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Ⅰ.マイホーム購入時の税金

マイホームの購入代金の付随費用など、贈与税に係るQ&A・計算例

更新日:2026年8月31日

親が管理する子供名義の預金は誰のもの?

贈与は資産をあげる人(贈与者)と資産をもらう人(受贈者)の双方の承諾と贈与資産の使用・収益などの権利が受贈者に移転することによって成立します。親が贈与した資金で作られた子供名義の預金については、税務上しばしばその贈与の事実について争いになることがあります。子供の預金として認められるかどうかは、原則として①原資(資金の出所)と②管理方法の両面から実質的に判断されます。

■原資として子供の固有財産と認められるもの

  1. 祖父母等からの相続・遺贈により子に帰属した財産
    遺産分割協議書又は遺言書により子が取得した財産は、自然発生的に子の固有財産として帰属します。相続税申告書の控えを保存しておくと、後日の証明資料となります。
  2. 親・祖父母等からの正規の手続きを経た生前贈与
    未成年の子への贈与は、親が法定代理人として「受贈者である子の代理人」として受領する旨を明記した贈与契約書を作成する必要があります。基礎控除110万円以下の贈与であっても、毎年の贈与の都度、契約書を作成・保管しておくことが重要です。
  3. お年玉・入学祝・誕生祝等の社会通念上相当な祝儀
    日本の年中行事や慶事に伴う贈答であり、年齢・関係性等から見て社会通念上相当な金額の範囲内であれば、子の固有財産として認められます。
  4. 子自身の労働収入(高校生・大学生のアルバイト等)
    子自身の労務の対価として得た収入は、子の固有財産です。給与振込明細や雇用契約書等で原資が明らかとなるようにしておきます。

■管理方法として子供の預金と認められるための注意点

上記の原資が認められる場合でも、親の預金として認定を受けないためには、次の点を併せて整える必要があります。

  1. 無税でも贈与税の申告をし、受付印のある申告書の控えを保存すること
  2. 銀行届出印は親の使用している印鑑でないこと
  3. 通帳やキャッシュカード、証書や印鑑は子供が管理していること
  4. 定期預金の申込などの書類は子供が記載することなど

なお、原資面が認められる財源であっても、管理面が伴わない場合は親の預金として認定されるリスクがあります。逆に管理面が完備していても、原資が親の収入である場合は実質判定により親の預金として扱われます。両面から整えることが重要です。

専業主婦である妻名義の預金で不動産を購入した場合、贈与税の課税はあるの?

妻名義の預金であっても、その原資がご主人の収入である場合には、実質的所有者であるご主人の預金として扱われます。この預金を原資として不動産を取得し、妻の持分として登記した場合、夫から妻への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性があります。専業主婦である妻ご自身の預金として認められるのは、原則として下記のような財源に限られます。

  1. 婚姻前にご自身の勤労収入により蓄えた預貯金・有価証券、勤務先から受領した退職金等
  2. 妻ご自身の親・祖父母など実家側からの相続・遺贈又は生前贈与により取得した財産
  3. 妻ご自身を契約者かつ保険料負担者とする生命保険・個人年金保険の満期保険金・解約返戻金等
  4. 婚姻後に妻ご自身がパート・アルバイト・在宅ワーク・個人事業等により得た収入の蓄積

なお、不動産購入後に税務署から「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」が送付されることがあります。妻名義の出資源泉を客観的資料(相続税申告書の控え、贈与契約書、退職金支給明細、保険証券、給与振込明細等)により説明できるよう、関係書類を整えておくことが重要です。

親からお金を借り入れる場合の注意点は?

親子間で作成する金銭消費貸借契約は、次の4点を充足するものが望ましいです。

  1. 年間借入金の返済合計額は年間収入の30%(年間収入が500万円以上のときは40%)相当額以内に設定してください
  2. 返済は親の年齢80歳くらい(母親は85歳くらい)までに完済できるようにしてください
  3. 一定の金利をつけてください(利息を受けた場合には、原則として雑所得として所得税の課税対象となります)
  4. 返済は手渡しでなく、記録が残るように口座に振り込んでください

親から不動産購入資金を出してもらいましたが、贈与税が課税されるの?

子が住宅を取得する際に親が資金を出すケースは珍しくありません。どのような形でもらうのが望ましいかを考える必要があります。方法としては以下の3つとこれらを組み合わせた方法が考えられます。

贈 与 共 有 借 入
特 徴 親が出資した金額を子に贈与し、子がその不動産の持分を持つ方法。住宅取得等資金の非課税制度や相続時精算課税の特例を使い、非課税の枠内での贈与であれば、贈与税がかかりません。 親が出資した金額をそのままその不動産の持分として持つ方法。 親が出資した金額を子に貸付け、子がその不動産の持分を持つ方法。
メリット 子が資金なしの状態でも不動産を所有することができます。 現金から不動産への組み替えになるので相続税評価額が下がります。 子からの返済金が親の老後の資金となります。
デメリット 相続時精算課税を選択した場合は、親が亡くなったときに、生前に贈与した財産(令和6(2024)年1月1日以後の贈与の場合には毎年110万円の基礎控除を控除した後の財産)を相続財産に組み入れて相続税を計算します。 兄弟など他に相続人がいる場合には、相続のときに分割が難しくなるので、生前に遺言等で対応しておく必要があります。 「ある時払いの催促なし」は贈与とみなされる可能性があるので、返済計画を整備して、毎月の返済をしなければならず事務処理が煩雑となります。最終的に資金は親に戻るので相続税の節税効果はありません。

親が子供の借入金を返済すると贈与税の課税はあるの?

親に子供の借入金の返済をしてもらったときは、原則として年間110万円を超えると贈与税の課税が生じます。贈与税の課税を受けないようにするために、次のような方法を検討してはいかがでしょうか。

  1. 持分の譲渡
    自分の所有する不動産の売却代金として、現金を受領し借入金を返済する方法です。
    親族間の不動産の売買については、売買代金が適正な時価であるか注意が必要です。
    値上益が生じた場合にも親族間売買のときは、居住用財産の譲渡の特例(特別控除・軽減税率など)が適用されない場合があります。
  2. 相続時精算課税
    相続時精算課税により贈与を受け、借入金の返済を行う方法です。
    相続時精算課税は選択後撤回ができませんから、制度のメリット・デメリットを理解し適用を検討する必要があります。

登記持分の計算方法を間違えると贈与税の課税はあるの?

不動産の登記の持分は次の算式で計算します。登記の持分と次の算式により計算した持分が違う場合には、登記持分の修正又は共有者間の贈与の問題が生じます。

持分

=

各人の支出金額の合計額(現金、借入金など)


購入代金+付随費用

※付随費用は、仲介手数料、契約時印紙税、不動産取得税、保存・移転登記費用などが含まれます。税務署の登記持分のチェックは「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」を不動産購入者に郵送して行います。登記持分の計算は慎重に行ってください。

⑧マイホームの購入代金と付随費用

持分計算に含まれるもの 持分計算に含めないもの
  • 土地建物の購入代金
  • 建物請負代金(設計料、建築確認費用を含む)
  • オプション工事費用(ビルトインエアコン・造作家具等)
  • 固定資産税等の精算金
  • 建物の増改築費用
  • 土地の造成費用(整地、地盛り、擁壁工事等)
  • 購入時の仲介手数料
  • 契約書の印紙代
  • 不動産取得税
  • 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
  • 取得後おおむね1年以内に取壊した古家の購入代金と取壊費用
  • 借入金の事務手数料
  • 使用開始前の期間に係る借入金利息、保証料、団体信用生命保険料など
  • 使用開始後の期間に係る借入金利息、保証料、団体信用生命保険料
  • 引っ越し費用
  • つなぎ融資関係費用(利息・事務手数料)
  • 動産(照明、エアコン、カーテンなど)の購入代金、設置費用
  • 修繕積立金、管理費
  • 火災保険料など

計算例3:暦年課税

子(25歳)が父から500万円の現金の贈与を受けた場合の贈与税はいくらでしょうか。

500万円

110万円

15%

10万円

48.5万円

(特例税率)

計算例4:おしどり贈与

妻が婚姻期間25年の夫から居住用不動産の取得資金3,000万円の現金の贈与を受けた場合の贈与税はいくらでしょうか。

3,000万円

2,000万円

110万円

40%

125万円

231万円

(一般税率)

計算例5:住宅取得等資金贈与の非課税制度・暦年課税

子(25歳)が父から住宅取得等資金1,200万円の現金の贈与を受けた場合の贈与税はいくらとなるでしょうか。なお、子はその資金で省エネ等住宅を取得し、居住しています。住宅取得等資金の非課税制度の適用要件を満たしているものとし、相続時精算課税は選択しないものとします。

1,200万円

1,000万円

110万円

10%

9万円

(特例税率)

計算例6:住宅取得等資金贈与の非課税制度・相続時精算課税

本年6月に子(25歳)が父から住宅取得等資金3,700万円の現金の贈与を受けた場合の贈与税はいくらとなるでしょうか。なお、子はその資金で省エネ等住宅を取得し、居住しており、住宅取得等資金の非課税制度の適用要件を満たし、相続時精算課税を適用するものとします。

3,700万円

1,000万円

2,500万円

110万円

20%

18万円

⑨資産の買入価額などのお尋ね

監修

𡈽屋 栄悦(つちや えいえつ) 税理士

土屋栄悦税理士事務所HP

https://www.tkcnf.com/tsuchiya/index
出身地

山形県

経歴

平成 8年11月 税理士登録
平成12年 9月 土屋税理士事務所開業

活動

第71回から第73回税理士試験試験委員/租税法務学会常任理事/
東京税理士会会員相談室相談委員/元東京税理士会常務理事/元日本税理士会連合会理事

著書

新 税理士実務 質疑応答集共著(ぎょうせい)
「租税実体法の解釈と適用・2」共著(中央経済社)
「税務における期間・期日・期限の実務」共著(新日本法規出版)
相続税・信託ガイドブック共著(大蔵財協)/税務と法務の接点共著(大蔵財協)など