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固定資産評価証明書とは?使う場面や取得方法をわかりやすく解説

固定資産評価証明書とは、固定資産の評価額を証明する公的な書類を指します。不動産の売買や相続税、贈与税の申告などの手続きで必要となる書類です。

記載内容によっては、固定資産課税明細書でも代用できます。

本記事では、固定資産評価証明書が必要となる場面や取得する流れをわかりやすく解説します。固定資産課税明細書との違いや取得する際の注意点もあわせて解説するので、参考にしてください。

固定資産評価証明書とは?

固定資産評価証明書とは、土地や家屋などの固定資産の評価額を証明する書類を指します。

主な記載事項は、以下のとおりです。

  • 固定資産税評価額
  • 課税標準額
  • 所有者
  • 所在地
  • 地目・地積(土地)
  • 種類・構造・床面積(家屋)など

固定資産税評価額とは、総務省の定める固定資産評価基準にもとづき、各自治体が決める土地や家屋の評価額のことです。土地の場合、毎年1月1日に定められる公示価格の70%が目安とされています。

固定資産評価証明書は、不動産の登記や相続税、贈与税の申告時など、固定資産税評価額を使って税金の計算を行う際に必要となる書類です。

固定資産課税明細書との違い

固定資産評価証明書と混同しやすい書類の1つに、固定資産課税明細書があります。

固定資産課税明細書とは、土地や家屋の所在地や価格の状況などが記載された書類のことです。申請などの手続きをしなくても、毎年納税通知書とあわせて郵送されます。

固定資産評価証明書との違いは、固定資産課税明細書には固定資産税相当額や都市計画税相当額も記載されている点です。

そのため、固定資産税や都市計画税額を知りたい場合は、固定資産課税明細書を確認すれば問題ありません。

また、自治体によっては、固定資産課税明細書にも固定資産の評価額が記載されています。評価額の記載があれば、固定資産評価証明書の代わりとして使うことが可能です。

固定課税明細書で代用できれば、申請の手間が省けるだけでなく手数料もかからないため、大切に保管しておきましょう。

ただし、評価額の記載がない自治体もあるので注意してください。また、課税明細書を紛失してしまった場合、基本的に再発行はできません。

固定資産評価証明書が必要となる場面

固定資産評価証明書は、主に登録免許税や相続税、贈与税などを計算する際に必要となります。具体的には、以下のような場面です。

  • 不動産の登記を行う際
  • 相続税・贈与税の申告を行う際
  • 不動産に関わる訴訟を起こす際

不動産の登記を行う際

不動産を売買する際には、「所有権移転登記」をしなければなりません。登記を行う際には登録免許税を納める必要があり、その計算に固定資産税評価額を使います。

所有権移転登記の登録免許税の計算式は、以下のとおりです。

登録免許税額=固定資産税評価額×税率

また、亡くなった方から不動産を相続した場合や不動産の贈与を受けた場合も、名義を変更する登記が必要です。相続登記や贈与登記の際にも、固定資産税評価額に税率をかけて登録免許税を計算します。

なお、固定資産評価証明書は、法務局に登記手続きを申請する際に、申請書に原本を添付して提出します。

登録免許税について、詳しくはこちらをご覧ください。

相続税・贈与税の申告を行う際

相続税や贈与税を計算する際には、土地や家屋を評価する必要があります。

土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式の2つがあります。

倍率方式で評価する地域では、固定資産税評価額をもとに計算するため、固定資産評価証明書が必要です。

以下の式で計算します。

土地の評価額=固定資産税評価額×倍率

また、家屋の評価額は、固定資産税評価額に1.0を乗じた価格、つまり固定資産税評価額と同額です。

相続税について、詳しくはこちらをご覧ください。

不動産に関わる訴訟を起こす場合

不動産に関わる訴えを起こす際には、申立手数料がかかります。

裁判手続きを利用する際は、その種類ごとに手数料の算出方法が決められており、訴状や申立書に収入印紙を貼付して手数料を納めなければなりません。

不動産の場合、土地の評価額をもとに手数料を計算するため、固定資産評価証明書が必要となります。申立の際に固定資産評価証明書を持参しましょう。

固定資産評価証明書を取得する方法

固定資産評価証明書を取得するには、申請手続きが必要です。固定資産評価証明書を取得できる人や場所、必要な書類を以下で詳しく解説します。

なお、固定資産課税明細書は毎年自宅に郵送されます。そのため、固定資産課税明細書で代用できる場合は申請手続きが不要です。

取得できる場所

固定資産評価証明書は、対象の固定資産がある市区町村の窓口や郵送で取得できます。

市区町村の窓口で取得する場合は、必要な書類を持参し、記入した申請書とともに提示してください。

なお、地域により取得場所が異なる場合があります。例えば、東京23区では、都税事務所で取得が可能です。また、6月以降なら対象の固定資産がある区以外の都税事務所でも取得できます。事前にお住まいの地域の取得場所を確認しましょう。

郵送の場合は、申請書をダウンロードし、必要書類、返信用封筒、手数料分の定額小為替などを同封して、指定の郵送先へ送ります。定額小為替は、郵便局にて購入が可能です。返信・封筒には、切手の貼付と宛先の記入も忘れず行いましょう。

申請書は、一般的に自治体のホームページでダウンロードできます。郵送で取得する場合は、日数が1週間程度かかるので、余裕をもって手続きしてください。

また、一部自治体ではコンビニでの取得や電子申請にも対応しています。電子申請とは、オンラインで証明書を取得できるサービスです。マイナンバー対応IDカードリーダーなどが必要となるため、あらかじめ利用条件を確認しましょう。

取得できる人

固定資産評価証明書を取得できるのは、その固定資産に関係のある人に限られています。具体的には、以下のような方です。

  • 本人(納税義務者、所有者)
  • 同居親族
  • 相続人
  • 本人の委任状を持参した人
  • 借地権や借家権などを有する人
  • 不動産に関わる訴えを起こす人
  • 破産管財人 など

取得する人によっては申請方法が限られる自治体もあるため、あらかじめ自治体のホームページなどを確認しましょう。

売却時など、不動産仲介会社に依頼している場合は、委任状を渡すこことで仲介会社の担当者に取得を依頼することも可能です。

取得に必要な書類

固定資産評価証明書の取得に必要な書類は、取得する人により異なります。本人以外の方が取得する場合は、上記で説明した「取得できる人」だと判断するための書類が必要です。

一般的に必要となる書類を以下にまとめたので、参考にしてください。

取得する人必要書類
本人申請書、本人確認書類
代理人申請書、本人確認書類、委任状(所有者本人の署名があるもの)
相続人申請書、本人確認書類、相続関係がわかる書類(戸籍謄本や遺産分割協議書、遺言書など)
借地人、借家人申請書、本人確認書類、賃借料の領収書など
法人申請書(代表者の印鑑が必要)、従業員であることの確認書類

本人確認書類とは、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの書類が該当します。健康保険証などの顔写真のない書類の場合は、本人確認書類が2点必要になるケースもあります。

なお、実際に必要となる書類は自治体により異なるので、あらかじめ確認しましょう。

また、上記の書類とあわせて、証明手数料が必要となります。手数料の金額も自治体によりますが、およそ300円程度です。土地と家屋両方の証明が必要な場合は、手数料も2件分かかる点に注意してください。

固定資産評価証明書を取得する上での注意点

固定資産評価証明書を取得する際、取得する証明書の年度に注意が必要です。

不動産の登記では最新年度のもの、相続税や贈与税の申告では課税年分の年度のものが必要です。評価額は3年に1度見直しが行われており、固定資産評価証明書は、毎年4月1日に更新されます。どの年度の固定資産評価証明書が必要なのかを事前に確認しておきましょう。

例えば、不動産登記の手続きが4月1日以降の場合は、4月1日以降に最新の固定資産評価証明書を取得する必要があります。3月31日までに取得した固定資産評価証明書では手続きできません。

再取得することになれば、手間や手数料の負担も増えるので気を付けましょう。

最新年度の固定資産評価証明書は、4月1日より取得可能(課税明細書は6月1日より取得可能)です。ただし、4月は申請が込み合う場合もあります。郵送の場合、普段より日数がかかるケースもあるので、余裕をもっての手続きが必要です。

なお、固定資産評価証明書は過去年度分も取得できます。ただし、取得できるのは過去4~5年度分となっているので注意しましょう。

固定資産評価証明書は、土地や家屋などの評価額を証明する書類のこと

固定資産評価証明書は、相続税や贈与税を申告する際や相続登記の際などに必要になる書類です。

土地や家屋の所有者や所在地に加えて、登録免許税や相続税、贈与税などの計算で使う固定資産税評価額が記載されています。

固定資産評価証明書は、毎年4月1日に更新されるため、最新年度が必要な場合は4月1日以降の申請が必要です。郵送など日数がかかる場合もあるので、なるべく早めに申請しましょう。自治体によっては、固定資産課税明細書でも代用可能です。

この記事のポイント

固定資産評価証明書はどんなときに必要?

固定資産評価証明書は、登録免許税や相続税、贈与税などの計算を行う場面で必要となります。具体的には、不動産の売買で登記をする際や相続登記の際、相続税や贈与税の申告時などです。

詳しくは、「固定資産評価証明書が必要となる場面」をご覧ください。

固定資産評価証明書の取得方法は?

固定資産評価証明書は、対象の固定資産がある市区町村の窓口や郵送での取得が可能です。一部自治体では、コンビニ交付や電子申請にも対応している場合があります。

取得できるのは、本人、委任状のある代理人、相続人、借地人など対象の不動産に関係のある人のみです。

また、取得する際には証明手数料が数百円かかります。自治体により異なるので、事前に確認しましょう。

詳しくは、「固定資産評価証明書を取得する方法」をご覧ください。

この記事の監修

松崎 観月
資格情報: CFP認定、FP2級、日商簿記2級

大学卒業後、金融機関にて個人営業を担当。資産運用の相談・保険販売などを経験する。退社後CFP認定を取得し、フリーのFPライターとして活動を行う。

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