好調な中古マンション、中古戸建と明暗分かれる
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が12月11日に発表した2023年11月度首都圏(1都3県)不動産市場の動向によれば、価格は、中古マンションでは+7.1%と先月に続き大きく上昇しましたが、中古戸建では+0.03%とほぼ横ばい。また成約件数も、中古マンションでは+3.7%と上昇する一方、中古戸建では-5.8%と減少するなど、好調な中古マンションと中古戸建の差が目立ちます。
首都圏中古マンション
項目 | 2023年11月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 74.98万円/㎡ | +7.6% |
件数 | 2,900件 | +3.7% |
価格 | 4,731万円 | +7.1% |
専有面積 | 63.10㎡ | -0.4% |
築年数 | 24.16年 | +0.16年 |
在庫件数 | 46,993件 | +14.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2023年11月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+7.6%の「74.98万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は、43ヶ月連続です。成約価格も同+7.1%と大幅増。ここ数ヶ月の特徴は、成約平米単価が新規登録平米単価や在庫平米単価を上回っているということです。新規売り出し物件、在庫物件の価格は横ばいで、成約価格だけが伸びるという稀有な状況が継続しており、これは成約物件が徐々に高価格帯の物件にシフトし始めていることを示唆しているとも捉えられます。
エリア | 2023年11月成約㎡単価前年同月比 | 2023年11月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +6.8% | +7.6% |
東京都多摩 | +8.9% | +2.7% |
横浜・川崎市 | +3.0% | +3.2% |
上記除く 神奈川県 |
+0.5% | -10.8% |
埼玉県 | -2.1% | -3.7% |
千葉県 | +10.8% | +6.0% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約㎡単価は、埼玉県を除きすべてのエリアで上昇となりました。東京都区部は、43ヶ月連続の上昇です。神奈川県、千葉県も長らく高騰傾向が続いていますが、埼玉県で前年同月比を下回るのは9月にも見られ、ここ数ヶ月は上昇する月も他県と比べると小幅です。
首都圏中古戸建
項目 | 2023年11月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,816万円 | +0.03% |
件数 | 969件 | -5.8% |
土地面積 | 148.36㎡ | +4.4% |
建物面積 | 104.00㎡ | +0.7% |
築年数 | 22.07年 | +0.48年 |
在庫件数 | 19,995件 | +37.0% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古戸建の成約件数は、1月ぶりに1,000件を下回りました。成約価格はわずかですがプラスとなり、3ヶ月連続の上昇となっています。しかし、在庫数は依然として増加傾向にあり、在庫価格は6ヶ月連続の下落。新規登録価格については7ヶ月連続で下落しています。
エリア | 2023年11月成約㎡単価前年同月比 | 2023年11月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | -0.4% | -17.1% |
東京都多摩 | +11.8% | -14.6% |
横浜・川崎市 | +0.6% | +7.5% |
上記除く 神奈川県 |
-1.3% | +0.8% |
埼玉県 | -2.2% | +0.9% |
千葉県 | +5.0% | -7.6% |
(参考:東日本不動産流通機構)
中古住宅の成約価格、成約件数には地域差が見られます。東京都は区部・多摩いずれも成約価格は二桁減ですが、多摩では価格が二桁増となっています。神奈川県は、横浜・川崎市は3ヶ月連続で価格が上がっていますが、その他のエリアでは逆に3ヶ月連続で下落。埼玉県の成約価格は4ヶ月連続の下落も、千葉県は4ヶ月連続で上昇しています。
“注目”の不動産ニュース
住宅ローン減税、2024年も子育て世帯・若年夫婦世帯は借り入れ限度額据え置き
政府与党は12月14日、2024年度税制改正大綱をまとめました。不動産売買に大きく影響すると考えられる改正点は、2024年から縮小になることが決まっていた住宅ローン減税の借り入れ限度額が、子育て世帯および若年世帯に限り据え置かれることです。
子育て世帯・若年世帯のみ借り入れ限度額を据え置き
住宅ローン減税の借り入れ限度額は2024年から、次のように新築住宅および買取再販住宅の借り入れ限度額の引き下げが決定していました。
- 長期優良住宅・低炭素住宅:5,000万円 → 4,500万円
- ZEH水準省エネ住宅:4,500万円 → 3,500万円
- 省エネ基準適合住宅:4,000万円 → 3,000万円
しかし、2024年度税制改正大綱では、19歳未満の子を有する子育て世帯および夫婦のいずれかが40歳未満の若年夫婦世帯に限り、23年の借り入れ限度額が据え置かれる方針が示されました。
子育て支援税制は他にも
岸田首相が「異次元の子育て支援」を提言している通り、税制改正においても子育て世帯を優遇する税制が目立ちました。住宅ローン減税の優遇のほか、リフォームでも子育て世帯を後押しします。
すでに中古住宅の耐震やバリアフリー、省エネなどのリフォームに際し、所得税を減税する特例措置が設けられていますが、2024年度税制改正により同制度の対象が「子育てに対応したリフォーム」まで拡充。こちらも子育て世帯および若年夫婦世帯が子育てに対応した住宅にリフォームした場合に限り、25万円を上限に所得税から控除する方針が示されています。