中古マンションの成約件数が14カ月ぶりに減少
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月19日、2024年7月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンション、中古戸建ともに、前年同月と比べて成約価格は上昇しましたが、中古マンションの成約件数は14カ月ぶりに前年同月を下回りました。東京都区部の中古マンション成約件数も同様に、14カ月ぶりに前年同月を下回っています。
首都圏中古マンション
項目 | 2024年7月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
平米単価 | 78.97万円/㎡ | +9.8% |
件数 | 3,193件 | -1.3% |
価格 | 5,049万円 | +10.7% |
専有面積 | 63.94㎡ | +0.8% |
築年数 | 24.54年 | +0.63年 |
在庫件数 | 44,509件 | -3.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年7月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比+9.8%の「78.97万円/㎡」でした。成約平米単価の上昇は51カ月連続と長期にわたって上昇傾向が続いていますが、成約件数は2023年5月以来14ヶ月ぶりに前年同月を下回りました。一方、新規登録件数も減少傾向にあることから、在庫件数は3カ月連続で前年同月を下回っています。
エリア | 2024年7月成約㎡単価前年同月比 | 2024年7月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +14.9% | -3.2% |
東京都多摩 | +9.0% | +13.8% |
横浜・川崎市 | +1.1% | -10.0% |
上記除く 神奈川県 |
+9.0% | -10.0% |
埼玉県 | +0.1% | +12.2% |
千葉県 | +7.2% | +0.3% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年7月は、一都三県のすべてのエリアで成約平米単価(前年同月比)が上昇しました。成約件数は、東京都多摩、埼玉県、千葉県で増加し、その他のエリアは減少しています。東京都区部は成約平米単価が同+14.9%と大幅に上昇した一方で、成約件数は同-3.2%と減少しました。都区部の成約件数減少も、一都三県同様14カ月ぶりです。
首都圏中古戸建
項目 | 2024年7月成約物件の平均 | 対前年同月 |
---|---|---|
価格 | 3,900万円 | +1.4% |
件数 | 1,246件 | +7.9% |
土地面積 | 140.34㎡ | -0.5% |
建物面積 | 103.72㎡ | +0.2% |
築年数 | 22.61年 | +0.65年 |
在庫件数 | 21,783件 | +21.6% |
(参考:東日本不動産流通機構)
2024年7月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比+1.4%の「3,900万円」でした。成約件数は、同+7.9%。6カ月連続で増加しています。一方、中古マンションと異なり新規登録数が大幅に増加していることから、在庫件数は同+21.6%と増加傾向にあり、在庫価格は14カ月連続で前年同月を下回っています。
エリア | 2024年7月成約㎡単価前年同月比 | 2024年7月成約件数前年同月比 |
---|---|---|
東京都区部 | +2.7% | +8.4% |
東京都多摩 | -3.9% | +14.1% |
横浜・川崎市 | +0.8% | -2.7% |
上記除く 神奈川県 |
-2.3% | +13.3% |
埼玉県 | -3.5% | +13.0% |
千葉県 | +15.4% | +3.7% |
(参考:東日本不動産流通機構)
成約件数は、横浜・川崎市を除くすべてのエリアで増加しています。価格が上昇したのは、東京都区部、横浜・川崎市、千葉県。東京都区部の成約件数および成約価格の伸長は、6カ月連続です。その他のエリアは月による変動が大きく、成約件数、成約価格が伸びているとはいえない状況です。
“注目”の不動産ニュース
国交省「住宅市場動向調査」結果公表
国土交通省は7月30日、「令和5年度住宅市場動向調査」の結果をとりまとめて公表しました。同調査は、令和4年度中に住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯を対象としたもので、今年度から新たに「希望順位が高かった住宅の種類」「住まいの選択に際して妥協したもの」という項目が追加されました。
希望通りの種類の住宅を取得した人が大半を占める
(出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査〜調査結果の概要(抜粋)〜」)
「希望順位が高かった住宅の種類」という問いについては、ほとんどの方が実際に取得した住宅の種類を挙げました。しかし、分譲戸建てを取得した世帯については、3割が注文住宅を希望していたと回答しています。既存住宅を取得した世帯については、6〜7割がかねてから既存住宅を希望していたようです。
住まいの選択で妥協したものは「価格・家賃」
(出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査〜調査結果の概要(抜粋)〜」)
「住まいの選択で妥協したもの」という問いに対しては、すべての住宅種類で「価格・家賃が予定より高くなった」という回答がトップになりました。近年、新築住宅・既存住宅に加え、家賃も上昇傾向にあることもあって、価格面で妥協せざるを得ない方が多いようです。ただ、注文住宅の回答割合は7割弱、分譲住宅が4割強という中、既存住宅については3割前後であることから、比較的、既存住宅は価格に納得して購入している方が多いものと考えられます。
子育て世帯が占める割合は5割前後
(出典:国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査〜調査結果の概要(抜粋)〜」)
同調査では、各住宅種類の取得世帯のうち子育て世帯が占める割合についても調査されました。子育て世帯の割合が最も高かったのは、66.7%の分譲戸建住宅。次ぐ注文住宅、既存戸建住宅も5割前後を占めていることから、子育て世帯は一戸建てを取得する世帯が多いことがわかります。
近年、住宅を取得する子育て世帯に対する優遇制度が充実しています。2024年からは、住宅を取得する多くの人が利用する住宅ローン減税における優遇もスタートしました。子育てエコホーム支援事業など、子育て世帯の住宅取得やリフォームを後押しする補助金制度も充実しています。