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家を売る際の相場は?高く売りたいときのコツも紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 家を売る際の相場は「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」などで調べることができる
  • 家を売る際には「築年数の経過とともに相場が下落する」など基本的な知識を持っておくと良い

マイホームを売るときは、一体いくらで売れるか気になるところです。
家の価格は土地価格と建物価格の合計額で構成されます。土地は立地や形状、面積等によって価格が異なり、建物は築年数や仕様、面積等によって価格が異なります。

こうしたさまざまな価格形成要因によって、家の価格が決定されることから、最終的には相場と異なることも多いです。とはいえ、一般的な中古住宅は1,000万円~6,000万円程度の価格帯で取引されることが多く、ある程度の相場は存在します。

家の相場は一体いくらくらいなのでしょうか?この記事では「家を売る際の相場」について解説します。

家を売る際の相場を調べる方法

家を売る際の相場を調べる方法について解説します。

築年数で調べる

築年数をもとに家の相場を調べる方法としては、「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」を利用する方法があります。

レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営しているサイトであり、一般の人が無料で家の相場を調べることができるホームページです。

実際に取引された成約データを全国の不動産会社が報告し、個人情報が特定されない形で公開したものがレインズマーケットインフォメーションとなります。

レインズマーケットインフォメーションでは、所在や沿線、最寄り駅、駅からの距離、価格、土地面積、建物面積、間取り、築年数、成約時期等のさまざまな条件を絞り込んで事例を抽出することができます。

築年数に関しては「5年以内」、「5年超10年以内」、「10年超15年以内」、「15年超20年以内」、「20年超」という5つのパターンで調べられます。

レインズマーケットインフォメーションを利用する際は、築年数だけでなく、所在や沿線等も、できるだけ売却予定の物件と同じ条件を選択し、絞り込んでいくことがコツです。
絞り込んだ条件で事例の一覧が表示されますので、そこからある程度の相場を推測することができます。

出典:REINS Market Information|取引情報検索

類似物件の販売事例などから調べる

インターネットの不動産広告ポータルサイトやチラシを使って、類似物件を調べるという方法もあります。

不動産広告ポータルサイトは条件を絞り込んで類似の物件を表示できるため、便利です。
ただし、不動産広告ポータルサイトに載っている情報はあくまでも「売り事例」であり、実際に取引された価格ではないことを意識しておく必要があります。

マンションは値引きが少ないので売り希望価格が相場となっていることもありますが、戸建ては値引きが入ることも多く、必ずしも売り希望価格通りに売れているとは限りません。
戸建てに関しては、成約事例をベースにしたレインズマーケットインフォメーションの方が信頼性は高いです。

なお、土地の価格は相続税路線価を使って調べるという方法もあります。
相続税路線価とは、相続税の土地評価額を求めるために使用される単価のことです。相続税路線価を0.8で割り戻すと公示価格水準となります。
公示価格は国が評価している土地価格ですが、実勢価格(時価)とは乖離が存在していることが多いです。

家を売る際の相場を調べるときに知っておきたいポイント

家を売る際の相場を調べるときに知っておきたいポイントについて解説します。

首都圏の相場は築10年で4%程度下がる

家の価格は、築年数が経過すると下落することが一般的です。
以下に首都圏における築年数別の戸建て住宅の平均価格を示します。
下落率は「築0~5年」の価格を100%としたときの下落率です。

築年数戸建て価格下落率
築0~5年4,8210.0%
築6~10年4,653▲3.5%
築11~15年4,436▲8.0%
築16~20年4,024▲16.5%
築21~25年3,955▲18.0%
築26~30年3,333▲30.9%
築31年~2,345▲51.4%

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)

家の価格は、土地価格と建物価格の合計で決まります。このうち、築年数で価格が下落するのは建物価格です。

土地価格と建物価格の構成割合は、地域によって異なります。首都圏のように土地価格が高い地域では、必然的に全体に占める建物価格の割合が小さくなり、築年数による下落率は小さくなりやすいです。

築30~35年を超えると建物の価値がほぼゼロに

近年の戸建て査定では、建物価格は築30~35年程度を経過するとゼロ円と査定される傾向があります。
昔は築20年でゼロ円にするという考え方もありましたが、今では築20年で一律にゼロ円とする乱暴な査定はほとんどありません。

また、仮に建物価格がゼロ円になったとしても、家の価格には土地価格が残ります。
例えば新築時に建物価格が2,000万円、土地価格が3,000万円の家であれば、仮に建物価格がゼロ円になったとしても、家の価値は概ね3,000万円(実質的に土地価格のみ)程度は残るということです。

必ずしも査定相場通りに売る必要はない

家の査定結果は、不動産会社によって異なることもあります。地域における戸建て売却の実績や、見込み客の有無等によって査定結果に差が出てきます。

査定価格はあくまでも不動産会社の予想であるため、その価格で売却が保証されるわけではありません。
そのため、査定価格通りに売る必要はなく、あくまでも査定価格は参考とした上で少し高めの価格で売却にチャレンジしてみることもできます。

家を売る際に相場より高く売りたいときのコツ

この章では、家を売る際に相場より高く売りたいときのコツについて解説します。

不動産価格が上昇時に売る

家を高く売るなら、不動産価格が上昇トレンドのときに売ることが最大のコツです。
家の価格は土地価格と建物価格に分類されますが、そのうち土地価格は景気の状態によって変動します。土地価格は、近年、総じて上昇傾向が続いており、不動産価格は毎年のように上昇が続いています。

不動産価格の上昇時は、昨年あるいは半年前の相場よりも高く売れる可能性があるということです。よって、売却のタイミングは下落時よりも上昇時の方が明らかに有利といえます。

不動産価格がいつまで上昇するかは、断定はできません。ただし、近年の価格上昇は日銀の低金利政策が大きく影響しているとされています。日銀が金利を上げるようなことがあれば住宅需要が弱まり、家の価格が下がる可能性は高いです。

2023年4月時点においては、今のところ日銀は低金利政策を継続することを固持しています。
低金利政策が続く間は土地価格も上昇する可能性が強いため、今は売りどきといえます。

繁忙期に合わせて売却依頼する

繁忙期にあわせて売れば値引き交渉される可能性が低いため、希望価格通りで売却できる確率は上がるといえます。繁忙期とは、例えば2~3月の引っ越しシーズンのことです。

家の価格は年単位という比較的長い期間で動くことから、2~3月という短い期間だけ急に価格が相場よりも高くなることはありません。

そのため、仮に2~3月に売っても相場通りの価格で売れることになりますが、繁忙期は成約件数が増えるのは事実です。
成約件数が増えるということは売却しやすいということであり、結果的に「短期間で売れる」または「値引きなく売れる」ということにつながります。

また、東京のように不動産取引が活発なエリアは、繁忙期にこだわらなくても短期間かつ値引きなしで売れることもよくあります。
住宅地として人気の高いエリアであればいつでも売却しやすいため、あえて繁忙期を待たなくても大丈夫です。

複数の不動産会社に査定依頼する

家を売却するときは、2~3社程度の不動産会社に査定を依頼してみるのも1つの考えです。
査定価格は査定する不動産会社の一つの意見に過ぎないことから、1社の査定結果だけを妄信する必要もなく、他社の意見も聞いてみることは有益といえます。

仲介の査定価格は、売却を保証する価格ではないことから、労力をかけて高い査定価格を出す不動産会社を探してもあまり意味がないといえます。

査定を依頼する際は、ホームページ等で不動産会社をよく調べてから依頼することが適切です。
近年は、大手の不動産会社を中心に仲介を依頼するとさまざまなサービスの中から適したものを無料で選択できる会社が増えています。無料サービスの中には、例えばハウスクリーニングやプロカメラマンによる撮影といったものが挙げられます。

査定を依頼する会社はホームページで下調べする必要もあることから、数としては2~3社に依頼すれば十分です。多過ぎると、断るときも逆に大変になります。

なお、不動産会社に依頼する査定は無料です。査定価格に納得がいかない場合には断っても大丈夫ですし、断ったからといって何らかの料金が請求されることもありません。

売却依頼をする不動産会社は慎重に選ぶ

売却を依頼する不動産会社は、まずは査定の依頼時にホームページでしっかりと調べて絞り込んでおく必要があります。
どんな会社かを十分に調べずに査定を依頼することは、得策ではありません。

不動産会社は、仲介を依頼した際に利用できるサービス内容をホームページで公表しています。
例えば、床にキズがあり売却に不安がある方は、無料のリペア(修繕)サービスを提供している不動産会社をピックアップしておくことが望ましいです。参考までに、大手の不動産会社のホームページを見るとどのような無料サービスが提供されているかがわかりやすく掲載されています。

査定を終えたら、不動産会社から査定結果の説明を受けます。その際、不安や疑問に思っていることを営業担当者に確認するのが適切です。質問を通じて会話をすれば、営業担当者の実力や専門性等がなんとなく見えてきます。

家を売る際は、査定価格のみならず、信頼できる営業担当者を選ぶことも重要です。
営業担当者に「要望をしっかり聞いてくれる」、「専門性が感じられる」等の好印象を感じられると、納得のいく売却活動ができる可能性が高くなります。

この記事のポイント

家を売る際の相場を調べる方法は?

家を売る際の相場を調べたいときは「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」を利用する、インターネットの不動産広告ポータルサイトやチラシを使って類似物件を調べるなどの方法があります。

詳しくは「家を売る際の相場を調べる方法」をご覧ください。

家を売る際の相場を調べるときに知っておきたいポイントは?

家の価格は築年数が経過すると下落することが一般的であること、築30~35年程度を経過するとゼロ円と査定される傾向があること、必ずしも査定相場通りに売る必要はないことなどを知っておきましょう。

詳しくは「家を売る際の相場を調べるときに知っておきたいポイント」をご覧ください。

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