ざっくり要約!
- 持ち家が向いているのは、住宅ローンをすでに完済している人、もしくは近い将来完済する見込みがある人
- 賃貸が向いているのは、老後も安定した収入を確保できる人、気軽に引っ越ししたい人、将来介護施設などへの入居を検討している人
「持ち家と賃貸、どちらが得か」という論争はたびたび話題に上がるものの、いつも答えを出せないという方は意外と多いかもしれません。
本記事では、老後に暮らす家に焦点を当てて、持ち家と賃貸どちらを選択すべきか判断するための6つのポイントを解説していきます。
持ち家と賃貸、それぞれ向いている人の特徴や、住む前に知っておきたい注意点も紹介しますので、住み替えを検討している方はぜひ参考にしてください。
老後は持ち家?賃貸?6つのポイントで比較

老後に住む家を考えるとき、持ち家と賃貸住宅のどちらが向いているかは、人によって異なります。
持ち家には持ち家のメリットがあり、デメリットもあります。つまり、どちらが正解ということはありません。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った暮らし方を選択するようにしましょう。
はじめに、持ち家と賃貸住宅を、6つの観点で比較していきます。
1.初期にかかる費用が大きいのは?
契約時の初期費用が大きいのは、持ち家です。
家の購入で住宅ローンを組む場合でも、売買契約締結時には手付金(物件価格の5~10%程度)を用意する必要があります。
また家の購入代金以外に、登記費用やローン保証料、印紙代、不動産会社へ支払う仲介手数料など、諸費用がかかります。
家の購入には物件価格の6~8%の諸費用がかかるといわれており、たとえば5,000万円の家であれば、家の購入代金以外に約300~400万円の諸費用がかかる計算です。
賃貸物件を借りる際も、敷金や礼金、仲介手数料、前家賃などの初期費用がかかりますが、家賃の約4.5~5カ月分となるのが一般的です。
たとえば家賃が20万円の場合は、約90~100万円になります。
物件の金額や条件によってかかる初期費用も変動しますが、初期費用の負担感は、持ち家の方がずっと大きくなるでしょう。
・「購入の諸費用」に関する記事はこちら
住宅購入にかかる諸費用ってどのぐらい?
2.ローン返済・家賃支払いの負担感が強いのは?
持ち家を購入で住宅ローンを組んだ場合、毎月ローンを返済することになります。一方で賃貸住宅に住む場合は、家賃を払い続けることになります。
持ち家も賃貸もさほど変わらないようにも感じますが、実際の負担感に違いはあるのでしょうか。
持ち家は住宅ローンを完済すれば、老後は返済から解放されます。一方で賃貸物件は、契約更新時に更新料や事務手数料がかかることがあり、物価や不動産価格が上昇すれば、家賃も値上がりするかもしれません。
住宅ローン返済に終わりがあることを考えると、支払いの負担感が強いのは賃貸住宅といえるでしょう。
3.維持費が負担になりやすいのは?
家の維持費が負担になるのは、間違いなく持ち家でしょう。
建物や設備を維持するために修繕費用がかかり、年数に応じて改修工事の実施も検討しなければなりません。分譲マンションの場合は、管理費や修繕積立金の支払いも発生します。
また、家を所有すると固定資産税や都市計画税(都市計画区域内の場合)などの税金もかかります。
賃貸の場合、建物の維持費や設備のメンテナンスにかかる費用を負担するのは、建物のオーナーです。入居者に過失や故意がなければ、設備が故障したとしても、修繕費を支払う必要はありません。
加えて賃貸に住んでいる場合は、固定資産税などの税金もかからないため、持ち家の方が家の維持費に対する負担感は強いでしょう。
・「老後のマンション暮らし」に関する記事はこちら
老後にマンション暮らしが選ばれる理由とは?メリットや選び方を解説
4.リフォームはできる?
持ち家であれば、より快適に暮らすために、キッチンや浴室を交換することも可能ですし、間取りを大きく変えることもできます。
ライフスタイルに合わせて、リフォームやリノベーションできるのが持ち家の魅力ともいえます。
一方で賃貸住宅は、貸主の了承を得ることなくリフォームすることはおろか、基本的には手すりなどを設置することもできません。
賃貸住宅を退去する際は、原状回復しなければならず、内容によっては高額な工事費を請求される可能性もあります。
気軽に模様替えやDIYしたい方にとって、賃貸物件での暮らしは少々息苦しく感じるかもしれません。
・「原状回復」に関する記事はこちら
原状回復とは?現状回復・原状復帰との違いや賃貸アパート・マンションの回復にかかる費用などを詳しく解説!
5.資産になる?
老後にまとまった資金が必要になった場合、持ち家であれば売却して現金化することができ、家を担保に入れて借り入れすることも可能です。
一方で賃貸住宅に住み、毎月家賃を支払い続けても、自分のものにはなりません。持ち家と賃貸を資産形成の視点で比較すると、持ち家に軍配が上がります。
賃貸物件に住み、家族には現金を残すという考え方もあります。
しかし相続税の支払いを考えると、額面どおりの相続税がかかる現金よりも、相続税評価額が低い不動産を相続した方が節税効果を期待できるでしょう。
・「相続税の評価額の計算方法」に関する記事はこちら
相続税の評価額の計算方法を財産ごとに紹介!気になる節税についても解説
6.安心感があるのは?
賃貸住宅は、老朽化による建て替えやオーナー都合などで退去を求められることがあり、一生住み続けられるわけではありません。
また高齢者は入居を敬遠される傾向があり、住み替え先が見つからず、住む場所に困る可能性があります。
その点、自己所有の持ち家であれば、安心して住むことができ、住宅ローン完済後なら経済的負担も少なくて済みます。
・「充実したセカンドライフを迎えるための事前準備」に関する記事はこちら
老後の生活に対する不安を解消!充実したセカンドライフを迎えるための事前準備を解説
老後の持ち家・賃貸の比率

総務省の統計によると、持ち家・借家の比率は、持ち家が60.9%、借家が35.0%で、持ち家比率は1993~2023年の30年間、ほぼ横ばいとなっています。
ちなみに高齢者(65歳以上)のいる世帯では持ち家が81.6%、借家が18.2%で、持ち家派が8割以上を占めています。
しかし高齢者の単身世帯となると、借家率が32.2%となり、複数人で住む世帯に比べて借家率が高くなっていることがわかります。
老後持ち家が向いている人・賃貸が向いている人

ここまで持ち家と賃貸住宅の比較をしてきましたが、まだどちらにすべきか迷っている方のために、老後に持ち家が向いている人と、賃貸が向いている人の特徴を紹介します。
持ち家が向いている人
- 住宅ローンを完済している、もしくは近く完済予定の人
- 立地条件が良い、持ち家に住んでいる人
- 生活拠点を変えず、落ち着いて暮らしたい人
持ち家が向いているのは、住宅ローンをすでに完済している人、もしくは近い将来完済する見込みがある人です。
住宅ローン返済から解消されるのであれば、わざわざ賃貸物件に移り住む必要はないでしょう。
立地条件が良い持ち家に住んでいる人も、特段の理由がなければ、老後も住みやすい家を手放す必要はありません。そのまま持ち家に住み続けることをおすすめします。
また、生活拠点を変えずに落ち着いて暮らしたい人も、持ち家が向いています。
賃貸が向いている人
- 老後も安定した収入を見込める人
- 気軽に引っ越ししたい人
- 老後に介護施設への入居を検討している人
賃貸が向いているのは、老後も安定した収入を確保できる人、気軽に引っ越ししたい人、将来介護施設などへの入居を検討している人です。
たとえば持ち家を売却して現金化しておけば、施設に入居するための資金に充てることができ、自分のタイミングで入居できます。
安定した暮らしよりも変化を好む方にとっては、賃貸暮らしの方が性に合っていると感じるかもしれません。
・「持ち家と賃貸」に関する記事はこちら
持ち家と賃貸どちらを選ぶ?それぞれのメリット・デメリットや向いている人を解説
老後に持ち家に住む場合の注意点

老後に持ち家に住むとしたら、どのような点に注意したら良いのでしょうか。ここでは、持ち家を選択する前に知っておくべき、主な注意点を紹介します。
持ち家でも維持費がかかることを理解しておく
住宅ローンを完済したあとも家の維持費がかかることを理解し、老後になってから困らないように、ある程度資産を確保しておくようにしてください。
建物や設備は経年により劣化するため、年数に応じて適切なメンテナンスが必要になります。
また家を所有すると、固定資産税や都市計画税といった税金がかかり、マンションであれば管理費や修繕積立金もかかります。
・「老後資金」に関する記事はこちら
老後資金はいくら必要?不足額やお金の貯め方を知って老後に備えよう!
高齢になると住宅ローンが組みにくいことを覚えておく
老後のための家を購入するのであれば、住宅ローンを組みやすいうちに検討しましょう。
住宅ローンを利用するためにはいくつかの要件がありますが、完済時の年齢を満80歳未満としていることがほとんどです。
つまり年齢を重ねるほど、借入できる期間は短くなり、毎月の返済額が高くなる傾向があります。
住宅ローンの審査において、収入に対する返済比率も重要な項目の1つです。
・「老後のマンション購入」に関する記事はこちら
老後にマンション購入は後悔する?メリット・デメリットを詳しく解説
・「持ち家ありの夫婦に必要な老後資金」に関する記事はこちら
持ち家ありの夫婦に必要な老後資金はいくら?貯め方や家の活用方法も解説
老後に賃貸に住む場合の注意点

老後に賃貸住宅に住むとしたら、どのような点に注意したら良いのでしょうか。ここでは、賃貸住宅に住む前に知っておくべき、主な注意点を3つ紹介します。
収入に対する家賃負担が増大する可能性がある
老後に賃貸住宅に住む場合は、収入に対する家賃負担が増大する可能性も考慮し、無理のない範囲で物件選びをしましょう。
現役時代よりも、老後には収入が減少するのが一般的です。しかし賃貸物件に住む以上、毎月家賃を支払わなくてはならず、更新のタイミングで家賃が上がる可能性もあります。
また病気やケガによって、今以上に医療費がかかることも考えられます。あらゆることを想定し、長期的な視野で資金計画を立てるようにしてください。
高齢者は契約できない物件がある
高齢であることが原因で、希望する賃貸物件に入居できないケースがあります。
賃貸物件のオーナーや不動産会社は、収入減少や健康状態の悪化を懸念し、少なからず高齢者を敬遠する傾向があるからです。
とくに単身(独身)の高齢者は、病気やケガによって孤独死するリスクがあるため、受け入れることに消極的になるオーナーもいます。
ただし、「子や親族が近くに住んでいる」「連帯保証人を立てるか、保証会社を利用する」など、条件付きで審査が通ることもあります。
また高齢者向け(シニア向け)の賃貸物件や、高齢者向けのサポートを受けられる物件もありますので、まずは不動産会社に相談してみてください。
リフォームで住みやすくすることができない
バリアフリー化など住みやすくする工事であっても、賃貸住宅は貸主の許可なくリフォームすることはできません。
年齢を重ねると、立ち上がるタイミングでバランスを崩し、思いがけず転倒してしまうことがあります。たとえば玄関やトイレ、浴室などに手すりが欲しいと感じるようになったとしても、賃貸住宅には手を加えることはできません。
また賃貸住宅を退去する際は、原状回復(契約時の状態に戻す)をしなければなりません。
内容や程度によっては多額の費用を請求されることもあるため、注意が必要です。
ただし手すりの設置など簡単なリフォームであれば、許可してもらえるケースもあります。契約する前にリフォームが可能かどうか、相談してみてください。
まとめ
老後はなるべく心配ごとを抱えず、穏やかに過ごしたいものです。終の棲家を持ち家と賃貸のどちらにするべきか、ご夫婦やご家族で早めに話し合っておくと良いでしょう。
持ち家と賃貸住宅には、それぞれメリットとデメリットがあります。本記事で紹介した6つのポイントを軸にして、注意点も踏まえたうえで選択するようにしてください。
この記事のポイント
- 老後の賃貸と持ち家の割合は?
総務省の統計によると、持ち家・借家の比率は持ち家が60.9%、借家が35.0%で、持ち家比率は1993~2023年の30年間、ほぼ横ばいとなっています。
ちなみに高齢者(65歳以上)のいる世帯では持ち家が81.6%、借家が18.2%で、持ち家派が8割以上を占めています。詳しくは「老後の持ち家・賃貸の比率」をご覧ください。
- 老後に賃貸に住む場合の注意点は?
老後に賃貸住宅に住む場合は、収入に対する家賃負担が増大する可能性も考慮し、無理のない範囲で物件選びをしましょう。
また、バリアフリー化など住みやすくする工事であっても、賃貸住宅は貸主の許可なくリフォームすることはできないと覚えておくことが大切です。詳しくは「老後に賃貸に住む場合の注意点」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
「持ち家と賃貸住宅、どちらが正解か?」という問いに答えはありません。持ち家を維持するのには費用がかかるため、ある程度の資金力が必要です。その点、賃貸住宅は維持費や固定資産税などがかからないため、気楽で良いと感じる方もいるでしょう。
しかし建て替えのタイミングで退去を求められる可能性があり、一生住み続けられるとは限りません。この機会に持ち家と賃貸住宅のメリット・デメリットを正しく理解し、ぜひライフスタイルに合わせて選択するようにしてください。

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