引っ越し 住所変更しない
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引っ越しても住所変更しないとどうなる?手続きの流れや必要なものをわかりやすく解説

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 住所変更は義務なので、怠ると5万円以下の過料に処される場合がある。
  • 引っ越し前の転出届と、引っ越し後の転入届の2つの手続きが必要。

引っ越しをする際に面倒だと思われることのひとつに、住所変更の手続きがあります。しかし、引っ越し後の住所変更は義務として定められているため、行わなければなりません。

この記事では、住所変更の手続き方法のほか、手続きを怠った場合のデメリットも解説します。

引っ越し後の住所変更は義務!変更しないとどうなる?

引っ越し後の住所変更は、必ず行わなければいけないものです。変更を怠ると日常生活が不便になるだけではなく、過料に処される場合もあります。

怠った場合は5万円以下の過料に

引っ越しをした場合は、14日以内に住民票を移動することが、住民基本台帳法第22条によって定められています。また、正当な理由がなく変更を怠ると、5万円以下の過料に処されることが第52条に記載されています。

住民基本台帳法
(転入届)
第二十二条 
転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第三十条の四十六において同じ。)をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第一号から第五号まで及び第七号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。

第五十二条 
2 正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。

正当な理由として認められるケースは稀と考えられるため、ほとんどの場合は住民票を移動しなければなりません。

住民票を変更しなくてもよいケース

基本的には、住民票を移動する義務がありますが、以下のようなケースは例外とされています。

  • 1年以内に元の居住地へ戻る場合
  • 生活拠点が変わらない場合

たとえば、通学や単身赴任などで一時的に家族と離れて暮らしているケースが、上記に該当します。居住地を変えているものの、生活拠点は元の自宅である場合には、住民票の異動は任意となっています。

公的書類が届かない

自治体から発行される郵便物は、住民票の住所宛てに発送されるケースがほとんどです。そのため、住民票を移動しなければ公的書類が届かなくなってしまいます。

国や市町村から届く郵便物には重要な書類もあるため、それらを受け取れないのはリスクでもあります。

公的証明書の発行に時間がかかる

手続きなどで公的証明書が必要となった際、書類によっては旧住所地で手続きをしなければならず、引っ越し先ですぐに用意ができません。

また、旧住所ではなく新住所が記載された書類を用意するには、住民票の移動を行う必要があります。

住所変更を怠ることで、かえって手間と時間がかかってしまうことにもなりかねません。

投票できない

選挙の投票権は、その地域で住民票を登録している人に与えられる権利です。

そのため、住民票を移動していない場合、引っ越し先では選挙に投票できません。投票するためには旧住所地まで行く手間が発生します。

公共サービスや補助金が利用できない

各種行政のサービスや補助金などは、住所変更をしていないと受けられない場合があります。たとえば公的施設を利用する際に、本人確認書類の提出を求められるのが、そのひとつです。

また、助成金や給付金なども、住民票のある地域でしか申請できないケースがあります。

確定申告できない

確定申告は、住所地のある税務署に提出するものです。そのため、住所変更をしていなければ新住所地では申告できません。

ただし、郵送やe-taxによって手続きする場合、旧住所地への提出自体は行えます。

そもそも住所変更ってどんな手続き?

引っ越し 手続き

住民票を移動する手続きは、主に転出届と転入届の2つです。また、同じ市区町村内で引っ越しする場合には、転居届を行います。

必要な手続き①転出届け

まずは、引っ越し前の住所を管轄する役所で、転出届の手続きを行います。手続きを行う期間の目安は、引っ越しの2週間前から当日までとなっています。

転出届の際に必要なものは、主に以下の2つです。

  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • 印鑑

本人以外の代理人が手続きをする場合は、代理人の本人確認書類と委任状も必要です。

届出が完了した際に受け取る転出証明書は、新住所地で使うので保管しておきましょう。

必要な手続き②転入届け

引っ越し後に転入届を行うと、住民票の異動は完了します。新住所を管轄する役所で手続きを行いましょう。

転入届に必要なものは、主に以下の3つです。

  • 転出証明書
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポート等)
  • 印鑑

転入届の提出期限は、引っ越しから14日以内です(住民基本台帳法第22条)。

代理人が手続きを行う場合は、代理人の本人確認書類と委任状も必要となります。

同じ市区町村内への転居の場合は転居届

同じ市区町村内への転居する場合、引っ越し前の転出届は不要です。引っ越し後に、新住所地を管轄する役所で転居届(または転入届)を行います。

転居届に必要なものは、主に以下の2つです。

  • 本人確認書類(運転免許証やパスポート等)
  • 印鑑

なお、東京23区内で他の区へ引っ越しする場合は、転出届が必要です。

他にもある!住所変更が必要なもの

引っ越しをした際に住所変更が必要なものは、住民票だけではなく、マイナンバーカードや免許証など、さまざまです。

マイナンバーカード

マイナンバーカードの住所変更は、引っ越しから14日以内に行う必要があります。住民票の移動と同時に行うとスムーズです。

手続きではマイナンバーカードのほか、暗証番号が必要となります。

住所変更を怠ると、マイナンバーカードを使った手続きができなくなるので、忘れずに申請しましょう。

国民年金・国民健康保険

国民年金と国民健康保険の住所変更も、住民票と一緒に手続きしておきましょう。期限はどちらも引っ越し後14日以内です。

国民年金については、引っ越し前の手続きは不要です。引っ越し後に、国民年金手帳と印鑑を新住所地の役所へ持参すれば、手続きができます。

国民健康保険については、市区町村をまたいで引っ越しをする場合、旧住所地で国民健康保険の資格喪失手続きが必要です。その後、引っ越し先の役所で手続きを行います。

国民健康保険の手続きには、健康保険証と本人確認書類、印鑑を持参します。

免許証

引っ越しをした際は、運転免許証の住所変更もしておきましょう。手続きは、最寄りの警察署の窓口で行えます。

住所変更があったことの証明書類を求められるケースがあるため、新しい住民票や、新住居の契約書などを持参します。

免許証の住所変更期限については、道路交通法では定められていません。とはいえ、免許証は本人確認書類として使う場面が多い上、住所変更をしていなければ免許更新の際の手間が増えてしまいます。速やかに変更しておきましょう。

印鑑登録

印鑑登録の住所変更期限は定められていませんが、住民票と同時に手続きしておくと良いでしょう。

市区町村をまたいで引っ越しする場合は、旧住所地の役所で印鑑登録の抹消手続きが必要です。自治体によっては、住民票の転出届を提出することによって、旧住所地における印鑑登録が自動的に抹消される場合もあります。

引っ越し後、新住所を管轄する役所で新たに印鑑登録を行います。登録する印鑑と本人確認書類を持参して、手続きをしましょう。

銀行口座・クレジットカード

銀行口座やクレジットカードの住所変更も、早めに行います。

クレジットカードの有効期限間近になると、新たなカードが郵送されますが、住所不定で返送された場合、再発送してもらえないケースがあります。

また、銀行口座の手続きの期限はありませんが、住所変更をしておかなければ重要書類が届かないこともあるでしょう。

ネットショッピング

ネットショッピングについても、各サイト上で住所変更が必要です。変更手続きをしなければ、旧住所に荷物が送付されてしまいます。

買い物をする際には、慣れた手順でそのまま注文をしてしまう可能性があるので、引っ越しを終えたら早めに住所変更をしておきましょう。

郵便局に転送届も出しておこう

郵便局に転送届を出しておくと、旧住所宛てに発送された郵便物を、新住所へ配達してもらえます。手続きは、郵便局の窓口とインターネットのどちらでも可能です。

転送が開始されるまでに数日かかるため、引っ越しの1週間ほど前に申請しておきましょう。

まとめ

引っ越しをした場合、14日以内に住民票の変更をしなければなりません。変更しない場合、5万円以下の過料に処される場合があるほか、公共サービスを利用しにくいといったデメリットもあります。

引っ越し前と引っ越し後、それぞれ役所に行くことで手続きが行なえます。住民票だけでなく、マイナンバーカードや印鑑証明などの住所変更も同時にしておくとスムーズです。

銀行口座やクレジットカード、ネットショッピングなどの住所変更も、早めに行いましょう。

この記事のポイント

引っ越しても住所変更をしないとどうなる?

住所変更(住民票の移動)は義務です。変更しない場合、5万円以下の過料に処される場合があります。そのほか、公的書類を受け取りにくかったり、公共サービスが利用できないケースがあったりします。

詳しくは「引っ越し後の住所変更は義務!変更しないとどうなる?」をご覧ください。

住所変更とは、どんな手続き?

旧住所地の役所で転出届を行い、引っ越し先の役所で転入届を行う手続きです。同一の市区町村内で引っ越しする場合は、転居届(または転入届)のみを行います。

詳しくは「そもそも住所変更ってどんな手続き?」をご覧ください。

住民票以外にも、住所変更が必要なものはある?

マイナンバーカードや国民年金、国民健康保険、印鑑登録、免許証の住所変更が必要です。そのほか、銀行口座やクレジットカード、ネットショッピングなどの住所も変更しましょう。

詳しくは「他にもある!住所変更が必要なもの」をご覧ください。

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