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相続登記にかかる費用や相場、書類作成についてわかりやすく解説

執筆者プロフィール

大崎麻美
司法書士、FP技能士2級、宅地建物取引主任者、シニアライフマネージャー

日系エアラインのCAを経て30代で司法書士資格を取得。2012年あさみ司法書士事務所を設立。実需・収益不動産・商業に関する登記実務、終活のサポート業務を行う。2022年末より海外に移住。移住後は、実家じまいの情報発信サイト「実家じまい完全攻略ブログ」を運営。法律・不動産専門のライターとして活動。

「実家の名義が亡くなった父親のままになっている」
「相続の登記は今すぐしなくても問題ないだろう」
不動産の所有者が亡くなった際に相続登記を行いますが、今までは相続登記を行わなくても罰則はありませんでした。そのため必要に迫られず、放置しているパターンも少なくありません。
しかし、2024年4月1日から「相続登記」が義務化されるのはご存じでしょうか。相続登記が必要な不動産を放置してしまうと過料が課されることも。そこで本記事では、相続登記の概要から、登記の費用を解説します。

相続登記とは?

不動産の名義人が亡くなっても、名義が自動的に相続人に変わることはありません。法務局へ相続が発生した事実、相続関係を証明し、名義を変える必要があります。この手続きが相続登記です。相続登記でスタンダードなものは次の3パターンです。

遺言書に基づいて行う相続登記

遺言書が残されていた場合は、その遺言の内容に基づいた相続登記を行います。ただし、相続人全員が合意をすれば、遺産をどのように分けるかの協議(遺産分割協議)を行い、協議の結果に基づいて相続登記をすることも可能です。

遺産分割協議に基づき行う相続登記

相続人が話し合い、どの遺産をどの相続人に分けるのか、またどの割合でわけるのか、を決定します。遺産分割協議は相続人全員で協議をしなくてはなりません。必ず相続人全員で話し合う必要があり、1人でも参加しなかった場合その遺産分割協議は無効になります。協議で決めた内容を「遺産分割協議書」にまとめ、相続人全員が署名と実印で捺印をします。署名捺印のされた遺産分割協議の内容に沿って相続登記を行います。
なお、相続人の中に、未成年者や認知症の人、行方不明の人がいる場合には特別な手続きが必要です。その場合は司法書士に相談しましょう。

法律に定められた割合で行う相続登記

どの相続人が何割の遺産を引き継ぐかは、民法で定められています。これを法定相続分といいます。法定相続分は定められていますが、必ず守らなくてはならないわけでは有りません。遺産分割協議で相続人全員の話し合いがつくのであれば、法定相続分と異なる割合でもよいのです。しかし、遺産分割の話し合いがまとまらないケースなどでは、法定相続分に従って相続登記を行うこともあります。

相続登記の義務化 相続登記をしないとどうなる?

2024年4月1日から「相続登記の義務化」がスタートしますので注意が必要です。義務化後は、相続を知ってから3年以内に相続登記をしない場合、正当な理由が無ければ10万円以下の過料が課されることもあります。

出典:~相続登記・遺産分割を進めましょう~|法務省

相続をするときにかかる費用

相続登記を申請する時には、次の費用がかかります。

費用の種類内訳
実費登録免許税(国税)、戸籍等の必要書類取得費、郵送費
報酬専門家(司法書士)への報酬

相続登記は相続人が自分で申請することもできます。その場合にかかる費用は実費のみです。司法書士へ依頼する場合は実費と報酬の総額が登記費用となります。

登録免許税

登録免許税は相続人自身が相続登記を行っても、必ず必要になる国に納める税金です。
あらかじめ算出した登録免許税を、登記申請の際に法務局で納付します。
登録免許税を算出するためには、まず「固定資産評価証明書」を取得しなくてはなりません。不動産のある市区町村により発行する機関が異なりますので、まず市区町村役場に連絡をし、発行窓口を確認して請求しましょう。注意点として、相続人が固定資産税評価証明書を取得するためには、亡くなった方の相続人であることを証明する必要があります。
具体的には次の書類が必要です。

  • 不動産の所有者が亡くなった事実が記載された戸籍謄本
  • 固定資産税評価証明書の発行依頼者が、相続人であると証明できる戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍

取得した固定資産評価証明書に記載されている、「固定資産評価額」を使用して計算します。
相続登記の登録免許税は、不動産の(土地・建物)固定資産評価額×0.4%で算出されます。
算出された登録免許税の100円未満の端数は切り捨てし、算出された登録免許税が1,000円未満の場合は1,000円となります。

【具体例】
土地1筆(固定資産税評価額1,000万円)と建物(固定資産税評価額500万円)を所有していた場合
10,000,000×0.4%+5,000,000×0.4%=60,000
この土地・建物の相続登記にかかる登録免許税は6万円となります。

亡くなった方が不動産の持分を所有していた場合は、固定資産税評価額を持分の割合で按分して計算します。持分を持っているケースというのは、道路部分(私道)を近隣の方と共有していた場合や、夫婦で資金を半分ずつ出して不動産を購入したようなケースです。

【具体例】
私道部分の土地(固定資産税評価額100万円)を近隣の方と10分の1の割合で共有していた場合
1,000,000×10%(持分)×0.4%=400
本来400円が私道部分の登録免許税ですが、算出された登録免許税が1,000円以下の場合は1,000円となります。

なお2025年3月31日まで、固定資産税評価額が100万円以下の土地は登録免許税が免税になります。

出典:
相続登記の登録免許税の免税措置について|法務省
No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

書類の取得費用

相続登記の申請には様々な書類が必要です。
相続のケースにより必要な書類は変わりますが一般的には次のような書類が必要です。

書類の名称費用
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本等1通750円×必要通数
故人の住民票の除票200円~400円(市区町村で異なる)
相続人の戸籍謄本450円×相続人分
不動産を取得する相続人の住民票200円~300円(市区町村で異なる)
固定資産評価証明書200円~400円(市区町村で異なる)
相続人の印鑑証明書200円~300円(市区町村で異なる)

必要書類の費用は一見すると少額にみえますが、相続の登記に必要になる各書類は複数必要になります。表にある「故人の連続した戸籍謄本」はシンプルな相続のケースでも7~8通になることがほとんどです。子どものいない夫婦のケース、本籍地を何度も変えている方のケースでは、多くの戸籍が必要になります。
また相続の登記をしないでいるうちに、不動産を取得した相続人も亡くなってしまった「数次相続」のケースでは戸籍謄本は数十通になってしまうことも少なくありません。
さらに本籍地が遠方の場合には、交通費や郵送費もプラスされます。

相続のケースによって書類の必要通数が変わるため、書類の取得費用には幅があります。
子と配偶者が相続人になるシンプルな相続のケースではおおよそ5,000円から10,000円、複雑な相続のケースでは2万円程度を想定しておく必要があります。

専門家(司法書士)への報酬

司法書士に相続登記を依頼した場合の報酬はどの程度になるでしょう。

実はこれも相続のケースによるところが大きいです。

  • 遺言書の有無。遺言書がある場合は、自筆証書遺言なのか公正証書遺言なのか
  • 遺産分割協議を行う場合、未成年者や認知症の人がいる
  • 法律で定められた法定相続分に従って相続登記をするのか
  • 相続登記をせずにいるうちに相続人が亡くなってしまった数次相続なのか
  • 相続人の中に未成年者がいる

相続登記と一口に言っても、上記のように色々なケースが存在します。
遺産分割協議を行う場合は、登記申請の際に遺産分割協議書の提出が必要なため司法書士が作成します。
亡くなった方が自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)に従って相続登記をする場合には、家庭裁判所へ検認という手続きが必要になります。このように、相続のケースにより行う手続きや作成する書類は様々です。そのため司法書士の報酬も幅がでてしまいます。
相続登記を司法書士に依頼する場合は、自身のケースではどの程度の報酬になるのかを事前に問い合わせることが必要でしょう。

専門家(司法書士)に依頼した際の相場は?

相続登記の中でもベーシックな「遺産分割協議」によるケースの司法書士への報酬相場は登記の申請のみを依頼すると5~10万円前後であることが多いです。相続人の調査、戸籍等の取得も併せて依頼する場合は7~15万円前後が相場でしょう。このケースであっても、相続人が多数いる場合や相続する不動産が多数ある場合、不動産の持分がある場合などは、報酬が加算されます。また相続人の中に、海外で暮らしている方がいる場合なども報酬が加算されるでしょう。
司法書士の報酬は自由化されているため、同じ相続のケースでも報酬が変わることもあります。相続登記を「相続パッケージ」として、一律の報酬で行っている司法書士事務所もありますので、費用が事前にわかりやすく利用しやすいでしょう。

費用を抑える方法はある?

相続登記の費用は実費と報酬に分かれていることを解説しました。実費部分に関しては、決まった費用が必ずかかるため抑えることはできません。費用を抑えるには次の方法が考えられます。

自分で相続登記を行う

費用を抑えるのに最も効果的なのは、自分で相続登記を行う方法です。役所、法務局に数回は足を運ぶ必要がありますので、時間の余裕のある方は自分で行うことを検討してもよいでしょう。
相続人が配偶者と子どものケースのようなベーシックな相続であれば、自分で相続登記を行うことはそこまで大変ではありません。ただ手続きの煩雑さやかかる時間・労力を考えると司法書士に依頼するほうが確実でしょう。

数カ所の司法書士に見積もりを依頼する

専門家に依頼する場合には、必ず登記の専門家の司法書士に見積もりを依頼しましょう。
他の士業でも相続の相談を受けていますが、登記を代理人として行えるのは司法書士と弁護士のみです。弁護士に依頼をしても、弁護士の知り合いの司法書士を紹介されることが多いでしょう。他の士業も相続の相談の窓口になっていますが、登記を行う必要があるのであれば司法書士に直接依頼する方が費用は安く抑えられます。
さらに数カ所の司法書士事務所に見積もりを依頼するのがベストでしょう。

この記事のポイント

相続登記が義務化されるって本当?

2024年4月1日から相続登記が義務化されます。義務化されてからは、相続を知ってから3年以内に相続登記をしない場合、正当な理由が無ければ10万円以下の過料が課されることもあるので注意しましょう。

詳しくは「相続登記の義務化 相続登記をしないとどうなる?」をご確認ください。

相続登記にはどんな費用がかかる?

相続登記を申請する場合、「登録免許税(国税)」「戸籍等の必要書類取得費」「郵送費」などの実費と、登記手続きを依頼した専門家(司法書士)への報酬の費用がかかります。

自分で相続登記手続きをする場合の登記費用は実費のみですが、司法書士へ依頼する場合は実費と報酬の総額が登記費用となります。

詳しくは「相続をするときにかかる費用」をご確認ください。

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