築年数が30年を超えるような「古い家」は売却が難しいと思われている方も多いでしょう。確かに売却に苦労するケースが多いのが現状ですが、売り方や注意点を把握することで売却できる場合があります。
古い家を売るためには、売り方の選択肢を知っておくことが大切です。
本記事では、古い家の売却を検討している方のために、売る方法や注意点をわかりやすく解説します。
記事サマリー
古い家を売る方法
古い家を売るといっても、さまざまな「売り方」があります。主な方法は次の4つです。
- 仲介で売る
- 買取で売る
- リフォームしてから売る
- 空き家バンクを利用する
仲介で売る
仲介は、不動産会社と契約して売却を目指す一般的な売却方法です。
不動産会社は、売主に代わって買主を探して売却を進めていく、仲介役としての役割を果たします。売却成立時には、不動産会社への仲介手数料の支払いが必要です。
仲介の場合、比較的相場に近い価格で売却できる可能性が高くなります。また、売却する価格や時期、期間をご自身で決められるため、比較的自由に売却を進められます。
ただし、売却に時間がかかる点には注意が必要です。
一般的な不動産売却では、現金化まで相応の期間がかかります。古い家で需要が少ない場合は、買い手がなかなか現れず想定以上に期間がかかる可能性があるでしょう。
買取で売る
買取とは、不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法です。
仲介では、不動産会社はあくまで「仲介」であるため売買契約は買主と結ぶのに対し、買取では不動産会社が買主となるので、売買契約を不動産会社と結びます。
そのため、販売活動の必要がなく、不動産会社との価格交渉だけで、条件がまとまればすぐに売却できます。
また、仲介では買い手が決まりにくい物件でも売却しやすいというメリットもあります。転勤などの事情で売却時期が決まっていてずらしにくい場合には、買取を選ぶと良いでしょう。
古い家の場合、不動産会社は買い取った物件を建て直して再販することが多いですが、そもそも再販が見込める物件でなければ買取してもらえない場合もあります。
なお、買取には仲介で業者買取するケースもあり、この場合は仲介手数料が発生する点に注意が必要です。
リフォームしてから売る
古い家でも、リフォームしてから売る方法も考えられます。
リフォームすることで、新築のような内装でありながら、価格を安く抑えた物件として売却を開始すれば、古い家でも売れる可能性は高くなるでしょう。
すべてをリフォームする方法以外に、一部のみのリフォームにすることでリフォーム費用を抑えるケースも考えられます。
後者のケースでは、買い手が特にチェックすることの多いキッチンやお風呂、トイレなどの水回りをリフォームするのがおすすめです。ほかの部分が古くても水回りが新しければ買い手に良い印象を与えられるものです。
なお、リフォームしたからといってリフォーム費用を売却価格に上乗せできないことが多い点には注意が必要です。費用と売却価格を比較し、慎重に検討するようにしましょう。
空き家バンクを利用する
誰も住んでいない古い家の物件を相続した場合の売却では、空き家バンクを利用するのもおすすめです。
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家と買主のマッチングサービスです。空き家バンクに登録することで、古い空き家目的の買主の目に留まりやすい傾向があります。
ただし空き家バンクは一般的な不動産サイトに比べてアクセス数が少ないため、売却に時間がかかる可能性がある点には注意が必要です。
利用するサイトによっては、売買交渉や内覧対応をご自身でしなければならない場合もあります。
また、空き家バンクに登録した物件は不動産会社と仲介契約を結べない場合があるため、登録前に不動産会社に確認することをおすすめします。
古い家を売る際の注意
古い家を売る際は、「契約不適合責任」に注意が必要です。
契約不適合責任とは、契約書の内容とは異なる目的物を引き渡した際に、売主が問われる責任のことをいいます。
不動産の契約の場合は、引き渡す物件の「品質」が主に契約不適合責任を問われる問題となります。
具体的には、物件に不具合があるのに、不具合がないものとして売却した場合に問われます。責任を問われる不具合には、次のようなものがあります。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 水道管の老朽化による水漏れ
- 家屋の傾きや塀の崩れ
- 土壌汚染や地中埋設物
とくに、古い家では経年劣化や設備の老朽化による故障などで、この契約不適合責任を問われる可能性が高くなるため注意しなければなりません。
これらの問題を買主が知らずに購入した場合、売主は修繕費の支払いや損害賠償、契約解除などの負担を負う場合があります。また、売主が把握していない不具合についても、この責任が問われる可能性があります。
契約不適合責任を避けるためには、物件の不具合は細部まで検査、把握し、買主に伝える必要があります。そのうえで、契約書に不具合の内容をすべて明記する必要があるのです。
解体して土地として売るのもひとつの手段
古い家の場合、家屋の状態によってはなかなか売却できないケースもあります。そのような場合は、家屋を解体して土地として売るのもひとつの手段といえるでしょう。
更地の状態であれば、買主が自由に建築したり土地活用したりできるため、買い手の幅が広がります。また、建物がないので契約不適合責任の問題を解消できるというメリットもあります。
ただし、古い家の場合、一度解体して更地にしてしまうと再建築不可の場合があるので注意しましょう。
接道義務などの建築基準法上、必要な条件を満たしていないケースなどが再建築不可の要件にあたります。
この場合、解体すると新しい建物を建てられず、解体することで買い手が付かなくなる可能性も高くなります。
再建築できるかどうかは自治体で確認できるので、解体前に確認しましょう。
その他、昭和56年以前に建てられた空き家を相続したようなケースなど、一定の要件を満たせば、解体することで税制優遇を得ることも可能です。こちらも条件にあてはまりそうであれば確認しておきましょう。
解体後は土地の固定資産税があがる点に注意
解体後に気を付けなければならないのが、固定資産税です。
固定資産税とは、不動産の所有者に毎年課せられる税金のことをいいます。建物だけでなく、土地や山林、田畑、工場、倉庫など、おおよそすべての不動産に対してかかります。
固定資産税は、土地と建物の両方に課せられます。ただし、土地に居住用の建物が建っている場合、土地の固定資産税が大幅に減税される特例があります。
この特例は、居住用の建物が建っていることが条件のため、建物を解体し土地に戻すと適用できません。そのため、建物が建っている状態よりも土地に対して高い税金が課せられます。
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負うため、解体のタイミングは慎重に判断する必要があります。土地に戻してすぐに買い手が付くのであれば、固定資産税があがっても影響はないでしょう。
しかし、買い手がすぐに見つからない場合で賦課期日を迎えると、高い税金が課せられるので気を付けましょう。
空き家の状態で解体せずに長期保有すると、管理費がかかるだけでなく、倒壊などで近隣へ被害を出す可能性もあります。
また、状態が悪いことで、自治体から「特定空き家」に指定されると、建物に関する固定資産税の減税特例も受けられなくなるので注意が必要です。
補助金制度が利用できることもある
自治体によっては、空き家の解体に補助金を設けている場合があります。とくに、倒壊の危険性がある空き家などは、補助金を活用できる可能性が高くなります。
補助金の有無や適用条件、補助率などは自治体によって異なります。解体前に、自治体の窓口や解体業者に補助金について確認すると良いでしょう。
解体すべきかどうかは不動産会社に相談しよう
解体すべきかどうかはご自身だけで決めるのではなく、一度不動産会社に相談して判断することをおすすめします。
また、古い家の場合、ご自身で好きにリフォームしたいという買い手がいる可能性もあります。一度解体してしまうと、物件としては売り出せません。
どの選択肢をとるにしても、一度不動産売却のプロである不動産会社に相談すると良いでしょう。
ポイントを押さえて古い家の売却を成功させよう
古い家の売り方や注意点をお伝えしました。
古い家は売却が難しいケースが多いですが、売り方次第で売却は可能です。
ただし、トラブルを避けるために、売る際には契約不適合責任など法律的な問題も押さえておく必要があります。
本記事を参考に、古い家の売り方について理解し、売却を検討されてみてはいかがでしょうか。
この記事のポイント
- 古い家を売る方法とは?
古い家を売る方法は以下の通りです。
- 仲介で売る
- 買取で売る
- リフォームしてから売る
- 空き家バンクを利用する
詳しくは「古い家を売る方法」をご確認ください。
- 古い家を売るときに気を付けるポイントとは?
古い家を売る際は、契約不適合責任に注意が必要です。契約不適合責任は契約書の内容とは異なる目的物を引き渡した際に、売買主が問われる責任のことをいいます。
詳しくは「古い家を売る際の注意」をご確認ください。
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