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介護老人保健施設(老健)とは?施設の特徴や入所にかかる費用を解説!

介護老人保健施設は、「老健」とも呼ばれる公的施設です。通常の老人ホームとは異なり、介護を要する高齢者が自宅復帰や自立した日常生活に戻れるように、支援サービスを提供します。

この記事では、介護老人保健施設の特徴や入所にかかる費用、注意点などを解説します。

介護老人保健施設(老健)とは高齢者の自立を支援する施設

介護老人保健施設は、高齢者が長期間の入院などが理由で、すぐに日常生活へ復帰することが難しい場合などに医療ケアやリハビリテーションを行う施設です。高齢者の自立を促し、自宅復帰をめざして支援します。

介護老人保健施設の特徴は、何よりもリハビリに特化した体制があげられます。また、入所期間に制限がある点も大きな特徴です。

介護老人保健施設(老健)のサービス

介護老人保健施設は、自治体や法人が運営する公的な介護保険施設で、主に要介護や要支援の方に向けたサービスを実施しています。

以下、利用できるサービスを解説します。

入所(施設サービス)

要介護1以上の認定を受けた方が利用できます。

入所すると、医療・看護、介護やリハビリなどのサービスを受けることが可能です。

利用できる期間は原則3~6ヶ月ですが、その先の入所継続の必要性は施設ごとの基準に基づき審査されます。

デイケア(通所リハビリ)

リハビリのサービスを受けるために、デイケア(通所リハビリ)として利用することも可能です。

高齢者で、要支援1・2、要介護1~5の認定を受けた方が対象です。作業療法士や理学療法士などの専門スタッフが対応します。

家族、介護者のレスパイト(休息)としての利用

家族の都合によって、介護を受けることが一時的に難しくなった場合にも活用できます。例えば、冠婚葬祭、あるいは旅行、そして家族や介護者のレスパイト(休息)の際にも利用されています。

入所と同じく、リハビリや介護・看護などのサービスを受けることが可能です。

介護老人保健施設(老健)の入所期間は原則約6ヶ月まで

介護老人保険施設(老健)の魅力のひとつは、入所するまでの待機期間が比較的短くて済むことです。長期間にわたって介護が受けられる施設には、特別養護老人ホーム(特養)もあります。

しかし、こちらは人気が高く、全国の入所待機者は数十万人にのぼります。特別養護老人ホームと比べた場合、介護老人保険施設は短い待機期間で入所できます。

短い待機期間で済む理由は、入所期間が基本的に3ヶ月~6ヶ月と限られており、ベッドの回転数が早いためです。

ただし、在宅復帰に力を入れている施設や、利用期間をとくに定めていない施設など、経営方針によってベッドの回転数や入所期間は異なります。

介護老人保険施設への入所を希望する場合は、それぞれの施設の特色を事前に確認しておきましょう。

介護老人保健施設(老健)はリハビリ体制が充実している

介護老人保健施設のもっとも大きな魅力は、リハビリサービスの質の高さです。

入所者が日常生活に戻ることを一番の目的としているため、専門スタッフがリハビリサービスを行い、在宅復帰できるように力を注いでいます。

介護老人保健施設では、それぞれの入所者に合わせたプログラム(機能訓練)が個別に作成され、そのプログラムを受けることで、身体機能の回復が期待できます。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など、各ジャンルの専門家と連携しながら、マンツーマンで利用者の在宅復帰をめざしてサポートします。

そのため、日常生活に復帰するまでの身体的・精神的な準備が整うまでの間、入所者は安心してリハビリに集中することができるでしょう。

また、介護士によって排泄や入浴の介助サービスが行われるほか、常勤する医師からの医療ケアも受けることができます。

介護老人保健施設には、入所者100人につき1人以上の医師がいなければならないと定められており、さらに看護師も24時間常駐しています。

利用者の健康管理や万が一の緊急時対応のための体制も整っているのも、介護老人保健施設の特徴のひとつです。

介護老人保健施設(老健)の入所費用は?

介護老人保健施設は入所一時金が不要で、月額費用が約7~13万円かかります。公的施設であることから介護保険が適用されるため、自己負担額は1~3割に抑えられるでしょう。

月額料金には、居住費、食費、介護サービス費が含まれます。これらの分として支払った費用は医療費控除の対象となるため、税制上のメリットもあります。

部屋のタイプは個室型、ユニット型、多床型などがあります。

プライバシーを確保しやすい個室型やユニット型は、相部屋の多床型に比べて費用が高めになる傾向があります。

介護老人保健施設の注意点は?

介護老人保健施設は、入所までの待機期間が短く、さらに公的施設であることから費用も安く済むのが魅力です。

しかしその一方で、プライバシーの問題や、リハビリに特化していることからレクリエーションが期待できないなどの注意点もあります。

入所期間が限定されている

介護老人保健施設を利用する際の注意点は、老人ホームのように長期利用が前提ではない点です。

介護老人保健施設はあくまでも「在宅復帰」をめざす施設なので、入所期間は原則として3ヶ月~6ヶ月と決められています。

施設に入所している間に行われる審査で「在宅復帰が可能」と判定された場合は、すみやかに退所しなければなりません。

ただ、現実には期間内にリハビリが終了して在宅復帰可能とみなされるケースは少なく、実際には3ヶ月、6ヶ月を越え、1年以上もリハビリを続けることも珍しくありません。

介護老人保健施設は、退所後も自宅で日常生活を送りながら、リハビリのための来所や、スタッフによる自宅訪問、一時的な施設滞在なども可能です。

多床室が多くプライベートが気になる

介護老人保健施設の居室は、基本的に4名以下による共同利用というスタイルがほとんどで、とくに多いのは4名部屋です。2名部屋や個室を利用する場合は、特別料金が加算される場合もあります。

複数人の利用によるデメリットは、プライバシーの確保が難しい点です。家族以外の人と共同生活を行うことに抵抗がある場合は、ストレスを感じる可能性があります。

生活支援サービスが充実していない

介護老人保健施設では日常生活への復帰をめざすリハビリに力を入れているため、身体面の介護サービスが充実しています。

しかし、日用品の買い物代行や洗濯などの生活支援面のサービスが提供されない、あるいはあまり充実していないのが現状です。

例えば、入所者の着替えの洗濯は、家族が来所して持ち帰るケースや、外部の業者に委託するケースなどがあります。

介護老人保健施設を利用する場合は、そうした日常生活のケアも考える必要があります。

リハビリメインのためレクリエーションがない

レクリエーションやイベントが実施されにくい点も考慮しておきましょう。あくまでも介護老人保健施設はリハビリ専門の施設です。

イベントが「機能訓練」の一環として行われることはあっても、入所者同士でにぎやかにレクリエーションを楽しむ機会はあまりないのが一般的です。

レクリエーションやイベントは、高齢者の認知機能や身体機能の向上につながることもあります。

こうした催しものや生活支援サービスに重きを置きたい方は、有料老人ホームのほうが適しているでしょう。

介護老人保健施設はリハビリに最適!目的にあわせて検討しよう

介護老人保健施設は、あくまでもリハビリによる日常生活への復帰が目的です。そのため入所期間が限定されており、終身を前提とした利用ができません。

介護老人保健施設の利用に適しているのは、病院での長期入院などを経て、自宅での生活が不安な状態になっている方です。

公的施設なので利用料金は比較的安いですが、2人部屋や個室を希望すると特別な室料が発生する可能性がある点には注意しましょう。

この記事のポイント

介護老人施設とは?

介護老人保健施設は高齢者が長期間の入院などが理由ですぐに日常生活へ復帰することが難しい場合に医療ケアやリハビリテーションを行う施設です。

詳しくは「介護老人保健施設(老健)とは高齢者の自立を支援する施設」をご確認ください。

介護老人保健施設の入所費用とは?

介護老人保健施設は入所一時金が不要で月額費用が約7~13万円となります。公的施設であるため、自己負担額1~3割りに抑えられるでしょう。

詳しくは「介護老人保健施設(老健)の入所費用は?」をご確認ください。

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