地方の不動産投資はアリ?地方物件の可能性と成功ポイント
ざっくり要約!
- 地方不動産投資の魅力は価格の安さと高利回り
- 成功のカギは地域のニーズに合った物件選びと空室対策
- 中長期的な視点で堅実な運用ができる人に向いている
「不動産投資」といえば都心の物件を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はいま「地方の不動産投資」が注目を集めています。物件価格が安く想定利回りも高いため、少ない資金を効率的に活用できるのが、地方の不動産投資の魅力です。
一方で、空室リスクや売却の難しさなど、都市部の不動産投資とは異なる課題も存在します。この記事では、地方物件に投資するメリットとリスクを踏まえたうえで、成功するためのポイントを解説します。
目次
地方の不動産投資が注目される背景
近年、不動産投資の対象として「地方の物件」に注目が集まっています。これまで脚光を浴びていたのは都市部のワンルーム投資でした。しかし、物件価格の高騰や利回りの低下といった背景から、地方への関心が高まっている状況です。
地方の不動産投資が興味関心を集めている理由と、実際に注目されている地方のエリアなどについて解説します。
なぜ今「地方」なのか?注目が集まる3つの理由
地方の不動産投資が注目されている背景には、大きく分けて3つの要因があります。
1つ目の理由は、都市部の不動産価格が高騰し、利回りが年々低下していることです。特に東京23区内では、上がり続ける物件価格に家賃相場が追いついていないのが実態です。結果的に投資効率が悪化しているケースも目立ちます。
2つ目の理由は、地方の物件価格が比較的安定しており、初期費用を抑えて投資を始めやすいことです。想定利回りも高いため、キャッシュフローを重視する投資家にとっては魅力的な選択肢となっています。
3つ目の理由は、テレワークや地方移住の広がりによって、一部の地方都市では人口の流入が起きていることです。特に再開発が進んでいるエリアや交通利便性の高い都市では、賃貸需要の増加が期待されています。
これらの理由から、「地方投資=リスクが高い」という従来のイメージが徐々に変わりつつあり、戦略的な投資先として地方が選ばれるケースが増えています。
地方投資で注目されるエリアとは?
地方での投資が良いといっても、全てのエリアが不動産投資に適しているわけではありません。成功のカギを握るのは、賃貸需要と物件の流動性が確保されている「地方中核都市」を選ぶことです。
具体的には、人口50万人以上の政令指定都市や県庁所在地などを選ぶと良いでしょう。例えば、福岡市・札幌市・仙台市・広島市・岡山市などは、数ある地方都市の中でも十分な規模の都市圏を持っています。大学や企業、公共交通機関も集積しているため、安定的に一定の賃貸需要を見込めます。
また、交通インフラの整備が進んでいて、首都圏・関西圏からのアクセスが良いエリアも要注目です。新幹線の停車駅がある地方都市や、空港へのアクセスが良いエリアなどは、ビジネス・教育・観光といった複数の需要が重なるため、物件の価値も下がりにくい傾向があります。
再開発や大型商業施設の建設など、地域としての成長が期待できるエリアを見極めることで、地方であっても安定的な収益を得られます。地方での投資を成功させるためには、「安さ」よりも「需要の確実性」に注目する姿勢が必要です。
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地方物件の特徴と収益性
地方の不動産投資には、都市部にはない特徴と収益面での魅力があります。特に注目されているポイントは、物件価格の安さと想定利回りの高さです。
しかし、表面的な数字だけを見ていると予想外のリスクに直面することもあります。地方物件の価格や利回りの実情と、見落とされがちな収益低下のリスクについて解説します。
地方不動産の「価格」と「利回り」は本当に魅力的か?
地方の不動産には、都市部と比較して圧倒的に物件価格が安いという特徴があります。同じ予算でも広い土地や大型の物件を購入できるケースが多く、初期投資のハードルが低い点などは大きな魅力です。
また、物件価格が低い一方で家賃は一定以上の金額を見込めるため、表面利回りが高くなる傾向があります。
例えば、都市部では5~7%程度の表面利回りが一般的ですが、地方では10%を超える物件もめずらしくありません。高利回りの物件に魅力を感じて、地方での投資を検討する人が増えているのも事実です。
ただし、表面利回りはあくまでも理論値です。実際には空室期間や修繕費、管理費などを考慮した実質利回りを意識する必要があります。表面的な数字の高さしか見ずに判断すると、思わぬ落とし穴にはまることもあるため要注意です。
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地方投資に潜む収益低下のリスクとは?
利回りの高さが魅力の地方投資ですが、収益を安定して確保するためにはいくつかのリスクについて把握することが重要です。空室リスクは特に、地方の不動産投資が持つ代表的なリスクと言えるでしょう。地方では人口減少が進んでいる地域も多く、都市部と比較して入居者の確保が難しくなることもあります。
例えば、ファミリー層が多いエリアで単身者向けのワンルーム物件に投資した場合などは、そもそも需要と供給がかみ合わず、空室が長期化するケースもあります。空室が続けば、家賃を下げたり広告費を増やしたりといった対策が必要です。結果的に経費が増えて収益が大きく圧迫されてしまいます。
また、地方の物件は将来的に売却しづらいという流動性の低さもネックです。投資の出口戦略を立てづらい物件では、いざという時に売却して現金化することが難しく、キャピタルゲインを期待できなくなる可能性もあります。
総じて、地方での投資は収益性が高い一方で、物件選びやエリアの選定を誤ると収益が想定より大きく下振れするリスクを伴います。地方での不動産投資を成功させるためには、利回りだけではなく、需要動向や長期的な運用計画まで見通して判断することが必要です。
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地方の収益物件の選び方

地方での不動産投資を成功させるには「安いから買う」のではなく、長期的に安定した収益が見込める物件を戦略的に選ぶことが重要です。
都市部とは異なる地域の特性を理解して、適切なエリア・物件・融資条件を見極める力が求められます。失敗しないためのエリア選定、賃貸ニーズの見極め方、そして投資規模に合った融資の考え方などについて解説します。
成功するためのエリア選定のポイント
地方で収益物件を選ぶ際、ただ「都市の規模」や「知名度」だけを基準にするのは危険です。本当に投資に適したエリアを見極めるためには、いくつかの定量・定性指標を組み合わせた分析が必要になります。
まず確認したいポイントは、人口動態の「変化率」です。絶対的な人口規模よりも、5~10年スパンで人口が維持または微増しているエリアを優先的に選びましょう。人口の推移については、総務省の国勢調査や自治体の統計ページなどで確認できます。
次に着目すべきポイントは、エリアの世帯構成や転入・転出の傾向です。例えば、単身世帯の増加が著しいところではワンルームの賃貸需要が見込めます。また、子育て世代の流入が起きているエリアではファミリー向け物件が有利です。
さらに、通勤・通学のしやすさも重要な視点です。地元企業・大学・病院など「多くの雇用を生んでいる施設」や「教育機関」への行きやすさが、安定した賃貸需要を生み出す基盤になります。
加えて、自治体の都市計画や再開発プロジェクトの有無もチェックポイントの1つです。大型商業施設の開業や公共交通の整備などが予定されているエリアでは、将来的な資産価値の向上も見込まれるでしょう。
入居者ニーズに合った物件とは?
地方では、地域ごとに入居者の属性やニーズが大きく異なります。都市部のように画一的なワンルーム物件が常に高い需要を持つとは限らず、地域に合った間取りや設備を選ぶことが重要です。
例えば、ファミリー層の多い地域では、2LDKや3LDKなど広めの物件が好まれます。逆に、大学や工場の近くでは、単身者向けの1K・1DKタイプに需要があります。入居者ターゲットのライフスタイルや世帯構成に合わせて物件タイプを選ぶことが、空室リスクを抑えるためのポイントです。
また、地方では車移動が主流のため、敷地内に駐車場がある物件は特に人気です。駅近の物件よりも、駐車場付き物件のほうが注目を集めるエリアも少なくありません。設備や立地条件の選定についても、地域特性を踏まえた柔軟な判断が求められます。
融資条件と購入規模の見極め方
地方の物件を購入するにあたっては、融資の条件やスキームにも注意が必要です。都市部と違って、物件の立地や築年数によっては銀行の融資を受けるのが難しいケースもあります。そのため、地方の不動産投資でローンを使うためには、地域密着型の信用金庫や地方銀行といった金融機関との関係構築がポイントです。
また、購入する物件の「価格帯」にも気を付けましょう。人口が少ない地方都市では、1億円を超えるような大型物件は買い手が付きにくく、将来的に売却できないリスクが高まります。投資初心者であれば、最初は数千万円規模の小型物件から始めて、少しずつ経験を積むのが現実的です。
また、自己資金の割合や収支計画も重要なポイントです。高利回りに惹かれて無理な借り入れをすると、少しの空室や修繕でも資金繰りが厳しくなりかねません。地方の物件を運用する場合には、保守的な資金計画と堅実な投資戦略が必要です。
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地方物件の管理方法と空室対策
地方で不動産投資を行う場合は、自宅から離れたエリアで投資することになるケースが大半です。そのため、都市部とは違って「遠隔地管理」が前提となり、物件の維持や入居者対応をどのように行うかが収益の安定性に直結します。
地方物件の運用に適した管理体制の整え方と、空室リスクを抑えるために現場で実践されている具体的な対策をご紹介します。
遠隔地投資における管理体制の組み方
地方物件を運用するうえで最も重要なのは、信頼できる管理会社の選定です。物件が遠方にある以上、オーナー自らが日常的に物件の管理や居住者対応を行うのは現実的ではありません。そのため、賃貸募集、入居者対応、設備修繕などを一括で任せられる管理体制が必要です。
管理会社を選定する時のポイントとして、その地域での管理実績が挙げられます。地域に根差した管理会社は、実績に裏打ちされた入居ニーズや家賃相場を把握しており、的確な提案をしてくれるでしょう。また、対応の早さと報告体制の明確さも重要です。遠隔管理では、トラブル対応の初動が遅れると入居者からの信頼低下や退去につながるため、迅速な対応ができる体制になっているかを確認しましょう。
また、管理会社と仲介会社が連携しているかどうかも見逃せない要素です。入居者を募集する時に、複数の仲介会社へ情報が共有される仕組みが整っていれば、早期の入居決定に繋がります。地方の不動産投資ではこうした「地元の営業力」が空室期間の長さに関わるため、契約する前に管理会社を比較検討することが重要です。
空室を防ぐための実践的ノウハウ
空室リスクは地方の不動産投資における最大の課題ですが、需要に応じた運用を行えば十分に回避可能です。空室対策として意識すべきポイントの一つは、地域のニーズに合った物件づくりです。
たとえば、車移動が基本となる地方では、駅近よりも駐車場付き物件の方が好まれるケースも多く見られます。また、インターネット無料や宅配ボックス、独立洗面台など設備が充実していると、地方でも入居者から選ばれることが増えるでしょう。
こうした「設備投資=入居者満足度向上」と考え、部分リフォームやグレードアップを検討することが有効です。
加えて柔軟な家賃設定も重要です。最初から強気の家賃設定をするよりも、周辺相場と比較して適正な価格に設定することで、入居者の募集期間を短縮できます。
そのほか、初期費用を抑えるプラン(敷金・礼金なし等)を採用すれば、地方の転勤者や単身者の心理的ハードルを下げられるでしょう。
空室対策は「待つ」のではなく攻めの集客が鍵です。不動産ポータルサイトへの掲載はもちろん、地元の仲介会社との関係構築や、退去前から次の入居者を探す先行募集など、管理会社と連携して積極的に動くことが有効な空室対策となります。
地方不動産投資に向いている人の特徴
地方の不動産投資は向き・不向きが明確に分かれる投資手法です。実際に、地方物件の運用で安定した収益を上げている人もいれば、思わぬ失敗に直面して撤退を余儀なくされるケースもあります。地方投資に向いている人の特徴と、逆に失敗しやすい人の傾向を紹介します。
どんな人が地方物件に向いているのか?
地方不動産投資に向いているのは、短期的な売却益を狙うよりも、中長期で安定した家賃収入を得たいと考える人です。物件価格が都市部よりも安いため、少ない自己資金で始められるうえに、ローン返済の負担を抑えてキャッシュフロー重視の運用ができます。
また、数字やデータに基づいて冷静に判断できる人も、地方投資に適しています。人口動態や地域の賃貸ニーズを調査し、物件の選定や価格交渉を着実に進められる人ほど、空室リスクや売却難などの課題にもうまく対応できるでしょう。
さらに、自主管理にこだわらず、外部リソースを上手に活用できる柔軟さがある人も、地方での投資に向いています。
地方投資で失敗しやすい人の傾向とは
一方で、地方投資に向いていない人の典型例は「表面利回りの高さ」だけで判断して物件を購入してしまう人です。見た目の数字に惹かれて、需要のないエリアや築年数の古い物件に飛びつくと、空室や修繕費の増大により、思ったような収益が出ないことがよくあります。
また、現地調査や管理体制の確認を怠り、地場の不動産市場や入居者のニーズを把握しないまま投資を進めるケースも要注意です。特に地方では、駅近や築浅といった都市部で有効な条件が通用しない場合もあるため、都市部と同じ感覚で判断してしまう人はあまり向いていません。
地方投資は、都市部と比べてコスト面のメリットがある反面、より丁寧な情報収集と慎重な判断が求められる投資手法です。リターンを急ぐ人よりも、堅実に一歩ずつ進められる人こそ、成功に近づけます。
まとめ
地方の不動産投資で成功するためには、物件価格の安さや高利回りといった表面的な魅力だけで判断するのではなく、地域特性や賃貸需要、将来性まで見据えた戦略的な判断が求められます。ポイントになるのは、エリア選定の目利き力と賃貸ニーズの的確な把握、そして適切な管理体制の構築です。
都市部と異なるリスクを正しく理解し、堅実に取り組める人であれば、地方物件は安定した収益を生む有望な選択肢となり得るでしょう。焦らず、着実にステップを踏む姿勢が地方投資では何より重要です。

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ワンポイントアドバイス
エリア選びは不動産投資で成功するためにとても重要な要素です。成功している投資家と話をすると、いろいろな都市の状況について驚くほど詳しいということはよくあります。なお、人口動態や不動産市場の動向は街によってかなり異なります。「統計を調べる」というと「難しそうだし面倒」と感じる人もいるでしょう。しかし、今はAIなどを使えば簡単にエリアの動向を調べられますので、ぜひ自分なりのエリア選びを実践してみてください。
この記事のポイント
Q. なぜ、今地方での不動産投資が注目されているのですか?
A. 近年、不動産投資の対象として「地方の物件」に注目が集まっています。これまで脚光を浴びていたのは都市部のワンルーム投資でした。しかし、物件価格の高騰や利回りの低下といった背景から、地方への関心が高まっている状況です。詳しくは「地方の不動産投資が注目される背景」をご覧ください。
Q. 地方の不動産投資はどのような特徴がありますか?
A. 地方の不動産投資には、都市部にはない特徴と収益面での魅力があります。特に注目されているポイントは、物件価格の安さと想定利回りの高さです。詳しくは「地方物件の特徴と収益性」をご覧ください。
Q. 地方で不動産投資を始めるにあたり、収益物件はどのように選んだら良いでしょうか?
A. 地方での不動産投資を成功させるには「安いから買う」のではなく、長期的に安定した収益が見込める物件を戦略的に選ぶことが重要です。詳しくは「地方の収益物件の選び方」をご覧ください。