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土地売却後に確定申告しないとどうなる?ペナルティや必要なケースを解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 土地売却で確定申告する必要があるのは、譲渡所得が出たときと控除特例を適用するとき
  • 譲渡所得があるのに確定申告しないと、加算税や延滞税などが課される

土地を売却したら、必ず確定申告しなければならないわけではありません。しかし、必要にもかかわらず確定申告しないと、加算税などが課されるため注意が必要です。また、確定申告を怠った場合だけでなく、過少申告してしまった場合や申告に遅れた場合にもペナルティがあります。

本記事では、土地を売却で確定申告が必要なケース・不要なケースの見極め方とともに、確定申告しなかった場合のペナルティの詳細を解説します。

土地売却で確定申告が必要なケース・不要なケース

確定申告が必要なのは、土地売却に際して「譲渡所得」が出た場合に限られます。損失が出た場合、申告の義務はありません。後ほど詳しく解説しますが、控除特例を使いたい場合は、損失が出た取引も確定申告が必要です。

土地売却で確定申告が必要なケース

土地の売却における譲渡所得とは、簡単にいえば売却益です。この利益に対し、所得税と住民税が課税されます。

譲渡所得の算出方法

譲渡所得は、次の計算式で算出します。

譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用

収入金額とは、売却金額のこと。取得費は土地の購入金額と購入にかかった費用、譲渡費用は売却にかかった費用です。

土地売却で確定申告が不要なケース

確定申告が不要なのは、譲渡所得が出なかった場合です。譲渡所得がマイナスになることを「譲渡損失」といいます。先ほどの計算式で算出した譲渡所得の値が、ゼロもしくはマイナスになれば確定申告の義務はありません。

ただし、譲渡損失が出た場合は損失と給与などの所得の損益通算および繰越控除ができる特例が適用になる場合があります。控除特例を使うことは義務ではありませんが、適用させるには確定申告が必要です。

・「土地売却 控除特例」に関する記事はこちら
土地売却時に受けられる9つの税金控除特例

譲渡所得があるのに確定申告しないとどうなる?

(出典:財務省

譲渡所得が出たのにもかかわらず確定申告をしないと、次のようなペナルティが課されます。

無申告の場合

確定申告による納税は、土地の売却で譲渡所得を得た人の義務です。申告しなかった場合には、無申告加算税が課されます。

無申告加算税の税率は、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%。ただし、次のような場合は加算税が軽減されます。

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合:不適用
  • 税務署の調査を受ける前に自主的に遅れて申告した場合:一律5%

加えて、納付の日までの延滞税を納付する必要があります。

延滞した場合

法定納期限までに税金を納付しなかった場合の延滞税率は、次の割合と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。

  • 納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:年7.3%
  • 上記の翌日以後:年14.6%

なお、令和5年は「延滞税特例基準割合+1%」の割合のほうが低いため、延滞2ヶ月まではの延滞税は2.4%、それ以降は8.7%です。各年の延滞税特例基準割合は、前年11月末までに財務大臣が告示します。

過少申告の場合

期限内に申告しても、税務署の調査を受けた後で修正申告したり更生を受けたりすると、新たに納める税金のほか過少申告加算税がかかります。

過小申告加算税の税率は、新たに納付すべき税額に対して10%、新たに納める税金が当初の申告税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている部分は15%です。ただし、次のような場合は加算税が軽減されます。

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合:不適用
  • 税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合:一律5%

仮装・隠蔽があった場合

確定申告で虚偽や隠蔽が見られた場合は、重加算税が課されます。税率は、申告済みの場合、追加で納付すべき本税のほかに35%、無申告の場合は40%です。なお、過去5年内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、10%加算されます。

確定申告しないと控除特例も適用されない

譲渡所得を控除して節税につなげられる特例は、複数あります。主なものは以下の通りです。ただし、控除特例は自動的に適用となるわけではありません。控除特例を適用する場合にも、確定申告が求められます。

状況特例
住んでいた土地を売却するときに利用できる税金控除特例 居住用財産の3000万円特別控除
長期所有における軽減税率の特例
土地売却で譲渡損失が出たときに利用できる税金控除特例 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
相続した実家を売却するときに利用できる税金控除特例 相続空き家の3000万円特別控除
取得費加算の特例

・「土地売却 控除特例」に関する記事はこちら
土地売却時に受けられる9つの税金控除特例

自分でもできる!土地売却後の確定申告方法

土地を売却した際の確定申告は、基本的に、売却した年の翌年の2月16日から3月15日までに行います。申告先は、申告時に住民票のある住所を管轄する税務署です。実際に税務署に行かずとも、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からも作成・提出ができます。

確定申告に際して作成・提出する書類は、次の通りです。

  • 確定申告書B
  • 申告書第三票(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
  • 土地を売却したときの売買契約書
  • 土地を購入したときの売買契約書
  • 譲渡所得や取得費を証明するための領収書

別途、控除特例を適用する場合は、それぞれで必要な書類を添付する必要があります。申告書類の作り方や必要書類がわからない場合は、税務署に確認しましょう。

・「不動産売却 確定申告」に関する記事はこちら
不動産売却時に確定申告が必要なケースと確定申告の方法について解説
・「確定申告 必要書類」に関する記事はこちら
不動産売却時とその後の確定申告の必要書類一覧!取得方法も紹介

土地売却で譲渡所得が出たら必ず確定申告を

土地売却で譲渡所得が出たら、確定申告が必須です。また、義務ではありませんが、控除特例を適用する場合も確定申告する必要があります。

譲渡所得が出たにもかかわらず確定申告しない場合には、加算税や延滞税、重課税などが課されます。意図的ではなかったとしても、ペナルティが課される可能性があるので十分ご注意ください。

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この記事のポイント

土地売却で確定申告が必要なケースは?

譲渡所得が出たときと控除特例を適用するときです。

詳しくは「土地売却で確定申告が必要なケース・不要なケース」をご覧ください。

譲渡所得が出たのに確定申告しない場合はどうなる?

加算税や延滞税などが課されます。

詳しくは「譲渡所得があるのに確定申告しないとどうなる?」をご覧ください。

確定申告は自分でできる?

国税庁サイトからも申告書類の作成・提出が可能です。申告方法もわかりやすく記載されています。

詳しくは「自分でもできる!土地売却後の確定申告方法」をご覧ください。

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