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建坪とは?床面積や建ぺい率との関係、2階建ての場合についても解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 建坪とは、建物の1階の面積を、坪数で換算した面積のこと
  • 建坪という言葉は、建築基準法の建築面積と同じ意味で使われることが多い

建築用語の一つに「建坪(たてつぼ)」という言葉があります。
建坪は法律用語ではなく一般用語であることから、定義が若干曖昧な言葉です。

一方で、建坪と類似の言葉に建築面積があります。
建築面積は法律用語であることから、細かい定義がなされている点が特徴です。

建坪と建築面積には一体どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「建坪」について解説します。

建坪とは?2階建ての場合は?

建坪について解説します。

建坪とは?敷地面積とどう違う?

「建坪」とは、建物の1階の面積を指す一般用語です。
後述する、建築基準法で定義されている「建築面積」と似た概念の言葉になります。

建坪は、1階の面積を坪数で換算した面積になります。坪とは尺貫法で表す土地や床の面積単位のことで、1坪を平米で表すと約3.305785平米です。

たとえば、1階の面積が100平米の場合、坪数に換算すると30.25坪です。よって建坪=30.25坪となります。

そもそも1坪とは、1辺が6尺の正方形のことです。「中京間」と呼ばれる、東海地方で使われている畳の2枚分に該当します。

もともと日本家屋は、畳を基本単位として家を設計する風習がありました。
畳2枚分で正方形を表す「坪」の単位は、日本家屋の設計に便利だったのです。

設計では、まず1階の広さがどれだけ必要かが重要となってきます。
1階の面積をどれくらい確保するかを表すために建坪という表現が使われ、それが今でも残っているのです。

なお、建坪は建物の1階の面積を表す用語ですので、敷地面積とは異なります。建物の1階の面積は、敷地面積よりも小さくなることが通常です。
たとえば、敷地面積が50坪なら、建坪は30坪といった数値になります。

注文住宅における建坪とは

建坪は、1階の面積を表す一般用語です。
注文住宅を建てる際、建物のおよその規模を表すために「建坪」という表現が使われることがあります。

建坪は、建築基準法の建築面積と同じ意味で使われることが多いです。
建築基準法の建築面積とは、基本的には「建物を上から見たときの面積」を指します。

建物を上から見た場合、2階よりも1階の面積の方が広い場合には、1階の面積が建築面積になります。
1階よりも2階の面積の方が広い場合には、2階の面積が建築面積です。

また、ピロティによって1階と2階がずれている建物も存在します。
ピロティとは、壁がなく柱だけで空間を支える構造のことです。
ずれている場合は、建物を上から見たときの面積(水平投影面積)が建築面積となります。

建坪と建築面積は必ずしも同じとは限りませんが、建築面積と同様に使われている場合は建物を上から見たときの面積を指しているケースもあります。

建坪と建築面積の違いや計算方法

建坪と建築面積の違いについて解説します。

建坪と建築面積の違い

建坪と建築面積は、日常的にはほぼ同義で使用されていますが、実は用語としての種類に違いがあります。

建坪が一般用語であるのに対し、建築面積は法律用語である点が最も大きな違いです。

建坪は一般用語であることから正式な定義はなく、単純に1階の面積を指し示しても間違いではありません。

一方で、建築面積は法律用語であることから、正式な定義が存在します。
建築面積は、基本的には建物を上から見たときの面積ですが、軒や庇がある場合には建築面積に算入される場合があります。

建築面積は、「概して」建物を上から見たときの面積と表現されることも多いですが、「概して」という言葉が付くのは庇等の例外規定もあるためです。

建築面積の計算方法

建築面積は、建物の外壁か、それに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことです。
概して建物を上から見たときの輪郭の面積が、建築面積に該当します。

建築面積の計算には、例外もあります。
軒や庇等が外壁の中心線から1m以上突き出ている場合には、先端から1m引いた残りの部分が建築面積に算入されます。

つまり、1m未満の軒や庇であれば建築面積には算入されず、1m以上の軒や庇があれば軒や庇の一部が建築面積に算入されるということです。

また、建物の中には敷地の高低差の影響で地階の一部が地上に飛び出しているケースも存在します。

地階の一部が地上に飛び出している場合には、飛び出している部分が地盤面上1m以下の範囲であれば建築面積への参入は不要です。

建坪と建ぺい率の違いや計算方法

建坪と建ぺい率について解説します。

建坪と建ぺい率の違い

建ぺい率とは「敷地面積に対する建築物の建築面積の割合」のことです。
建物を上から見たときの平面的な規模を制限する規制になります。

建ぺい率は、一定の地域ごとに行政が数値を指定しています。
具体的には、50%や60%といった数値で指定されていることが多いです。

たとえば、建ぺい率が50%と指定されている土地であれば、敷地が60坪の場合、原則として30坪までの建築面積の建物しか建てられないということになります。

建築面積は、建ぺい率という制度を実現させる目的で建築基準法内に定められた用語です。建坪のように自然発生的に生まれた用語とは異なります。

建坪は建築面積と似た概念を示す言葉ですが、軒や庇をどのように扱うかといったルールは存在しません。

建坪は一般的には軒や庇の面積は考慮外であるため、建ぺい率を正確に計算する上では利用できない面積です。

・「建蔽率(建ぺい率)と容積率」に関する記事はこちら
「建蔽率(建ぺい率)」と「容積率」って何?建築前に知っておきたい基礎知識を紹介

建ぺい率の計算方法

建物の建ぺい率は、建築面積と敷地面積がわかれば簡単に計算することができます。
計算方法は以下の通りです。

建ぺい率 = 建築面積 ÷ 敷地面積

一方で、敷地に指定されている建ぺい率は、例外規定があります。

まず、建ぺい率は行政が地域ごとに指定しますが、その指定された建ぺい率(指定建ぺい率)が必ずしもその土地の建ぺい率とは限りません。

指定された建ぺい率から計算された、その土地特有の建ぺい率のことを「基準建ぺい率」と呼びます。

たとえば、土地の中には行政が指定した異なる建ぺい率のエリアにまたがって、1つの土地の中に2つの建ぺい率が混在するケースがあります。
異なる建ぺい率が混在する場合には、面積案分によって基準建ぺい率を計算することがルールです。

その他として、建ぺい率には緩和制限があります。
角地の土地の場合には、建ぺい率が10%加算されます。
たとえば、建ぺい率が50%と指定されている土地でも、角地であれば60%になるということです。

さらに、防火地域や準防火地域と呼ばれる地域内において、一定の耐火構造の建物を建てる場合にも、建ぺい率が10%加算されます。

このように実際に土地に適用される基準建ぺい率は、緩和制限等を加味して決定されます。

建築面積が建ぺい率以内に収まっているか否かは、基準建ぺい率を用いて判断することになります。

建坪と延床面積の違いや計算方法

建坪と延床面積について解説します。

建坪と延床面積の違い

延床面積とは、各階の合計床面積のことです。
平家であれば建坪と延床面積は同じになりますが、2階以上であれば建坪よりも延床面積の方が大きくなります。

延床面積は、建築基準法では容積率を計算するために利用される数値です。
容積率とは「敷地面積に対する建物の延床面積の割合」を指します。

建ぺい率は平面的な規制であったのに対し、容積率は立体的な規制である点が違いです。

容積率も建ぺい率と同様に、行政が地域ごとに指定します(指定容積率)。

容積率も建ぺい率と同様に、異なる容積率にまたがって指定されている場合には面積案分によって基準容積率を計算します。
面積案分等の結果、その土地で計算された容積率のことを「基準容積率」と呼びます。

延床面積の計算方法

延床面積には、単に一般用語としての延床面積と、容積率を計算するための建築基準法上の延床面積の2種類が存在します。

一般用語としての延床面積は、単純に各階の合計面積を指すことが多いです。
一方で、建築基準法上における容積対象の延床面積には細かい例外規定が存在します。

たとえば、アパートやマンション等の共同住宅の場合、エントランスホールや共用廊下、共用階段、エレベーターの昇降路等の部分は、容積率を算定するための延床面積には不算入の部分です。

オフィスビルや店舗、倉庫等の建物には、このように共用部分を容積対象の延床面積から外す例外規定はありません。

また、建物内に自動車車庫がある場合には、車庫を含めた延床面積の5分の1を上限に、自動車車庫の床面積を延床面積から控除できます。

住宅で地下室がある場合、延床面積の3分の1までを地階の住宅部分の床面積から控除することもできます。

建坪と坪単価の違いや計算方法

建坪と坪単価について解説します。

建坪と坪単価の関係

坪単価とは、工事費を一般用語としての延床面積で割った単価のことです。
この場合の延床面積は、一般用語としての延床面積ですので、単純に各階の床面積を合計したものとなります。

一般用語としての延床面積は、登記簿謄本に記載されている各階の床面積を合計したものに近い数字です。
そのため、世間一般で語られる坪単価は、建築費を登記簿謄本の床面積合計で割ったものが多いといえます。

坪単価は、建築費を単純に各階の面積を合計した延床面積で割ったものであるため、基本的に建坪とは関係がありません。

坪単価の計算方法

坪単価は建築費を延床面積で割ったものです。

坪単価 = 建築費 ÷ 延床面積

ただし、坪単価はハウスメーカー等によって、建築費を施工床面積で割ったものとしている場合があります。
施工床面積とは、実際に施工される面積のことであり、共同住宅であればバルコニー等も含む面積です。

バルコニーや庇等がある建物の場合、施工床面積は延床面積よりも大きくなります。
そのため、施工床面積で坪単価を計算している場合には、坪単価が安く計算されます。

ハウスメーカー等と坪単価の話をする場合、分母の面積が何かで話が食い違ってきます。
一般的な相場は、登記簿謄本に記載されている各階の床面積を合計した延床面積を使用して求められていることが多いです。

そのため、ハウスメーカー等と建築費の話をする場合には、坪単価の分母が何の面積かをしっかり確認することが必要となります。

・「坪単価の計算方法」に関する記事はこちら
坪単価の計算方法は?費用を抑えるためのポイントも紹介

この記事のポイント

建坪とは何ですか?
建坪は、1階の面積を坪数で換算した面積になります。坪とは尺貫法で表す土地や床の面積単位のことで、1坪を平米で表すと約3.305785平米です。

たとえば、1階の面積が100平米の場合、坪数に換算すると30.25坪です。よって建坪=30.25坪となります。

詳しくは「建坪とは?2階建ての場合は?」をご覧ください。

建坪と建築面積の違いは?

建坪と建築面積は、日常的にはほぼ同義で使用されていますが、実は用語としての種類に違いがあります。

建坪が一般用語であるのに対し、建築面積は法律用語である点が最も大きな違いです

詳しくは「建坪と建築面積の違いや計算方法」をご覧ください。

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