売買仲介、24年度は取引単価上昇で堅調
2025年05月30日
―手数料と取扱高は22社が前期より増加
不動産流通主要24社・グループにおける25年3月期(24年4月~25年3月)の売買仲介実績が出揃った。開示姿勢の変化やグループでの開示などを反映した調査を実施した。手数料収入は、個社で初の1000億円に到達した三井不動産リアルティが調査開始以来の1位を維持した。加えて、仲介件数でも1位を堅持。取扱高は、東急リバブルが2年連続で1位を獲得した。仲介件数でも三井不動産リアルティに続く3万2000件台の2位で、更なる成長も見据える。23年度と比べた3指標の動向は、手数料収入の増加が22社、仲介件数の増加が17社、取扱高の増加が22社と、総じて売買仲介の堅調な業況が明らかとなった。
三井不動産リアルティの岡村光浩・取締役常務執行役員は好調な手数料収入の要因を「東京都心や湾岸をはじめ各都市の中心部などで、仲介物件の単価が上昇する市況の恩恵」と話す。成約単価の平均は前期比で1割ほど上昇し、高水準物件に特化した店舗「リアルプラン」の平均取引単価は2億数千万円、上昇は城南・城西エリアにも影響が波及し、取扱高は「平均8000万円から9000万円」(岡村氏)に達したという。今後は、港区の大型物件や晴海フラッグの超高層棟などが順次竣工していくことを好材料と捉えている。岡村氏は「三井不動産グループの開発物件が2次流通する際に、6割ほど捕捉している印象」と話し、高額帯を中心に都心での営業を強める方針だ。東急リバブルは「首都圏全域でリテール市場の平均取引価格が伸び続けた」とする一方、仙台、名古屋、福岡といった地方部では平均取引価格が前期を下回ったとする。都心高額帯物件を扱う店舗「GRANTACT(グランタクト)」について「成約の件数・価格ともに好調」として、生産性は前年よりも向上したという。ただ、グランタクトで売買ともに相談数が減少傾向にあり、顧客動向には注視が必要とみている。また、ホール取引も「外資ファンドは金利上昇懸念や米国の政治背景も踏まえ選別姿勢が強まる」としているが、「世界的に日本の不動産の魅力は相対的に高く投資姿勢は継続」と好調の持続に取り組む。
商号を変更した住友不動産ステップは、手数料収入と取扱高の前期比プラスに加えて、「Web広告強化の取り組みなどにより問い合わせ件数が増加」とする。また、仲介件数の前期から若干の減少についても「引き渡し件数は減少したが契約ベースでは前年比プラス」としており、取扱単価の上昇も含めて改善傾向が進んでいる。野村不動産ソリューションズは手数料収入と取扱高が2ケタ増加と好調で、特にホールセールで件数・単価の上昇から好調となった。同社は「取引件数を高水準で維持しつつ、取扱単価の向上が実績に寄与した」と総括。また、首都圏の市況を「都心のみならず準都心や郊外エリアにおいても業績は好調」とする。足下では「株価下落などを憂う個人実需層の声はあるが、現状はまだ大きな影響は見受けられない」模様だ。
◎プロ取引や情報の活用で市況好調持続へ
大手4社に続いて、信託銀行系3社がいずれも好業績で並んだ。みずほ不動産販売は、金利動向や不動産価格の上昇、インフレ経済の影響から足元の動きについて「個人マスリテール分野の買いニーズは減少傾向」と捉えている。そのため、数年前の竣工物件などで利益確定目的での売却やプロ取引の重要性が増してくるとみている。これまで個社で実績を調査していた三菱地所リアルエステートと三菱地所ハウスネットの合算による「三菱地所グループ」は、物件単価の上昇に加えてリテール分野での情報件数の増加から、取扱高や手数料収入も含めて大幅な増加につながった。市況感を「金利上昇懸念や建築費高騰の状況下でも継続して好調を維持」とするも、物件の種別やプレイヤーによって取引姿勢が異なる様子で、中でも「デベロッパー、不動産会社、プロ投資家の購入姿勢については『ホテル・レジデンス』ともに強気」とみている。
リストインターナショナルリアルティが「中古マンション市場は軒並み金額が大幅に上昇」とみているが、取引動向は二極化しているようだ。阪急阪神不動産はホール分野で「金利の先高感が懸念材料。建築用地は建築費の上昇で、郊外では見送りの動きが出ている」とする。開発から素地取引に変更する事例もあるという。好調な会社からは、情報の活用強化から成長したという話が多い。経済動向の影響を探りながら、各社は好調の持続に挑むとみられる。
(提供:日刊不動産経済通信)