築古物件への不動産投資はあり? メリット・リスク・再生術を解説
ざっくり要約!
- 築古物件は価格が安く、高利回りや節税効果を期待できるが、修繕や空室などのリスクも高い。
- 築古物件の修繕・リノベーションにおいては、入居者のニーズに合った内容で進めることが鍵。
不動産投資の中でも「築古物件投資」は、物件を安く購入できて高利回りを狙えるため注目を集めています。しかしその一方で、建物の老朽化による修繕リスクや空室の不安、将来的な売却のしづらさなど、投資の初心者にとっては不安に感じる要素も少なくありません。
この記事では、築古物件投資のメリットとリスクを解説し、物件再生のための考え方や成功のポイントなどをご紹介します。
築古物件投資とは? 注目されている理由
築年数の経過した物件を活用する「築古物件投資」は、新築物件と比べて初期費用を抑えやすく、利回りが高いことから収益性を重視する投資家に好まれる投資手法です。ただし、物件が安いからといって安易に手を出すと、思わぬリスクを抱えることもあるので要注意です。
なぜいま築古物件が注目されているのか?
築古物件への投資が注目されている最大の理由は、物件価格の安さと高い利回りです。特に築25年以上の木造戸建て物件や区分マンションは、老朽化に伴い建物部分の価値が下がり、低価格で取得できる場合があります。
一方で、リフォームや修繕をすることで賃貸市場における競争力を高め、安定した収益を得られるチャンスもあります。また、初期投資額を下げられるため、投資初心者の入口として選ばれることも多くなっています。
築古投資が向いている人とは?
築古物件への投資は誰にでも向いているというわけではありません。築古物件投資が向いているのは、物件の状態を見極める判断力や、修繕費・管理費用を含めた収支計画を立てられる人です。
融資を使わず現金での投資を考えている人や、リスクを取りつつも高い利回りを狙いたい人には特に向いています。また、DIYや不動産管理に興味がある人にとっては、自分の手で物件を再生しながら資産形成できる魅力的な選択肢となります。適切な知識があれば初心者でもチャレンジ可能です。
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築古は有利? 物件価格と利回りの関係
築古物件は、築浅の物件と比べて価格が大幅に低く、表面利回りが高くなっていることも多いものです。しかし、利回りが高いからといって必ずしも「お得な投資」であるとは限りません。
表面利回りと実質利回りの違いを理解し、必要なコストやリスクを正確に把握することが重要です。築古物件の価格と利回りの関係性について、注意すべきポイントと収益性を高める戦略を解説します。
安く買えれば高利回り? 表面利回りの落とし穴
築古物件は価格が安いため、物件価格を家賃収入で割り戻した「表面利回り」だけを見ると非常に高く見えます。しかし、表面利回りだけで判断してしまうのは危険です。
築古の物件は購入直後に修繕を要するケースも多く、水回りや屋根・外壁といった構造部分のリフォームには数十万円〜数百万円がかかることもあります。
また、管理費や固定資産税が高いことも少なくありません。そのほか空室リスクにも要注意です。表面利回りだけではなく、実際の手取り額(キャッシュフロー)を把握することが投資判断には不可欠です。
築古物件で高利回りを狙う戦略
築古物件で高い収益を実現するには、単に安く買うだけでなく「再生して価値を高める」という視点が求められます。物件選びの段階で賃貸需要があるエリアを見極め、競合物件との差別化を図れるリフォームなどを計画することが重要です。
例えば、古い和式トイレを洋式に変更したり、インターネット無料の環境を整えるだけでも入居者から見た魅力は大きくなります。また、築古物件は現金で購入することが多く、ローン返済をしなくて済むケースも少なくありません。
結果的に家賃収入をそのまま手取り収入として得やすい点も強みです。できる限りコストを抑えながら収益性を高める工夫が、築古投資成功の鍵となります。
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築古物件投資は短期的な減税効果も高い
築古物件に投資するメリットは、物件価格の安さや利回りだけではありません。税務上のメリットも築古物件投資の強みです。
築古物件への投資で税務上のメリットを享受するためには「減価償却」の仕組みを活用することが必要です。ただし、節税を目的にした過度な投資には、収支のバランスを崩すリスクもあります。
減価償却の基本と節税効果の仕組み
不動産投資における減価償却とは、物件購入額を建物と土地の価格に分けて、建物の購入価格を複数年に渡って経費計上する会計処理のことです。
減価償却費を経費計上すると、家賃収入に課される所得税や住民税を抑制できます。築古物件に投資する最大の利点は、短期間で多額の経費を計上できることです。
例えば、法定耐用年数22年を過ぎた木造住宅であれば、4年間にわたり減価償却費を計上できるため、高所得者にとっては1年あたりの節税効果が大きくなります。
節税だけを目的にするのは危険
減価償却による節税効果は魅力的ですが、節税だけを目的として築古物件を購入するのは避けた方が無難です。
減価償却の仕組みを使えば、実際の収支が赤字であっても、節税によって得をしているように思えます。しかし、物件の修繕費が膨らんだり、空室が長引いたりすれば、実際には手元に現金が残らないということも起こりえるでしょう。
また、減価償却が終了した後は、節税効果が大幅に薄れるだけでなく、物件の老朽化によって収益性が下がるリスクもあります。築古物件への投資では、節税対策としてだけではなく、「安定した収益を確保できるか」を見ることが重要です。節税はあくまでも副次的なメリットとして捉えるべきでしょう。
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築古物件をどう再生する? 修繕・リノベーションの考え方

築古物件の投資では、購入後にどのように物件を再生するかが、収益性や入居率を大きく左右します。老朽化した設備や内装をどこまで修繕すべきか、費用対効果を見極める判断力が必要です。
また、最近ではコスト削減を目的にDIYを実践する投資家も増えていますが、全ての投資家にとってDIYが必ず効果的とは限りません。
修繕すべきポイントと費用感の目安
築古物件の修繕では、見た目よりも「機能的な安全性」と「生活インフラの快適性」を優先すべきです。具体的には、キッチンや浴室・トイレといった水回り、配管・電気系統などの修繕が特に有効です。
これらの修繕には数十万〜百万円単位の費用がかかることもあります。決して安い金額ではないので、物件取得価格に加えて事前に予算を見積もることが重要です。例えば、ユニットバスの交換は50万円前後、トイレの交換は10〜15万円程度の費用が目安となります。
DIYは本当に得か? 専門業者との違い
近年では、内装の一部を自ら手がけてコスト削減を図る「DIYリフォーム」に挑戦する投資家もいます。クロスの張替えや床材の変更など一部の作業は比較的容易です。DIYで直せれば費用が材料費だけで済みます。
しかし、電気や水道に関わる工事は資格が必要であり、誤った施工がトラブルの原因となることもあるでしょう。また、作業の手間や時間、仕上がりの品質を考えると、専門業者に依頼した方が結果的に費用対効果が大きい場合も少なくありません。
DIYを検討する際は、自身のスキルや時間的余裕、入居者の印象などを総合的に考慮することが必要です。
投資用に適した「再生」の考え方
築古物件を再生する際に重要なのは、「入居者のニーズに合った価値ある改修を行うこと」です。全てを新品にする必要はありませんが、清潔感・機能性・利便性の3点は最低限確保すべきと言えます。
例えば、オートロックを導入するよりも、エアコンや独立洗面台といった日常的に使う設備を修繕したり入れ替えたりする方が、入居希望者にとっては高く評価されます。また、築古物件でありがちな和室を洋室化したり、押し入れをクローゼットに変更したりするだけでも印象は大きく変わるものです。
再生の目的は、あくまでも収益性の向上と長期的な空室リスクの回避です。必要な工事と不要な工事を見極めた「投資目線でのリフォーム・リノベーション」が求められます。
築古物件投資の成功のコツ
築古物件への投資には物件価格の安さや節税効果など多くのメリットがある一方で、物件ごとのリスクも大きいものです。物件選びに失敗すると大きな損失につながります。ここからは、築古物件投資で失敗しないためのチェックポイントと、初心者が安心して取り組める戦略について解説します。
「買ってはいけない築古」の見極めポイント
築古物件の中には、いくら価格が安くても購入を避けるべき物件も存在します。例えば、再建築不可の物件や旧耐震基準で建てられた構造が不明確なもの、修繕履歴が確認できない物件などは、出口戦略を立てづらいうえに、安全性の問題を抱えている可能性もあります。
また、マンションの場合は管理組合の機能不全や修繕積立金の不足にも要注意です。購入前にはインスペクション(建物調査)や重要事項調査報告書の確認を行い、「今後も貸せる・売れるかどうか」を冷静に判断することが重要です。
空室リスクを下げる立地と間取りの選び方
築古物件で安定した収益を確保するためには「入居者が借りたくなる物件」を選ぶ視点が欠かせません。例えば、駅から徒歩10分以内、生活利便性が高いエリア、大学や企業が集まるエリアなどは賃貸需要が安定しています。
また、間取りについてもターゲットに合わせた選定が必要で、単身者向けには1Kや1LDK、ファミリー層向けには2LDK以上が好まれる傾向があります。築古でもニーズを満たす間取り・設備が整っていれば、競争力を保てるものです。
融資と現金投資の選び方:初心者におすすめの進め方
築古物件はローンを使いにくい点に要注意です。築年数や担保評価の問題から、金融機関による審査が厳しくなります。短期間での返済や多額の頭金を求められるケースが少なくありません。物件価格が安くても、結果的にまとまった資金を用意しなくてはならないことも多いものです。法定耐用年数を大きく超える物件は、審査基準が厳しくなるため特に要注意です。
初心者が築古物件投資に挑戦するのであれば、融資元の金融機関を探すよりも、比較的低価格の物件を現金で購入して経験を積むのが現実的です。
ローン返済の負担がなく手元に残るキャッシュフローが安定しやすいため、現金購入による投資は、小規模ながらも成功体験を得るには適した選択肢と言えます。
将来的に投資規模の拡大を目指す場合は、物件の買換えを繰り返すことで、金融機関からの評価も高い物件へとシフトしていくと良いでしょう。
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まとめ
築古物件への投資には、初期投資額の安さや高利回り、減価償却による節税効果など、魅力的な要素が複数あります。一方で、修繕コストや空室リスク、資産価値の下落といった注意点もあるため、物件選びや再生の方向性を誤ると失敗につながる可能性もあるため要注意です。表面利回りなどの数字だけでなく、本質的な物件の価値を見極めることが成功のカギとなります。

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ワンポイントアドバイス
築古物件投資は、価格の安さだけでなく賃貸経営の経験を積むという観点からも、投資初心者におすすめの投資手法です。しかし、物件が古くなるほど投資として難しくなることも否定はできません。2025年現在では「築古物件 投資戦略」などの手法について解説したサイトも多く、情報収集はしやすくなっています。まずは情報を集め、不動産会社などに相談してみるのがおすすめです。無理のない範囲で検討を進めることが、将来的な物件運用の第一歩となるでしょう。ご検討の際はぜひ東急リバブルの不動産投資へご相談ください。不動産投資に特化した専門部署がお客様のご要望にお応えいたします。
この記事のポイント
Q. 築古物件投資とはなんですか?
A. 築年数の経過した物件を活用する「築古物件投資」は、新築物件と比べて初期費用を抑えやすく、利回りが高いことから収益性を重視する投資家に好まれる投資手法です。詳しくは「築古物件投資とは? 注目されている理由」をご覧ください。
Q. 築古物件への投資は有利なのでしょうか?
A. 築古物件は、築浅の物件と比べて価格が大幅に低く、表面利回りが高くなっていることも多いものです。しかし、利回りが高いからといって必ずしも「お得な投資」であるとは限りません。詳しくは「築古は有利? 物件価格と利回りの関係」をご覧ください。
Q. 築古物件の修繕やリノベーションはどう行ったら良いのでしょうか?
A. 築古物件の投資では、購入後にどのように物件を再生するかが、収益性や入居率を大きく左右します。詳しくは「築古物件をどう再生する? 修繕・リノベーションの考え方」をご覧ください。