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準防火地域とは?防火地域との違いや建ぺい率緩和規定について解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 準防火地域とは、防火地域に準じて建物の密集する地域で火災が拡大しないことを目的に都市計画で定められた地域
  • 準防火地域であるか否かは、市区町村役場やインターネット上の防火地域等の情報で確認できる

建築基準法の規制の中に、「防火地域」や「準防火地域」と呼ばれる地域があります。
準防火地域は防火地域に比べると比較的広い範囲に指定されているため、不動産の購入時に準防火地域の物件に遭遇することも多いです。

準防火地域は市街地の防火対策のために指定される地域であり、その地域で建物を建てるには一定の制限を受けることになります。
準防火地域には、一体どのような制限が発生するのでしょうか。
この記事では、「準防火地域」について解説します。

準防火地域とは?メリットも紹介

準防火地域とは、防火地域に準じて建物の密集する地域で火災が拡大しないことを目的に都市計画で定められた地域のことです。

防火地域とは、市街地の防火対策のために都市計画で指定される地域のことを指します。
準防火地域は、基本的に防火地域よりも規制が比較的緩い地域であることが特徴です。

準防火地域は、火災が発生したときの延焼速度を遅くし、市街地の防火に役立てることが目的に指定されます。

準防火地域に指定される場所は、防火地域の周辺部であることが多く、範囲も防火地域に比べると広くなっています。

防火地域は、高層ビルが建ち並ぶような中心市街地に指定されることがよくあります。
住宅地というよりは、ターミナル駅周辺の商業地に指定されることが多いです。

準防火地域は防火地域を取り囲むように指定されますので、中心市街地に比較的近い場所に指定されることが多いといえます。

準防火地域のメリットは、防火地域よりも規制が緩やかであるという点です。また、準防火地域は中心市街地の周辺に指定されることが多いことから、立地の良い物件が豊富です。

ただし、防火地域や準防火地域に指定されていない地域に比べると、厳しい規制を受ける点がデメリットとなります。

準防火地域と防火地域の共通規制

準防火地域と防火地域の共通規制について解説します。

屋根や窓の構造

準防火地域と防火地域の場合、屋根は不燃材料で作るか、葺くかのいずれかになります。
窓のような開口部の延焼の恐れがある部分では、外壁の開口部に防火設備を設ける必要があります。

防火設備とは、火災の拡大防止と延焼防止のために建物の内外の開口部に設けられるものです。
例えば、網入りガラスが窓の代表的な防火設備となります。

延焼ラインの範囲

延焼ラインとは、建築基準法で記載されている「延焼の恐れのある部分」のことです。
延焼ラインの範囲内は、建築基準法で定められており、近隣の火災時に加熱の影響を受け延焼する危険性のある部分となります。

準防火地域と防火地域の場合、具体的には隣地境界線や道路中心線から1階は3m以下、2階以上では5m以下の距離にある建築物の部分が延焼ラインになります。

準防火地域と防火地域の違い

準防火地域と防火地域の5つの違いについて解説します。

耐火建築物にしなければいけない建物

耐火建築物とは、屋内からの火災や周囲で発生した火災に対して、火災が終了するまでの間、倒壊するほどの変形や損傷等がなく、延焼もしないで耐えることのできる建築物のことです。

耐火建築物では、主要構造部を耐火構造にする必要があるほか、延焼ラインの部分の開口部は防火設備にする必要があります。

準防火地域では、地上4階建て以上、もしくは延床面積が1,500平米超の建物は耐火建築物にしなければいけないとされています。

一方で、防火地域では、地階も含む階数が3以上、もしくは延床面積が100平米超の建物は耐火建築物にすることが必要です。

準耐火建築物としてもよい建物

準耐火建築物とは、耐火建築物ほどの耐火性能はないが、火災のときに一定の時間、倒壊や延焼を防ぐ耐火性能のある建築物のことを指します。

耐火建築物との違いは、耐火建築物は倒壊防止性能が求められているのに対し、準耐火建築物は延焼防止性能が求められているという点です。

準防火地域では、延床面積が500平米超1,500平米以下で、地上3階建ての建物は準耐火建築物でもよいとされています。

一方で、防火地域では、2階建てで、延床面積が100平米以下の建築物は準耐火建築物とすることができます。

政令で定める技術的基準に適合すれば良い建物

政令で定める技術的基準とは、木造の準耐火建築物と同等の性能があるとして扱われる構造基準のことです。

準防火地域内では、政令で定める技術的基準に適合させることで、木造3階建ての建物を建てることができます。

政令で定める技術的基準に適合した建物は、延焼防止の目的から境界線からの距離を基準に外壁の開口部の面積を制限する等の一定の要件を満たすことで、主要構造部を耐火構造としなくてもよいという点が特徴です。

政令で定める技術的基準に適合している建物は、開口部の規制を受けることから、「開口木3」とも呼ばれています。

一方で、防火地域は3階建て以上の建築物は耐火性能を持たせなければいけないことになっています。

一般的に木造で耐火性能を持たせることは困難であるため、防火地域では木造3階建ての建物を建てることが実質的に難しくなるという点が相違点です。

木造でも良い建物

準防火地域では、階数が2階建て以下で延床面積が500平米以下の建物であれば、延焼ラインの部分に防火設備を設ける等の一定の要件を満たすことで木造を建てることができます。

防火地域ではこのような規定がない点が相違点です。

看板等

準防火地域には、基本的に看板や広告塔、装飾塔等の工作物で建築物の屋上に設けるものに対しての制限はありません。

一方で、防火地域には看板等の屋上の工作物や、高さ3mを超える工作物に対しては、不燃材料でつくるか、覆う必要があるといった規制があります。

準防火地域の調べ方

準防火地域であるか否かは、基本的には市区町村役場で確認することができます。
都市計画課もしくは街づくり課といった名称の課に行けば、聞くことが可能です。

確認できる課の名称は役所によって異なるため、役所に着いたらまず受付に行って「準防火地域について確認したいです」と伝えると、課の名称と場所を教えてもらえます。

また、近年は行政の情報公開が進んでいることから、大きな市区町村ではインターネットで防火地域等の情報を公開していることが多いです。

例えば、東京都では「都市計画情報等インターネット提供サービスについて」というサイトで準防火地域を調べることができます。

東京都の都市計画情報等インターネット提供サービスでは、都市計画情報という部分をクリックし、地図で場所を指定していくと防火地域や準防火地域の情報にたどり着けます。

他の自治体でも、防火地域や準防火地域は「都市計画情報」を確認できるサイトの中で調べられることが一般的です。

具体例として横浜市の場合、インターネットで「横浜市 都市計画情報」と検索すると、横浜市行政地図情報提供システムのページに辿り着きます。

横浜市行政地図情報提供システムでは、「マッピー」というサービスから都市計画情報を確認でき、その中の「防火・準防火地域」をクリックすると、地図上に防火地域と準防火地域が色分けされた形で分かりやすく表示されます。

準防火地域にまつわるQ&A

準防火地域にまつわるQ&Aについて解説します。

防火地域と準防火地域にまたがる場合はどうする?

防火地域と準防火地域にまたがる場合は、原則として建物全体について防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。

基本的な考え方としては、より厳しい地域の規定が建物全体に適用されるということです。

ただし、例外が2つあります。
1つ目の例外は、建築物が防火壁で区画されている場合です。
準防火地域内に防火壁を設けている場合は、防火壁を境に建物は区分され、準防火地域側の建物は準防火地域の規制を受けることになります。

2つ目の例外は、敷地は複数の地域にまたがっているものの、建物は1つの地域にしか属していない場合です。
建物が準防火地域の上にしか建っていないときは、その建物は準防火地域の規制を受けることになります。

準防火地域内の建ぺい率緩和規定とは?

建ぺい率とは、建築物が敷地を覆っている割合のことです。
基本的には建物を上から見たときの面積の敷地面積に対する割合のことを指します。

2019年に施行された「建築基準法の一部を改正する法律」により、準防火地域において建ぺい率の緩和規定が設けられました。

準防火地域内で耐火または準耐火の建築物を建てた場合には、建ぺい率が10%緩和されます。

建築基準法の改正前は、建ぺい率の緩和規定は防火地域にしかありませんでした。
準防火地域で建ぺい率の緩和規定を設けた背景としては、準防火地域内でもより防火性の高い建物の建築を促すためとされています。

「法22条区域」「新たな防火規制区域」とは?

法22条区域とは、建築物の屋根の構造を規制する区域のことです。
防火地域または準防火地域以外の市街地に指定される場合があります。

建築基準法の第22条に規定されていることから、法22条区域と呼ばれていることが一般的です。
また、法22条区域は火災の延焼防止を目的に屋根の不燃化が図られている地域であることから、「屋根不燃区域」と呼ばれることもあります。

法22条区域では、屋根は不燃材料である瓦もしくはガリバニウム鋼板等の金属板にする必要があります。一方で、茅葺き屋根のような屋根は利用できません。

ただし、法22条区域でも茅葺き屋根が想定される茶室や東屋等の場合、延床面積が10平米以下等の一定の要件を満たしている場合には、例外的に規制が免除されます。

新たな防火規制区域とは、東京都独自の規制のことです。
東京都建築安全条例に基づく東京都だけの規制であり、全国に適用される建築基準法の規制ではありません。

新たな防火規制区域は、建築物の不燃化を促進し木造密集地域の再生産を防止するために導入されました。

新たな防火規制区域に指定されると、原則として全ての建築物は準耐火建築物等以上とすることが必要です。

また、新たな防火規制区域のうち、延床面積が500平米を超えるものは耐火建築物等としなければならないことになっています。

東京都には、木造の戸建住宅が密集して建っている地域が多いです。

江戸時代には明暦の大火のように大きな被害を生んだ大火災を何度も経験しており、歴史的に見ても防火対策は東京都の重要な課題となっています。

新たな防火規制区域は、大規模な火災の歴史を経験してきた東京都ならではの規制といえます。

この記事のポイント

準防火地域にはどんなメリットがある?

準防火地域のメリットは、防火地域よりも規制が緩やかであるという点です。また、準防火地域は中心市街地の周辺に指定されることが多いことから、立地の良い物件が豊富です。

詳しくは「準防火地域とは?メリットも紹介」をご覧ください。

準防火地域と防火地域の違いは?

準防火地域と防火地域は、「耐火建築物にしなければいけない建物」「準耐火建築物としてもよい建物」「政令で定める技術的基準に適合すれば良い建物」「木造でも良い建物」「看板等」の規制などに違いがあります。

詳しくは「準防火地域と防火地域の違い」をご覧ください。

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