中古マンション前年同月以上に価格上昇!中古戸建も昨年10月ぶりの高い上昇率
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2024年3月度首都圏(1都3県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに、前年同月と比べて成約件数・成約価格が上昇。成約件数は、いずれも10%以上増加しています。ここ数ヶ月、ほぼ横ばいで推移していた中古戸建の価格も、23年10月以来の高い上昇率が見られます。
首都圏中古マンション
項目 | 2024年3月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 75.88万円/㎡ | +8.7% |
件数 | 3,810件 | +10.7% |
価格 | 4,821万円 | +8.6% |
専有面積 | 63.54㎡ | -0.1% |
築年数 | 23.95年 | +0.62年 |
在庫件数 | 46,351件 | +2.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年3月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+8.7%の「75.88万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は47ヶ月連続、成約件数の増加は10ヶ月連続です。一方で、在庫件数は26ヶ月連続の増加。在庫平米単価は8ヶ月連続で下落しています。
エリア | 2024年3月成約㎡単価前年同月比 | 2024年3月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +8.7% | +12.4% |
東京都多摩 | +7.0% | +2.7% |
横浜・川崎市 | +7.2% | +7.8% |
上記除く 神奈川県 |
+12.7% | +7.8% |
埼玉県 | -0.6% | +22.6% |
千葉県 | +9.6% | +5.8% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約価格は、埼玉県のみマイナスで、他のエリアは前年同月比10%前後の上昇となりました。成約数は例年3月に増えますが、前年同月と比べてもすべてのエリアがプラス。埼玉県は成約平米単価が下落したものの、成約件数は同20%以上の大幅増です。
首都圏中古戸建
項目 | 2024年3月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 4,137万円 | +5.7% |
件数 | 1,349件 | +13.7% |
土地面積 | 145.15㎡ | +5.8% |
建物面積 | 105.10㎡ | +2.0% |
築年数 | 21.35年 | -0.6年 |
在庫件数 | 21,360件 | +29.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建も、成約価格・成約件数ともに前年同月と比べて大きく上昇しました。2023年は年間を通して成約件数が減少傾向にありましたが、年度末には増加が見られました。在庫件数はいまだ増加傾向にあるものの、1年ぶりに増加率が3割を切っています。
エリア | 2024年3月成約㎡単価前年同月比 | 2024年3月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +1.6% | +26.6% |
東京都多摩 | +15.0% | +17.3% |
横浜・川崎市 | +10.0% | -2.3% |
上記除く 神奈川県 |
-2.0% | +4.4% |
埼玉県 | -1.7% | +12.4% |
千葉県 | +7.4% | +17.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建の売れ行きや価格には、地域差が見られます。東京都多摩や千葉県は成約数も成約価格も前年同月と比べて大きく上昇していますが、東京都区部や埼玉県は成約件数が大きく増えたものの、成約価格はほぼ横ばい。横浜・川崎市は成約件数が減少したものの、価格は二桁増と大きく伸びました。
“注目”の不動産ニュース
4月から「相続登記義務化」がスタート
不動産を相続したときの「相続登記」は任意とされていましたが、2024年4月1日から申請が義務付けられることとなりました。これまでも、相続した不動産を売却などする際には相続登記が必須でしたが、これからは不動産を相続したすべての人に「3年以内」の相続登記が義務付けられます。
義務に違反したら10万円以下の過料の対象に
相続登記の申請期日は、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年。遺産分割の成立をもって不動産を取得した場合は、成立した日から3年です。いずれも正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以上の過料に科される可能性があります。「正当な理由」とは、次のような事情・状況にあることを指します。
- 相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
- 相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
- 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
- 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
- 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
義務化は、24年4月1日以前に不動産を相続した方も対象です。すでに相続していて登記が済んでいない場合は、27年3月31日までに相続登記しなければなりません。
「相続人申告登記」制度もスタート
相続登記義務化に合わせ、同日に「相続人申告登記」制度も始まりました。この制度は、相続登記申請義務の履行期間内に、相続の開始と自らが相続人であることを登記官に申し出ることで、申請義務を履行したとみなされるものです。
相続登記には、被相続人の出生から亡くなるまでの除籍謄本などが必要ですが、相続人申告登記では相続人の戸籍謄本を提出することで足りるため、資料収集の負担が軽減します。ただし、相続人申告登記はあくまで申請義務を果たすためのものであり、相続登記とは異なる点にご注意ください。相続した不動産を売却する際などには、あらためて相続登記が必要です。