50歳住宅ローン
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50歳で住宅ローンはいくら借りられる?団信はどうする?【返済シミュレーション付き】

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。
https://grow-profit.net/

ざっくり要約!

  • 50歳以上で住宅ローンを組むことは可能であり、実際に50代で住宅ローンを組んだ人は1割以上
  • 50代で新築物件を購入しておけば、80~90代になったときに多額のリフォーム費用を負担しなくても快適に暮らすことができる

近年は住宅の買い替え習慣の普及や定年の延長等を背景に、50歳以上で住宅ローンを組む人も少なくありません。

50歳以上にもなると若い頃とは異なり、それぞれ抱えている事情は多様となってきます。
子育てが終わっている人もいれば、これから教育費がかかる人もおり、またサラリーマンの人もいれば、独立して自営業を営んでいる人もいます。

50歳以上の住宅ローンは、自分の状況に合わせて適切に検討することが必要です。
この記事では、「50歳の住宅ローン」について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

50歳でも住宅ローンを組める?割合は?

50歳でも住宅ローンを組める?割合は

結論からすると、50歳以上でも住宅ローンを組むことは十分に可能です。
最初に、50歳以上でも住宅ローンを組める理由や、組んでいる人の割合について解説します。

住宅ローンを組むこと自体は可能

50歳以上でも住宅ローンを組める理由は、多くの銀行が住宅ローンの完済年齢を80歳以下(または未満)としているからです。

完済年齢とは、住宅ローンを完済するときの年齢を指します。

銀行が住宅ローンの審査で最も重視しているのは、返済負担率です。

返済負担率とは、額面年収に対する住宅ローンの年間返済額が占める割合を指します。

適切な返済負担率は、20%以下とされています。
しかしながら、銀行は30%以下を基準としている場合も多く、50歳以上でも返済負担率が30%以下に収まっていれば審査に通る確率は高いです。

逆にいうと、返済負担率が30%を超えていれば、20~30代でも住宅ローンを組むことはできません。

銀行は年齢そのものよりも返済負担率を重視しているため、たとえ50歳以上でも適切な返済負担率の範囲内であれば、住宅ローンを組むことはできるのです。

50歳で住宅ローンを組む人の割合

住宅金融支援機構では、住宅ローンをすでに利用した人と、これから利用する人の年齢別の割合を調査しています。

2025年4月調査における50歳代の割合は、下表の通りです。

属性割合
住宅ローン利用者10.5%
住宅ローン利用予定者14.3%
出典:住宅ローン利用者の実態調査|住宅金融支援機構

50代で住宅ローンを組んだ人は1割以上存在するため、実際に50代でも住宅ローンを組めることがわかります。

50歳で住宅ローンを組んで家を購入するメリット

50代で住宅ローンを組むことには、一定のメリットが存在します。
この章では、50歳で住宅ローンを組んで家を購入するメリットについて解説します。

現役世代なので住宅ローンを組みやすい

50代はまだ現役世代であるため、住宅ローンを組みやすい点が大きなメリットです。

逆にいうと、50代は良い条件で住宅ローンを組めるラストチャンスといえます。

50代は、若いときよりも収入が増えている人も多いです。
また、若いころから貯蓄していていれば十分な頭金を用意できる人もいます。

50代であれば20~30代の頃よりも本人の経済条件が良くなっている場合もあり、より多くの金額を借りやすいです。

・「老後 マンション購入」に関する記事はこちら
老後にマンション購入は後悔する?メリット・デメリットを詳しく解説

築年数の新しい家に買い替えられる

50代で新たに家を購入すれば、築年数の新しい家に買い替えられるという点がメリットです。

仮に30歳で新築物件を購入した場合、80歳の頃には家が築50年となってしまいます。
一方で、50歳で新築物件を購入すれば、80歳のときでもまだ築30年です。

築50年となれば住みにくくなり、場合によっては多額のリフォーム費用も必要となってきます。

80歳のときに多額のリフォーム費用を投じることは、現実的に難しいことも多いです。

それに対して50代で新築物件を購入しておけば、80~90代になったときでも多額のリフォーム費用を負担しなくても快適に暮らすことができます。

利便性の高い場所に住み替えられる

若いうちに家を購入すると、収入が少ないことから住宅価格が安く不便な場所にマイホームを買わざるを得ないことも多いです。

50代で収入が増えていれば、より多くの金額を借りることができるため、駅に近い利便性の高い場所に住宅を買い替えることができます。

80~90代になったとき、車が必須となるような場所に住んでいると不便です。
利便性の劣る場所は、もともとスーパーや病院も少ないため、高齢になるとよりいっそう住みにくくなります。

50代のうちに中心市街地にあるマンション等の利便性の高い場所に住み替えておけば、高齢になったときでも快適に過ごすことができます。

50歳で住宅ローンを組む場合の返済シミュレーション

50歳で住宅ローンを組む場合の返済シミュレーション

この章では、50歳で6,000万円の住宅ローンを組む場合の返済シミュレーションを紹介します。

頭金なしの場合

項目数値
物件価格6,000万円
頭金0円
借入金額6,000万円
借入期間25年
金利(全期間固定、ボーナス返済なし)1.5%
月返済額(元利均等返済)239,961円
年間返済額2,879,532円

返済負担率を20%とした場合、世帯年収は約1,440万円が必要となります。

頭金1000万円の場合

項目数値
物件価格6,000万円
頭金1,000万円
借入金額5,000万円
借入期間25年
金利(全期間固定、ボーナス返済なし)1.5%
月返済額(元利均等返済)199,968円
年間返済額2,399,616円

返済負担率を20%とした場合、世帯年収は約1,200万円が必要となります。

頭金2000万円の場合

項目数値
物件価格6,000万円
頭金2,000万円
借入金額4,000万円
借入期間25年
金利(全期間固定、ボーナス返済なし)1.5%
月返済額(元利均等返済)159,974円
年間返済額1,919,688円

返済負担率を20%とした場合、世帯年収は約960万円が必要となります。

50歳で住宅ローンを組む場合の注意点

50歳で住宅ローンを組む場合の注意点

50代で住宅ローンを組むことには、注意点も存在します。
この章では、50歳で住宅ローンを組む場合の注意点について解説します。

借入期間が制限される

50代で住宅ローンを組む場合、銀行の上限とする完済年齢に近く、借入期間が短くなりやすい点が最大のデメリットです。

完済年齢が80歳だとすると、仮に50歳で住宅ローンを組んでも組める期間は最長でも30年であり、すでに35年ローンを組むことはできません。

借入期間が短くなると、毎月の返済額が大きくなり、返済負担率が上がってしまいます。
35年なら20%以内に収まる人でも、25年だと20%を超えてしまう場合があります。

そのため本人も返済が厳しくなり、融資審査にも通りにくくなります。

収入減少により返済が負担になる恐れがある

50代では、人によっては役職定年等を迎え、収入が大幅に減ってしまう場合があります。
例えば50代前半では年収1,000万円を超えていても、50代後半になると年収1,000万を下回るケースも考えられます。

収入が多い50代前半で多額のローンを組んでしまうと、50代後半の収入が減ったときに返済が苦しくなってしまうことが多いです。

団信に入れない場合がある

団信(団体信用生命保険)とは、債務者(住宅ローン借りた人)が死亡したときや高度障害になったとき、住宅ローンが完済される保険のことです。

住宅ローンを組むには、団信に加入することが条件となります。

団信は生命保険であるため、加入するには本人の健康状態が良好であることが必要です。
50代の場合、人によっては健康上の理由で団信に加入できず、住宅ローンが組めないケースもあります。

50歳で住宅ローンの審査に通りやすくするコツ

50歳で住宅ローンの審査に通りやすくするコツ

50代は借入期間が短くなることから、返済負担率が増え、住宅ローンの審査に通りにくくなります。

この章では、50歳以上の人が住宅ローンの審査に通りやすくするコツについて解説します。

頭金を増やす

返済負担率を下げるには、借入金の額を減らすことが必要です。
借入金の額を減らすには、頭金を増やす必要があります。

「50歳で住宅ローンを組む場合の返済シミュレーション」でも紹介したように、頭金を増やすと借入金の額が減り、適切な返済負担率に留めるための年収も減りました。

同じ年収の人が同じ額の物件を購入する場合、借入金の額が少ない方が返済負担率が低くなり、審査に通りやすくなります。

借入期間は状況に応じて適切に設定する

返済負担率を下げるには、借入期間を長くすることが必要です。
完済年齢を銀行が規定である最長の80歳にすることで、返済負担率を最大限に下げることができます。

定年のない自営業者の人や年金の額が大きい人、アパート経営を行っている人等の65歳以上でも相応の収入が見込める人は完済年齢を80歳としても構わないといえます。

一方で、65歳以上を過ぎると収入が大幅に減ってしまう人は、完済年齢を65歳としておくことが適切です。

65歳にすると借入期間が極端に短くなってしまう場合には、借入金の額を減らす等の見直しをする必要があります。

団信に入れる住宅ローンを選ぶ

健康上の理由で一般的な団信に加入できない人は、ワイド団信を扱っている金融機関を選ぶという方法があります。

ワイド団信とは、一定の持病がある人でも加入できる団信のことです。

ほかに借入がある場合は完済する

年齢に関わらず他に借入金がある場合には、住宅ローンで借りられる金額が少なくなります。

50代の場合、人によっては子の教育費のために学資ローン等を組んでいるケースもあります。

審査に通過しやすくするためには、他のローンは完済しておくことが望ましいです。

まとめ

以上、50歳の住宅ローンについて解説してきました。
住宅ローンの完済年齢は80歳以下(または未満)としている銀行が多いため、50歳以上でも住宅ローンを組むことは可能です。

住宅の買い替え習慣の普及や定年の延長等により、50歳以上でも住宅ローンを組んで家を購入する人は今後も一定数存在すると予想されます。

50歳以上で住宅ローンを組む場合、借入期間は状況に応じて適切に設定することが注意点です。
50代は抱えている事情は人によって大きく異なるため、状況に応じて無理のないローンを組んで頂くと幸いです。

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この記事のポイント

50歳でも住宅ローンを組める?

50歳以上でも住宅ローンを組むことは十分に可能です。

50歳以上でも住宅ローンを組める理由は、多くの銀行が住宅ローンの完済年齢を80歳以下(または未満)としているからです。

詳しくは「50歳でも住宅ローンを組める?割合は?」をご覧ください。

50歳で住宅ローンを組んで家を購入するメリットは?

50代はまだ現役世代であるため、住宅ローンを組みやすい点が大きなメリットです。

逆にいうと、50代は良い条件で住宅ローンを組めるラストチャンスといえます。

50代は、若いときよりも収入が増えている人も多いです。

また、若いころから貯蓄していていれば十分な頭金を用意できる人もいます。

詳しくは「50歳で住宅ローンを組んで家を購入するメリット」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

50代でも収入が安定していれば住宅ローンを組むことは十分に可能です。むしろ、若い頃よりも収入や頭金が増えている人もいるため、20~30代のときよりも多くの金額を借りられる場合もあります。
50代は若い人たちよりも抱えている状況が千差万別です。収入が増えて子育ても終わり余裕のある人もいれば、収入が減ってこれから子供の教育費が増えていく人もいます。単純に50代という年齢だけで住宅ローンの組みやすさが変わるわけではありません。ご自身の状況に合わせて適切な住宅ローンを検討して頂ければと思います。

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