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マイホームは新築・中古?一戸建て・マンション?物件の選びのポイント

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • マイホーム選びに悩んだら、希望を整理したうえで優先順位を決めよう
  • 実は、仲介会社が紹介できる新築住宅も少なくない
  • 中古物件を探すときは、立地や広さなどの希望を満たす物件であることに加え、安心して住み続けることができるかどうかを見極めることが大切

いざマイホームの購入を決意しても、数多くある物件の中から一体どうやって選べばいいのかは難しいところです。そこで今回は、新築住宅と中古住宅、一戸建てとマンションの違いや特徴を解説。マイホーム選びに悩むときの対応策や物件選びのポイントもご紹介します。

新築住宅と中古住宅を比較

マイホーム選びでまず悩むのが、新築住宅と中古住宅のどちらにするかということなのではないでしょうか?予算が許せば新築住宅に住みたいという方が大半でしょうが、金額以外の面でも中古住宅のメリットは多くあります。

新築住宅の特徴

メリットデメリット
● 住宅性能が高い傾向にある
● 税制優遇が大きい
● 当面、修繕費やリフォーム費用がかからない
● 価格が高い
● 選択肢が少ない
● 建築中に購入するとなると暮らしがイメージしにくい
● 資産価値が低下するスピードが早い傾向にある

「新築」というだけでメリットを感じる方も多いと思いますが、冷静になって新築住宅のメリット・デメリットを整理していきましょう。

まず、新築住宅の良さは設備や建具などのすべてが、新品かつ最新のものである点にあります。これは「構造」や「性能」についても言えることです。住宅の断熱性能や気密性能、省エネ性能、耐震性能は日々、進歩しており、新築住宅であれば高い性能であることに期待できます。また、新築住宅は中古住宅と比べて価格は高いですが、住宅ローン減税や固定資産税の優遇が受けられるため、出費を補うことができるでしょう。中古住宅のようにすぐ不具合が発生するリスクも低く、万一、不具合が見られても、多くの場合、施工会社の保証内で対応してもらえます。

一方、新築住宅のデメリットのうちあまり知られていないのが、中古住宅と比べて資産価値が低下するスピードが早いということです。新築住宅は、施工会社や販売会社の利益が上乗せされた価格で販売されています。相場価格で取引される中古住宅とは異なり、取得後に一定程度の価値は下がると考えておきましょう。

中古住宅の特徴

メリットデメリット
● 価格が安い
● 選択肢が多い
● リノベーションで新築のように生まれ変わらせることができる
● 暮らしがイメージしやすい
● 住宅性能が低い傾向にある
● 税制優遇が少ない
● メンテナンススケジュールが立てにくく、すぐにまとまった修繕費が必要になることも

中古住宅は、新築住宅と比べて安価であるとともに、選択肢が多いことも大きな魅力の1つです。新築着工数はここ数年、減少傾向にあるため、新築住宅に絞って探すとなると、なかなか物件が見つからないということにもなりかねません。また、中古住宅はすでに建築されている物件であり、周辺住人のコミュニティも形成されているため、購入後の暮らしのイメージがわきやすいといえるでしょう。

ただし、一定の築年数が経過している以上、新築住宅よりも不具合が発生する可能性が高く、劣化や使用感が見られることは否めません。

一戸建てとマンションを比較

新築か中古か以上に生活に大きく影響するのは、物件種別です。一戸建てもマンション、それぞれにメリット・デメリットがありますので、こちらも整理していきましょう。

一戸建ての特徴

メリットデメリット
● プライバシーが確保されやすい
● 騒音トラブルが発生しにくい
● 通風・採光に優れる
● 総じてマンションより広い
● 完全にバリアフリーとはなりにくい
● 維持・管理は自己責任

戸建の魅力は、プライバシーが確保されやすく、騒音トラブルが起きにくい点です。独立した建物であることから、通風・採光にも優れ、マンション以上の居住スペースも確保しやすいといえるでしょう。近年では、暮らし方・働き方の多様化により在宅時間が増えたことも相まって、戸建を希望する人が増えている傾向にあります。

暮らしの開放感や自由度が高い戸建ですが、建物の維持・管理はすべて自己責任である点に注意が必要です。マンションのように管理費や修繕積立金が徴収されることはありませんが、これは維持・管理費が不要ということではありません。購入時にメンテナンス計画を立て、必要な金額を自分で積み立てておくことをおすすめします。

マンションの特徴

メリットデメリット
● 立地が良い物件が多い
● バリアフリーの物件が多い
● セキュリティ・断熱性・気密性が高い
● 毎月、管理費・修繕積立金・駐車場代を管理組合に支払う
● 騒音トラブルが発生しやすい

マンションは、総じて駅前や駅近など好立地な場所に多く、エレベーターやオートロックなどの設備も備わっていることから暮らしやすい住まいだといえるでしょう。居住スペースは戸建と比べて狭い傾向にありますが、各居室や水まわりなどがコンパクトにまとまっているため生活動線・家事動線は良いと考えられます。

毎月、強制的に管理費や修繕積立金を徴収されるものの、外装や共有スペースの維持・管理は管理組合が請け負ってくれます。とはいえ、すべての管理組合が適正な修繕計画を立て、十分な金額を積み立てているわけではありません。マンションを購入するうえでは、立地や広さ、築年数だけでなく、管理状況もしっかり確認することが大切です。

市場から見る流通トレンド

不動産価格指数(住宅)<令和5年7月分・季調整値>

(出典:国土交通省

不動産価格は、新築住宅、中古住宅いずれも高騰傾向にあります。上記グラフのように、2013年頃を起点に右肩上がりに価格が上がり始め、コロナ禍ではより一層加速しました。ここまで不動産価格が高騰している理由は、主に次の2つだと考えられます。

  • アベノミクスを発端とする住宅ローン金利の低下
  • 暮らし方・働き方の変化による旺盛な住み替え需要

不動産価格が高騰しているときは売主に有利な「売り手市場」だと考えられますが、住宅ローン金利が史上最低ともいえる水準にまで低下している昨今は、同時に「買い手市場」でもあります。

ここからは、物件種別ごとの価格トレンドを見ていきましょう。

中古マンション

首都圏中古マンション㎡単価の推移

(出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

中古マンション価格は、高騰傾向にあるものの上記グラフで青線で示されている「在庫価格」については下落傾向にあります。「在庫」というのは、現在、売りに出されている物件のことです。売り出し中の物件の価格が下がっているということは、間も無く成約にいたる価格も下落に転じることを示唆しています。

中古戸建

首都圏中古戸建住宅価格の推移

(出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

中古戸建は、中古マンション以上に在庫価格の下落が顕著であり、成約価格についても2023年中頃にはすでに前年同月比を割り込んでいる月も見られます。コロナ禍では在宅時間が増えたことにより広く、騒音トラブルも起きにくい戸建の需要が上がりましたが、それも徐々に落ち着いてきているものと考えられます。

新築マンション

新築マンション価格の推移(首都圏・近畿圏)2020年9月〜2023年9月

(出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2023年9月」)

新築マンション価格は月によって変動が大きいですが、首都圏については高騰傾向にあるといえるでしょう。2023年3月には、初めて平均価格が1億円の大台を超えました。高騰している要因は、供給が好立地の場所に限られていることとともに、インフレや円安などにより資材価格や人件費が高騰していることにあります。

新築戸建

三大都市圏&福岡県の新築一戸建て住宅平均価格推移

(出典:東京カンテイ「プレスリリース/新築一戸建て住宅平均価格」)

新築戸建についてもここ数年は高騰傾向にありましたが、2023年に入ってからはほぼ横ばいで推移しています。新築戸建の高騰についても、資材価格や人件費の高騰が主な要因です。近年では着工数が減少し始めていることもあり、価格が高止まりしているものと考えられます。

マイホーム選びに悩んだら希望を整理して優先順位を決めるべし!

立地や広さ、築年数や価格など、マイホームに求めることは多岐に渡るはずです。しかし、すべての希望を100%叶えてくれる物件に出会うことは容易ではありません。転居したい期日もあることでしょう。妥協することなく、満足の行くマイホームを購入するためには、希望を整理し、優先順位を決めることが大切です。

住みたい場所は?

まずは、今住んでいるエリアで住まいを探したいのか、他のエリアに移りたいのかを考えてみましょう。同じエリアで住み続けるとなると、周辺の環境を把握できているため、引っ越し後も生活スタイルを大きく変えずに済みます。一方、他のエリアに移る際は、今のエリアでの不満を解消できるかどうかを基準に選ぶようにしましょう。

  • のんびりとした自然の多い場所に住みたい
  • 通勤時間を短くしたい
  • 子どもの学校が最優先
  • 親と近居したい

このように家族が暮らしに求めるものを書き出したうえで話し合いを進めていくと、住みたい場所が絞られていくものです。

必要な面積や間取りは?

必要とする面積や間取りによっても、適切なエリアや物件種別は異なります。住まいに必要な広さは、経年によって変わっていくということも忘れてはいけません。たとえば、「今は2LDKで十分」と考えていても、将来的には手狭になってしまい「3LDK、4LDKの家にすればよかった……」と後悔してしまう可能性があります。もちろん、その逆も然りです。

最近では、在宅で学習したり、仕事したりする方も増えています。暮らし方・働き方が多様化している昨今では、可変性のある住まいの人気も高まっています。将来像をイメージし、リノベーションのしやすさなども考慮したうえで、必要な面積や間取りを考えていきましょう。

予算感は?

マイホームに夢は広がるばかりですが、予算には限りがあります。予算を考えるうえでのポイントは「イニシャルコスト=購入する際に必要な費用」だけでなく「ランニングコスト=住まい購入後に継続的にかかる費用」も予測したうえで長期的な収支シミュレーションを実施することです。

住まいを購入したあとに生活が破たんしてしまっては元も子もありません。無理のない予算を立てることが大切です。

優先項目を決めるとどんなマイホームが合っているか見えてくる

項目ごとの希望が整理できたら、続いてどの要素を優先するかを考えてみましょう。優先順位が低い項目については、ある程度、幅を持たせて不動産会社に希望を伝えておくと、担当者も物件の提案がしやすいものです。

併せて、希望条件の「理由」も担当者に伝えておくことをおすすめします。たとえば「通勤時間を1時間以内にしたいから」「月々の返済額を○万円に抑えたいから」といった理由を伝えておくと、自分が想像していなかったエリアや融資先などを提案してもらえることにも期待でき、選択肢が広がる可能性があります。

新築物件を探すときのポイント

新築物件を探すときのポイントは「新築」といってもさまざまなタイプがあることを知り、限られた物件数の中で自分が希望する条件の住まいを見つけるため多方面にアンテナを貼っておくことです。

新築住宅とはいえ売主はさまざま

いざ物件を探してみないと分からないのが、デベロッパー、ハウスメーカー、地域の工務店など、新築住宅の売主はさまざまだということです。質の高い住宅を提供してくれるのはどこか、アフターケアはしてくれるかなど情報収集が重要になりますので怠らないようにしましょう。

また、新築物件は売買時期によっては住宅の仕様を一部選べることもあります。マンションなら間取りのメニュープランが用意されていたり、一戸建てでも一部仕様が選べたりする場合もあるのでチェックしてみましょう。

販売数は中古物件より少ない!不動産会社にも相談を

先述のとおり、新築住宅の着工数は減少傾向にあります。数少ない物件のなかで希望に合ったものを買い逃さないためにも、自身だけで物件探しをするのではなく、不動産会社に相談することをおすすめします。新築住宅というと「売主や販売会社に直接問い合わせなければならない」というイメージを持つ方も少なくありませんが、実は仲介会社が紹介できる物件も少なくありません。

中古物件を探すときのポイント

中古物件は、新築住宅の数倍の選択肢があります。リノベーションすれば、さらに自分好みにカスタマイズすることも可能です。とはいえ、他の人が住んだあとの住宅であるため、なんらかの不具合が見られることも少なくありません。中古物件を探すときは、立地や広さなどの希望を満たす物件であることに加え、安心して住み続けることができるかどうかを見極めることが大切です。

物件探しの前に不動産会社に相談を

中古物件についても、不動産ポータルサイトや不動産会社に相談するという点においては新築物件を探すときと変わりません。ただし、中古物件は、新築マンションや分譲地などと違って同様の物件が複数売り出されるわけではありません。希望の条件の物件が売りに出たかと思えばすぐに売れてしまったということも少なくないため、物件が出てから不動産会社に問い合わせるのではなく、事前に具体的な要望を伝えておきましょう。信頼できる担当者と出会うことができれば、物件探しもスムーズに進みます。

リノベーションを視野に入れれば選択肢が広がる

中古となると設備や建具の劣化や住宅性能の低さが懸念点になりますが、リノベーションで新築のように生まれ変わらせることも可能です。ただし、建物や構造の状況、規約などによっては、希望するリノベーションができないことも。費用も状況次第です。新築と違い、物件を実際に見学ができるため、水回りや壁などのひび割れや、床の傾き、ドアの建付けなど納得いくまでチェックするようにしましょう。

状態が気になる場合はインスペクションや瑕疵保険を検討

現状に不安を感じる場合は「インスペクション」を実施したり、「瑕疵保険」に加入したりすることも検討してみましょう。インスペクションとは、第三者の専門家による住宅検査を指します。目に見えない部分の状況や修繕の要否がわかるため、中古住宅でも安心して購入できます。

ただし、インスペクションは、購入後の不具合まで補償してくれるものではありません。万一のことに備えるために有効なのが、検査と補償がセットになった瑕疵保険です。

東急リバブルのHPで気軽に楽しく物件探しができる

東急リバブルのホームページでは誰でも物件を楽しく検索できるようにさまざまなサービスがあります。

物件とのAI相性診断が無料でできるシステムは、簡単な質問に答えるだけで、相性度の高い物件が簡単に見つかり、物件ごとの相性度もわかります。

詳しくはこちら:AI相性診断

他にも物件探しに役立つサービスが! ※対象となる不動産のみ

ルームデコレーション

購入後の生活がイメージできるように、専門のインテリアコーディネーターがコーディネート。家具が置かれている状態で部屋の活用の仕方を確認できるだけでなく、家具の購入相談もできます。

詳しくはこちら:ルームデコレーション

ハッシュタグ検索

物件ごとの特徴を細分化し、ハッシュタグを作成しました。“独自のこだわり”や“物件の特徴”から「理想の住まい」をお探しいただけます。

詳しくはこちら:ハッシュタグ検索

リフォームシミュレーター

東急リバブルの独自のリフォーム見積もりシステムでスピーディーに見積もりを確認できます。

詳しくはこちら:リフォームシミュレーター

バーチャルインテリアルーム

お部屋の写真に3D家具を配置したCGイメージを掲載。購入後の生活がイメージしやすくなります。

詳しくはこちら:バーチャルインテリアルーム

CGリフォームイメージ

売主様がまだお住まい中で荷物が置いてある状態でもCGでリフォーム後のイメージを制作します。

詳しくはこちら:CGリフォームイメージ

まとめ

マイホーム購入ではさまざまな意思決定が求められ、内見や話し合いなど、しなければならないこともたくさんあります。しかし、そのすべては、その後の人生を豊かにするためです。選ぶ過程も楽しみながら、理想の暮らしを叶える物件を探していきましょう。

この記事のポイント

新築住宅と中古住宅にはどんな違いがありますか?

価格の差はありますが、新築住宅は住宅性能が高く、税制上の優遇も充実している傾向にあります。一方、中古住宅でもリノベーションによって住宅性能を高めることは可能であり、新築住宅と比べて選択肢は圧倒的に多いというメリットがあります。

詳しくは「新築住宅と中古住宅を比較」をご覧ください。

一戸建てとマンションにはどんな違いがありますか?

プライバシーが確保されやすく、騒音トラブルが起きにくいのは、やはり一戸建てです。しかし、マンションは利便性やセキュリティ、バリアフリー性などが総じて高い傾向にあります。

詳しくは「一戸建てとマンションを比較」をご覧ください。

マイホーム選びがなかなか進まないのですが……

すべての希望を100%叶えてくれる物件に出会うことは容易ではありません。マイホームに希望することは多岐に渡るでしょうが、希望を整理し、優先順位を決めていきましょう。

詳しくは「マイホーム選びに悩んだら希望を整理して優先順位を決めるべし!」をご覧ください。

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