ざっくり要約!
- つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの期間、一時的な資金を賄うためのローンです。
- 「もったいない」といわれる理由は、金利が住宅ローンより高く手数料がかかることや、住宅ローン控除の対象外であることです。
- つなぎ融資の活用によって、自己資金が少なくても理想の住まいを購入できたり、買い替えの際に納得できる価格で売却できたりする可能性があります。
住まいの購入や買い替えを検討する際に「つなぎ融資はもったいない」と聞いて、利用をためらう方もいるのではないでしょうか。つなぎ融資には利息や手数料が発生する一方、上手に活用することで理想の住まいを実現しやすいというメリットもあります。
本記事では、つなぎ融資が「もったいない」といわれる理由や、その仕組みをわかりやすく解説します。費用を抑えて上手に活用するポイントやつなぎ融資のメリットも紹介しますので、資金計画を立てる際にぜひ参考にしてください。
記事サマリー
つなぎ融資が利用される場面とは?
つなぎ融資は、住宅ローンが正式に実行されるまでの期間、一時的に必要となる資金を賄うための仕組みです。どのような場面で利用されるのか、代表的な2つのケースを見ていきましょう。
- 注文住宅の購入
- 住まいの買い替え
| ・「つなぎ融資」に関する記事はこちら つなぎ融資とは?メリット・デメリットや仕組みをわかりやすく解説 |
注文住宅の購入
注文住宅を建てる場合、その住宅に担保(抵当権)を設定できる状態、つまり建物完成後になってから住宅ローンが実行されます。しかし、実際には建物の完成前に、土地の購入代金や、工事の着工金・中間金といった支払いが必要です。
この間を埋めるのが、つなぎ融資の役割です。まず、つなぎ融資を利用して土地代や着工金などを支払い、工事を進めます。建物が完成し、住宅ローンの融資が実行された時点で、その資金を使ってつなぎ融資を一括で返済する流れです。
| ・「注文住宅」に関する記事はこちら 初めての注文住宅ガイド│必要な費用、購入者の統計、流れまで徹底解説 |
住まいの買い替え
住まいの買い替えでは、現在の住まいの売却と新しい家の購入を並行して進めます。特に、新居の購入を先に行う「買い先行」のケースでつなぎ融資が役立ちます。現在の住まいの売却代金を受け取る前に、新しい家の購入代金を支払う必要があるためです。
この場合、まずつなぎ融資で新居の購入資金を借り入れて支払いを済ませます。その後、現在の住まいが売れて売却代金を受け取った際に、その資金でつなぎ融資を完済するという流れです。
| ・「家の買い替え」に関する記事はこちら 家の買換えで知っておきたいことを解説!住み替えローンやつなぎ融資についても紹介 家の買い替えの流れは? 買い替えの手順とベストなタイミングを解説 |
つなぎ融資はもったいないと言われる3つの理由
つなぎ融資は便利な仕組みである一方、費用面の負担がデメリットと感じられることもあります。主な要因として、以下の3点が挙げられます。
- 金利が高い
- 手数料がかかる
- 住宅ローン控除が利用できない
金利が高い
つなぎ融資がもったいないといわれる大きな理由は、住宅ローンに比べて金利が高く設定されている点です。一般的な住宅ローンの金利が1%を下回ることもあるのに対し、つなぎ融資の金利は年2~4%程度が相場とされています。
金利が住宅ローンより高めに設定されているのは、建物が完成していないことから抵当権設定ができず、金融機関にとってリスクが高い融資となるためです。
借入期間は短いものの、元金が大きいため利息が負担となり、「もったいない」と感じられる要因になっています。
| ・「住宅ローン金利」に関する記事はこちら 住宅ローンの変動・固定金利の推移は?今後の選択ポイントを解説 |
手数料がかかる
つなぎ融資を利用する際は、利息の他に諸費用が発生します。住宅ローンとは別に融資契約を結ぶため、事務手数料や印紙代などが別途必要です。
事務手数料は金融機関によって異なり、10万円前後が目安です。ただし、なかには手数料を無料としている金融機関もあります。また、印紙代はつなぎ融資の契約金額に応じて必要です。
住宅ローン控除が利用できない
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に応じて所得税などが控除される制度ですが、つなぎ融資はこの制度の対象外です。
住宅ローン控除の対象となるのは、住宅の取得を目的とした返済期間10年以上のローンです。つなぎ融資は一時的な借り入れであり、住宅ローン本体ではないため、控除は受けられません。
こうした税制上のメリットを享受できない点も、つなぎ融資がもったいないと考えられる理由のひとつです。
| ・「住宅ローン控除」に関する記事はこちら 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)で税金はいくら戻る?要件や手続き方法を解説 |
つなぎ融資のメリット

つなぎ融資にはコストの負担がある一方、住宅ローン実行前に必要な資金を調達でき、不動産購入をスムーズに進められる利点もあります。具体的なメリットとして、主に以下の3点が挙げられます。
- 自己資金が少なくても住まいの購入・買い替えができる
- 焦って今の住まいを売らなくていい
- 基本的に担保不要
自己資金が少なくても住まいの購入・買い替えができる
つなぎ融資のメリットは、手元の自己資金が少ない場合でも、土地の購入や注文住宅の建築、住まいの買い替えを進められる点です。
住宅ローンの融資実行前に必要となる多額の支払いを自己資金で用意するのは簡単ではありません。つなぎ融資を活用すれば、一時的に必要な資金を確保でき、貯蓄が十分でない場合でもマイホーム購入が可能となります。
焦って今の住まいを売らなくていい
住まいの買い替えで、先に新居を購入する「買い先行」を選ぶ場合、つなぎ融融資には大きなメリットがあります。新居の購入資金を一時的に確保できるため、現在の住まいの売却を急ぐ必要がありません。
売却を焦ると、希望よりも低い価格で手放さなければならないこともあるでしょう。つなぎ融資を利用して資金に余裕を持たせることで、時間をかけて、より良い条件での売却を目指せます。
| ・「買い先行・売り先行」に関する記事はこちら 家の買換えでベストなタイミングとは?買い先行と売り先行も解説 家の買い替えで後悔する事例と注意点|買い先行・売り先行についても解説 |
基本的に担保不要
住宅ローンは購入する物件を担保としますが、つなぎ融資を借りる時点では建物が完成しておらず、担保にできません。そのため、つなぎ融資は担保不要で借り入れできる場合が多くなっています。
担保不要の場合は抵当権設定登記が必要なく、手続きの手間や登録免許税、司法書士への報酬などがかからない点もメリットです。
なお、金融機関によっては、取得する土地への抵当権設定をつなぎ融資の条件としている場合もあります。
| ・「抵当権」に関する記事はこちら 抵当権をわかりやすく解説!設定・抹消手続きの流れと不動産の売却方法 |
賢くつなぎ融資を活用する方法
つなぎ融資の費用負担を抑えるには、計画段階からポイントを意識することが必要です。ここでは、つなぎ融資を上手に活用するための3つの方法を解説します。
- 借り入れ期間を短くする
- 借り入れ条件を比較する
- 融資額を抑える
借り入れ期間を短くする
つなぎ融資の利息は日割りで計算されるため、借り入れ期間が短いほど支払う利息の総額は少なくなります。できる範囲で借り入れ期間を短縮することが、費用を抑えるポイントです。
注文住宅の場合は、工務店やハウスメーカーと打ち合わせし、無理のない範囲で建築スケジュールを組むことが大切です。買い替えの場合は、現在の住まいの売却活動を計画的に進め、引き渡しまでの期間をできる限り短くするように動きましょう。
借り入れ条件を比較する
つなぎ融資の金利や手数料は、取り扱う金融機関によって異なります。そのため、複数の金融機関の条件を比較検討するのがポイントです。
つなぎ融資は、住宅ローンとセットで同じ金融機関に申し込むのが一般的です。また、フラット35にはつなぎ融資の制度がなく、利用する場合は申込先の金融機関が提供する専用のつなぎ融資を活用するなど、取り扱い形態は多様です。
住宅ローンの借入先を検討する段階で、つなぎ融資の取り扱いの有無や金利、手数料、担保要件まで含めて比較検討し、支払総額が少なくなる金融機関を選びましょう。
融資額を抑える
つなぎ融資で借り入れる金額を必要最低限に抑えることも、費用を節約する上で有効です。自己資金で支払える部分があれば、その分だけ融資額を減らすことで、支払う利息も少なくなります。
土地代や着工金、中間金など、それぞれのタイミングで必要になる金額を正確に把握し、不足分だけを借り入れましょう。そのためには、事前に詳細な資金計画を立てることが必要です。
| ・東急リバブルの「立替払制度(資金のつなぎ制度)」はこちら |
まとめ
つなぎ融資は、住宅ローンの実行前に必要な資金を一時的に補うための仕組みです。金利や手数料がかかることから「もったいない」といわれるものの、自己資金が足りない状況でも理想の住まいを実現できる有効な手段といえます。
注文住宅の建築や買い先行での住み替えなどでは、つなぎ融資を活用するメリットが大きいでしょう。複数の金融機関を比較し、借入期間や融資額を必要最小限にすることで、コストを抑えるのがポイントです。
住まいの買い替えで資金計画にお悩みの場合は、ぜひ東急リバブルにご相談ください。お客様の状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。
この記事のポイント
- つなぎ融資はどういう場面で利用されますか?
つなぎ融資は、住宅ローンが正式に実行されるまでの期間、一時的に必要となる資金を賄うための仕組みです。
詳しくは「つなぎ融資が利用される場面とは?」をご覧ください。
- つなぎ融資はもったいないのでしょうか?
つなぎ融資は便利な仕組みである一方、費用面の負担がデメリットと感じられることもあります。
詳しくは「つなぎ融資はもったいないと言われる3つの理由」をご覧ください。
- つなぎ融資のメリットはなんでしょうか?
つなぎ融資にはコストの負担がある一方、住宅ローン実行前に必要な資金を調達でき、不動産購入をスムーズに進められる利点もあります。
詳しくは「つなぎ融資のメリット」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
つなぎ融資が「もったいない」といえるかどうかは、利息や手数料だけでは判断できません。そのコストを負担してでも得られるメリットが、自分にとってどれほど価値のあるものかが重要です。
たとえば、希望に合う物件を見つけても自己資金が不足している場合、資金を用意する間に売れてしまう可能性があります。そうしたケースでは、支払う利息を「理想の住まいを得るための必要経費」と捉えることもできるでしょう。

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