路線価動向に関するデータ集
「路線価とは?路線価図の見方」という記事では、路線価は「所有する不動産に対する課税の基礎となる価格である」ということをみてきました。それでは実際に私たちが住まいや投資用不動産を売買するときや査定するときに参考になるものとして、他にどんな公的な不動産価格があるのでしょうか? ここでは、路線価以外の公的な不動産価格について詳しく考えてみます。
一般的に公的価格と呼ばれるものには次の3種類があります。① 国土交通省による「公示地価」② 都道府県知事による「基準地標準価格(都道府県地価調査)」③国税庁や総務省による「路線価」です。それでは、それぞれの違いを詳しく見てみましょう。
①地価公示 (公示地価) |
②基準地標準価格 (都道府県地価調査) |
③路線価 相続税路線価 |
③路線価 固定資産税路線価 |
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公開元 | 国土交通省 土地鑑定委員会 |
都道府県知事 | 国税庁 (国税局/税務署) |
総務省・ 市町村長 |
公開日 | 毎年3月中旬~下旬 | 毎年9月中~下旬 | 毎年7月1日 (H20以降) |
3年に一度 (直近はH27年度に実施) |
基準日 | 毎年1月1日時点 | 毎年7月1日時点 | 毎年1月1日時点 | その年度の1月1日時点 |
使用 用途 |
公共事業用地の取得価格算定の基準 「一般の土地取引価格に対する指標となること」 |
地価公示と調査時点及び対象区域において、相互に補完関係にある | 相続税や贈与税を算出する際に用いられる評価額 | 土地の固定資産税評価額を決める基準 |
算出 方法 |
2人以上の不動産鑑定士が鑑定しそれぞれの鑑定結果を加味した上で決定 | 公示地価とほぼ同じ、不動産鑑定士が1人以上 | 地価公示価格の8割が目安 | 地価公示価格の7割が目安 |
対象 | 都市計画区域内 不動産の取引が行われると予想される土地 |
都市計画区域外 も含まれる |
全国の標準宅地数約34万地点 | |
特徴 | その土地のもつ価値を最大限に評価するよう鑑定。中立な評価。更地での評価 | 一部公示地価と同地点での評価もある。更地での評価 | 法改正で注目度が高い(相続税の増税) 路線価は地価額の平均値で前年と比較するため、変動の影響が出やすいといわれる。 |
① 公示地価
地価公示は、国土交通省土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて、毎年1月1日における標準地を選定し、「正常な価格」を判定し公示するものです。ここで公示される地価を「公示地価」と言います。地価公示をおこなう目的は、一般の土地の取引価格に対して一定の指標を与える為と、公共事業用地の取得価格の算定等の規準とされ、適正な地価の形成を行っていくことにあります。
したがって、該当する土地がもつ本来の価値(売り手にも買い手にも偏らない客観的な価値)を評価することとなっており、建っている建物等の状況に関わらず、対象の土地の価値が最も発揮出来る使用方法を想定したうえでの評価が行なわれます。
②基準地標準価格(都道府県地価調査)
都道府県地価調査とは国土利用計画法施行令第9条にもとづき、都道府県知事が毎年「7月1日における標準価格」を判定するものです。土地取引規制の際の価格審査や地方公共団体等による買収価格の算定規準として適正な地価の形成を図ることを目的としたものです。公表時期は、例年9月中~下旬になることが多いです。
③路線価
路線価は道路に付され、その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格となります。借地権の場合の補正率や奥行きの長さに対する補正率があり、補正して計算します。路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基として算定した価格のおおよそ80%を基準に評価しています。
また、路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類があります。
いかがでしたか?
公示地価は一般の土地の取引価格に対しての指標となり、不動産の取引においても参考にされるべき公的な価格の一つ価格といえます。しかし、現実の不動産取引の現場では実勢価格が大きく変わってくるケースもたくさんあります。
例えば、40区画ある新築分譲一戸建ての場合、不動産開発業者は販売を行う時期に「幾らぐらいだったら完売させられるか?」を考えて、販売価格を設定します。同じプロジェクト内でも、角地の物件は高めの価格でも販売可能ですし、広い土地面積の区画は、土地価格部分を割安に設定する場合もあります。
中古物件の場合は、建物の状態によっても取引価格が変わってきます。このように、国や行政が考える不動産価格と実際の取引における不動産取引価格には「ズレ」が生じます。算出根拠となる様々な不動産価格を知った上で「ご自身の所有不動産を的確に売買するにはいくらで売り出したらいいか」を不動産会社と相談することが重要です。
路線価などの公的価格は売却物件の査定の目安となりますが、最終的な査定額は実勢価格のほか、周辺環境、土地や建物の状況など様々な要因を加味して決定されます。
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