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相続税

1. 相続税の概要

相続税は、死亡した人(被相続人)の財産を、相続又は遺贈により取得した配偶者や子供など(相続人等)に対して、その取得した財産の価額の合計額が一定金額(基礎控除額)を超える場合に課税される税金です。相続の開始があったことを知った日の翌日から、10ヶ月以内に被相続人の住所地を所轄する税務署へ、相続税の申告・納付をしなければなりません。

2. 相続の流れ

法定相続人の範囲と相続割合

配偶者がいる場合(配偶者がいない場合には、配偶者以外の法定相続人の均等相続になります。)

順位 法定相続人 順位等 法定相続分
配偶者 直系尊属 兄弟姉妹
1 配偶者と子 子供が既に死亡している場合には、孫がその相続分を引継ぎます。 1/2 1/2
2 配偶者と直系尊属 父母が両方いない場合には、祖父母が相続人になります。 2/3 1/3
3 配偶者と兄弟姉妹 兄弟姉妹が既に死亡している場合には、その人の子供がその相続分を承継しますが、兄弟姉妹の孫への承継はありません 3/4 1/4
4 配偶者のみ 全部
  1. (注1)子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合には、各割合を均等に按分します。
  2. (注2)代襲相続人の相続分は、その親の相続分を均等分します。
  3. (注3)実際の相続分は法定相続分に従う必要はありません。
  4. (注4)養子は実子と同じ相続分になります。ただし、基礎控除額、相続税の総額、生命保険金や退職金の非課税額の計算上認められる養子の数には制限があります。
    ①実子がいる場合⇒養子のうち1人まで ②実子がいない場合⇒養子のうち2人まで

遺言の種類

種類 自筆証書遺言 公正証書遺言
内容 自分一人で全文を作成 公証人が作成する、最も確実な遺言
注意点 ・遺言者が財産目録を除き自筆で作成
(録音・ビデオは無効)
・遺言書の作成年月日を記入
・署名・押印(認印・三文判でも可)
・自分で保管する場合には、滅失・改ざんに注意
・相続人に存在を知らせておく
・封印は任意(封印した方が良い)
・2人以上の証人の立会いが必要
次の者は遺言の証人等になれない
①未成年者
②推定相続人、受遺者、これらの配偶者及び直系血族
③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人
・あらかじめ実印や印鑑証明書などを用意
メリット ・遺言の存在・内容を秘密にできる
・費用をかけず簡単に作成できる
・いつでも変更可能(最後のものが有効)
・無効のリスクが少ない
・公証役場に保管されるため、滅失、隠匿、偽造、変造の恐れがない
・検認手続きの必要がない
デメリット ・遺言書の隠匿、偽造、紛失の恐れがある
・遺言の成立要件が欠けてしまう場合がある
・死亡後、遺言書が発見されない可能性がある
・遺言の有効性に関し係争になる場合がある
・検認の手続きが必要(保管制度利用の場合は不要)
・作成のために手間と費用がかかる
・2人以上の証人が必要
・証人に遺言の内容を知られてしまう
費用 検認時に800円+連絡用切手代 公証人手数料 目的財産の価額に応じて算定

自筆証書遺言の改正点

1. 自筆証書遺言の方式緩和

民法が改正され自筆証書遺言は財産目録について手書きで作成する必要がなりました。財産目録について代筆での作成、ワープロでの作成、通帳のコピーや登記簿謄本の添付などが認められるようになりました。ただし、財産目録の各頁に署名押印をする必要があります。

2. 自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言は自宅で保管されることが多く、遺言書の紛失・亡失リスクや、相続人による改廃、隠匿、改ざんなどの可能性があり、相続をめぐる紛争が生じる恐れがありました。令和2年7月10日より法務局が遺言書を保管する制度がはじまりました。この制度の創設によって、自筆証書遺言の自宅保管の問題点が解消去されることが期待されます。この制度の概要は以下に示すとおりです。

3. 施行期日

自筆証書遺言の方式緩和の改正は、平成31年1月13日以後作成した遺言から適用され、自筆証書遺言の保管制度は、令和2年7月10日以後に作成した遺言から適用されます。

相続の基礎知識

内容
検認 検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の中身についての有効、無効を判断するものではないため、検認後に有効、無効を争うこともできます。また、封印のある遺言書の場合、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ、開封できません。相続人や代理人が立会い、検認を受けると「検認調書」が作成されます。検認に立会わなかった相続人などに対しては、検認されたことが通知されます。
遺留分 兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺言によっても侵害されない最低限度の遺産に対する取り分が保証されており、それを遺留分といいます。そして、遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求を行うことによって、遺留分を侵害された額を返して貰うことができます。遺留分は法定相続分の1/2(直系尊属のみが法定相続人である場合には、相続財産の1/3)となります。相続開始を知った日から1年、または知らなくとも10年過ぎるとその権利が消滅します。
相続放棄と
限定承認
相続放棄とは、被相続人の財産と債務について一切承継をしないことをいいます。限定承認とは、承継する財産の範囲内で債務を承継することをいいます。いずれの制度を利用する場合にも相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。家庭裁判所への申述は、相続放棄は単独でできますが、限定承認は相続人全員で行う必要があります。
準確定申告 被相続人の1月1日から相続までの期間に発生した所得について、相続人は確定申告をしなければなりません。この申告を準確定申告といいます。
遺産分割協議 被相続人の財産は、遺言がない限り、相続によって相続人全員の共有財産となります。遺産分割協議とは、相続人が十分に話し合って具体的に分割を決めることをいい、協議の内容を文書にしたものを遺産分割協議書といいます。
遺産分割の時期については決まった期限はありません。
一旦有効に成立した遺産分割協議をやり直した場合には、当初の分割協議と異なる財産の取得は贈与による取得となり、多額の贈与税が発生します。分割協議が成立しないと適用できない相続税の特例があり、未分割の場合には相続税が多くなりますので、相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに分割することが望ましいです。相続税の申告期限から3年以内に分割が確定した場合には、特例を適用して当初の申告の訂正を行うことができます。
調停・審判 相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で調停や審判によって分割してもらうことができます。

遺留分侵害額請求を現物で行った場合の課税

民法改正によって遺留分の侵害額については、必ず現金で精算をすべきこととなりました。
従って、現金による支払いに代え、相続財産を侵害額請求者に渡した場合には、改正前は相続税以外の課税関係は生じませんでしたが、改正後は代物弁済となり、相続により取得した財産を譲渡したことになるので、譲渡所得の課税が生じる場合があります。

侵害額の支払い 支払側 受取側
相続税 所得税 相続税 所得税(取得費)
金銭 相続財産から控除 相続財産に加算
相続財産 相続財産から控除 譲渡所得課税 相続財産に加算 所得費・所得時期の引き継ぎなし

3. 相続のしくみ

4. 基礎控除

相続税は、遺産に係る基礎控除額(課税最低限)を上回る財産(正味遺産額)を相続すると課税されます。財産の額が基礎控除額以下の場合には、相続税の申告は不要です。

  • ①相続の放棄をした人がいても、法定相続人の数はかわりません。
  • ②養子がいる場合には、税法上の法定相続人に含まれる養子の数には次の制限があります。

ただし、民法上の特別養子(6歳までに実の親との親族関係を終了させた養子)や配偶者の連れ子養子は、実子として取り扱われます。

5. 配偶者控除

配偶者の協力により相続財産が形成されたことを考慮して、配偶者が相続する財産には、相続税を軽減する制度があります。配偶者が相続や遺贈によって実際に取得した財産の価額が1億6千万円以下である場合、又は課税価格の合計額に配偶者の法定相続分(子がいる場合には2分の1)を掛けた金額以下の場合には、相続税の計算上、配偶者には相続税がかからない仕組みになっています。原則として、配偶者控除の適用をするためには、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立することが必要です。

6. 相続税の2割加算

相続や遺贈で財産を取得した人で、被相続人の一親等の血族(親または子)及び配偶者以外の人がいるときには、その人の相続税は、通常の相続税の2割増しとなります。たとえば、被相続人の兄弟姉妹や孫などがこの対象となります。しかし、孫でも子の代襲相続人であるときは一親等の血族とみなされ、また、養子、養親も一親等の法定血族となるので2割加算はされません。ただし、被相続人の孫が養子のケースでは2割加算されます。

7. 土地の相続税評価額

※路線価図・評価倍率表は、国税庁のHPまたは税務署で閲覧・取得することができます。

8. 家屋の相続税評価額

9. 小規模宅地等の評価減の特例

被相続人または被相続人と生計を一にする親族の事業の用または居住の用に使用される宅地等については、それぞれに掲げる者が相続した場合にそれぞれに掲げる面積まで一定割合の評価減をします。なお、この特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに、その宅地等の分割協議が確定し、かつ、所有を継続していることが必要です。

区分 評価減
の面積
減額
の割合
特定居住用宅地等 (注1) 被相続人が居住していた宅地等 1 被相続人の配偶者が取得した場合 330㎡ 80%
2 被相続人と同居していた親族が取得し、申告期限まで引き続き保有し、かつ、居住している場合
3 次の全ての要件を満たす場合
  1. (1)被相続人に配偶者及び同居の相続人がいないこと
  2. (2)相続開始前3年以内に
    ①自己又は自己の配偶者、
    ②3親等内の親族、
    ③特別の関係がある法人
    が所有する国内にある家屋に居住したことがない者が取得すること
  3. (3)相続開始時から相続税申告期限までその宅地等を所有し続けていること
  4. (4)相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがないこと
被相続人と生計を一にする親族が居住していた宅地等 1 被相続人の配偶者が取得した場合
2 被相続人と生計を一にしていた親族が、申告期限まで保有し、かつ、相続開始前から申告期限まで居住の用に供している場合
特定事業用宅地等
(不動産貸付業を除く)(注2)
1 相続開始時から申告期限までの間に親族がその土地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限までに引き続き保有し、かつ、その事業を営んでいる場合 400㎡ 80%
2 被相続人と生計を一にしていた親族が、申告期限まで引き続き保有し、かつ、相続開始前から申告期限まで事業の用に供している場合
不動産貸付事業等の
宅地等 (注3)
1 被相続人の不動産貸付事業の用に供されていた宅地で、被相続人の不動産貸付事業を引継ぎ申告期限まで引き続き保有し、かつ、貸付事業を営んでいる場合 200㎡ 50%
2 被相続人と生計を一にする親族の不動産貸付事業の用に供されていた宅地で、その生計を一にする親族が取得し、申告期限まで引き続き保有し、かつ、相続開始前からその申告期限まで貸付事業を営んでいる場合
  1. (注1)平成26年 1月1日以後に相続開始があった次の場合は、特定居住用宅地等として取扱います。

  1. (注2)平成31年4月1日以後の相続について、相続開始前3年以内に事業の用に供されていた宅地が除外されます。ただし、その宅地の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額がその宅地の相続時の価額の15%以上である場合や、平成31年3月31日以前から事業の用に供されている宅地は本特例の対象となります。
  2. (注3)平成30年4月1日以後の相続又は遺贈については、相続開始前3年以内に貸付を開始した宅地等については、小規模宅地等の特例の対象から除外されます。ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合の貸付事業用宅地は適用対象となります。さらに、平成30年4月1日から令和3年3月31日までに「平成30年3月31日までに賃貸を開始した建物の敷地」を相続又は遺贈により取得した場合には、本特例が適用されます。

10. 小規模宅地の評価減の面積制限(貸付事業用宅地等を含む場合)

小規模宅地の評価減を有効に適用するためには、特例の適用対象となる宅地の㎡単価に減額割合(80%又は50%)を乗じて最も大きな数値になる宅地より順番に適用することになります。ただし、「貸付事業用宅地等」を選択する場合の「限度面積」については、次の算式により調整が必要となります。

特定居住用宅地等165㎡ 特定事業用等宅地100㎡に小規模宅地の評価減を適用する場合において、貸付事業用宅地について何㎡まで特例が受けられるでしょうか。

11. 遺産分割確定を要件とする相続税の特例

相続税の申告期限までに遺産分割が確定しない場合には、次の特例が適用されません。
(1)小規模宅地の評価減の特例 (2)相続税の配偶者の税額軽減など
ただし、未分割の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出し、相続税の法定申告期限から3年以内に分割された場合には、分割の日から4ヶ月以内に更正の請求によって特例を適用することができ、納め過ぎの税金の還付を受けることができます。

12. 配偶者居住権の課税関係

40年ぶりの民法が大幅見直しによって、配偶者居住権が創設されました。配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるとするもので、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできます。

1. 配偶者居住権等の相続税評価額

(1)配偶者居住権

(2)配偶者居住権の設定された居住建物の所有権

(3)配偶者居住権に対応する敷地の利用に関する権利

(4)配偶者居住権が設定された居住建物の敷地の所有権

  • ※1 残存耐用年は、法定耐用年数×1.5から経過年数を控除した年数
    1.5の法定耐用年数は木造33年、鉄骨造(骨格材の肉厚3mm超4mm以下)40年、マンション71年
  • ※2 配偶者居住権の存続期間に応じた年利3%による複利現価率

2. 配偶者居住権の残存年数

区分 配偶者居住権の残存年数
配偶者居住権が終身である場合 配偶者の平均余命年数
上記以外の場合 遺産分割等により定められた配偶者居住権の残存年数
(配偶者の平均余命年数を限度)

複利現価率(年3%)

年数 年数 年数 年数 年数 年数 年数
1 0.971 11 0.722 21 0.538 31 0.400 41 0.298 51 0.221 61 0.165
2 0.943 12 0.701 22 0.522 32 0.388 42 0.289 52 0.215 62 0.160
3 0.915 13 0.681 23 0.507 33 0.377 43 0.281 53 0.209 63 0.155
4 0.888 14 0.661 24 0.492 34 0.366 44 0.272 54 0.203 64 0.151
5 0.863 15 0.642 25 0.478 35 0.355 45 0.264 55 0.197 65 0.146
6 0.837 16 0.623 26 0.464 36 0.345 46 0.257 56 0.191 66 0.142
7 0.813 17 0.605 27 0.450 37 0.335 47 0.249 57 0.185 67 0.138
8 0.789 18 0.587 28 0.437 38 0.325 48 0.242 58 0.180 68 0.134
9 0.766 19 0.570 29 0.424 39 0.316 49 0.235 59 0.175 69 0.130
10 0.744 20 0.554 30 0.412 40 0.307 50 0.228 60 0.170 70 0.126

平均余命年数

年齢 男性 女性 年齢 男性 女性 年齢 男性 女性 年齢 男性 女性 年齢 男性 女性 年齢 男性 女性 年齢 男性 女性
0 80 86 15 66 72 30 51 57 45 37 42 60 23 28 75 12 15 90 4 5
1 79 86 16 65 71 31 50 56 46 36 41 61 22 27 76 11 14 91 3 5
2 78 85 17 64 70 32 49 55 47 35 40 62 21 26 77 10 14 92 3 4
3 77 84 18 63 69 33 48 54 48 34 39 63 21 26 78 10 13 93 3 4
4 76 83 19 62 68 34 47 53 49 33 39 64 20 25 79 9 12 94 3 3
5 75 82 20 61 67 35 46 52 50 32 38 65 19 24 80 8 11 95 2 3
6 74 81 21 60 66 36 45 51 51 31 37 66 18 23 81 8 10 96 2 3
7 74 80 22 59 65 37 44 50 52 30 36 67 17 22 82 7 10 97 2 3
8 73 79 23 58 64 38 43 49 53 29 35 68 17 21 83 7 9 98 2 2
9 72 78 24 57 63 39 42 48 54 28 34 69 16 20 84 6 8 99 2 2
10 71 77 25 56 62 40 41 47 55 27 33 70 15 19 85 6 8 100 2 2
11 70 76 26 55 61 41 40 46 56 26 32 71 14 18 86 5 7 101 2 2
12 69 75 27 54 60 42 39 45 57 26 31 72 14 18 87 5 7 102 1 2
13 68 74 28 53 59 43 38 44 58 25 30 73 13 17 88 4 6 103 1 2
14 67 73 29 52 58 44 37 43 59 24 29 74 12 16 89 4 6 104 1 1

3. 配偶者居住権の消滅時の課税関係

消減事由 配偶者 居住建物の所有者等
合意解除、放棄、用法遵守義務違反 適正な対価の支払いなし 所得税の課税
対価は譲渡所得課税
(総合課税)
贈与税の課税あり
(消滅時の相続税評価額-支払額)
適正な対価の支払いあり 所得税の課税
対価は譲渡所得課税
(総合課税)
贈与税の課税なし
配偶者の死亡、存続期間の終了、賃借物の全部滅失 課税なし

配偶者居住権の取得した配偶者は、配偶者控除の適用により原則として相続税の課税はなく、配偶者の死亡により配偶者居住権が消滅したときにも、不動産所有者は物権の権利の制限が消滅し経済的利益を受けますが、課税はありません

4.配偶者居住権等の取得費

(1)配偶者居住権 (注2)

(2)配偶者居住権の敷地利用権

  1. (注1)配偶者居住権を取得した時とは、配偶者居住権が設定された時に譲渡があったとした場合の取得費です。
  2. (注2)減価償却費は控除しません。
  3. (注3)6月以上の端数は1年とし、6月に満たない端数は切り捨てます。
  4. (注4)割合が1を超える場合には、1とします。
  5. (注5)概算取得費(5/100)の適用があります。
  6. (注6)配偶者居住権取得後の増改築費用は、配偶者居住権の取得費に加算されませんが、配偶者居住権の登記費用は、取得費に加算することができます。

5.施行期日

配偶者居住権は、令和2年4月1日以後に開始した相続から設定が可能となります。
遺言による配偶者居住権の設定は、同日以後に作成された遺言でなければできません。

配偶者居住権の相続税評価額

被相続人は、配偶者(61歳)に終身の配偶者居住権を、長男に配偶者居住権の設定された土地及び建物を遺贈する旨の遺言書を作成していました。配偶者居住権を設定する前の建物の相続税評価額は500万円、土地の相続税評価額は5000万円です。建物の法定耐用年数は27年、築年数は10年です。この場合における各々の相続人が取得した財産の相続税評価額を計算してください。

1. 長男の取得財産の相続税評価額

(1)配偶者居住権の設定された居住建物の所有権

5,000,000 ×
30年(注1) - 27年(注2)
30年(注1)
× 0.450(注3) = 225,000
  1. (注1)残存耐用年数 27年×1.5=40.5年 ⇒ 40年(1年未満切捨)40年-10年=30年
  2. (注2)61歳女性の平均余命年数 27年
  3. (注3)27年の年利3%の複利現価率 0.450

(2)配偶者居住権の設定された居住建物の敷地の所有権

50,000,000 × 0.450 = 22,500,000

(3) (1) + (2) = 22,725,000

2. 配偶者の取得財産の相続税評価額

(1)配偶者居住権(建物)

5,000,000 - 225,000 = 4,775,000

(2)配偶者居住権に対応する敷地の利用に関する権利

50,000,000 - 22,500,000 = 27,500,000

(3) (1) + (2) = 32,275,000

配偶者居住権の消滅時の課税関係

相続人は配偶者と長男であり、相続財産は自宅の敷地1億円、家屋3千万円でした。
配偶者居住権を設定した場合における配偶者居住権は1,500万円、配偶者居住権に対応する敷地を利用する権利は5,000万円です。この場合において、(1)法定相続分で相続したとき(配偶者居住権の設定なし)と(2)配偶者居住権の設定をしたときのそれぞれにおける一次相続と二次相続における課税関係はどのようになるでしょうか。

それぞれの課税関係は以下のようになります。

1. 配偶者居住権の設定なし

一次相続

配偶者 長男 合計
土地 50,000千円 50,000千円 100,000千円
家屋 15,000千円 15,000千円 30,000千円
合計 65,000千円 65,000千円 130,000千円
相続税額 0千円 6,800千円 6,800千円
  • ※配偶者は土地と建物の2分の1の持分を相続します。
    配偶者が取得した財産に係る相続税は、配偶者控除によって全額控除され、本事案の場合には配偶者の納税はゼロとなります。

二次相続

長男
土地 50,000千円
家屋 15,000千円
合計 65,000千円
相続税額 3,850千円

2. 配偶者居住権の設定あり

一次相続

配偶者 長男 合計
土地 50,000千円 50,000千円 100,000千円
家屋 15,000千円 15,000千円 30,000千円
合計 65,000千円 65,000千円 130,000千円
相続税額 0千円 6,800千円 6,800千円
  • ※配偶者は配偶者居住権(土地1億円-5千万円=5千万円、建物3千万円-1.5千万円=1.5千万円)を相続します。
    配偶者が取得した財産に係る相続税は、配偶者控除によって全額控除され、本事案の場合には配偶者の納税はゼロとなります。

二次相続

長男
土地 0千円
家屋 0千円
合計 0千円
相続税額 0千円
  • ※配偶者の死亡によって配偶者居住権が消滅した場合にも、消滅による経済的利益の課税はありません。
    したがって、長男は二次相続において相続税の課税を受けません。
  • ※この事例では配偶者居住権の設定をすることによって、3,850千円の節税ができました。
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山口 智充さん

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