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不動産購入の頭金とは?頭金なしで購入する方法とメリット・デメリットを解説

執筆者プロフィール

東本隼之
ファイナンシャルプランナー、マネーライター

独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

ざっくり要約!

  • 頭金は、不動産の購入金額のうち、実際に住宅ローンをいくら借りるのかで、必要な金額が分かる。
  • 頭金は、売買契約から引き渡し(融資実行日)までに支払うのが一般的

頭金とは、不動産の購入代金を住宅ローンを組んで支払いをする場合に、最初に現金で支払う部分のことをいい、預貯金や親族からの贈与資金で支払われるのが一般的です。頭金なしで不動産を購入することもできますが、総返済額が増えたり適用金利が高くなったりするデメリットがあります。

本記事では、頭金の目安金額や頭金なしで不動産を購入する方法を詳しく紹介します。頭金なしで不動産を購入するメリット・デメリットもまとめているので、頭金なしで住宅ローンを組みたい方は、ぜひ参考にしてください。

頭金とは

頭金とは、不動産の購入代金を住宅ローンを組んで支払いをする場合に、最初に現金で支払う部分をいいます。不動産の購入金額のうち、実際に住宅ローンをいくら借りるのかで、頭金がいくら必要になるかが分かります。例えば、物件価格が4,000万円の住宅を購入するために、3,200万円の住宅ローンを借りる場合は、800万円の頭金が必要となります。

頭金は、預貯金や親族からの贈与資金などから現金で支払われるのが一般的です。

頭金と手付金の違い

不動産の売買契約をする際には、不動産会社から手付金を求められるケースがあります。手付金とは、売買契約が成立したことを証明するために支払うお金のことです。

手付金は、物件価格の5〜10%が目安とされ、20%を超える金額に設定することは禁止されています。買主が売買契約を解約するためには手付金を放棄しなければならず、売主が解約を求める場合は買主に手付金の倍額を支払わなければなりません。

手付金は、不動産の引き渡しが完了した段階で、不動産の売買代金の一部として充てられることが一般的とされているため、頭金としての役割を果たすこともあります。

頭金はいつ払う?

頭金は、売買契約から引き渡し(融資実行日)までに支払うのが一般的です。

頭金を支払うタイミングは、不動産会社との契約内容によって異なります。たとえば、建築設計にあわせて設計料が発生したり、上棟式に建物中間金として物件価格の一部を支払ったりすることがあるので、事前に不動産会社の営業担当者に確認しておくとよいでしょう。

頭金なしでも不動産を購入できる?

頭金なしで物件価格のすべてを借入金でまかなう「フルローン」で住宅ローンを組むことで、頭金を貯めることなく不動産を購入できます。

ただし、すべてのケースで頭金なしで不動産を購入できるわけではなく、返済比率や借入上限額などの金融機関が定めた条件を満たさなければならないので注意が必要です。

ここでは、頭金はいくら貯めるべきなのか、頭金なしで不動産を購入する方法を詳しく紹介します。

頭金はいくらが妥当?

住宅購入の頭金は、物件価格の20%が目安とされています。2021年度のフラット35利用者の頭金の割合は、下表の通りです。

注文住宅16.7%
土地付注文住宅9.3%
建売住宅7.5%
マンション17.4%
中古戸建8.2%
中古マンション13.8%

出典:住宅金融支援機構 2021年度フラット35利用者調査

住宅購入では、住宅ローン手数料や不動産仲介手数料などの「諸経費」がかかります。諸経費の金額は、物件種別によって異なり、物件価格の10%前後が一般的とされています。

物件購入をする際は、頭金20%、諸経費10%を目安として、物件価格の30%の現金を準備しておくとよいでしょう。

頭金なしで不動産を購入する方法

頭金なしで不動産を購入するには、頭金なしで借り入れができる金融機関で住宅ローン契約する必要があります。

なかには、不動産仲介手数料や登記費用などの諸経費まで住宅ローンに組み込むことができる金融機関もあるので、すべての住宅購入費を住宅ローンでまかないたいのであれば融資条件もあわせて確認しておきましょう。

なお、金融機関によっては「年間返済額÷年収×100」で求められる返済比率を融資条件としている場合があります。フラット35では、年収400万円未満が30%以下、年収400万円以上が35%以下に設定されており、年収によって借入額が制限されることとなります。

配偶者と自身の収入を合算することで返済比率を下げることもできますが、一方の収入が減少したり離婚したりするときに返済が滞ってしまう可能性があります。また、一括返済をしたときの状況によっては贈与税が発生することもあるため、デメリットを十分に認識したうえで活用しましょう。

頭金なしで不動産を購入するメリット・デメリット

頭金なしで不動産を購入すると、手元に現金を残せたり不動産を早く購入できたりするメリットがある一方で、総返済額が増えてしまうなどのデメリットがあります。

頭金なしで不動産を購入する際は、これらのメリットとデメリットを押さえておくことが大切です。

メリット

頭金なしで不動産を購入する主なメリットには、以下の3つがあります。

  • 不動産を早く購入できる
  • 手元に現金を残せる
  • 住宅ローン控除の節税効果を高められる

頭金を貯めるには、多くの時間を必要とするため、購入したい物件があったとしても、ほかの購入者に先を越されてしまうことがあります。一方、頭金なしで不動産を購入する場合は、希望物件を見つけたタイミングに申し込みができるので、希望の不動産を早く手に入れることができるでしょう。

加えて、頭金を支払わないことで現金を手元に残すことができます。手元に現金があれば、けがや病気、子どもの進学といった資金が必要となるタイミングにも慌てることなく対応できるでしょう。

頭金なしで不動産を購入すると、住宅ローンの借入額が大きくなるため、住宅ローン減税の節税効果を高められる可能性があります。

住宅ローン減税は、年末のローン残高に一定割合を乗じた金額が所得税・住民税から控除されるため、住宅ローンの借入額が増えるほど節税効果が高まります。ただし、所得税や住民税が控除額より少なければ節税効果が薄れてしまうので、自身の年収から納税額をシミュレーションすることが大切です。

デメリット

頭金なしで不動産を購入する主なデメリットは、以下の3つです。

  • 総返済額が増える
  • 適用金利が高くなる可能性がある

頭金なしで住宅ローンを組むと、住宅ローンの借入額が大きくなることで「総返済額」が増えてしまいます。実際の返済額を以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

住宅購入費:4,000万円
金利:1.5%(全期間固定・元利均等方式)
返済期間:35年
ボーナス返済:なし

頭金月々の返済額総返済額 + 頭金
0円122,473円51,438,816円
400万円110,226円50,294,873円
800万円97,979円49,150,924円
1,200万円85,731円48,007,093円

このように頭金なしで不動産を購入したケースと、1,200万円で購入したケースでは、約350万円の金額差があります。頭金なしで購入すると、手元の現金が一時的に増えることになりますが、将来に使えるお金が減ってしまうことを認識しておきましょう。

また、住宅ローンの借入額が増えることで適用金利が高くなる場合もあるので注意が必要です。フラット35では、住宅ローンの借入額に対する物件価格の割合から算出される「融資率」が90%を超えると適用金利が高くなります。融資率と適用金利の関係は、金融機関によって異なるので、借入先の金利条件を事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

頭金なしでの不動産購入には、現金を手元に残せたり住宅ローン控除の節税効果を高められたりするメリットもありますが、住宅ローンの総返済額が増えてしまうので注意が必要です。

頭金なしで不動産を購入したい場合は、返済比率などの金融機関の融資条件を確認しておきましょう。

この記事のポイント

頭金を支払うタイミングは、いつですか?

頭金は、売買契約から引き渡し(融資実行日)までに支払うのが一般的です。

詳しくは「頭金はいつ払う?」をご覧ください。

頭金はいくらを目安にすればいいですか?

頭金は物件価格の20%が目安です。ほかにも、住宅ローン手数料や不動産仲介料などの諸経費がかかるので、物件価格の30%程度の現金を準備しておくと安心です。

詳しくは「頭金はいくらが妥当?」をご覧ください。

頭金なしで不動産購入する方法は?

頭金なしで住宅ローンを契約できる金融機関を探し、自身が融資条件を満たしているかを確認します。金融機関の返済比率を上回っている場合は、配偶者と収入合算をすることで借り入れができる可能性があります。

詳しくは「頭金なしで不動産を購入する方法」をご覧ください。

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