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家の売却相場はいくら?築年数ごとの相場まとめ

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 家の売却相場は購入価格と築年数から調べる、売りたい家と条件の近い成約事例から調べるなどの方法から参考値を出すことができる
  • 家の売却相場は立地や築年数によって大きく変わり、適した売り出し方もそれぞれ違う

家の売却を成功させるためには、事前に売却相場を把握することが重要です。売出し価格は高すぎてもいけませんし、安すぎても損をしてしまいます。

この記事では家の売却を検討している方向けに、売却相場の調べ方を紹介します。不動産のプロでなくても、ある程度売却相場を想定できる方法です。

後半では、築年数ごとに一戸建てとマンションの売却相場を紹介します。築年数が、どのように売却価格に影響するのかイメージすることができます。

これから売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

家の売却相場の調べ方

不動産会社が家の査定するときは、公示価格や路線価、固定資産税評価額など、あらゆるデータをもとに査定額を算出しています。

また売却相場は需要や供給も大きく影響するため、競合する物件の動向も見逃せません。

ここでは、ある程度簡単に調べられる方法を紹介します。最終的には不動産会社による訪問査定を依頼して、売却相場をご確認ください。

購入価格と築年数から調べる

2023年7月時点における家の売却相場は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構(レインズ)が4半期ごとに公表している「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」を参考にすることができます。

こちらは首都圏版のため地域は限られていますが、例えばマンションは築年数ごとに㎡単価が記載されています。該当する年帯の㎡単価に専有面積を乗じることによって、おおよその売却相場を調べることができます。

一戸建てを㎡単価で評価することは難しいため、ここでも㎡単価は記載されていませんが、土地面積や建物面積を比較することによって、ある程度売却相場を想定できます。

売りたい家と条件の近い成約事例から調べる

こちらも同じくレインズが成約事例を提供しているサイトですが、「レインズマーケットインフォメーション」では、マンションと戸建ての成約事例を検索できます。

まず都道府県と地域を入力し、詳細条件を入力するページに飛びます。そして沿線や最寄り駅、面積などを選んで追加検索をかけることによって、売りたい家と条件の近い物件の成約価格や、成約時期などを調べることができます。

似ている物件の条件と比べることによって、おおよその売却相場を想定することが可能です。

間取りや築年数など、かなり詳細な条件で検索できるので、条件の近い成約事例を探しやすいのが特徴です。

不動産の成約事例を調べる方法はもう1つあります。国土交通省が運営する「土地総合情報システム」です。土地とありますが、不動産取引価格情報検索より中古マンションや土地の取引事例を検索できます。

時期・不動産の種類・地域を選んで検索でき、成約価格や時期だけでなく改装の有無なども確認できます。

もし類似する成約事例が少ない場合は、他の方法と合わせてお試しください。

売りたい家と条件の近い物件情報から調べる

次は実際に売り出されている物件の中から、売りたい家に近い条件の家を探し、条件などを比較します。

なるべく母数は大きい方がよいため、比較できる物件を数多く探せるとよいでしょう。売り物件は不動産ポータルサイトや不動産情報誌、チラシなどを使って探します。

ある程度売り物件の情報が集まれば、この家より「築年数が新しい」とか「立地がよい」など比較できるようになり、売却相場を想定できます。

もし類似する物件情報が少ない場合は、同じ沿線などエリアを広げて探してみましょう。

机上査定(簡易査定)を利用する

不動産会社に査定を依頼する方法には、大きく2種類の方法があります。実際に家を見せることなく、一定の情報を提供するだけで査定依頼できる「机上査定」と、不動産会社の担当者が、実際に家を現地調査して査定する「訪問査定」です。

ちなみに机上査定はその手軽さから「簡易査定」ともいわれます。時間帯や曜日を気にせず、オンライン上から査定依頼できます。入力にかかる時間も1分程度です。自分で売却相場調べる必要がありませんので、忙しい人も安心です。

家の売却を検討しているのであれば、まずは机上査定を利用して、売却相場を確認してみましょう。

机上査定は家の状態や環境などを考慮しないため、概算価格になります。

実際に売却する場合は、必ず訪問査定が必要になります。

築5年未満の家の売却相場

レインズの「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」をもとに、築5年未満の家の成約状況を見てみましょう。

一戸建ての成約件数は320件、マンションは645件です。

一戸建て

そもそも一戸建てを築5年以内に売却するケースは少なく、物件の流通量が少ないのが特徴です。

特に都区部ではその希少価値から、条件によっては購入時の価格とそう変わらないケースもあります。また築1年と5年では大きく異なりますが、おおむね購入時から5~10%減が売却相場といえます。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
6,2847,2055,0113,9353,8764,5484,7454,2174,911
土地面積
(㎡)
97.380.6120.3138.2146.9105.685.5139.4116.7
建物面積
(㎡)
91.291.291.3101.2102.395.593.299.596.4

マンション

マンションも一戸建てと同様に流通量が少なく、新築時に購入できなかった人がどうしても欲しいというような場合は、新築時とそう変わらない価格で成約することもあります。

一戸建てに比べると、マンションは比較的価格の下落率が低く、購入時から5~10%減程度の価格で成約に至るケースが多いでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
7,9188,2935,2145,0985,4235,9056,4265,0986,986
㎡単価
(万円)
137.0146.279.676.474.988.898.075.1112.5
建物面積
(㎡)
57.856.765.568.372.466.565.667.962.1

築6~10年の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築6~10年の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は481件、マンションは1222件です。

一戸建て

一戸建ては築10年近くなると水回りなどに劣化を感じるようになり、リフォームが必要になる時期になります。

首都圏は比較的高値で成約になるケースもありますが、築10年ほどになるとでも新築時の1割減前後の価格で評価されることがあります。

建物自体や水回りに劣化がみられる場合、建物のみの価値は、新築時の半額程度になる可能性があります。ただ首都圏の場合は土地の評価が維持される傾向から、全体で見れば1割減前後に留まるケースが多いです。

もちろん設備に不具合がある場合、売却時には、基本的に修理・交換の必要性を見込んだ価格設定を考慮する必要があるでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
5,7416,6854,6273,5033,7094,6624,8134,4354,661
土地面積
(㎡)
100.382.0120.3161.3150.3112.2105.3122.6123.7
建物面積
(㎡)
92.889.896.1103.1102.596.995.499.197.5

マンション

築6~10年ほどのマンションは古すぎず、価格が少し下がってくるため、人気があるのが特徴です。築年帯の中でも成約件数が多いことからもわかります。

都区部とそれ以外でも差がありますが、おおむね新築時の1~2割減が評価額になるでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
7,6468,0235,1034,5004,6395,4355,7454,1196,716
㎡単価
(万円)
120.8129.072.263.562.678.983.858.8102.0
建物面積
(㎡)
63.362.270.770.874.268.968.670.065.8

築11年~15年の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築11~15年の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は396件、マンションは922件です。

一戸建て

一戸建ての場合、築11~15年ともなると、水回りだけでなく外部改修が必要になってくる時期です。

内外装の手入れも想定する必要が出てくるため、価格にも影響します。エリア差はあるものの、おおむね購入時からの1~2割減で成約しています。

都市部など、人気のエリアや土地の価格が上昇しているエリアでは、値上がりしているケースもあります。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
6,1957,1724,3003,2353,2154,6075,0653,8454,690
土地面積
(㎡)
95.681.7122.6138.1156.0127.2129.2123.8122.9
建物面積
(㎡)
95.495.096.0102.8106.0106.0107.4103.6101.5

マンション

マンションは築11~15年ともなると、室内だけでなく外観の状況も気になってくる時期です。したがって大規模修繕の実施の有無が価格に影響するケースがあります。

ただし、ちょうど大規模修繕を終えたマンションは、見た目もよくなるので人気があります。築11~15年のマンションは新築時の2~3割減が売却相場になるでしょう。

繰り返しになりますが、もちろん都市部においては地価向上に比例して、築11年~15年程度であれば、分譲時より上昇しているケースが増えています。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
6,9287,2674,5874,4394,0614,9735,1274,2826,004
㎡単価
(万円)
109.1117.062.661.552.269.572.257.989.1
建物面積
(㎡)
63.562.173.372.177.771.671.074.067.4

築15~20年の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築15~20年の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は429件、マンションは1261件です。

一戸建て

築15~20年の一戸建ては、建物の評価によって、その売却相場も異なります。建物の状況によっては、大きく価値が下落する可能性があります。

外壁塗装やリフォームの有無によっても評価は異なります。また土地の価格が比較的高いエリアでは土地が評価されるため、高値を維持する可能性もあります。平均すると2~3割減程度になるでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
5,8077,1334,3822,7882,8654,1664,7643,4724,209
土地面積
(㎡)
113.589.7139.2146.1170.0136.6128.0146.5136.4
建物面積
(㎡)
106.9108.8104.9104.8110.8104.8105.4104.1106.5

マンション

築15~20年頃はちょうど1回目の大規模修繕を終えた時期になります。最近ではリノベーションやリフォームをしたいと考える人が増えているため、比較的成約件数が多い築年帯でもあります。

売却相場はエリアによって開きが出てきますが、おおよそ3割減といったところでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
6,5737,0964,2153,5583,5814,9795,2264,0385,582
㎡単価
(万円)
97.6108.954.648.643.566.971.052.178.4
建物面積
(㎡)
67.365.277.273.282.374.473.677.571.2

築21~25年の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築21~25年の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は402件、マンションは1051件です。

一戸建て

木造一戸建の耐用年数は22年といわれており、築後20年程度で建物の価値はないと評価されることがあります。もちろん住めないということではありません。

よって築21年から25年になると建物の評価はほとんどなくなり、土地値になることもあります。

売却相場は、新築時の3割~4割減程度となるケースもあります。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
4,8376,3113,6192,8052,6743,9474,2983,4793,735
土地面積
(㎡)
114.791.3134.1154.5205.6152.6124.7189.7151.3
建物面積
(㎡)
102.6104.7100.8115.9117.6103.7104.6102.5108.7

マンション

築20年以降はマンションも、一戸建てと同様に建物の評価が低くなり、価格が下げ止まるといわれています。

築21年から25年のマンションは、リノベーションを検討している人にとって、価格的に手ごろになってくるため、比較的人気があります。売却相場は、新築時の3~4割減程度といえます。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
6,1896,6873,8593,2473,0903,9634,3963,1235,010
㎡単価
(万円)
90.699.951.743.539.252.558.640.969.7
建物面積
(㎡)
68.367.074.774.678.875.575.076.471.8

築26~30年の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築26~30年の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は388件、マンションは736件です。

一戸建て

築26~30年の一戸建ては、建物の評価はなくなり土地値になっているケースが多いでしょう。

土地の評価が高いエリアでは、土地としての需要を期待できますが、それ以外のエリアでは、売却が難しい可能性もあります。

売却手段として「買取」も視野に入れておくとよいでしょう。売却相場は、新築時の4割減程度となるケースもあります。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
4,7726,5093,3332,0912,1184,0334,8563,2993,501
土地面積
(㎡)
129.289.1162.4138.7193.4149.6153.3146.2149.6
建物面積
(㎡)
116.2118.3114.5111.8128.2112.1118.2106.6116.7

マンション

マンションは築30年頃に、ほぼ底値になるといわれています。建物の評価はなくなりますが、土地の価値が残るためゼロにはなりません。

しかしマンションのストックは増加し続けるため、築30年のマンションはますます売りにくい状況になることは間違いなさそうです。

売却手段として「買取」も視野に入れることをおすすめします。

人気エリアでは底値とは思えない価格で取引されることもありますが、新築時の4割減が売却相場といえます。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
4,7605,3452,7822,4192,2012,9693,3042,2493,515
㎡単価
(万円)
77.387.635.835.829.843.948.034.753.2
建物面積
(㎡)
61.661.063.567.673.866.568.864.866.1

築30年以上の家の売却相場

「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2023年4~6月】」によると、築30年超の家の成約状況は以下の通りでした。

一戸建ての成約件数は821件、マンションは2809件です。

一戸建て

築30年以上の一戸建ては、ほぼ土地値といっていいでしょう。土地として販売するか、建物の解体費用を考慮した価格を設定しましょう。

早期に売却したい場合は、買取がおすすめです。売伽相場は4~5割減程度でしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
3,6314,2992,8921,4011,4693,2303,8212,7482,421
土地面積
(㎡)
118.586.4154.0145.7235.1199.4164.1228.3177.5
建物面積
(㎡)
96.689.3104.691.1105.4112.1111.9112.3101.6

マンション

築30年になっても土地の評価は残るため、売却相場は新築当時の5~6割減程度になるでしょう。

築30年を超えると外観や共用部など、自分では改修できない部分の劣化が目立ち、売るのが難しくなります。

だからといってリフォームして売却するのはおすすめできません。「買取」によって売却する方が、早期に売却できるでしょう。

東京都都区部多摩埼玉県千葉県神奈川県横浜・川崎神奈川他首都圏
価格
(万円)
3,1973,5581,8741,2681,3171,8662,0771,3892,337
㎡単価
(万円)
62.272.431.419.919.931.435.323.040.9
建物面積
(㎡)
51.449.159.663.766.259.458.960.557.2

この記事のポイント

築5年未満の家の売却相場は?

一戸建ての場合は、おおむね購入時から5~10%減が売却相場といえます。

一戸建てに比べると、マンションは比較的価格の下落率が低く、購入時から5~10%減程度の価格で成約に至るケースが多いでしょう。

詳しくは「築5年未満の家の売却相場」をご覧ください。

築21~25年の家の売却相場は?

築21年から25年になると建物の評価はほとんどなくなり、土地値になることもあります。一戸建ての場合、売却相場は新築時の3割~4割減程度となるケースもあります。

なお、築21年から25年のマンションは、リノベーションを検討している人にとって、価格的に手ごろになってくるため、比較的人気があります。売却相場は、新築時の3~4割減程度といえます。

詳しくは「築21~25年の家の売却相場」をご覧ください。

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