空室リスクを減らす! 賃貸需要の高い立地・物件の見分け方
ざっくり要約!
- 空室リスクを抑えるには、人口動態や利便性を踏まえた「賃貸需要の高い立地選び」が重要。
- ターゲット層のニーズに合った設備・間取り・条件を整えることで、選ばれる物件に近づける。
- 家賃設定や管理会社と連携を取り、空室が長引く場合は柔軟に戦略を変えることがポイント。
不動産投資において、空室リスクは多くの人が避けたいと考えるリスクの一つです。入居者が入らない期間が続けば、家賃収入はゼロとなり、ローン返済や物件の維持管理費が重い負担になります。2025年時点では特に、人口の減少や競合物件の増加といった背景もあり、「本当に入居者が入るのだろうか」と不安になる人は多いのではないでしょうか。
この記事では、賃貸需要の高い立地や物件の見分け方から、入居者ニーズに応えるための具体策、長期的に空室を防ぐ経営戦略など、実践的な方法を解説します。
目次
空室リスクが不動産投資に与える影響
不動産投資において、空室リスクは最もケアすべき要素の一つです。たとえ立地や物件の条件が良くても、入居者が入らなければ家賃収入は発生せず、収支はすぐに赤字になってしまいます。
また、近年は特に、少子化やライフスタイルの多様化により、賃貸物件に求められるニーズも変化しています。まず、空室リスクが賃貸経営にどのような影響を与えるのか、そして空室が起こりやすい物件や環境にはどんな特徴があるのかを詳しく見ていきましょう。
「空室リスク」が賃貸経営の課題になる理由
空室リスクとは、賃貸物件に入居者が入らないことで、家賃収入を得られなくなるリスクのことです。不動産投資は安定した家賃収入の確保を目的とする投資手法ですが、空室が発生すると、不動産投資が資産運用として成立しなくなってしまいます。
空室が出ると収入が途絶える一方で、固定資産税やローン返済、修繕費などの支出は無くならないため、運用物件数が少ない場合などは特にキャッシュフローが悪化します。
また、空室が長引くことで物件の印象が悪くなり、次の入居者が決まりにくくなるという悪循環にも陥りかねません。収益性が下がるだけでなく、資産価値の下落にもつながるため、早期の対策と予防が不可欠です。
空室リスクが発生しやすい物件や環境の特徴
空室が起こりやすい物件には、共通する複数の特徴があります。一つ目のポイントは「立地条件の悪さ」です。駅から遠い、バスなどの公共交通が整備されていない、周辺に商業施設が少ないなど、日常生活の利便性が低いエリアでは、借り手の候補がそもそも少なくなりがちです。
次に、「築年数が古く、設備が時代遅れの物件」も空室リスクが高まる傾向にあります。エレベーターがない物件や、防音性能に劣る建物などは、入居者から選ばれにくくなります。また、近隣に新築やリノベーション済みの競合物件が増えると、見劣りする古い物件は敬遠されがちです。
加えて、立地全体の人口が減少傾向にある、もしくは高齢化が進んでいるエリアでは、賃貸需要そのものが縮小しているため、良い物件でも空室を回避しきれないケースもあります。空室リスクの裏には、物件だけではなく、周辺環境や社会動向といった多様な要因が絡んでいることも少なくありません。
・「築古物件投資」に関する記事はこちら
築古物件投資のメリット・デメリットは?出口戦略・リノベのポイントを解説
賃貸需要の高い立地条件とは?
空室リスクを抑えるためには、物件だけではなくエリア選びも非常に重要です。設備が整っている物件でも、エリアや賃貸需要とのかみ合いが悪ければ、入居者は入りにくくなります。
特に都市部と地方とでは賃貸需要の傾向に違いがあるため、エリアごとの特性も理解しておく必要があります。ここからは、賃貸需要が高いエリアの共通点について解説し、その後に首都圏と地方都市それぞれで賃貸需要が長続きするエリアの特徴を見ていきます。
空室リスクを抑えるエリア選びの基準
賃貸経営において安定した入居を実現するためには、エリア選びが極めて重要です。特に空室リスクを抑えたいと考えるのであれば、次のような条件を満たす立地が望ましいと言えます。
まず見るべきポイントは、公共交通機関へのアクセスです。最寄り駅まで徒歩10分以内、かつ複数路線が利用できる場所は、通勤や通学に便利なため入居者からの高い人気があります。また、バス便が移動の代表的手段となるエリアでは、バスの本数や運行時間帯も重要なポイントです。
二つ目のポイントは周辺施設の充実度です。コンビニやスーパー、ドラッグストア、病院、郵便局などが徒歩圏に揃っているかどうかは、日常生活の利便性に直結します。これらの施設が近くにあると、特に単身者や高齢者にとっては安心感があるため、選ばれやすくなります。
三つ目のポイントは周辺人口の推移です。市区町村単位だけでなく、町丁目レベルの人口動態まで調べることで、将来的な賃貸需要の見通しを立てられます。今後も人口の増加または安定を見込める立地では、将来的にも空室リスクを抑えられる可能性が高いと言えるでしょう。
首都圏・地方都市で見る「需要が続く立地」の見分け方
首都圏と地方都市では、入居者のターゲット層・背景に違いがあります。それぞれのエリアで「空室になりにくい」場所を見分けるためには、エリアの特性を見極めることが必要です。
首都圏は、日常的に通勤・通学する入居者が多いため、駅近のエリアや複数の路線を使えるエリアなどが特に有利です。なかでも大学・専門学校・大手企業の拠点があるエリアや、市街地再開発が進むターミナル駅の周辺は、常に新しい住民の流入を期待できるため、賃貸需要も安定するでしょう。また、近年では外国人労働者の受け入れが進むエリアも注目を集めています。
その一方で、地方都市では、駅から近いかどうかよりも「車移動のしやすさ」や「駐車場の確保」が重視される傾向にあります。ショッピングセンターや病院など生活利便施設が集まる郊外エリアに人口が集中するケースもあり、単純に駅からの距離だけでは賃貸需要を測れない点が特徴的です。さらに、地域内の企業動向や大学の有無なども、賃貸需要の維持に関係してきます。
なお、首都圏と地方都市とに共通して言えるのは「将来的にも人の流れがある場所かどうか」を見極めることです。直近の家賃相場や入居率だけでなく、エリアの人口動態や都市計画などを調査・比較することが、空室リスクの少ない物件選びにつながります。
・「地方の不動産投資」に関する記事はこちら
地方の不動産投資は儲かる? 都市部と比較と成功するポイント
入居者ニーズに応える物件設備と間取りとは?

物件の立地が良好でも、間取りや設備が入居者のニーズに合っていなければ、空室が続く原因となります。近年では、ライフスタイルの多様化により、求められる設備や空間の使い方が変化しています。また、入居者のターゲットによって「選ばれる条件」も異なるため、それぞれに合った対策が必要です。
空室を防ぐ「人気設備」と費用対効果
物件の魅力を高めるには、入居者にとって「住みたい」と感じてもらえる設備を導入することが効果的です。無料のWi-Fi設備、宅配ボックス、モニター付きインターホン、浴室乾燥機などは人気があります。無料のインターネットは特に、通信費の削減になることから、単身者や若年層を中心として人気です。
一方で、設備の導入にはコストがかかるため、費用対効果を考慮した判断が必要です。例えば宅配ボックスの設置は、機種によっては10万円前後の初期投資で済むため、費用対効果が比較的高い改善策と言えるでしょう。
逆に、高額な設備でもターゲット層に響かないものは、空室対策として有効とは言えません。周辺物件と比較したうえで、差別化につながる設備を見極めることが大切です。
ターゲット別:選ばれる間取りや設備とは
入居者の属性によって、求められる間取りや設備は大きく異なります。単身者であれば、1Rや1Kといったコンパクトな間取りと、収納スペースの確保、無料インターネットなどの手軽な快適性が重視されます。また、セキュリティ対策としてオートロックや防犯カメラの設置なども有効です。
ターゲットがファミリー層の場合は、2LDK以上の広さと、家事動線が考慮されたキッチンや洗面スペース、子育てに配慮された周辺環境(保育園や公園の有無など)などがポイントになります。そのほか収納力や駐車場の有無なども重要です。
外国人労働者や高齢者を入居者のターゲットに含める場合は、家具家電付きの物件やバリアフリー対応、ゴミ出しルールの明確化などが有効です。
誰を入居者として想定するかによって、求められる要素は変わるため、あらかじめターゲットを設定し、ターゲットに合わせて設備・条件を整えることが空室リスク軽減の近道となります。
築古物件でも大丈夫!「部分リフォーム」の戦略
築年数の古い物件でも、適切なリフォーム・リノベーションを施せば競争力を維持できます。部屋全体を対象とした「フルリフォーム」ではなく、ポイントを絞った「部分リフォーム」が特に有効です。
水回り(キッチン・浴室・トイレ)や床・壁といった視認性の高い部分は、入居希望者の第一印象に大きく影響します。
例えば、古びたキッチンをシンプルなシステムキッチンに交換するだけでも、印象が一新されるほか使いやすさも向上します。また、内装のクロスや床材を明るく清潔感のあるものに張り替えることで、視覚的に「新しさ」を演出できるでしょう。そのほか、低コストで高級感を出せるアクセントクロスの活用もおすすめです。
費用をかけすぎずに工夫しながらターゲット層の「期待感」に応えることが重要です。築古物件だからといって諦めるのではなく、差別化の観点から戦略的にリフォームすることで、空室リスクを抑えられます。
長期的に空室率を低く抑えるための方法
空室リスクを一時的に回避できたとしても、長期にわたって安定した入居を維持するには、継続的な工夫と改善が欠かせません。ここからは、家賃や契約条件の見直し、管理会社・仲介会社との連携強化、さらに空室が続いた場合の具体的な対応策や撤退の判断などについて解説します。
家賃・条件の柔軟な見直し
空室が発生した際に、検討すべきポイントは家賃と契約条件です。近年はポータルサイトなどで入居希望者が簡単に家賃を比較できるため、周辺相場より高い家賃にしていると、検索段階で除外される可能性が高くなります。
設備や立地などの面でアドバンテージがある場合は多少高くても問題ありません。しかし、空室が長引くようであれば、競合物件の家賃や設備、築年数とのバランスを確認し、家賃を調整することも必要です。
また、敷金・礼金や更新料といった初期費用の見直しも有効です。これらの費用を下げることで入居のハードルが下がり、問い合わせ数が増える可能性があります。さらに、賃料を下げたくない場合でも「フリーレント」などの特典をつけることで、実質的な負担軽減を図りつつ空室対策につなげられます。
管理会社や仲介会社との連携で入居率を上げる
長期的な空室対策を実現するためには、管理会社や仲介会社との連携が欠かせません。特に物件の「客付け力」については、管理会社ごとに大きな差があります。積極的に物件情報を発信してくれる会社かどうか、問い合わせの対応速度はどうかなどがポイントです。
また、仲介会社に対しては「広告料(AD)」の設定も重要です。広告料が適正でなければ、他の物件を優先的に紹介されてしまう可能性があります。必要に応じて広告費を見直し、より多くの仲介会社に物件を扱ってもらえるような体制を整えることが、空室リスクの低減につながります。
加えて、掲載されている写真の質や物件紹介文の内容も成約率に影響を与えます。写真を撮り直したり、近隣施設や物件の魅力を文章で明確に伝えたりすることで、入居希望者の関心を高められるでしょう。
空室が続いた時の対策と撤退判断の基準
万全の対策を講じても空室の長期化は起こり得ます。空室が長引いたときにまず考えるべきポイントは、用途変更やターゲット層の再設定です。たとえば、一般的な賃貸住宅からマンスリーマンション、シェアハウス、外国人向け賃貸などへ転換することで、新たな需要を喚起できる可能性があります。
また、設備投資や家賃変更といった対策が奏功しない場合には、売却やサブリースなども選択肢に入れるべきでしょう。
撤退するかどうかを考える際には「今後のキャッシュフローが年単位でマイナスになるか」「修繕費や税金の負担に耐えられるか」といった、数値ベースでの見極めが必要です。経済的・心理的な負担が限界を迎える前に、早めにシミュレーションを行い、出口戦略を立てておくことが、失敗を避けるための鍵となります。
・「出口戦略」に関する記事はこちら
不動産投資の出口戦略とは? 売却・相続・法人化、適切な出口を見極めるポイント
まとめ
空室リスクの対策は収益性と資産価値の両面に大きく影響するポイントです。空室リスクを抑えるためには、賃貸需要の高いエリアを見極めること、入居者ターゲットに合った設備や間取りを整えること、そして市場の変化に応じて家賃や条件を柔軟に見直すことなどが求められます。そのほか、管理会社や仲介会社との連携を強化し、物件の魅力を的確に伝える工夫も欠かせません。

不動産投資用物件なら東急リバブルにお任せ下さい。
投資用マンション・投資用アパート・ビル購入など、最新の投資用不動産情報をお届けします。
ワンポイントアドバイス
空室リスクの対策は収益性と資産価値の両面に大きく影響するポイントです。空室リスクを抑えるためには、賃貸需要の高いエリアを見極めること、入居者ターゲットに合った設備や間取りを整えること、そして市場の変化に応じて家賃や条件を柔軟に見直すことなどが求められます。そのほか、管理会社や仲介会社との連携を強化し、物件の魅力を的確に伝える工夫も欠かせません。
この記事のポイント
Q. 空室のリスクは不動産投資にどのような影響がありますか?
A. 不動産投資において、空室リスクは最もケアすべき要素の一つです。たとえ立地や物件の条件が良くても、入居者が入らなければ家賃収入は発生せず、収支はすぐに赤字になってしまいます。詳しくは「空室リスクが不動産投資に与える影響」をご覧ください。
Q. 賃貸の需要のある立地条件は?
A. 空室リスクを抑えるためには、物件だけではなくエリア選びも非常に重要です。設備が整っている物件でも、エリアや賃貸需要とのかみ合いが悪ければ、入居者は入りにくくなります。詳しくは「賃貸需要の高い立地条件とは?」をご覧ください。
Q. 空室率を抑えるためには何ができますか?
A. 空室リスクを一時的に回避できたとしても、長期にわたって安定した入居を維持するには、継続的な工夫と改善が欠かせません。詳しくは「長期的に空室率を低く抑えるための方法」をご覧ください。