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家(家屋)の解体費用はいくら?相場と補助金まとめ

執筆者プロフィール

齋藤進一
建築士

やすらぎ介護福祉設計 代表
2004年から「ワンストップ型」介護福祉設計をめざし、各個人の障がいの症状に合わせた住宅設計・施工監理をはじめ、子育て世帯が安心して暮らせるユニバーサルな視点でのバリアフリーで、多くの人に安心とやすらぎを提供している。

家を解体しようと考えている方にとって、やはり気になるのは、解体費用のことでしょう。そこで今回は、家の解体費用の相場や補助金についてお伝えします。家の解体費用を安く抑えるためのポイントも紹介しますので、空き家などの解体を考えている方は参考にしてください。

家(家屋)の解体費用相場は120万円前後

家の解体費用は、一般的に坪単価と呼ばれる方法で算出し「建物の床面積×単価=解体費用」という計算式になります。

家の構造によっても異なりますが、一般的な木造住宅であれば坪単価3~5万円程度になります。

仮に、家の総床面積が40坪であれば「40坪×3~5万円=120〜200万円」が家の解体費用の相場になります。

住宅金融支援機構の調査によれば、注文住宅の住宅面積平均が124.4㎡(約38坪)であるため、一般的な家の解体費用は120〜200万円程度となります。

取り壊しにくい家(家屋)は解体費用が高額になりやすい

一般的な家の解体費用相場は、木造住宅の場合で坪単価3〜5万円ですが、取り壊しにくい家は解体費用が高額になる場合があります。

例えば、家を取り壊すための重機が入りにくい場所にある家や、電線があって家に見合った重機を使用できないときには、作業員の手作業や小型の重機での作業が必要になります。その分、手間がかかってしまうため、解体費用が高額になることがあります。

また、解体作業では、解体時のゴミを搬出する必要があります。その際、搬出用のダンプが入れない場所は、工期もかかり、多額の人件費が加算され、解体費用が高額になります。

そのほか、アスベストを使用している家も注意が必要です。アスベストの取り扱いは厳しく定められており、養生からアスベストの撤去、アスベストを処分するためのゴミ代が解体費用に加算されます。

アスベストは2006年に使用禁止になりましたが、それ以前の住宅であれば使用されている可能性があります。

アスベスト調査および除去工事の補助金が利用できる

家を解体する際には、アスベストを使用した建築物かどうかという点に注意が必要です。
アスベストは建築物において、断熱材・不燃材・保温材として使用されてきましたが、吸引すると肺がんなど健康被害が起こるリスクから、2006年から使用禁止になりました。

2006年以前の建築物においては、アスベストを含有した建材が使用されている可能性があり、そのまま解体工事を行うと空気中にアスベストを飛散させてしまう恐れが出てきます。

そこで大気汚染防止法および石綿障害予防法の改正により、2022年4月1日以降に着工する原則すべての解体工事では、アスベストの使用有無に関わらず事前調査が必要となり、一定規模以上(※1)の解体工事においては調査結果報告(※2)を各自治体等に提出することが義務付けられました。

※1 一定規模以上の報告の対象建築物とは

  • 解体作業対象の床面積合計 80㎡(約25坪)以上の工事
  • 工事請負金額の税込み合計額が100万円以上の解体・改修・補修工事

※2 建築物のアスベスト調査においては有資格者が調査を行い、施工業者(元請け)が調査報告する。

アスベスト調査や除去工事において、国は住宅・建築物アスベスト改修事業を創設しており、自治体によっては補助金制度を活用することができます。活用を検討している場合は、まず最寄りの自治体の補助金制度について調べてみましょう。

出典:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト|補助金制度

家(家屋)の解体費用を安く抑えるための3つのポイント

家の解体費用を可能な限り安く抑えるためには、下記の3つのポイントがあります。

  • 複数の解体業者に見積もりを依頼する
  • 自治体の助成金制度を利用する
  • できる範囲でゴミを処理する

それぞれの解体費用を安くするためのポイントについて詳しく解説します。

複数の解体業者に見積もりを依頼をする

家の解体を検討するときは、できるだけ多くの解体業者へ見積もりを依頼するようにしてください。なぜなら、解体業者であっても自社で対応できる範囲が異なり、解体費用に差が出る可能性があるためです。

解体業者と一括りにしても、その建物ごとに対応した重機や、アタッチメント(重機の先端部分)を持っているかどうかで費用は異なります。

もしも、依頼を検討している解体業者で使うべき機材がなければ、リースをする必要があり、その分の費用も上乗せされます。

解体業者といってもさまざまで、ビルの大規模工事をメインにしている業者もあれば、一般の家をメインにしている業者もいます。複数の解体業者に見積りを依頼してから、業者を選ぶようにしてください。

もしも、解体業者を選ぶことに不安があれば、不動産会社へ相談をしてください。多くの不動産会社は解体業者とつながりがあり、紹介してくれるでしょう。

自治体の助成金制度の利用を検討する

自治体によっては、家の解体費用の一部を助成する制度があります。

過去には、北海道札幌市では「札幌市危険空家等除却補助制度」という制度のもとで、解体費用の一部を助成していました。

自治体によって助成金の名称が異なりますが、さまざまな自治体で助成制度があります。まずは、現在住んでいる自治体への相談を検討してください。

できる範囲でゴミを処理する

家のなかにあるゴミをできるだけ自分で処理しておけば、解体費用を抑えられます。

解体費用に含まれている費用は人件費とゴミ代がメインです。そのため、自分でゴミを処分しておけば、人件費やゴミ代をカットでき、解体費用を安くできる可能性があります。

例えば、ゴミ屋敷のような状態で家の解体を依頼した場合は、複数台のダンプと多くの作業員によって、家のなかのゴミを搬出します。そうなった場合、ゴミ代や人件費、ダンプに関する費用がかかります。

ゴミの量やゴミを搬出するための手間次第では、数十万円程度の差が発生することもありますので、自分でできる範囲でゴミを処分できないか、検討してください。

家(家屋)の解体費用の補助金&専用ローン

家の解体には「空き家の解体」と「建て替えのための解体」に分けられます。
空き家に関しては下記のようなさまざまな問題があります。

  • 老朽化による倒壊の危険性
  • 放火などによる治安面の問題
  • 土地の有効活用の促進

そのため、以下の空き家の解体工事への助成・補助を交付している自治体も多いです。

空き家の譲渡所得の3000万円特別控除

親の持ち家(空き家)を子どもに相続する際に、譲渡所得の金額から3000万円を特別控除できる制度があります(2027年12月31日まで延長予定) 。下記の場合に活用することができます。

  • 耐震リフォームをして譲渡する
  • 空き家を解体し更地にして譲渡する

出典:国土交通省|空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)
国土交通省|空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)について

土地家屋(空き家)を親から相続し、その土地に相続する子どもが住み続けるため建て替える場合は、親名義のうちに以下のような解体補助金を利用したほうが得策です。

老朽危険家屋解体撤去補助金

自治体により老朽化した家の解体工事の補助金の名称はいろいろあります。

  • 老朽危険家屋解体撤去補助金
  • 空き家解体補助金
  • 空き家解体費助成制度
  • 老朽危険空き家解体補助金
  • 空き家解体助成金  など

以下は、長野市の老朽危険空き家の解体工事補助金です(補助金の額は1-3の金額のいずれか少ない額)。

  1. 主な解体建築の延べ面積に応じて国が定める解体工事費の8/10の額
  2. 解体工事費用の5/10の額
  3. 限度額100万円

利用を検討する場合は、皆様のお住いの自治体に制度の有無も含め、ご確認下さい。

出典:長野県長野市|老朽危険空き家の解体工事補助金について(補助額拡大中)
鹿児島県霧島市|老朽危険空き家等解体撤去補助金
東京都品川区|品川区の不燃化特区支援制度

都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金

歴史的風致地区においてや都市景観保全などのため、老朽化した空き家を解体支援する補助金もあります。

そのほか、国土交通省の「歴史的観光資源高質化支援事業」という、補助事業者が地方公共団体、民間事業者となり景観阻害物件を除去する事業もあります。

出典:福岡県福岡市|都市景観形成建築物等保全整備補助金について
国土交通省|歴史的観光資源高質化支援事業

建て替え建設費補助金

震災時の火災発生や倒壊の危険性がある地域において建て替え・除却(解体)の費用を補助する制度で、各自治体により制度の有無や金額が違います。

東京都目黒区の「木造住宅密集地域における建て替え助成」(除却・解体費)では、現在建っている建物についての取り壊し、整地にかかる費用のうち2/3以内が助成されます。

東京都荒川区の「不燃化特区整備促進事業」(除却・解体費)では、助成費用の上限が解体する建物の延べ面積1㎡あたり2万6千円、上限500㎡までと定められています。

東京都葛飾区の「不燃化特区内の木造住宅の建て替え助成制度」(除却・解体費)では「除却した延べ床面積に2万8千円を乗じた額」「建築物およびこれに付属する工作物の除去に実際かかった費用」のいずれか低い額が助成されます。

東京都中野区の「木造住宅建て替え等助成」(除却・解体費)では、防火地域内・緊急輸送道路等沿道の場合、整備地域・新防火地域内の場合、その他の場合で金額が変わります。

その他にもさまざまな要件があり、自治体によっては補助金制度を設けていないこともあります。まずは最寄りの自治体の公式サイトなどで確認してみましょう。

出典:東京都目黒区|木造住宅密集地域における建替え助成
東京都荒川区|不燃化特区内で古い木造建物を建替えたい方へ
東京都葛飾区|不燃化特区内の建替え助成制度
東京都中野区|木造住宅建替え等助成

解体費用専用ローン

住宅の建て替え費用の中に解体費用を含めるローンが一般的ですが、空き家を解体する場合、建て替えを前提にしなくても組めるローンもあります。

空き家の土地を更地にして駐車場として貸すなど、建物の解体のみ行いたい場合などに利用できます。

ちなみに、福岡銀行や中国銀行、神奈川県JAバンクやJAしまねでは、空き家解体ローンがあり、それぞれ申し込み条件や融資可能金額が違います。

解体費用専用ローンを検討している場合は、普段利用している地方銀行・信用銀行・JAバンクなどの公式サイトで取り扱いがないか確認してみましょう。

出典:福岡銀行|空き家解体ローン
中国銀行|空き家解体ローン
神奈川県JAバンク|空き家解体ローン
JAしまね|JA空き家解体ローン

この記事のポイント

家の解体費用の相場はどのくらい?

家の解体費用は、一般的に坪単価と呼ばれる方法で算出し「建物の床面積×単価=解体費用」という計算式になります。

住宅金融支援機構の調査によれば、注文住宅の住宅面積平均が124.4㎡(約38坪)であるため、一般的な家の解体費用は120〜200万円程度となります。

詳しくは「家の解体費用相場は120万円前後」をご覧ください。

家の解体費用の補助金&専用ローンにはどんなものがありますか?

空き家の譲渡所得の3000万円特別控除、老朽危険家屋解体撤去補助金、都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金などさまざまな補助金があります。

また、銀行によっては解体ローンを取り扱っているところもあります。

詳しくは「家の解体費用の補助金&専用ローン」をご覧ください。

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