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高気密・高断熱の家に住む際のポイントは?エアコンの使い方も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 高気密・高断熱の家とは、冷暖房設備があることを前提としている家
  • 高断熱高気密住宅に住むには業者選びを慎重に行うことがポイント

夏場に高温多湿となる日本では、風通しの良い家を建てるという考え方が日本家屋の主流でした。

しかしながら、近年のように冷暖房設備が当然のように設置されている家では、空調効率を上げるための断熱性が重要になってきています。また、断熱性が上がることで気密性も上がってしまうため、結露やカビの対策も必要となっています。

高気密・高断熱の家は、従来の日本家屋のように熱や湿気を逃がすことも目的としていた家とは異なる考え方の建物です。

高気密・高断熱の家にはどのような特徴があるのでしょうか。
この記事では「高気密・高断熱の家」について解説します。

高気密・高断熱の家での暮らしとは?

高気密・高断熱の家での暮らしとは、冷暖房設備があることを前提としている家の暮らしです。

冷暖房設備のない時代、熱や湿気を逃す工夫を凝らして建てられた伝統的な日本家屋とは真逆の考えの家になります。

現代社会では冷暖房設備があることがほぼ当然であり、空調効率を上げることで快適な生活と節電の2つを同時に実現することができます。

現在、日本では2050年にCO2排出量をゼロとするカーボンニュートラルの目標を掲げています。
住宅・建築分野はエネルギー需要の3割も占めているといわれており、国内の住宅を省エネ化することが課題です。

高断熱の家にすることで、空調効率が上がり、電気使用量が削減されます。
主力の発電方法である火力発電は発電時にCO2を生み出していますので、各家庭の使用電力が減ればCO2削減に貢献できるのです。

高断熱の家の暮らしは、電気代の節約につながるだけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献できることになります。

また、高断熱と高気密は別の話です。

断熱とは、室内の「温度」を外に逃がしにくくすることを指します。
それに対して高気密は室内の「空気」を外に逃がさないことです。

空調効率を上げるには家の断熱性が求められます。
しかし、断熱性を上げるには気密性も保たなければいけないことから、同時に家の気密性も上がってしまいます。

家の気密性が上がってしまうと、今度はシックハウスや結露、カビといったデメリットが生じてしまう点が問題です。

高断熱の家というと快適な暮らしができるイメージがありますが、一方で高気密の家というとネガティブな暮らしに捉われることはあります。

そのため、高気密・高断熱の家での暮らしとは、高断熱のメリットを享受しながら、高気密のデメリットも克服していくという暮らしでもあるのです。

出典:脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)について|国土交通省

断熱材でよく使われる主な素材

断熱材とは、外部との熱を遮断するために天井や壁、床に入れる材料のことです。
断熱材には、「自然系」「プラスチック系」「鉱物系」の3種類があります。

自然系の断熱材の具体例は、古新聞から再生したセルロースファイバーや、木質繊維をボードにした軽量木質ボード等があります。

自然系は環境に優しい点がメリットですが、コストが高くなる点がデメリットです。

プラスチック系の断熱材の具体例は、ポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等があります。
プラスチック系は断熱性能が高い点がメリットですが、石油化学製品であるため環境面で問題がある点がデメリットです。

鉱物系の断熱材の具体例は、グラスウールやロックウール、発泡ガラス等のガラス系材料があります。

鉱物系は、比較的安価に入手できる点がメリットですが、湿気に弱い点がデメリットです。湿気等によって壁内に結露が生じると、熱伝導率が増し、断熱効果が下がります。

一般的な断熱工法

建物の断熱工法には、内断熱工法と外断熱工法の2種類があります。

内断熱工法とは、建物の内部空間を断熱材で独立させてしまう工法です。
施工性も良く、工事費も安くなる点がメリットです。
暖房時の室内温度の立ち上がりも良く、部分的に行うリフォーム等にも適しています。

一方で、断熱と気密の施工が不完全になりやすいため、結露が生じやすい点がデメリットです。
ベランダ部分などで断熱材が途切れ、外部と内部が熱を伝えやすい材料で繋がるヒートブリッジ現象も生じやすくなります。

外断熱工法とは、建物全体を断熱材で外から覆ってしまう工法のことです。
内断熱工法に比べて断熱効果が大きい点がメリットとなります。
一方で下地工事などの施工の手間もかかり、内断熱工法よりも工事費が高くなる点がデメリットです。

高気密・高断熱の家に住むメリット

高気密・高断熱の家に住むメリットについて解説します。

24時間年中新鮮な空気で快適に暮らせる

高気密住宅では、結露やカビの発生を防ぐために換気を十分に行っています。
そのため、副次的に新鮮な空気で快適に暮らせるということもできます。

ただし、24時間換気システムは法律で義務付けられているため、特に高気密住宅でなくても24時間年中新鮮な空気で過ごすことは可能です。

ヒートショックのような健康リスク軽減

部屋同士の温度差がない家であれば、ヒートショックのような健康リスクを軽減できる可能性はあります。

ヒートショックとは、急激な血圧変動によって心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしかねない事象のことです。
寒い脱衣所があると一旦血圧が上がり、温かいお風呂で血管が広がって急激に血圧が下がると、ヒートショックが生じる可能性があります。

なお高断熱の家であっても、脱衣所が寒いケースではヒートショックが起こる可能性はあります。

防音効果が高く静かに暮らせる

気密性の高い住宅は隙間がない分、防音効果は高いです。
静かに暮らせるというメリットがあります。

結露が起こりにくい

高断熱の家は、外部の熱を断熱しており、壁やガラス窓で内外の温度差を生じにくいため、結露が生じにくくなっています。

ただし、高気密によって結露が生じやすくなっていることから、結露を生じさせないためには換気が必要です。

洗濯物が乾きやすい

高断熱住宅は、冬場は室温を高く保てるため、室内干しの洗濯物が乾きやすいです。
室内干しは、冬場の乾燥対策にもなります。

冷暖房費が節約しやすい

高断熱の家の最大のメリットは、空調効率が上がり、冷暖房費が節約できるという点です。

外気の影響を受けにくいため、必要以上に設定温度を上下させることなく、一年中快適に過ごせるようになります。

CO2削減に向けた国の施策にも合致しており、補助金や税制優遇がある点もメリットです。

高気密・高断熱の家に住むデメリット

高気密・高断熱の家に住むデメリットについて解説します。

乾燥しすぎることがある

高断熱住宅は、冬場は室温が高く保たれることから、乾燥しやすいです。
加湿器を付けたり、洗濯物を室内干しするといった対策が必要となります。

内部で結露が発生することがある

壁の内部に断熱材を入れている場合、施工不良によって気密性が下がり、壁内に水分が入ってしまうと内部で結露が発生する恐れがあります。

内部結露が生じると、熱伝導率が増し、断熱効果も下がります。

暖房器具に制限がかかることがある

高気密住宅は、気密性が高いため、例えばガスストーブのような定期的な換気を必要とする暖房器具の使用に適していません。

不完全燃焼により一酸化炭素を発生させるような暖房器具の利用には、高気密住宅は適さないということです。

高額な建築費用がかかる

高断熱住宅は、建築費が割高となってしまう点がデメリットです。
高断熱住宅を建てるには、断熱材だけでなく、窓も複層ガラスにする等の対策が必要となります。

複層ガラス(間に空気層が入っている2枚のガラスのこと)は、一般的なガラスよりも金額が高いです。ガラスが2枚の複層ガラスは「ペアガラス」、ガラスが3枚の複層ガラスは「トリプルガラス」と呼ばれています。

ただし、住宅の高断熱化によるCO2削減は国の課題でもあるため、現在、国では省エネ住宅に対してさまざまな補助金を導入しています。

高断熱住宅を建てるには、補助金制度も上手に活用することをおすすめします。

高断熱高気密住宅に住む時のポイント

高断熱高気密住宅に住む時のポイントについて解説します。

業者選びを慎重に行う

高断熱高気密住宅に住むには、業者選びを慎重に行うことがポイントです。
まず、高断熱住宅を積極的に提供している施工会社であるかどうかを確認する必要があります。

そもそも高温多湿の日本では、「風通しの良い家こそ住みやすい」という考え方が広く業界に浸透しています。
そのため、日本の伝統的な家づくりを得意としている工務店は多いです。

自然素材をふんだんに取り入れた家づくりを得意としている工務店は、比較的、「風が通る心地よい家」を目指している傾向があります。

日本の風土に合わせた家づくりを追及している工務店に高断熱高気密の家を依頼しても、消極的な対応をされてしまいます。

一方で、ハウスメーカーは、工業化工法によって気密性の高い住宅を建てるため、断熱性に関心の高い会社も多いです。

工業化工法とは、工場で多くの建築部材を作り、現場で組み立てる工法です。
外壁などをパネルで作るため施工精度が高く、自ずと気密性も高くなります。

高気密と高断熱は表裏一体であることから、工業化工法を行っているハウスメーカーは全般的に高断熱の住宅作りを熱心に行っています。

また、気密性の高い住宅を建てているメーカーでは、気密測定というのも行っています。
気密測定とは、家の気密性を機械によって検査する測定のことです。
気密測定を行なっているメーカーであれば、気密性の高い住宅作りに熱心であるといえます。

建築時の補助金や優遇制度を確認

高断熱高気密という分類ではありませんが、ZEH住宅や低炭素認定住宅、長期優良住宅等の一定の省エネ性能を有する住宅には補助金制度が存在します。

補助金制度も、ZEH支援事業や地域型住宅グリーン事業などさまざまなものが存在します。

また、一定の省エネ性能を有する住宅には、住宅ローン控除において控除できる金額が割り増しされるという優遇措置があります。

固定資産税に関しては、長期優良住宅であれば新築時の減額年数が増え、一定の要件を満たす省エネ改修工事を行うと翌年度分が一定額減額されるという措置もあります。

高断熱高気密は、何らかの補助金や税制優遇制度に当てはまる可能性があるため、どのような制度が使えるかハウスメーカーに相談することをおすすめします。

高気密・高断熱の家にまつわるQ&A

この章では、高気密・高断熱の家に関するよくある質問について回答します。

高気密・高断熱の家にリフォームしたい場合の注意点は?

高気密・高断熱のリフォームを行うには、まず外断熱工法か内断熱工法かを選ぶことが注意点となります。

断熱効果は外断熱の方が高いですが、コストも高いです。

また、現実的に外断熱を選択できるかどうかは、物件の種類によっても異なります。

戸建て住宅であれば外断熱と内断熱の両方を選択できますが、マンションの場合は共用部となる外側を工事できないことから内断熱となることが一般的です。

内断熱では、ベランダ部分等で断熱材が途切れることで外部と内部の熱を伝えやすくなり、熱橋(ヒートブリッジ)が生じやすくなります。

内断熱は、断熱と気密の施工が不完全になりやすいため、結露が生じやすい点が注意点です。

そのため、内断熱でリフォームをする場合は、リフォーム後に結露を発生しにくくなるような生活様式も合わせて検討しておくことが望ましいといえます。

結露を発生しにくくする生活様式とは、例えば「水蒸気の発生を極力抑える」、「部屋間の温度差を少なくする」、「換気をよく行う」等があります。

水蒸気の発生を極力抑えるには、調理中は換気扇を回す、入浴後は風呂の蓋を閉め換気扇を長めに動かす等の対策が考えられます。

部屋間の温度差を少なくするには、住宅全体の暖房に努めることが一つの対策です。
換気に関しては、カーテンを閉め切りにせず、定期的に窓を開け閉めすることが適切となります。窓とカーテンの間は水蒸気が溜まりやすいため、カーテンは閉めっ放しにしないことがコツです。

断熱リフォームをしたからといって、結露が完璧になくなるわけではありません。
リフォームと同時に生活様式も合わせて変えていくことが、断熱リフォームの効果を上げるポイントになります。

高気密・高断熱の家のエアコンの使い方は?2台は必要?

まずエアコンの台数の問題は、高気密・高断熱の住宅か否かに関わらず、難しい問題です。

エアコンは、設置する場所によって効き目に大きな差が出てきます。
エアコンのすぐ横に空気の流れを邪魔する壁があると、効きが悪くなり、別の場所にもう1台必要となることもよくあります。

また、必要と思われていたエアコンも、実際に住んでみると全く使用しないこともありえます。
部屋間の扉を閉めることで、1台のエアコンで効率的に部屋を冷やせるようになり、もう1台を使わなくなるということも多いです。

そのため、エアコンを設置する場合には、まずは図面上で設置場所を十分に検討することが望ましいといえます。

高気密・高断熱の住宅はエアコンの効率が高いため、設置する場所が良ければ、1台でも十分に足りる可能性はあります。

2台目を付けるべきかどうか迷っている人は、実際に住んでみてから判断することをおすすめします。

図面だけでは空気の流れが読み切れない部分があるため、実際に住んでみて1台では不十分と感じたら2台目を付けた方が無駄は生じません。

高気密・高断熱の家を建てる場合、ハウスメーカーはどう選ぶ?

高気密・高断熱の住宅は、ハウスメーカーによっても取り組み姿勢が異なります。
必ずしも大手ハウスメーカーが進んでいるとは限らず、中堅のハウスメーカーの方が先進的であることも多いです。

中堅のハウスメーカーの中には、CO2削減を目的とした環境配慮型の住宅をビジネスチャンスと捉え黎明期から熱心に取り組んできた会社も存在します。

高気密・高断熱の住宅で先行してきた中堅のハウスメーカーは、断熱技術も高く、ノウハウも蓄積されていることから、実際に住みやすい家となっていることも多いです。

そのため、高気密・高断熱の住宅を建てる場合は、ハウスメーカーの規模に関わらず、環境配慮型を主力商品としているかどうかを確認することが選ぶポイントとなります。

また、環境配慮型の住宅は、補助金を利用できるケースもあります。

補助金の種類にもよりますが、環境配慮型の住宅の補助金は、補助金制度に登録されている施工会社でないと利用できないことが多いです。
補助金の申請は、一般的に登録されている施工会社によって行われる仕組みとなっています。

高気密・高断熱の家の換気システムとはどんなもの?

高気密・高断熱の住宅か否かに関わらず、2003年の建築基準法の改正により、2003年7月以降の住宅には24時間換気システムが設置されるようになりました。

24時間換気システムは、1時間に部屋の空気が半分入れ替わるという自動の換気システムのことです。

換気は、換気量が増えれば室内の空気環境は良くなりますが、その一方で換気量を増やし過ぎると冷暖房効率が下がってしまうという欠点があります。

冷暖房効率を下げないようにするには、換気量を増やし過ぎないというバランスを取ることも重要であり、その調和のとれた数値が1時間当たり0.5回の換気とされています。

24時間換気システムも1時間当たり0.5回の換気となっており、2時間で部屋の空気が丸ごと入れ替えられる換気設備ということです。

なお、住宅には24時間換気システムとは別に、局所換気の設備も設けられています。
局所換気とは、いわゆるトイレやキッチン、台所に備え付けられた換気扇のことです。

局所換気は一時的に汚染物質の濃度が高くなる場所に設けられている換気システムのことであり、適時スイッチを入れて換気を行うシステムになります。

高気密・高断熱の家で石油ストーブは使える?

高気密・高断熱の住宅でも、石油ストーブは使えます。ただし、使用する場合は、こまめな換気が必要です。

石油ストーブは高気密ではない住宅でも、一酸化炭素中毒の恐れがあることから1時間に1~2回程度の換気が必要となっています。

高気密では、室内の空気が外部に逃げにくいことから、より高頻度の換気を行うことが望ましいといえます。

この記事のポイント

高気密・高断熱の家に住むメリットは?

高気密・高断熱の家には、24時間年中新鮮な空気で快適に暮らせる、ヒートショックのような健康リスク軽減、防音効果が高く静かに暮らせるなどのメリットがあります。

詳しくは「高気密・高断熱の家に住むメリット」をご覧ください。

高気密・高断熱の家のエアコンの使い方は?2台は必要?

まずエアコンの台数の問題は、高気密・高断熱の住宅か否かに関わらず、難しい問題です。

エアコンは、設置する場所によって効き目に大きな差が出てきます。エアコンのすぐ横に空気の流れを邪魔する壁があると、効きが悪くなり、別の場所にもう1台必要となることもよくあります。

そのため、エアコンを設置する場合には、まずは図面上で設置場所を十分に検討することが望ましいといえます。

詳しくは「高気密・高断熱の家のエアコンの使い方は?2台は必要?」をご覧ください。

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