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スマートシティとは?注目される理由や取り組みの事例をわかりやすく解説

スマートシティとは、「ICT技術などを活用して社会の課題を解決し、新しい価値を作り続ける都市」のことです。スマートシティにより持続可能な社会が実現し、私たちがより暮らしやすい社会になることが期待されています。

この記事では、スマートシティの意味や注目される理由を解説します。実際にスマートシティを推進する自治体の取り組み事例も紹介するので、参考にしてください。

スマートシティとは

スマートシティとは、「ICT技術などの最新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理、運営など)を行いながら、都市や地域の課題を解決し新たな価値を作り続ける持続可能な都市」です。

内閣府や国土交通省、総務省などが民間と一体となってスマートシティの実現を進めており、世界各国でもさまざまな取り組みが行われています。

またスマートシティは、ソサエティ5.0やSDGs(持続可能な開発目標)の達成を実現する場としても捉えられています。ソサエティ5.0は、狩猟、農耕、工業、情報社会に次ぐ日本が目指すべき新たな社会、SDGsは2030年までに達成を目指す17つの国際目標のことです。

ソサエティ5.0は社会問題を解決するための科学技術政策であり、SDGsは社会問題を解決するための目標です。つまり、ソサエティ5.0の実現やSDGsの目標達成のためにも、スマートシティを推進してさまざまな社会問題を解決することが非常に重要となるのです。

スマートシティで活用される「ICT技術などの最新技術」とは、IoT(自動車や家電など、「モノ」とインターネットがつながる技術)、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの技術を指します。

スマートシティが注目される理由

スマートシティが注目されるのは、ICT技術などの最新技術を活用することで、環境や人に配慮しつつ多くの課題を解決できると考えられているためです。

高齢化や都市への人口集中、都市型災害、待機児童など、日本はさまざまな課題を抱えています。自動運転やドローン、データの分析や予測などを活用すれば、これらの社会問題を解決できると期待されています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響でデジタル化が急速に進んでいることも、スマートシティが注目されている理由の1つです。

スマートシティで実現するもの

最新技術を用いてスマートシティが実現されると、どんな社会が実現されるのでしょうか。私たちの生活がどう変わるのかを以下で解説します。

持続可能な社会

スマートシティにより、「持続可能な社会」の実現が期待されます。持続可能な社会とは、将来の世代にとって必要なものを損なうことなく、私たちの欲求も満たせるような社会を意味します。

最新技術を活用して、交通、健康、防災、エネルギー、観光、インフラ、セキュリティなどに関わるさまざまな社会問題が解決されるのがスマートシティです。

環境を保全しながら新たな価値を生み出すので、現代の私たちだけでなく将来の世代も暮らしやすい社会が実現できます。

具体的な例をあげると、交通の分野では自動運転の技術が活用され、都市の渋滞解消が期待されます。高齢者の買い物難民問題なども解消されるでしょう。

また、防災の面では、気象データを活用して予測やシミュレーションなどを行うことで、最適な防災対策が行いやすくなります。

観光の分野では、地域一体でキャッシュレス化を進めるなど、最新技術の活用により地域活性化にもつながるでしょう。

このように、スマートシティによりさまざまな分野において暮らしやすい社会の実現が期待できます。

また、国際目標であるSDGsが目指すべき世界も、「持続可能でよりよい世界」です。そのため、スマートシティはSDGsの達成にも貢献すると考えられています。

人々の生活の質の向上

スマートシティが実現すると、人々の生活の質が向上することが期待されています。

ICT技術の活用により距離や時間の制約が減り、生活の維持に使っていた時間を自己実現の活動や余暇の時間に使えるようになるためです。

例えば、将来的に運転を完全に人工知能(AI)に任せられる社会になれば、移動中の車内での時間も自由に使えます。

また、テレワークが当たり前になれば通勤時間がなくなるため、住む場所の選択肢が広がり、時間もより有効に使えるでしょう。

上記のほかにも、これまで最低限の暮らしを維持するために割いていた時間を、夢を実現するための学びや人との交流、体験など、より付加価値のある活動に使えるようになることが期待されます。

スマートシティの課題

スマートシティで私たちの社会がより良くなることが期待されますが、一方で以下のような課題もあります。

  • プライバシーへの懸念
  • ICT機器などのトラブル
  • コストがかかる

プライバシーへの懸念

スマートシティでは、住民の行動などのパーソナルデータが活用されます。そのため、「プライバシーが守られないのでは」、「監視社会になるのでは」など、プライバシーへの懸念が生じるのは避けられないでしょう。

スマートシティの基本原則では、プライバシーの確保を徹底することが掲げられています。オープンなデータ環境を整えるのに併せて、住民のプライバシー確保も同時に進められています。

ICT機器などのトラブル

スマートシティの実現には、ICTの技術(情報通信技術)が欠かせません。しかし、ICT機器にはシステム障害やサイバー攻撃のリスクが伴います。スマートシティでは、ICT機器のシステムにトラブルが発生すると都市機能が麻痺する可能性があります。

これらのリスクを防ぐには、データ漏洩や機器の改ざん防止などの対策が行われなければなりません。政府でも、サイバーセキュリティ対策などが推進されています。

コストがかかる

スマートシティ実現には、既存のインフラと最新技術を結びつける必要があり、多額のコストがかかります。

各自治体もスマートシティ化を進めていますが、住民から賛同が得られないなどで計画どおりに進まない可能性も考えられるでしょう。コストの面については、地域課題を解決するために自治体などが行うスマートシティ事業に対して、公的な補助も進められています。

スマートシティの実例

最後に、日本・海外のスマートシティの実例を紹介します。

  • 北海道札幌市
  • 兵庫県加古川市
  • シンガポール
  • デンマーク・コペンハーゲン市

北海道札幌市の取り組み事例

北海道札幌市では、「健康寿命の延伸」という課題に対し、健康ポイント事業を行っています。健康ポイント事業とは、市民が歩いた分だけポイントがもらえるアプリ「さっぽろ圏公式ポイントアプリ」を提供し、健康促進を図るものです。

また、札幌市ではオープンデータの活用も進められています。「DATA-SMART CITY SAPPORO」というサイトは、人流データをオープンにし、新しいサービスの開発などに活用している事例です。

兵庫県加古川市の取り組み事例

兵庫県加古川市が取り組んでいるスマートシティ事業は、「見守りカメラ」と「見守りサービス」です。

「見守りカメラ」は、犯罪発生率の課題を解決するため、小学校の通学路や学校周辺にカメラを設置し、子どもの安全確保に努めるものです。

子どもたちが安心して通学できる環境を整えるほか、撮影データを捜査機関などに提供することで、事件などの解決にも役立てられます。

また、見守りカメラにビーコンタグ検知器を内蔵し、子どもや認知症などで行方不明になるおそれのある方の位置情報を家族に伝えるのが「見守りサービス」です。

シンガポールの取り組み事例

シンガポールが国家全体で取り組んでいる「Smart Nation」は、「ヘルスケア」「交通・輸送」「エネルギー・環境」「安全・セキュリティ」の4分野でデータを活用するものです。

エネルギー・環境分野では、家庭での公共料金やエネルギーの使用量を可視化するアプリを開発、交通面では自動運転技術を開発するなど、データを活用したさまざまな取り組みが行われています。

デンマーク・コペンハーゲン市の取り組み事例

デンマーク・コペンハーゲンのスマートシティ事業「Copenhagen Connecting」は、主にデータの収集・分析により、市民が快適に暮らせる社会を目指しています。

例えば、「CITS」は、プライバシーを保持しつつ自動車や自転車の位置情報データを集めることで、交通渋滞の解消やCO2排出量の削減を目指す取り組みです。

また、路上温度や汚染物質を計測するセンサーを搭載し、環境汚染課題に取り組む「DOLL」なども行われています。

スマートシティで私たちがより暮らしやすい社会に

交通渋滞や災害、高齢化など、深刻な社会問題が存在しています。スマートシティが実現すれば、たくさんの社会問題が解決され、私たちの生活の質の向上が期待されます。

距離や時間などのさまざまな制約がなくなり、自己実現の活動や創作的な活動、付加価値の高い体験などに時間を充てられるようになれば、より幸福度の高い快適な暮らしが送れるでしょう。

この記事のポイント

スマートシティとは何?

スマートシティとは、「ICT技術などの最新技術を活用し、都市や地域の課題を解決し新たな価値作り続ける持続可能な都市」のことです。

ソサエティ5.0やSDGsの達成にも貢献するものとして捉えられており、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットなどの技術が重要となります。

詳しくは、「スマートシティとは」をご覧ください。

スマートシティの課題は?

スマートシティの課題には、データの活用によるプライバシーへの懸念、ICT機器のシステム障害やサイバー攻撃のリスク、多額のコストなどがあげられます。

詳しくは、「スマートシティの課題」をご覧ください。

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