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地震発生時はマンションから避難したほうがいい?避難所に行くべき?

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。
https://x.com/sakuragirie

ざっくり要約!

  • 地震発生時にはすぐマンションから避難するのではなく、生活に支障がなければ基本的に在宅避難を選択するのがおすすめ
  • 在宅避難は避難所で生活する場合に比べて、支援物資や情報を得るのが難しい点に注意が必要

地震や防災に関する話題を耳にするたびに、家族と「災害が起きたら避難所に集合しよう」などと話していませんか。

もちろん被災の度合いによって異なりますが、かならずしも避難所へ身を寄せる必要はなく、特にマンションに住んでいる方は在宅避難が基本といえます。

今回は在宅避難のメリット・デメリット、地震発生時の正しい対応の仕方、避難所へ行くべきか判断する際の基準を解説します。

地震が起きたときの避難について、ぜひこの機会に家族でよく話し合っておきましょう。

地震発生時はマンションから避難せず在宅避難が基本

地震発生時はマンションから避難せず在宅避難が基本

地震が発生したとしても、すぐにマンションから避難するのではなく、生活に支障がなければ基本的には在宅避難を選択しましょう。

まず、在宅避難のメリットとデメリットを解説します。

在宅避難のメリット

避難所での避難生活に比べ、在宅避難には多くのメリットがあります。

地震直後は余震によって、避難所に向かっている途中に建物やブロック塀などが倒壊する恐れがあり、安全とはいえません。

一方、在宅避難であればわざわざ移動する必要がなく、想定外の危険から身を守ることができます。

また、在宅避難は住み慣れた自宅で生活できるため、プライバシーも守ることができ、被災によるストレスを軽減できます。

近年では地震後の疲労やストレスで亡くなる災害関連死が報告されており、避難所での生活の質が問題となっています。

特にペットを飼っている方にとっては、地震後も変わりなく一緒に過ごせることは、大きなメリットといえるでしょう。

他にも在宅避難は感染症リスクが低く、災害時の混乱を利用した空き巣による盗難も防ぐことができます。

在宅避難のデメリット

在宅避難にはメリットが多いものの、避難所で生活する場合に比べて、支援物資や情報を得るのが難しい点に注意が必要です。

支援物資や災害に関する情報は、避難所に集まります。つまり食料や水、情報を手に入れるためには避難所へ足を運ぶ必要があり、状況によっては一日に何度も往復することになるかもしれません。停電時はエレベーターが止まるため、特に高層階は苦労するでしょう。

また、築年数が古いマンションについては、倒壊リスクがあることを忘れないようにしてください。地震後に余震が起きることも多く、本震の後にマンションが倒壊するケースも考えられます。

もしマンションの外壁に亀裂が見られるなど身の危険性を感じる場合は、避難所での避難を検討してください。

地震発生時に自宅マンションにいたときの対応4つ

地震発生時に自宅マンションにいたときの対応

地震が起きたら、落ち着いて行動することが大切です。焦って行動してしまうとケガをすることになりかねず、その後の避難生活にも影響します。ぜひこれから紹介する4つの対応を実践してください。

1.身の安全を確保する

まず、身の安全を確保しましょう。地震を感じたら、近くにあるクッションなどで頭を保護してください。自分や家族の周囲を見回し、倒れてくる大きな家具や家電がないか確認しましょう。

窓ガラスは地震の揺れで割れて、破片が飛び散る恐れがあります。なるべく窓からは離れ、テーブルや机の下などへ身を隠し、揺れがおさまるのを待ちましょう。

特に長周期地震動(周期が長く大きな揺れ)が発生すると、震源地から遠く離れた場所でも揺れることがあります。

また比較的震度が小さくても、高層階は低層階に比べて揺れが大きく、その時間も長くなることがあるため注意が必要です。

2.火元・電源を確認する

現在使われているガスメーターの多くは、震度5程度の地震が起きると、自動でガスを遮断するように設計されています。

地震の揺れがおさまってから、火元や電源を確認しましょう。

使用中のガス機器があれば火を消し、家電のスイッチも切ってください。ガス栓は閉めて、電源のコンセントは抜くようにしましょう。もしマンションから離れるときは、ブレーカーも下げてください。

もし出火してしまったら、落ち着いて初期消火を行うようにしてください。火事になったことを家族に伝え、非常ベルを鳴らすなどして近所へ知らせ、119番へ連絡します。

消火器がない場合は水で濡らしたバスタオルを火元へ覆いかぶせて、空気を遮断させて消火を試みましょう。ただし天井に届くような場合は無理に消火活動するのではなく、その場を離れるようにしてください。

3.逃げ道を確保する

地震の揺れでドアや窓枠がゆがんでしまうと、開かなくなる恐れがあります。
本震の後に余震が起きるとも限りません。

逃げ道を確保するためにも、ドアや窓は人が1人通れる程度のスペースを開けておきましょう。

マンションはエントランスや非常ドアがオートロックになっていることがありますが、余震に備えて開放しておくとよいでしょう。

また共用廊下から避難できないケースに備えて、もしベランダに避難はしごがあれば、使い方を確認しておくようにしてください。

4.在宅避難か避難所に行くか判断する

マンションでは在宅避難が基本であると解説してきましたが、状況によっては避難所へ避難した方が良いケースもあります。

在宅避難に固執するのではなく、避難所へ行くべきか冷静に判断するようにしましょう。被害が大きければ、避難所に行った方が安全な場合もあります。

また余震が起きないとも限りません。避難する際は火災を防ぐためにもブレーカーを落とし、エレベーターは使わずに階段を利用してください。

地震でマンションから避難するかどうかの判断基準を紹介

地震でマンションから避難するかどうかの判断基準

地震発生後にマンションで在宅避難するか、避難所へ行くべきか迷ったら、これから紹介する判断基準をぜひ参考にしてみてください。

判断基準①土地の安全性

まず、自宅マンションが建っている場所が安全かどうかで、避難所へ避難すべきか判断しましょう。

たとえば地盤が弱く、液状化する恐れがある土地なのか、傾斜地で土砂災害の危険性があるのかなどです。

また海や河川が近い場合は、余震による津波や氾濫の可能性も視野に入れて検討してください。

ちなみに国土交通省のホームページなどで、各自治体が作成しているハザードマップが公開されており、土砂災害の危険性や津波や洪水時に想定する水の深さが記されています。

避難所や避難経路も記載されているため、日ごろから家族で確認しておきましょう。

判断基準②建物自体の安全性

マンションそのものの安全性も、判断基準になります。
マンションの築年数や構造、耐震性によって、倒壊リスクが異なるためです。

たとえば新耐震基準のマンションは、震度6程度の地震が起きても倒壊する可能性は低く、旧耐震のマンションに比べて安全性が高いといえます。

新耐震基準で建てられたマンションかどうかは、建築確認申請の時期によって判別でき、それぞれ以下の通りです。

新耐震基準の建物1981年6月1日以降に建築確認申請を通過
旧耐震基準の建物1981年5月31日以前に建築確認申請を通過

しかし旧耐震基準で建てられたマンションでも、耐震改修工事が実施されている場合もあり、かならずしも旧耐震基準のマンションが危険ということではありません。

・「旧耐震と新耐震の違い」に関する記事はこちら
旧耐震と新耐震の違いは?地震発生時のリスクも解説
・「地震発生時のマンションの倒壊リスク」に関する記事はこちら
地震発生時のマンションの倒壊リスクは?地震のトイレ問題や住宅ローンも解説

地震に備えてマンション住民がすべき防災対策

地震に備えてマンション住民がすべき防災対策

地震が起きてから困ることがないように、日ごろから防災対策を心がけましょう。ここでは、特に大切なポイントを紹介します。

災害用の備蓄を準備する

災害時に備えて、食料や水などを備蓄しておきましょう。
食料や水は、3日分を目安に用意してください。

災害時に役立つ備蓄品は、以下の通りです。
もし他にも必要なものがあれば、リストに加えておきましょう。

飲用水(1日当たり3リットル×家族の人数)
生活用水(トイレを流す水や手洗い用の水)
食料品(レトルト食品やアルファ米、缶詰めなど賞味期限が長いもの)
割りばし・使い捨てのスプーンやフォーク・紙皿・紙コップ
ラップ・アルミホイル(紙皿を再利用・食品を保存するため)
カセットコンロ用ボンベ
常備薬・消毒液・マスク・ばんそうこう・包帯など
衛生用品(トイレットペーパー・ウェットティッシュ・おむつ・生理用品)
簡易トイレ・携帯トイレ・ゴミ袋・ビニール袋(食品用)
懐中電灯・乾電池・ろうそく・マッチ・ライター
防寒グッズ(使い捨てカイロ・毛布)
ヘルメット・軍手・靴下・スニーカー
モバイルバッテリー・ポータブル電源

家具・家電を固定する

背の高い家具や大きな家電は、地震による転倒に備えて固定してください。

たとえば大きな家具はL字型の金具でネジ止めするか、上部に転倒防止用の突っ張り棒を設置しておくとよいでしょう。金具や器具の設置が難しいテレビなどは、粘着マットを下に敷いて転倒を防ぐ方法もあります。

大きな地震が起きるとテーブルや椅子が左右に動いてしまい危険なため、滑り防止マットなどを活用しましょう。

また窓ガラスが割れても破片が飛び散らないように、飛散防止フィルムを貼っておく方法があります。防災対策グッズは、ホームセンターや通販サイトなどで購入できます。

自宅からの避難経路を確認しておく

自宅マンションから避難所までの経路を、家族で確認しておきましょう。
たとえば共用廊下から避難できない状況に備えて、ベランダにある避難はしごの使い方を確認しておいてください。

また建物の倒壊や火災の発生により、付近の道路が通行できなくなることもあるため、複数の避難経路を頭に入れておきましょう。

家族で地震時の行動を話し合っておく

家族で地震が起きたときの行動や避難方法について、シミュレーションしておくことも重要です。

家族で話し合いの場を設け、定期的に認識を共有しておきましょう。

たとえば電話がつながらないときは災害用伝言版を利用することや、自宅マンション以外の避難場所(集合場所)を決めておくと、実際に地震が起きたときにスムーズに行動できます。

この記事のポイント

在宅避難のメリットは?

在宅避難は住み慣れた自宅で生活できるため、プライバシーを守ることができ、被災によるストレスを軽減できるなどのメリットがあります。

詳しくは「地震発生時はマンションから避難せず在宅避難が基本」をご覧ください。

在宅避難のデメリットは?

在宅避難にはメリットが多いものの、避難所で生活する人に比べて、支援物資や情報を得るのが難しい点に注意が必要です。

詳しくは「地震発生時はマンションから避難せず在宅避難が基本」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

地震発生時に正しく行動するためには、日頃から家族で話し合っておくことが大切です。家族が一緒にいるときに、地震が発生するとはかぎりません。さまざまなケースについてシミュレーションし、認識を共有しておきましょう。たとえば子どもが1人でいるときに地震が発生した状況を想定し、複数のパターンを練習しておくことをおすすめします。慌てて外へ逃げないこと、危険な場所へは近寄らない、1人のときは誰に頼るべきかなど、具体的に説明しておくとよいでしょう。

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