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不動産価格の高騰はいつまで続く?今後の動向や買い時を考えてみよう

建築費の高騰や諸外国の情勢などの影響から、不動産価格が高騰しています。これから不動産の購入を考えている人の中には、この価格高騰はいつまで続くのか、2022年の今は買い時なのか気になる方もいるでしょう。

そこで今回は、これまでの不動産価格の推移を各種データから読み取りながら解説します。不動産の買い時についても触れますので、不動産の購入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

不動産価格の高騰はいつまで続く?

ここでは、国土交通省や東日本不動産流通機構のデータを参照しながら不動産価格の推移を見ていきましょう。

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)令和4年7月・第2四半期分

上記のグラフは、国土交通省が公表している「不動産価格指数(住宅)」です。不動産価格指数は年間約30万件の不動産取引価格情報をもとに不動産価格の動向を指数化したもので、2010年平均を100として年ごとに比較されています。上記のグラフを見ると、住宅地・戸建住宅・区分所有マンションすべての種類が上昇傾向にあることが読み取れます。特に区分所有マンションの指数上昇が顕著です。

続いて、東日本不動産流通機構が公開しているレインズデータライブラリーから中古住宅市場における不動産価格の推移を見てみましょう。

首都圏の中古マンション価格・専有面積

出典:東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ(2022年7~9月度)

上記の表は、首都圏における中古マンションの成約価格などを期ごとにまとめたデータです。2022年7~9月の成約価格は4,355万円、2020年7~9月期から9四半期連続で上昇していることが読み取れます。また、前年同月比は11.7%と大きく上昇しています。成約価格の前年同月比は2012年10~12月期より40期連続で上昇しており、首都圏における中古マンションの成約価格は以前から上昇傾向にあったことが窺えるでしょう。

首都圏の中古戸建住宅件数・価格

出典:東日本不動産流通機構「季報マーケットウォッチ(2022年7~9月度)

続いて、首都圏における中古戸建住宅の成約価格を見てみましょう。2022年7~9月の成約価格は3,805万円、2020年7~9月より9四半期連続で上昇していることが読み取れます。中古マンションと同様に、首都圏における中古戸建住宅の成約価格は値上がり傾向であることが窺えるでしょう。

出典:東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ(2017年~2021年)」よりグラフを作成

直近5年間の中古マンションの区市町村別成約価格の推移を見てみると、価格が高騰しているのは首都圏の中でも特に都心であることが読み取れます。共働き世帯の増加により、通勤などの利便性が高い立地を重視する層が一定数いることなどが理由として考えられるでしょう。

なお、最新の「月例マーケットウォッチ(2022年9月度)」によると、首都圏中古マンションにおける在庫数の前年同月比は8か月連続で増加、首都圏の中古戸建住宅における在庫数の前年同月比は28か月ぶりに増加となりました。今後も売物件の在庫が増えて供給過多になれば、価格を下げる在庫が出てくる可能性は考えられます。不動産価格の推移だけでなく、在庫数の推移にも注目していきましょう。

不動産価格が高騰している理由

不動産価格が高騰している理由の一つには、建築作業員の不足や高齢化による人件費の増加、輸入木材が不足するウッドショックなどにより建築費が高騰したことが挙げられます。建築費の高騰は、新築物件の販売価格に直接影響を与えやすい要素の一つです。人件費や建築資材不足はすぐに解決できる問題ではないため、新築物件の販売価格はしばらく値を下げにくい状況が続くといえるでしょう。

また、新築物件の価格が高騰すると、新築物件の購入を諦めた層が築浅物件を検討するなどにより中古住宅市場に流れます。市場にある在庫が減少して供給よりも需要の方が高まれば、中古住宅の相場は高くなるでしょう。とはいえ、中古住宅市場は需要と供給のバランスによっても価格が変動します。価格上昇のピークがいつになるのか見極めることは難しいのですが、売り時・買い時を知るためには今後も不動産市場の動向をチェックしていく必要があるでしょう。

不動産市場は定期的に転換期を迎える

不動産市場は、世の中に起こった大きな出来事にも影響を受けることがあります。

出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ(2008年1月~2010年12月)」よりグラフを作成

たとえば、2008年9月に発生した「リーマンショック」。アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけに、世界規模の株価下落・金融危機が起こりました。首都圏中古マンション成約価格の推移を見てみると、リーマンショック後は価格が下落しています。しかし、その後価格は徐々に上昇していき、2010年の終わり頃にはリーマンショック前の2,600万円台まで回復しました。

出典:東日本不動産流通機構「月例マーケットウォッチ(2020年1月~2022年9月)」よりグラフを作成

2019年末から世界的に流行した新型コロナウイルス感染症も、不動産市場に影響を与えました。感染症が流行し始めた2020年1月から4月にかけては、約13%と大きく下落しています。しかし、2020年5月以降は上昇に転じ、2020年11月にはコロナ禍以前の成約価格を上回っています。その後、2022年現在まで価格は上昇傾向が続いています。

出典:東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ」よりグラフを作成

上記は、東日本不動産流通機構が公表している年度ごとの首都圏中古マンション成約価格の数値をグラフ化したものです。バブル崩壊、リーマンショック、新型コロナウイルス感染症といった世の中に起こった出来事の影響を受けて、不動産市場は定期的に転換期を迎えています。2022年現在は上昇傾向にある不動産価格ですが、今の状況が将来にわたって続くとは限りません。不動産市場の行方を知るためには、世の中の動きにも注目していきましょう。

2022年の今は不動産の買い時なのか

2022年9月、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比3%となりました。2022年4月以降は日本銀行がかねてから「物価安定の目標」としていた前年同月比2%を超えていますが、大規模な金融緩和を続ける姿勢を変えていません。そのため、インフレ時には金利も上がるのが一般的ですが、円安・物価上昇局面の現在でも低金利時代が続いているのです。

出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

大手銀行の一部は直近の長期金利の動向を踏まえて、2022年11月の固定金利期間選択型(10年)の基準金利引き上げを発表しました。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは2022年2月に6年ぶりに0.2%を超え、以降は、0.2%台前半付近で推移しています。今後も日本の長期金利は上がりにくい状況が続くのではないかといわれていますが、長期金利の動向次第で住宅ローンの固定金利にも影響があると考えられるでしょう。

一方で、変動金利は横ばいが続いています。金融緩和が続いていることもあり、今後すぐに変動金利が上昇することは考えにくいでしょう。とはいえ、今後も物価上昇し続ければ、金融政策の方向性が変わる可能性はあります。そのため、低金利である今のうちに融資を利用して不動産を購入することも1つの選択として考えられるでしょう。ただし、マイホームとして購入する場合は、不動産市場の動向にとらわれすぎず、ご自身やご家族のライフステージも考慮した上で検討することも大切です。

また、売物件の在庫が増えすぎて需要よりも供給の方が多くなれば、価格を下げる在庫が出てくる可能性があります。エリアによって住宅の供給状況が異なるため、不動産の購入を検討している人は、まずは不動産会社に現状を相談してみてください。

今後も不動産市場の動向に注目しながら物件を探していこう

今回解説したように、2022年の今は不動産価格が上昇傾向にあります。建築資材不足や人件費の高騰などが背景にあるため、特に新築物件の販売価格は値下がりしにくい状況が続くでしょう。建築費の高騰は中古住宅も影響を及ぼしていますが、中古住宅市場は需要と供給のバランスによっても相場が変動するため、在庫が増えすぎて供給過多になれば値を下げる在庫が出てくる可能性はあります。不動産価格や金利の動向を将来にわたって正確に予測することは不可能であるため、ご自身やご家族が後悔しないように先々のリスクを含めて総合的に判断することが大切です。

エリアによっても不動産価格の動向や市場にある物件の供給状況が異なります。まずは今ある物件情報を確認して、気になる物件があれば不動産会社に相談してみましょう。

執筆者プロフィール

小花絵里
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/FP2級など

不動産会社・住宅メーカーで働いていた経験から、不動産についてわかりやすく解説する不動産ライター。大手Webメディアを中心に多数寄稿しています。

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