IV.賃貸用不動産の税金
賃貸用不動産の取得時・賃貸時・売却時の税金について
更新日:2023年11月30日
賃貸用不動産を取得した場合の税金
賃貸用不動産の取得時の税金は、原則としてマイホーム取得時と同様に、印紙税、不動産取得税、登録免許税などが発生します。賃貸用不動産には、不動産取得税と登録免許税のうち自己居住を要件とする軽減措置が適用できません。
(参照:マイホームの税金)
ただし、新築の賃貸不動産で居住用のアパートやマンションなどは、自己居住の要件のない新築に係る不動産取得税の軽減措置の対象とすることができます。
賃貸用不動産の保有時の税金は、不動産所得に係る税金のほかにマイホーム保有時と同様に、固定資産税・都市計画税が課税されます。固定資産税の居住用不動産に関係する特例は、自己居住の要件はなく、居住の用に利用されれば軽減措置が適用されますので、新築中古に関係なく、マイホームと同様の特例を受けることができます。
(参照:マイホームの税金)
賃貸用不動産を賃貸した場合の税金
不動産の賃貸による不動産所得は、ほかの給与所得などと合算した課税総所得金額に超過累進税率(5%~45%)が適用され所得税が課税されます。また、所得税とは別に課税総所得金額の10%の住民税が課税されます。さらに、事業的規模で一定の所得金額以上の場合には、事業税も課税されます。
①不動産所得の金額
不動産所得は不動産(土地・建物・借地権等)の賃貸料収入からその賃貸料収入を得るために要した費用を控除して計算します。
不動産所得の金額=総収入金額ー必要経費
②総収入金額に算入されるもの
不動産所得の総収入金額は、1月1日から12月31日までに収入すべき権利が確定した家賃、地代などを計上します。具体的には次の区分に応じ、それぞれに定める日の属する年分に計上しなければなりません。未収であったとしても総収入金額に計上しなければなりません。
収入計上項目 | 区 分 | 収入計上時期 | |
---|---|---|---|
地代・家賃・共益費(注) | 契約又は慣習により支払日が定められているもの | 定められた支払日 | |
支払日が定められて いないもの |
請求があったときに支払うべきもの | 請求の日 | |
その他のもの | 実際に支払いを受けた日 | ||
礼金・権利金・ 更新料・名義書換料 |
資産の引渡しを要するもの | 引渡日(契約効力発生日でも可) | |
資産の引渡しを要しないもの | 契約効力発生日 | ||
返還不要となった 敷金・保証金 |
貸付期間の経過に関係なく 返還不要が確定しているもの |
資産の引渡しを要するもの | 引渡日(契約効力発生日でも可) |
資産の引渡しを要しないもの | 契約効力発生日 | ||
貸付期間の経過に応じ返還不要が確定するもの | 返還不要が確定した日 | ||
貸付期間が終了して返還不要が確定するもの | 貸付期間終了日 |
(注)継続的な記帳に基づく場合には、賃貸料等を期間対応で計上することも認められます。
③必要経費に算入されるもの
必要経費は、次のとおりです。減価償却費以外の必要経費は現実に支払った金額ではなく、その年において請求された金額によって計算します。
科 目 | 必要経費として認められるもの | 必要経費として認められないもの |
---|---|---|
租税公課 |
事業税、固定資産税(業務用資産に係るもの)、都市 計画税、不動産取得税、印紙税、消費税(税込処理の 場合に限る)等 |
所得税、相続税、住民税、延滞税、加算税、延滞 金、過怠税、固定資産税(家事用資産に係るもの) |
水道光熱費 | 水道料、電気代、ガス代等共有部分のもの | 家事用部分の費用 |
広告宣伝費 | 入居者募集のための広告宣伝費 | - |
接待交際費 | 取引先への贈答費用、飲食接待費等 | 親族、隣人等との交際費 |
損害保険料 | 賃貸物件の火災保険料 | 家事用部分の費用 |
修繕費 | 賃貸物件の原状回復費用 |
家事用部分の費用、資本的支出 (資本的支出に該当する支出は減価償却費 を通じて費用になる) |
消耗品費 | 事務用品、少額減価償却資産等 | 家事用部分の費用 |
利子割引料 | 借入金の利子、保証料 | 元本の返済 |
地代家賃 | 支払地代、支払家賃、駐車場・倉庫の賃借料 | 自宅部分の費用、生計を一にする親族に対するもの |
支払手数料 |
賃貸に係る仲介手数料、税理士報酬、管理組合の管理 費・修繕積立金、不動産会社への管理手数料・更新手数 料等 |
家事用部分の費用 |
減価償却費 | 減価償却資産の償却費 | 自宅部分の償却費 |
その他の費用 | 賃貸物件に係る町内会費等 | 家事用部分の費用 |