賃貸収入の課税対象、管理費・修繕費の控除可否など、賃貸収入に関するよくあるご質問
カテゴリー: 賃貸管理
賃貸収入はどれくらい課税される?節税できる?
税金は家賃収入に課されるのではなく、家賃収入から経費を差し引いた「不動産所得」に対して課されます。なお、敷金や保証金は預かり金の区分となるため、返済をする限りは不動産所得には含まれません。
1.不動産所得に課される税金(個人の場合)
不動産所得にかかる税金および税率は、次のとおりです。
- 所得税:課税所得に応じて 5~45%(+復興特別所得税2.1%)
- 住民税:10%
- 消費税:居住用は非課税・事業用不動産は10%
なお、上記で挙げたもの以外にも、不動産の所有者に対して毎年「固定資産税」や「都市計画税」が課され、不動産取得時には一度だけ「不動産取得税」が課されます。また、ローンを組んで収益物件を購入する場合は、抵当権設定の登録免許税が課されます。
2.節税対策
主な節税対策は、次の5つです。
(1)経費を正確に計上する
仲介手数料、管理費、修繕費、ローン利息、減価償却費などを漏れなく計上し、課税所得を圧縮する
(2)減価償却を活用する
建物部分を耐用年数に応じて減価償却し、毎年一定額を経費に計上して所得税・住民税を軽減する
(3)損益通算で所得を減らす
不動産所得の赤字を給与など他の所得と相殺し、課税所得を減らす
(4)青色申告を選択する
最大65万円の特別控除が受けられるうえに赤字は3年間繰り越すことができ、家族への給与も経費算入できる
(5)法人化する
個人の所得税は累進課税で5〜45%のところ、法人税率は15%〜23.2%。個人事業では経費にできない支出も計上できるため節税につながりやすい
賃貸収入は確定申告が必要?どうやって申告する?
給与以外の収入が年間20万円を超える場合には、確定申告を行わなければなりません。給与所得と合算して申告することで、その年の所得税額が確定します。ここでいう「所得」とは、収入総額から必要経費を差し引いた金額を指します。
1.申告期限
会社員の場合、給与所得は年末調整で精算されますが、不動産所得は年末調整の対象になりません。そのため、自身で確定申告する必要があります。申告期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までで、所得税の納付期限も同日です。ただし、振替納税を利用した場合は、4月下旬に指定口座から税額が引き落とされます。
2.申告の種類
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告は事前手続きが不要で、帳簿付けも比較的簡単ですが、特別控除や赤字の繰越といった税制上の優遇は受けられません。
対して、青色申告は複式簿記による記帳が必要になるものの、最大65万円の控除や赤字の繰越控除、家族への給与の経費算入など、節税面でのメリットが大きいのが特徴です。青色申告を選択する場合は、開業から2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。
3.必要書類
用意すべき書類も申告方法によって異なります。白色申告では「確定申告書」「収支内訳書(不動産所得用)」「固定資産税の通知書」などが必要です。青色申告では「確定申告書」「青色申告決算書(不動産所得用)」「固定資産税の通知書」などを提出します。不動産所得がある場合には、申告書の様式は申告書Bを用います。
管理費や修繕費は賃貸収入から差し引ける?
賃貸物件の管理費・修繕費は、基本的に経費として計上できます。賃貸収入からこれらを含む経費を差し引いた所得が課税対象となります。
ただし、管理費や修繕費を経費として計上するにあたっては、次のような点に注意が必要です。
1.計上できるのは賃貸部分の経費のみ
計上できるのは、賃貸している部分の管理費・修繕費のみです。賃貸併用住宅の場合、自宅部分の管理費・修繕費は計上できません。
2.修繕積立金について
一棟マンションや一棟アパート、戸建ての修繕のために積み立てている費用は基本的に経費にはならず、実際に修繕が発生した際に計上します。一方、区分マンションの修繕積立金については、修繕積立金の支払いがマンション標準管理規約に沿った適正な管理規約に従っているものであれば、支払った年の経費に算入しても差し支えありません。
3.「修繕費」と「資本的支出」
一般的には「修繕費」とされる支出であっても、資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価値を高めたりするための改修費用は「資本的支出」とされ、修繕費とは区別されます。資本的支出に該当する場合は、減価償却して経費計上します。
どこまでが経費に該当するか、どこまでの修繕が修繕費にあたるのかは、支出の内容などによって異なるため、必要に応じて税理士に確認することをおすすめします。