路線価動向に関するデータ集
毎年初夏の気配が感じられる7月1日に「路線価」が国税庁から発表され、テレビや雑誌等の様々なメディアで話題になります。それでは、路線価とは一体どんなものなのでしょうか?不動産(住まいとしての住宅、投資用収益物件、相続不動産など)の価値や売却時の価格、固定資産税などにどの様に関わってくるか、詳しく考えてみましょう。
不動産の価格を表す言葉はいくつか存在します。
主なものは「路線価」「公示地価」「評価額」「基準地価」などで、ここではこれらの価格のうち路線価について考えてみます。
路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」 という2つがあり、それぞれ対応する税金の計算をする時に使うものとなります。本来、土地は「時価」を計算するのが原則ですが、全ての土地の時価を算出していくのはその数も膨大で時間がかかり、また、いつの時点で測るのかによっても差が出てきてしまいます。
そこで、税務署は道路に値段をつけました。この値段を「路線価」といいます。ここでいう道路とは、不特定多数の人が通行できる公道という意味です。個人の敷地内にあるような私道は考慮しません。この“道路につけた値段“に接している土地の面積を掛けて、土地の相続時の評価としているのです。
路線価は、毎年更新されます。7月1日に全国の国税局・税務署で公示されます。つまり、1年間は「同じ金額」で、相続税等が計算されることになります。
それでは、なぜ、7月1日に公示されるのでしょうか?
相続税の申告期限は、 本人が亡くなってから10カ月以内とされています。つまり、ある年の1月に死亡した人は、10月までに申告しないとならないわけです。従って、最低でも3か月前の7月に発表しないと申告期限に間に合わないと考えられているからです。
路線価の評価時点は毎年1月1日です。地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価価額、精通者意見価格等を基に決められます。毎年4月に発表される公示価格の8割程度を基準に決定されます。
それでは、路線価図の見方について解説します。国税庁のホームページから、平成27年分の日本で一番高い路線価が付いた、東京都中央区銀座5丁目の鳩居堂前の路線価図を見てみましょう。
路線価図の左上部にある「路線価図の例」を確認します。
ここに、様々な記号や表記が記載されています。これらの記号の持つ意味を理解することが重要です。「路線価図の年分と該当ページ」「地区種別の記号」「借地割合の記号」という大きく分けて3つのグループで構成されています。
1つ目の「路線価図の年分と該当ページ」は、一番左にある数字です(下図参照)。「27 18008」とある場合、路線価図の年分と該当ページを表します。
つまり、この場合「平成27年分の、18008ページの路線価図」ということになります。
2つ目はそれぞれの地区や借地権の割合を示す記号です。 地区の種類は7つあり、銀座の目抜き通りや新宿駅周辺の高層ビル群は、楕円形の中に路線価がかいてあるため、高度商業地区と分かります(表1)。通常1人の人や法人が自用地として使用する場合は、路線価をそのまま掛けて計算します。借地権使用の場合は、借地権割合で計算します(表2)。
地区 | ||
---|---|---|
横長六角形 | ビル街地区 | |
楕円 | 高度商業地区 | |
八角形 | 繁華街地区 | |
円 | 普通商業・ 併用住宅地区 |
|
ひし形 | 中小工場地区 | |
長方形 | 大工業地区 | |
無印(道路) | 普通住宅地区 |
3つ目が「借地権の割合」です。下表は、各路線価の右隣に表示しているA〜Gまでの記号に対応する借地権の割合を示したものとなります(表2)。
借地割合 | A | 90% |
---|---|---|
B | 80% | |
C | 70% | |
D | 60% | |
E | 50% | |
F | 40% | |
G | 30% |
実際に計算する場合、接道している部分は路線価の数値となりますが、土地が道路から奥に向かって伸びているので、奥行きの距離によって補正がかかります。
これを奥行き価格補正率といって国税庁により定められた補正率があります。この数値をかけたものが実際に計算される宅地の価格となるのです。
路線価 × 奥行距離による奥行価格補正率 = 1㎡当たりの路線価
1㎡当たりの路線価× 地積(土地面積)= 自用地の評価額
角地のような2つの道路に面している宅地の価額を評価する場合、奥行価格補正率を乗じて計算した金額が高い方の路線を正面路線として扱います。正面路線ではないもうひとつの路線は「側方路線」と呼ばれます。
この記事を機に、ご自宅や所有する物件の路線価図を見直してみてはいかがでしょうか。
路線価などの公的価格は不動産の査定を行う際に目安となりますが、最終的な査定額は実勢価格のほか様々な要因で形成されます。不動産の売却をご検討のお客様は、ぜひ東急リバブルにご相談ください。最新のデータと豊富な実績で、適正な査定を行わせていただきます。
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