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住みたいのは「いつも整った家」でなく「いつでも整えられる家」。整理収納アドバイザー・まあちさん

7年前に築25年以上の中古マンションをリノベーションして、いまも快適に住んでいらっしゃる整理収納アドバイザーのまあちさん。「使いやすく片付けやすい家をつくることで、いつも整った住まいが保てる」といいます。
まあちさんの実体験を踏まえて、リノベ&整理収納のコツを伺いました。

まあちさんプロフィール
●整理収納アドバイザー。「すっきり暮らしながら家時間もおしゃれも楽しむ」をテーマに、暮らしを整え、楽にする家事ノウハウなどを発信している。
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家事育児からこまごまとした用事や身支度まで、すべてをリビングで完結させられる家

2DKの賃貸に住んでいたまあちさん一家が、4LDKの中古マンションを購入したのは7年前のこと。
子どもが生まれて手狭になったため、これまでと同じ賃貸から新築、中古と、さまざまな物件をチェックした。
しかし、譲れないポイントだった「駅近」を重視すると、予算内での新築はなかなか難しい。
価格を抑えて自分たちらしい家がつくれるリノベーションに、自然と興味が向いた。

「そうして出会ったのが、いま住んでいる物件です。築25年と古かったけれど、リノベでいくらでもきれいに直せると思ったし、何より広さが気に入りました。当時は、もうすぐ1歳になろうとしていた息子が、つかまり立ちを始めたころ。起きている間じゅう目が離せなかったため、リビングダイニングですべての用事が完結するような家に作り替えたいなと考えました」

●リノベーション前。リビングの一角に和室がある。


●リノベーション後。和室をなくして、リビングを広く

まずは、ベーシックな4LDKから1部屋をなくして、リビングを拡張。キッチンと合わせて、22畳近い空間を確保した。
子どもを遊ばせて、目を配りながら家事をするにも完璧な間取りだ。

「いまの家族構成なら3LDKで充分なので、思いきって2室をぶち抜いたら、これが大正解でした。広いリビングに、大きなクローゼットをどんと置いたのも使いやすくて最高。夫婦の服やバッグだけでなく、日々こまごまと使う雑貨や文房具、アイロンなんかもすべてそのなかに収納しています。これが本当に便利で、家のなかをあちこち動き回らなくても、いろんな家事や身支度がリビングで完結するんです」

たとえば、要らなくなった服をメルカリに出して売れた場合、梱包と発送の作業が発生する。
まあちさん宅なら、寝室のクローゼットに行って服を取り出し、ストレージからガムテープを出して……などと行き来する必要はゼロ。
リビングのクローゼットに、売れた服からガムテープ、ビニール袋、封筒といったすべてのアイテムがまとまっている。
ちなみに、メイクアイテムやドライヤーも、リビングにある全身鏡の裏だ。

「多くのマンションでは寝室にウォークインクローゼットがあるけれど、一概にそれが便利だとはいえません。私は着替えもメイクもリビングでするから、この配置が一番いい。自分の生活スタイルに合わせて、間取りや収納を考えられるのが、リノベのうれしいところです」

デザインだけでなく、使い勝手やメンテナンスのしやすさも考えて

リノベを進めるにあたって大変だったのは、理想と現実のバランスをとることだった。
たくさんの付箋を貼った雑誌を打ち合わせに持ち込み、イメージどおりのリノベをしてもらったまあちさんでも、少しだけ後悔があるという。

「我が家の洗面所は、タイル貼りでめちゃくちゃかわいいんです。かわいさ最優先で選んだぶん、見た目は本当にお気に入り。ただ、掃除がとってもしづらくて……目地に溜まるホコリの手入れがすごく大変なんですよ(笑)。よくよく考えれば当たり前のことなんですが、当時はもうそのかわいさにしか目がいきませんでした。こだわりも強かったから突っ走ってしまったけれど、プロの視点から使い勝手をアドバイスしてもらえていたら、たぶんタイルにはしていなかったと思います。実際、壁紙を選ぶときには『これなら水ぶきができるから手入れも簡単ですよ』と言われ、それも決め手になりました」

出来上がったあとの使い勝手や掃除のことだけは、事前にちゃんとプロに確認しておいたほうがいい、とまあちさんは断言する。

「だって、そこに住んでずっとメンテナンスをしていくのは自分。かわいくて一瞬テンションが上がっても、あとが大変です。私もこれからまたリノベをするなら、掃除しやすい素材を全体的に取り入れていきたいですね。それだけでずいぶん家事に費やす時間が変わってくるだろうし、そうやって家事を効率化したぶん、自分の時間が増えますから」

汎用性の高い収納アイテムとルールがあれば家はいつでもきれいになる

いざ物件を見つけ、間取りや壁紙、床のリノベーションが済んだら、整った住まいづくりのために、引っ越しの段階から気をつけておきたいことがある。

「引っ越しをしてくるときに、要らないものをちゃんと処分することが肝心です。広い家に引っ越す場合、『今度の家は収納が多いから』と荷造り時の断捨離が甘くなってしまいがち。でも、住めば絶対に荷物は増えていくんだから、最初の荷物は少なくして、スペースを余らせておくほうがいいに決まっています。不要なものを無駄に移動させず、引っ越しのタイミングできちんと処分しましょう」

新しく収納アイテムを買うときには、ベーシックなデザインや汎用性の高いものを選ぶのがいい。
子どもの成長や夫婦の働き方など、ライフスタイルの変化によって、臨機応変に活用できる。

「たとえば、3段1セットで連結している収納ケースより、少々割高でも1段ずつ離して使える収納ケースを3つ買うほうが、いろんな使い方に対応できます。ほかにも、赤ちゃんのときしか使えないようなポップなカラーの家具や、本人がほしがっているわけでもない勉強机、専用のランドセルラックなどは買っていません。おもちゃ棚なんて、私が小学校のころから使っている勉強机に付いていたものを、塗り直して使ってるんですよ」

「いつも整った住まい」と聞くと、常に整理整頓がなされ、床には塵ひとつなく、水回りもピカピカ……といったイメージが浮かぶ。
整理収納アドバイザーの自宅といえば、なおさらだ。ところがまあちさんは「基本は整っていないです」と、笑う。

「まだ小学生の子どももいるし、私自身も出しっぱなし、開けっぱなしの性格だから、基本的に家は散らかっています。でも、たとえば誰かが遊びに来るとなったら、すぐに片づけられるんです。それは、生活動線を意識した家具の配置や、あらゆるものの片づけ場所を決めることを徹底しているから。頭を使わなくても効率的に片づけられる仕組みになっていれば、息子一人でも簡単にきれいにできます。そうすれば、散らかすことに対して怒る必要もありません」

言われてみれば、必要なのは“いつも整っている住まい”ではなくて“いつでも整えられる住まい”だ。
生活も手入れもしやすい家にリノベしておけば、それは意外と簡単に叶うのかもしれない。

(取材・文:菅原さくら)

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