直し生産性を生んでくれるだろう。

東急リバブル株式会社
代表取締役社長

榊 真二

Shnji Sakaki

1957年1月23日生まれ。1980年東急不動産株式会社に入社、2006年より同社執行役員。2007年より株式会社東急ハンズ常務執行役員を務め、2011年より同社代表取締役社長に就任。2015年4月より東急リバブル株式会社代表取締役社長。

※この記事は、AFFLUENT for President 2018年10月発行号に掲載された広告を転載したもので、所属・役職等は掲載当時のものです。