一戸建て,売る,貸す
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一戸建ては売る?貸す?収支比較と損しないための判断基準を解説

執筆者プロフィール

辻本 剛士
辻本剛士
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー1級

1984年8月3日生まれ、神戸・辻本FP合同会社代表。大学卒業後、医薬品・医療機器会社に就職し、在職中にFP1級、CFP、宅地建物取引士に独学で合格。会社を退職後、未経験から神戸で数少ない独立型FPとして起業。現在は相談業務、執筆業務を中心に活動している。
https://kobe-okanesoudan.com/

ざっくり要約!

  • 一戸建てを売るか貸すか迷った場合は「住宅ローン」「立地」「築年数」などを総合的に判断することが大切
  • 一戸建てを「売る」もしくは「貸す」を考える際は、将来的な収益を比較することもポイント

一戸建てを売るか貸すか迷った場合、将来その家に住む予定があるのか、または戻る可能性があるのかで判断が変わります。

一戸建てを売却すればまとまった資金が手に入る一方で、賃貸に出せば家賃収入を得られる可能性があります。もっとも、それぞれにメリット・デメリットがあり、状況によって向き不向きが異なります。

そこでこの記事では、一戸建てを「売る」「貸す」それぞれのメリット・デメリットを解説します。収支比較や判断ポイントについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

一戸建ては売る?貸す?収支シミュレーションで比較

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一戸建てを「売る」もしくは「貸す」の判断をする際には、収支面の比較が重要なポイントとなります。

たとえば、売却価格7,278万円の一戸建てを売却した場合、仲介手数料などを差し引いた売却手取り額の目安は約7,028円です。

一方、同じ物件を月額20万円で賃貸した場合、年間純収益は約192万円となり、売却手取り額に到達するまでには約37年かかる計算になります。

以下で築年数による売却価格の違いや、売却した場合と賃貸に出した場合の収支を比較していきます。

築年数による売却額の変動

一戸建てを売却する場合、築年数によって売却価格は変動します。一般的に、一戸建ては築年数の経過とともに建物価値が下がる傾向にあります。

以下は、東京都における一戸建ての平均成約価格をもとに、売却時の手取り額の目安をまとめたものです。

築年数首都圏の平均成約価格売却手取り額の目安
築5年7,278万円約7,028万円
築10年6,832万円約6,597万円
築20年6,844万円約6,608万円
築25年6,442万円約6,219万円
築30年超4,794万円約4,626万円

※仲介手数料は「売買価格×3%+6万円+消費税」で計算
※マイホーム(居住用財産)の3,000万円特別控除を適用し、譲渡所得税は発生しない前提
※印紙代・登録免許税などの諸経費として約3万円を含めて試算

出典:首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況 【2026年01~03月】|公益財団法人 東日本不動産流通機構

一戸建ては、築25年を超えたあたりから建物価値が大幅に下がる傾向にあり、売却価格は土地価格の影響を受けやすくなります。

とくに木造住宅では、築年数の経過により建物部分の評価がほとんどなくなるケースも少なくありません。

また「いずれ売却するかもしれない」と考えて賃貸に出した場合でも、その間に建物価値は下がり続けます。将来的に売却を検討している場合は、家賃収入だけでなく、将来の売却価格の変動も踏まえて判断することが大切です。

・「マンションの築年数と価格推移」に関する記事はこちら
マンションの築年数と価格推移の基礎知識|下落率の目安と計算方法

売却して得た資金と賃貸して得た累計収益の比較

一戸建てを「売る」もしくは「貸す」を考える際は、将来的な収益を比較することも大切です。

ここでは、仮に「売却した場合の手取り額」を3,000万円、賃貸に出した場合の家賃を月20万円として、累計収益を比較します。

なお、賃貸経営では固定資産税や修繕費、管理費などの維持費が発生するため、年間維持費は家賃収入の2割として試算しています。

経過年数売却した場合の利益賃貸した場合の累計純収益
1年目3,000万円192万円
5年目3,000万円960万円
10年目3,000万円1,920万円
15年目3,000万円2,880万円
16年目3,000万円3,072万円
20年目3,000万円3,840万円

※家賃は月20万円で試算
※年間家賃収入:20万円×12か月=240万円
※年間維持費は家賃収入の2割(48万円)として計算
※年間純収益:192万円

このシミュレーションでは、賃貸収益が売却時の手取り額3,000万円に到達するまで、約16年かかる計算です。

ただし、実際の賃貸経営では、退去時の原状回復費用や設備交換費用などが発生するケースもあります。また、空室によって家賃収入が途切れる可能性や、築年数の経過による家賃下落リスクにも注意する必要があります。

一戸建てを売るメリット・デメリット

一戸建てを売るメリット・デメリット

一戸建てを売るメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

一戸建てを売るメリット

一戸建てを売るメリットは以下の通りです。

まとまった資金を手にできる

一戸建てを売却することによって、不動産資産を現金化できます。

住宅ローンを借り入れている場合はその残債額にもよりますが、ある程度まとまった資金を手にできるのがメリットです。

不動産資産を現金化すると、住み替えするための新居購入資金や老後の資金、子どもの教育資金などに充てることができます。

住宅ローンの残債額は、金融機関から郵送される残高証明書や返済予定表などで確認できます。インターネットバンキングを利用している場合などは、ウェブサイト上で確認することも可能です。

一戸建ての売却を検討する場合は、まずは住宅ローンの残債額を確認しておくことをおすすめします。

一戸建てを維持する費用や管理する手間がかからない

一戸建てを所有していると、維持費用がかかります。年数に応じて屋根や外壁の改修費や、給湯器などの設備が故障すれば交換費用や修理費用が発生します。

他にも庭木の手入れや除草など、庭の手入れも必要です。ご自身で手入れができる程度であれば費用はかかりませんが、造園会社などに依頼する場合は費用がかかります。

しかし一戸建てを売却してマンション等に住み変えた場合には、こうした維持費用や管理する手間はかかりません。居住している場合はさほどではないかもしれませんが、転勤などで住んでいない場合は大変だと感じるかもしれません。

一戸建てを貸す場合は対価を得ているため、より費用をかけて維持管理する必要が出てきます。また急に設備が故障することもあり、その都度対応する必要があります。

固定資産税・都市計画税がかからない

一戸建てを所有している場合、固定資産税・都市計画税(市街化区域内に所在する場合)がかかります。地域によっても異なりますが、4~6月に郵送される納税通知書で税額を確認できます。

しかし一戸建てを売却すれば、翌年から固定資産税等はかかりません。固定資産税・都市計画税とは1月1日現在の所有者に対して課される税金です。年度途中で税金が免除されることはありませんが、通常不動産取引においては、固定資産税等は決済日において売主・買主間で清算するのが慣例です。

固定資産税・都市計画税は、不動産の評価額によって税額は異なります。

例えば東京23区内では固定資産税は評価額×1.4%(標準税率)、都市計画税は評価額×0.3%で計算されます(税率は自治体が独自に定めることが可能)。

住宅用地に対しては税負担を軽減する特例措置が設けられており、住宅用地の広さに応じて固定資産税・都市計画税が軽減されます。それぞれ以下の通りです。


固定資産税都市計画税
小規模住宅用地住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分評価額×1/6評価額×1/3
一般住宅用地小規模住宅用地以外の住宅用地評価額×1/3評価額×2/3
引用:東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)

・「固定資産税 いくら」に関する記事はこちら
固定資産税はいくら?マンションと一戸建ての違いは?
・「固定資産税 軽減措置」に関する記事はこちら
固定資産税の軽減措置の適用条件は?手続き方法も解説

近年問題視されている空き家問題ですが、2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって定義付けられた「特定空家」に該当する場合は、固定資産税等の住宅用地の特例措置が適用にならなくなる可能性があり、その場合は減免が受けられない分増税になります。

また自治体の指導に応じず改善をしない場合は、50万円以下の過料が課されることもあります。売却せず空き家としておく場合は注意が必要です。

出典:国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

特定空家等とは
(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態

引用:政府広報オンライン|年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは?

・「空き家問題」に関する記事はこちら
空き家問題とは?政府の対策や税金、空き家バンクや購入方法も解説
・「空き家対策特別措置法(空き家法)」に関する記事はこちら
「空き家対策特別措置法(空き家法)」改正が決定!「管理不全空き家」も固定資産税減額解除の対象に
・東急リバブルの「一戸建て売却・査定」はこちらから

売却時には税制優遇がある

一戸建てを売却する際は「3,000万円特別控除」や「買い替え特例」などの税制優遇が設けられています。条件を満たせば、譲渡所得税の負担を軽減できる可能性があります。

3,000万円特別控除とは、マイホームを売却した際に生じた利益(譲渡所得)から、最大3,000万円までを差し引いたうえで税金を計算できる制度です。

たとえば、売却益が2,500万円だった場合、3,000万円特別控除を適用することで譲渡所得がゼロとなり、譲渡所得税はかかりません。

3,000万円特別控除の主な適用要件は以下の通りです。

  • 売却する資産が日本国内にある居住用財産であり、さらに以下a〜eのいずれかに該当すること

a.現在、自分が居住している家屋 b.転居後の場合は、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却する家屋 c.上記a、bの住宅とあわせて売却する敷地や借地権 d.上記a、bの住宅を解体した後の敷地で、以下ⅰ、ⅱの条件を満たすもの ⅰ.敷地の売買契約を住宅解体後1年以内に締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること ⅱ.住宅を解体してから売買契約締結までの間、その土地を貸駐車場などとして利用していないこと e.災害により家屋が滅失した場合の敷地で、以下ⅰ、ⅱの期限内に売却するもの ⅰ.現在住んでいる家屋の敷地は、災害発生日から3年以内に売却すること ⅱ.以前住んでいた家屋の敷地は、住まなくなった日から3年以内に売却すること

  • 売却した年の前年および前々年に、3,000万円特別控除やマイホーム譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を利用していないこと
  • 売却した年と、その前年・前々年に、マイホームの買い換え特例や交換特例を利用していないこと
  • 売却した家屋や敷地について、収用等による特別控除など他の特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦など、特別な関係にある相手へ売却していないこと

出典:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

一方の買い替え特例とは、住んでいるマイホームを売却し、新たなマイホームへ住み替える場合に、売却時に発生した譲渡所得への課税を将来へ繰り延べできる制度です。

税金が免除されるわけではありませんが、売却時点での税負担を抑えられる可能性があります。

買い替え特例の主な適用要件は以下の通りです。

  • マイホームを売却した前年・当年・翌年までの3年以内に新たなマイホームへ買い替えていること
  • 現在住んでいる家、または住まなくなった日から3年が経過した年の12月31日までに売却すること
  • 売却先が親族など特別な関係でないこと
  • 居住期間が10年以上で、売却した年の1月1日時点の所有期間が10年超であること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 買い替える住宅が築25年以内、または一定の耐震基準を満たしていること
  • 買い替える住宅の床面積が50㎡以上、土地面積が500㎡以下であること

出典:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

なお、3,000万円特別控除と買い替え特例は併用できません。そのため、どちらが有利になるかを比較したうえで選択する必要があります。

税額や適用可否は状況によって変わるため、売却前に不動産会社や税理士などの専門家へ相談しておくと安心です。

・「居住用財産の買換え特例」に関する記事はこちら
居住用財産の買換え特例とは?併用できない特例と適用要件をわかりやすく解説

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一戸建てを売るデメリット

一戸建てを売るデメリットは以下の通りです。

住宅ローンを完済しなければならない

一戸建てを売却する際、住宅ローンの残債がある場合は引渡し時に完済しなければなりません。

一戸建ての売買代金で完済できれば問題ありませんが、もし売買代金を残債額が上回る場合は、自己資金を充当しなければなりません。

よって一戸建ての売却を検討する際は、まず住宅ローンの残債額を確認する必要があります。売却価格については不動産会社に査定依頼し、資金計画を立てましょう。

不動産資産を手放すことになる

一戸建てを売却するということは、資産を手放すことになります。売却価格について後悔しないためにも、売却するタイミングについては、慎重に検討してください。

譲渡益が発生する可能性がある

一戸建てを売却することによって、利益が発生する場合は譲渡所得税が発生します。

一戸建ての売却を検討する際は、査定とともに譲渡所得額 を試算しておく必要があるでしょう。

計算式は以下の通りです。一戸建ての所有期間に応じて譲渡所得税率をかけて算出します。

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下は短期譲渡所得となります。

収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額×所有期間に応じた税率=譲渡所得税

所得税復興特別所得税住民税合計
長期譲渡所得15%所得税に対して2.1%5%20.315%
短期譲渡所得30%所得税に対して2.1%9%39.63%

※2013年から2037年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて納付することになります。

とくに相続の場合は、購入時の価格がわからないことがあるので、注意が必要です。取得費(購入代金・購入経費)がわからない場合は、売却価格の5%相当額 とすることができますが、譲渡益が大きくなる可能性があります。

出典:国税庁|No.3252 取得費となるもの
国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの
国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁|No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
国税庁|No.3258 取得費が分からないとき

一戸建てを貸すメリット・デメリット

一戸建てを貸すメリット・デメリット

一戸建てを貸すメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

一戸建てを貸すメリット

一戸建てを貸すメリットは以下の通りです。

家賃収入を得られる

一戸建てを貸家として貸すことにより、家賃収入を得ることができます。

不動産会社に管理を依頼する場合は管理委託料などがかかりますが、それでも月々決まった金額を収益として手にすることができるのはメリットでしょう。

不動産資産として所有できる

一戸建てを貸家として貸し出したとしても、不動産資産として所有できます。先々まとまった資金が必要になったときには売却し、現金化することができます。

入居者が退去した後は自分が住むこともできますし、家族を住まわせることも可能です。また定期借家契約によって賃貸期間を定めておく方法もあります。

・「リロケーション」に関する記事はこちら
リロケーションとは?転勤時の空き家活用で検討したい賃貸方法をご紹介
・東急リバブルの「家を貸す・賃貸経営」はこちらから
・東急リバブルの「リロケーションプラン」はこちらから

一戸建てを貸すデメリット

一戸建てを貸すデメリットは以下の通りです。

借り手がつかない可能性がある

一戸建てを貸家にして、入居者を募集したとしても借り手が見つからないケースがあります。その場合、家賃収入はゼロです。状況に応じて家賃の値下げを検討する必要があるでしょう。

また、総務省「住宅・土地統計調査」によると、日本の空き家率は13.8%となっており、空き家問題は全国的な課題となっています。エリアによっては賃貸需要が弱く、一戸建てを貸し出しても長期間空室になるケースも少なくありません。

一戸建ての貸し出しを検討する場合は、事前に不動産会社に賃料査定を依頼し、需要の有無についても相談しておくことをおすすめします。

維持費用や手間がかかる

一戸建てを維持するためには費用と手間がかかります。

設備が故障した場合は修理費や交換費用が発生し、入居者が退去する際にはリフォーム費用やクリーニング費用なども必要となります。

また、賃貸管理を不動産会社へ依頼する場合は、家賃の3〜5%前後の管理手数料を支払うのが一般的です。

管理手数料には、主に以下のような業務が含まれます。

  • 家賃の集金代行
  • 入居者からの問い合わせ対応
  • 契約更新手続き
  • 退去時の立会点検

一方で、原状回復工事や室内設備の修理・交換、リフォーム費用などは、別途費用が発生するケースが多いです。

さらに、不動産会社へ入居者募集を依頼し、契約が成立した場合には仲介手数料も必要です。そのうえ一戸建てを所有している限り、固定資産税や都市計画税などの維持費も継続して発生することを理解しておく必要があるでしょう。

さらに、家賃収入について確定申告する必要がありますので、忘れずに申告するようにしましょう。

一戸建てを貸すときの注意点

一戸建てを貸すときの注意点

一戸建てを賃貸に出す際は、契約内容や住宅ローンの状況によっては将来的なトラブルにつながる可能性もあります。そのため、事前に以下の注意点を把握しておく必要があります。

  • 定期借家契約と普通借家契約の違い
  • 住宅ローン残債があるときは銀行への連絡が必須
  • 賃貸中に売却したくなった場合の対処法

なかでも「定期借家契約」と「普通借家契約」は、将来的に自宅へ戻る予定があるかどうかによって、向いている契約形態が変わります。また、住宅ローン残債がある場合は銀行への連絡も必要となるでしょう。賃貸中に売却したくなった場合の対応方法についても知っておくと安心です。

ここでは、一戸建てを貸す際に知っておきたい注意点について解説します。

定期借家契約と普通借家契約の違い

一戸建てを賃貸に出す際は「定期借家契約」と「普通借家契約」のどちらを選ぶかによって、将来の使い方や家賃設定に影響します。

定期借家契約は、契約期間が満了すると、原則契約が終了し、更新がありません。一方、普通借家契約は借主保護が強く、正当事由がなければ貸主都合で契約を終了できない点が大きな違いです。

たとえば、転勤中だけ一時的に貸したい場合は、契約期間満了で終了できる定期借家契約が向いているでしょう。もっとも、定期借家契約は借主側から見ると住み続けられないリスクがあるため、普通借家契約より家賃相場が10〜20%程度下がる傾向にあります。

それぞれの主な違いは以下の通りです。

項目定期借家契約普通借家契約
契約期間あらかじめ期間を定める一般的に2年契約が多い
更新の有無原則更新なし更新あり
契約終了期間満了で終了正当事由がない限り終了しにくい
借主保護普通借家より弱い借主保護が強い
向いているケース転勤など一時的な貸し出し長期保有・安定運用
家賃相場への影響相場より10〜20%下がる傾向相場通りになりやすい

契約方式によって、将来的な住み替えや売却のしやすさにも影響するため、自身のライフプランに合わせて選択することが重要です。

・「定期借家契約」に関する記事はこちら
定期借家契約とは何?普通借家契約との違いをわかりやすく解説

住宅ローン残債があるときは銀行への連絡が必須

住宅ローン返済中の一戸建てを無断で第三者へ貸し出すことは原則禁止されています。住宅ローンは「契約者本人が住むための住宅」を対象としているため、無断で第三者へ貸し出す行為は契約違反となる可能性があります。

そのため、住宅ローン返済中の自宅を継続して賃貸に出す場合は、住宅ローンを完済するか、アパートローンなどへの借り換えが必要になるのが一般的です。

一方で、転勤などやむを得ない事情による一時的な賃貸については、銀行が認めるケースもあります。ただし、その場合でも事前に金融機関へ相談し、承諾を得る必要があります。

賃貸中に売却したくなった場合の対処法

一戸建てを賃貸中であっても、売却すること自体は可能です。一般的には、入居者が住んでいる状態のまま売却する「オーナーチェンジ」という方法が利用されます。

オーナーチェンジ物件は、家賃収入がある状態で引き渡せるため、投資用不動産として購入を検討する買主へ売却されるケースが多いです。一方で、入居中のため内覧がしづらく、購入希望者も投資家に限定されやすいため、通常の居住用物件より売却価格が安くなる可能性があります。

また、入居者に退去してもらったうえで空き家として売却する方法や、現在の入居者へ購入を提案する選択肢もあります。

空き家として売却する場合は、一般のマイホーム購入層にも売却しやすくなるため、賃貸中より高く売れる可能性があります。

ただし、普通借家契約の場合は、正当な理由がなければ貸主都合で退去してもらうことは難しく、立退料の支払いが必要になるケースも少なくありません。売却まで長期間を要する可能性がある点にも注意が必要です。

一戸建てを売るか貸すか迷ったときの判断ポイント

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ここでは、一戸建てを売るか貸すか迷ったときに確認したい判断ポイントや、売却向き・賃貸向きの家の特徴について解説します。

判断のポイント5つ

一戸建てを売るか貸すか迷った場合は「住宅ローン」「立地」「築年数」などを総合的に判断することが大切です。

主な判断ポイントは以下の通りです。

判断ポイント内容
住宅ローンの返済状況ローン残債がある場合は銀行への相談が必要
立地や周辺条件売却・賃貸の需要があるエリアか確認する
築年数築浅は売却・賃貸ともに需要があるが、建物価値は年数とともに下がる
リフォーム費用リフォーム費用を負担できるか確認する
転勤などの事情将来的に再び住む予定があるか整理する

住宅ローンが残っている場合は、賃貸へ転用する際に金融機関への相談が必要となります。場合によっては、不動産投資ローンへの借り換えが必要になるケースもあるでしょう。

また、立地によって売却・賃貸の需要は大きく変わります。駅近や人気エリアは需要が高い傾向にありますが、エリアによっては空室リスクもあるため注意が必要です。

築年数も重要な判断材料です。一般的に建物価値は年数とともに下がるため、将来的な資産価値も踏まえて検討する必要があります。

さらに、賃貸に出す場合はリフォーム費用や修繕費が発生するケースもあります。どの程度の費用が必要になるか、事前に確認しておきましょう。転勤などで一時的に家を離れる場合は、一定期間後に再び戻れる契約形態を検討することが重要です。

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【自己診断】売却向き・賃貸向きの家の特徴 

一戸建てが「売却向き」か「賃貸向き」かは、築年数や立地、将来のライフプランによって変わります。以下のチェックリストを参考に、自身がどちらに向いているか確認してみましょう。

売却向き 賃貸向き
  • ・築年数が古い
  • ・周辺環境や賃貸需要が弱い
  • ・住む予定がない
  • ・新たなローン予定がある
  • ・修繕費をかけられない

  • ・築年数が浅い
  • ・駅近・人気エリア
  • ・将来戻りたい
  • ・転勤など一時的に離れる
  • ・修繕費を負担できる

たとえば、「築年数が古い」「今後住む予定がない」といった場合は、建物価値の低下や維持費負担を考慮すると売却向きと考えられます。

一方で、「駅が近い」場合は、賃貸需要が見込めるため、賃貸向きといえるでしょう。

実際には、エリアの需要や住宅ローンの状況によっても判断が変わるため、売却査定と賃料査定の両方を確認したうえで検討する必要があります。

一戸建てを売るか貸すかでよくある質問

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ここでは、一戸建てを「売る」「貸す」で迷った際によくある質問について回答していきます。

Q.ローンが残っている家を貸すことはできる?

住宅ローンは、原則として「契約者本人が住むこと」を前提としているため、無断で第三者へ貸し出すと契約違反となる可能性があります。

一方で、転勤などのやむを得ない事情がある場合は、一時的な賃貸を認めてもらえるケースもあるでしょう。ただし、金融機関によって対応が異なるため、一度借入先に相談する必要があります。

Q.空き家にしておくとどうなる?

空き家を長期間放置すると建物の老朽化が進むだけでなく、自治体から「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、固定資産税が増額する可能性があります。

そのため、空き家を所有している場合は、定期的に管理を行うか、もしくは今後住む予定がなければ早めに売却や賃貸を検討しましょう。

Q.賃貸中の家を売ることはできる?

賃貸中の一戸建てでも売却は可能です。一般的には、入居者が住んでいる状態のまま売却する「オーナーチェンジ」という方法が利用されます。

ほかにも、入居者が退去したあとに空き家として売却する方法や、現在の入居者へ購入を提案する方法もあります。どちらを選択するかで売却価格や売れやすさなどが変わるため、不動産会社へ相談しながら進めてください。

まとめ

一戸建てを「売る」か「貸す」かは、住宅ローンの状況や築年数、立地、将来のライフプランによって判断が変わります。どちらか一方が正解というわけではなく、自身の状況に合わせて選択することが大切です。

また、賃貸には家賃収入を得られるメリットがある一方で、空室リスクや修繕費、家賃下落などの負担もあります。一方、売却であればまとまった資金を確保しやすく、維持管理の負担を減らすことが可能です。

まずは不動産会社へ売却査定と賃料査定の両方を依頼し、比較しながら進めていきましょう。自身に合った選択をすることで、将来の住まいや資産形成につながります。

この記事のポイント

一戸建てを売るか貸すか迷った場合、収支面で比較するとどうなる?

売却価格7,278万円の一戸建てを売却した場合、仲介手数料などを差し引いた売却手取り額の目安は約7,028万円です。

一方、同じ物件を月額20万円で賃貸した場合、年間純収益は約192万円となり、売却手取り額に到達するまでには約37年かかる計算になります。

詳しくは「一戸建ては売る?貸す?収支シミュレーションで比較」をご覧ください。

一戸建てを売るか貸すか迷ったら?

一戸建てを売るか貸すか迷った場合は「住宅ローン」「立地」「築年数」などを総合的に判断することが大切です。

主な判断ポイントは以下の通りです。

判断ポイント内容
住宅ローンの返済状況ローン残債がある場合は銀行への相談が必要
立地や周辺条件売却・賃貸の需要があるエリアか確認する
築年数築浅は売却・賃貸ともに需要があるが、建物価値は年数とともに下がる
リフォーム費用リフォーム費用を負担できるか確認する
転勤などの事情将来的に再び住む予定があるか整理する

詳しくは「一戸建てを売るか貸すか迷ったときの判断ポイント」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

辻本 剛士

賃貸経営では家賃収入に目が向きがちですが、実際には修繕費や空室リスク、管理費なども発生します。想定以上に費用がかかるケースもあるため、余裕を持った収支シミュレーションを考えておくことが大切です。また、エリアによって賃貸需要や適正家賃も異なるため、売却だけでなく賃貸管理にも強い不動産会社へ相談しながら進めていきましょう。

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