不動産市況レポート2026年7月度の不動産市況

中古マンション成約件数、減少幅が拡大 在庫は5ヶ月連続で増加

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月10日、2026年7月度首都圏(一都三県)不動産市場の動向を発表しました。中古マンションの成約件数は前年同月比-8.6%と4ヶ月連続で減少し、減少幅が大きく広がっています。在庫件数は5ヶ月連続で増加しており、売り物件が積み上がる一方で成約が細るという構図が鮮明になってきました。

首都圏中古マンション

項目 2026年7月成約物件の平均 対前年同月
平米単価 84.17万円/㎡ -1.5%
件数 3,638件 -8.6%
価格 5,267万円 -0.7%
専有面積 62.57㎡ +0.9%
築年数 27.70年 +1.03年
在庫件数 47,151件 +5.5%

(参考:東日本不動産流通機構)

 2026年7月に成約した首都圏中古マンションの平均平米単価は、前年同月比-1.5%の「84.17万円/㎡」でした。3ヶ月連続の下落となったものの、前月比では+1.9%と持ち直しています。一方、成約件数は前年同月比-8.6%と4ヶ月連続で減少し、減少幅は拡大。在庫件数は同+5.5%と5ヶ月連続で増加しており、成約の鈍化と売り物件の積み上がりが進んでいます。

エリア 2026年7月成約㎡単価前年同月比 2026年7月成約件数前年同月比
東京都区部 +2.7% -17.2%
東京都多摩 +10.5% +3.8%
横浜・川崎市 -2.5% -2.2%
上記除く
神奈川県
+5.3% +1.5%
埼玉県 +2.3% -3.2%
千葉県 -0.1% -3.5%

(参考:東日本不動産流通機構)

 エリア別に見ると、成約平米単価は東京都区部が前年同月比+2.7%と、2020年5月から75ヶ月連続で上昇しました。東京都多摩も同+10.5%と2桁の伸びです。一方、横浜・川崎市は同-2.5%と13ヶ月ぶり、千葉県は同-0.1%とほぼ横ばいながら6ヶ月ぶりに下落しました。成約件数で増加を保ったのは東京都多摩と横浜・川崎市を除く神奈川県のみで、これまで増加が続いてきた周辺エリアにも一服感が見られます。なかでも東京都区部は同-17.2%と7ヶ月連続で減少しており、落ち込みが際立ちます。

首都圏中古戸建

項目 2026年7月成約物件の平均 対前年同月
価格 3,933万円 +0.6%
件数 1,738件 -1.9%
土地面積 143.96㎡ -4.7%
建物面積 102.74㎡ -1.6%
築年数 25.11年 +0.20年
在庫件数 23,197件 -1.2%

(参考:東日本不動産流通機構)

 2026年7月に成約した首都圏中古戸建の平均価格は、前年同月比+0.6%の「3,933万円」で、ほぼ横ばいながら7ヶ月連続の上昇となりました。成約件数は同-1.9%と4ヶ月ぶりに減少しています。在庫件数は同-1.2%と6ヶ月連続で減少しており、在庫が積み上がる中古マンションとは対照的な動きが続いています。

エリア 2026年7月成約㎡単価前年同月比 2026年7月成約件数前年同月比
東京都区部 +3.7% -17.7%
東京都多摩 +19.1% +3.0%
横浜・川崎市 -3.4% +4.1%
上記除く
神奈川県
+4.4% -3.2%
埼玉県 +2.3% +5.3%
千葉県 +2.1% -1.4%

(参考:東日本不動産流通機構)

 成約件数は、東京都区部が前年同月比-17.7%と5ヶ月連続で減少し、中古マンション以上に落ち込みが目立ちます。一方、横浜・川崎市は同+4.1%と21ヶ月連続、埼玉県も同+5.3%と4ヶ月連続で増加しました。成約価格は横浜・川崎市が同-3.4%と3ヶ月ぶりに下落したものの、その他のエリアでは上昇が続いています。とくに東京都多摩は同+19.1%と大きく伸びました。

“注目”の不動産ニュース

東京都の「アフォーダブル住宅」供給誘導が本格化

 東京都住宅政策本部は6月30日、「都におけるアフォーダブル住宅の取組について」の改訂版を公表しました。アフォーダブル住宅とは、民間活力や既存ストックを活用し、子育て世帯等が手頃な価格で安心して住むことのできる賃貸住宅の供給を誘導する取り組みで、令和8年度に入ってからは官民連携ファンドによる入居者募集や公社住宅の供給が相次いでスタートしています。

アフォーダブル住宅とは

都における「アフォーダブル住宅」の取組イメージ

(出典:東京都住宅政策本部)

 都のアフォーダブル住宅は、都心部を中心に住宅価格の高騰が続くなか、子育て世帯等が手頃な価格で安心して住める賃貸住宅の供給を増やしていこうとする取り組みです。都営住宅のように都が直接供給するのではなく、住宅市場の中で民間事業者等による供給を誘導する点が特徴で、対象世帯の所得基準や家賃水準は供給主体である民間事業者等が設定します。

 具体策としては、都と民間の共同出資による「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」を通じて子育て世帯等向けに350戸程度を供給するほか、既存の公社住宅を契約家賃から2割減額して子育て世帯・新婚世帯に提供する取り組みが令和8年6月から始まっています。ファンド対象では5月29日に最も早い物件の入居者募集が開始されており、取り組みは検討段階から供給段階へと移りつつあります。

容積率の割増で賃貸併用住宅の選択肢にも

都市開発諸制度の活用による容積割増のイメージ

(出典:東京都住宅政策本部)

 注目したいのが、都市開発と合わせた誘導です。都市開発諸制度等を活用し、開発に合わせてアフォーダブル住宅を導入することで容積の割増を受けられる仕組みで、令和8年6月に制度改正、7月に施行されたばかりです。

 都心部の戸建て住宅は3階建てが主流ですが、近年は住宅ローン負担の軽減や資産活用の観点から、賃貸併用型の住宅への需要が高まっています。適用の可否は個別の開発計画や要件によるものの、賃貸部分にアフォーダブル住宅を取り入れる形が広がれば、容積面のメリットに加え、子育て世帯へ住まいを提供するという社会貢献の側面も持たせられ、他の賃貸物件との差別化にもつながる可能性があります。

 なお、都はこのほかにも、リノベーションまちづくりや空き家の活用、都有地の活用といった手法で供給促進を図る方針です。住宅価格や金利の動向も踏まえながら取組の充実強化を図るとしており、今後の展開が注目されます。

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