中古マンションの成約件数2ヵ月連続減少も、中古戸建ては2桁増
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月10日、2024年8月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに成約価格はほぼ横ばいだったものの、中古マンションの成約件数は7月に14カ月ぶりに前年同月を下回って以降2ヵ月連続の減少。一方、中古戸建ての成約件数は前年同月比+13.6%で、3ヵ月連続の増加となりました。
首都圏中古マンション
項目 | 2024年8月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 74.77万円/㎡ | +0.9% |
件数 | 2,299件 | -2.9% |
価格 | 4,651万円 | -1.1% |
専有面積 | 62.21㎡ | -2.0% |
築年数 | 25.84年 | +1.65年 |
在庫件数 | 45,192件 | -1.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年8月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+0.9%の「74.77万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は52カ月連続の上昇ですが、上昇幅はこの1年で最も小さくなっています。成約件数は同-2.9%と、2ヵ月連続で減少しました。
エリア | 2024年8月成約㎡単価前年同月比 | 2024年8月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +5.5% | -9.6% |
東京都多摩 | -0.3% | +7.7% |
横浜・川崎市 | +6.5% | +1.8% |
上記除く 神奈川県 |
-1.5% | -5.7% |
埼玉県 | +1.4% | ±0.0% |
千葉県 | -0.7% | +9.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
前年同月比成約平米単価は2024年に入ってからすべてのエリアでほぼ一貫して上昇していましたが、2024年8月は東京都多摩、横浜市・川崎市を除く神奈川県、千葉県で下落しました。成約件数は、東京都区部で同-9.6%と大幅減。東京都区部の減少は、2ヵ月連続です。
首都圏中古戸建
項目 | 2024年8月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,784万円 | +1.6% |
件数 | 951件 | +13.6% |
土地面積 | 148.75㎡ | +7.5% |
建物面積 | 103.87㎡ | +1.2% |
築年数 | 23.32年 | +0.7年 |
在庫件数 | 22,166件 | +21.3% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年8月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比+1.6%の「3,784万円」でした。大きく上昇しているわけではありませんが、7ヵ月連続の上昇です。成約件数は同+13.6%と大幅増で、こちらも4ヵ月連続の増加となっています。一方、新規登録数も増加傾向にあることから、在庫件数は減る兆しは見られません。
エリア | 2024年8月成約㎡単価前年同月比 | 2024年8月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +8.2% | +6.6% |
東京都多摩 | -5.6% | +5.3% |
横浜・川崎市 | +1.4% | +8.5% |
上記除く 神奈川県 |
+25.7% | +32.6% |
埼玉県 | -6.2% | +5.0% |
千葉県 | -3.1% | +28.2% |
(参考:東日本不動産流通機構)
前年同月比成約件数は、すべてのエリアで増加しました。横浜・川崎市を除く神奈川県、千葉県は+30%前後と著しく増加しています。横浜・川崎市を除く神奈川県は、成約価格も+25.7%と大幅に上昇しました。一方、2024年に入ってから継続して価格が上昇しているのは、東京都区部のみです。
“注目”の不動産ニュース
「住宅市場動向調査」結果とりまとめ
住宅金融支援機構は、2024年10月1日申し込み受け付け分から子育て配慮賃貸住宅を対象とした金利引き下げ制度を創設すると発表しました。
金利引き下げは当初15年・最大0.4%
対象となる住宅要件 | 金利引き下げ期間 | 金利引き下げ幅 | |
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【NEW】子育て配慮賃貸住宅 | 当初15年間 | 年▲0.2% | 両方を満たす場合 年▲0.4% |
長期優良住宅 or ZEH基準に適合する賃貸住宅 |
年▲0.2% |
同機構は2022年10月、長期優良住宅または同機構が定めるZEH基準を満たす賃貸住宅を対象に、当初15年間、年0.2%の引き下げを開始しました。2024年10月からは、新たに子育て配慮賃貸住宅の基準を満たす賃貸住宅を対象に、当初15年間、年0.2%の金利引き下げとなります。両方の基準を満たす場合は、当初15年間の金利が年0.4%引き下げられます。
子育て配慮賃貸住宅とは?
同制度の対象となる子育て配慮賃貸住宅とは、以下の「安心タイプ」または「遮音タイプ」の技術基準を満たしたものとなります。
タイプ分類 | 配慮事項 | 技術基準の概要(注) |
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子育て配慮賃貸住宅 【安心タイプ】 |
安全性 | <床> 専有部分の床は段差のない構造とする。 <窓・サッシ> 転落の防止に効果的な手すりを設ける。 <玄関・トイレ・浴室> 手すりは転倒の防止に効果的な構造とする。 <バルコニー> 手すりは転落の防止に効果的な構造とする。 ◆上記基準の全てを満たす必要があります。 |
防犯性 | <ドア・窓> 防犯性の高い構造(防犯ガラス、防犯錠など)とする。 ◆ドアと窓の両方の基準を満たす必要があります。 |
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子育て配慮賃貸住宅 【遮音タイプ】 |
遮音性 | <床・壁> 遮音性能を高める。 ◆床と壁の両方の基準を満たす必要があります。 |
(注)融資対象住戸のうち5戸以上(5戸未満の場合は全ての融資対象住戸)が基準を満たす必要があります。
8月の子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設の融資の金利は、35年固定金利で年1.76%(契約から10年以内に繰上返済した場合に違約金が発生する代わりに金利を低く設定する制度を利用した場合の金利)。上記の技術基準を満たしている住宅は、当初15年間の金利が1.54%に引き下げられます。加えて、長期優良住宅またはZEH基準に適合する賃貸住宅の基準も満たしている場合は、さらに当初15年間の金利が0.2%引き下がります。