賃貸 オンライン契約
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賃貸借契約はオンラインも可能! 流れや必要なもの、メリット・デメリットとは?

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 賃貸借契約は、2022年5月の法改正により、重要事項説明から契約締結まで全てオンラインで完結できるようになりました。
  • オンライン契約のメリットは、来店が不要で時間や交通費を節約できる点や、手続きが迅速に進む点、契約書を電子データで管理できる点です。
  • デメリットとして、安定した通信環境が必要なことや、オンライン内見では物件の臭いや騒音などを確認しにくいリスクがあります。

進学や就職、転勤などで引越しを検討しているものの、遠方に住んでいたり、仕事が多忙だったりして不動産会社へ足を運ぶ時間を確保するのが難しいと感じる方もいるでしょう。近年、賃貸借契約の手続きはオンラインで完結できるようになり、時間や場所の制約なく部屋探しを進めることが可能になりました。

この記事では、賃貸物件をオンラインで契約する際の具体的な流れや、必要なもの、メリット・デメリットについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

賃貸借契約のオンライン化の解禁は2022年5月

これまで不動産の賃貸借契約では、契約内容の中でも特に重要な事項を説明する「重要事項説明(重説)」を対面で行い、契約書などの書類は紙で交付することが法律で義務付けられていました。

しかし、デジタル社会の形成を目的とした法改正により、2022年5月18日から、これらの手続きをすべてオンライン上で行うことが可能となっています。この改正によって、入居希望者は一度も不動産会社に来店することなく、物件探しから契約締結、鍵の受け取りまでを完了できるようになり、利便性が大幅に向上しました。

「IT重説」も可能

IT重説とは、パソコンやスマートフォンなどのIT機器を利用し、ビデオ通話などの媒体を通じてオンラインで重要事項説明を受けることです。

賃貸借契約を締結する前には、宅地建物取引士から物件の設備や契約条件に関する重要事項説明を受けることが法律で義務付けられていますが、この手続きもオンラインで対応できます。

2017年から社会実験として賃貸取引で導入されていましたが、法改正により本格的に運用が開始されました。 IT重説の導入により、遠方に住んでいる人や多忙な人でも、不動産会社の店舗へ行かずに契約手続きを進められるようになりました。

オンライン内見も普及している

オンライン内見とは、不動産会社の担当者が現地からスマートフォンやビデオ通話ツールを使って物件の様子を中継し、入居希望者が自宅にいながら室内の状況を確認できるサービスです。 画面を通して、気になる箇所の広さを測ってもらったり、収納の内部を見せてもらったりと、リアルタイムで要望を伝えながら物件を隅々までチェックできます。

写真や間取り図だけでは分かりにくい、日当たりや眺望、コンセントの位置といった細かな点も確認できるのが特徴です。 遠方からの引越しで現地へ行くのが難しい場合や、時間を効率的に使いたい場合に便利な方法として普及が進んでいます。

・「オンライン内見」に関する記事はこちら
オンライン内見とは? 方法や注意点、聞くべきことを解説

オンライン契約で賃貸住宅に入居するまでの流れ

オンラインで賃貸住宅の契約を進める場合、一般的には以下の流れで手続きが行われます。ここでは、問い合わせから入居までの各段階について見ていきましょう。

  1. 問い合わせ・相談
  2. 内見
  3. 申込み・審査
  4. 重要事項説明
  5. オンライン契約
  6. 入居

1.問い合わせ・相談

はじめに、不動産情報サイトなどで気になる物件を探し、取り扱っている不動産会社へ電話やメールで問い合わせます。その際、オンラインでの手続きを希望する旨を伝えましょう。

その後、不動産会社の担当者とメールやビデオ通話ツールを利用して、より詳しい希望条件のヒアリングや物件の提案を受けます。あらかじめ希望の家賃やエリア、間取りといった条件を整理しておくと、相談がスムーズに進みます。

2.内見

物件の候補が絞れたら、オンライン内見を依頼します。不動産会社の担当者が現地からビデオ通話で室内を映し出してくれるので、自宅にいながら物件の状況を確認できます。

画面越しに「窓からの眺めを見たい」「クローゼットの奥行きを知りたい」といったリクエストをその場で伝えることが可能です。気になる点や不安な点は遠慮なく質問し、解消しておきましょう。もちろん、実際に現地を訪れて内見することもできます。

3.申込み・審査

内見を経て物件を気に入ったら、入居の申込み手続きに進みます。多くの不動産会社では、Web上の申込フォームに必要な情報を入力する形で手続きが可能です。

申込み情報や提出された収入証明書などの書類をもとに、大家さんや管理会社、保証会社による入居審査が行われます。審査にかかる期間は、一般的に3日~1週間程度が目安です。

・「賃貸住宅の審査」に関する記事はこちら
賃貸の保証会社の審査に落ちることはある?保証会社不要の場合は?

4.重要事項説明

入居審査を通過すると、契約手続きに移ります。契約締結の前に、宅地建物取引士による重要事項説明をオンラインで受けます(IT重説)。

事前に重要事項説明書などの書類がメールや郵送で送られてくるので、内容に目を通しておきましょう。当日は、パソコンやスマートフォンを使い、ビデオ通話で説明を受けます。説明中に疑問点があれば、その都度質問して確認することが大切です。

5.オンライン契約

重要事項説明の内容に問題がなければ、賃貸借契約を締結します。オンライン契約では、電子契約サービスを利用して手続きを行うのが一般的です。

不動産会社から送られてくる案内に従い、電子契約書の内容を確認し、電子署名を行います。 これにより、紙の契約書への署名・捺印に代わる法的に有効な契約が成立します。

6.入居

契約手続きが完了し、火災保険の加入手続きや初期費用の支払いを済ませると、契約開始日に鍵の受け渡しとなります。鍵の受け取り方法は、郵送で自宅に送られてくるケースや、不動産会社の店舗で受け取るケースなどがあります。事前に受け取り方法や日時を不動産会社に確認しておきましょう。

・「入居前にやること」に関する記事はこちら
入居前にやること14選!掃除や手続きの内容を解説

賃貸物件のオンライン契約のメリット

賃貸物件 オンライン 契約

賃貸物件の契約をオンラインで行うことには、時間や場所にとらわれない利便性など、多くのメリットがあります。ここでは、主な3つのメリットについて解説します。

  • 来店不要で契約できる
  • 契約手続きの迅速化
  • 契約書の管理も容易に

来店不要で契約できる

オンライン契約の大きな利点は、不動産会社の店舗へ足を運ぶ必要がないことです。 遠方に住んでいる場合、契約のためだけに現地へ移動する交通費や時間を節約できます。

また、仕事や学業で忙しく、日中にまとまった時間を確保するのが難しい方にとっても、自宅などの好きな場所から手続きを進められるのは大きなメリットといえるでしょう。

契約手続きの迅速化

従来の書面による契約では、書類の郵送に数日かかっていましたが、オンライン契約ではその必要がありません。電子データの送受信で手続きが完結するため、契約にかかる時間を大幅に短縮できます。

不動産会社の担当者との日程調整もしやすくなるため、申込みから入居までをよりスピーディーに進めることが可能です。 急な転勤などで引越しを急いでいる場合にも、オンライン契約は有効な手段となります。

契約書の管理も容易に

オンラインで締結された契約書は、電子データとしてサーバーやクラウド上に保管されます。 そのため、紙の契約書のように紛失したり、どこに保管したか分からなくなったりする心配がありません。

必要なときにはいつでもデータを確認でき、保管場所にも困らないため、管理がしやすい点もメリットです。ペーパーレス化により、書類の印刷や郵送にかかるコストを削減できるという側面もあります。

賃貸物件のオンライン契約のデメリット

オンラインでの賃貸契約は便利な一方で、いくつかの注意点も存在します。事前にデメリットを理解し、対策を考えておくことが重要です。

  • オンライン環境が必要
  • 物件・契約のリスクを見落としやすい
  • 操作方法が煩雑に感じられることもある

オンライン環境が必要

オンラインで契約手続きを行うには、パソコンやスマートフォン、タブレットといった端末と、安定したインターネット回線が不可欠です。 特に、映像と音声をやり取りするオンライン内見やIT重説では、通信が途切れない安定した環境が求められます。

通信状況が悪いと、映像が乱れたり音声が聞こえにくくなったりして、重要な情報を聞き逃す可能性があります。自宅の通信環境に不安がある場合は、Wi-Fi環境が整った場所へ移動するなどの工夫が必要です。

物件・契約のリスクを見落としやすい

オンライン内見は便利ですが、画面越しでは確認しきれない部分もあります。たとえば、室内の細かな傷や汚れ、臭い、壁の厚さ(遮音性)、周辺の騒音や実際の日の当たり方などは、現地でないと分かりにくい点です。

また、IT重説では、対面と比べて緊張感が薄れ、説明を聞き流してしまったり、気軽に質問しづらかったりする可能性も考えられます。重要なポイントを見落とさないよう、事前に質問事項をまとめておくなどの準備が大切です。

操作方法が煩雑に感じられることもある

オンライン契約では、ビデオ通話アプリや電子契約サービスなど、普段使い慣れていないツールを利用することがあります。 スマートフォンやパソコンの操作に不慣れな方にとっては、アプリのインストールやアカウント設定、電子署名の方法などが煩雑に感じられるかもしれません。

操作方法が分からず手続きが滞ってしまうことのないよう、事前に不動産会社に使用するツールや手順を確認しておくと安心です。

まとめ

2022年5月の法改正により、賃貸借契約の手続きはオンラインで完結できるようになり、時間や場所の制約なく部屋探しを進めることが可能になりました。来店が不要になることで、遠方からの引越しや多忙な方でもスムーズに契約手続きを進められる点が大きなメリットです。

一方で、オンライン内見では物件の細かな点を確認しにくかったり、安定した通信環境が必要だったりする注意点も存在します。

オンラインでの手続きに不安がある場合や、希望の物件探しでお困りの際は、不動産会社に相談することをおすすめします。東急リバブルでは、お客様の状況に合わせ、最適な住まい探しをサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事のポイント

賃貸借契約はオンラインで行えるのですか?

デジタル社会の形成を目的とした法改正により、2022年5月18日から、オンライン上で行うことが可能となっています。この改正によって、入居希望者は一度も不動産会社に来店することなく、物件探しから契約締結、鍵の受け取りまでを完了できるようになりました。

詳しくは「賃貸借契約のオンライン化の解禁は2022年5月」をご覧ください。

オンライン契約で契約から入居まではどのような流れになりますか?

オンラインで賃貸住宅の契約を進める場合、一般的には「オンライン契約で賃貸住宅に入居するまでの流れ」で解説する流れで行われます。問い合わせから入居までの各段階について見ていきましょう。

賃貸物件をオンラインで契約するメリットはなんですか?

賃貸物件の契約をオンラインで行うことには、時間や場所にとらわれない利便性など、多くのメリットがあります。

詳しくは「賃貸物件のオンライン契約のメリット」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

オンライン内見を依頼する際には、ただ室内を見せてもらうだけでなく、より快適な新生活をイメージするためにいくつか確認しておきたいポイントがあります。まず、家具や家電の配置を考えるために、冷蔵庫や洗濯機の設置スペース、カーテンレールの幅などをメジャーで測ってもらうようお願いしましょう。また、携帯電話の電波状況やコンセント・テレビアンテナ端子の位置と数も、生活する上で重要な情報です。
さらに、建物の共用部分である廊下やゴミ置き場、駐輪場の様子も確認できると安心です。可能であれば、物件の周辺を少し歩いてもらい、最寄り駅やスーパーまでの道のりの雰囲気、坂道の有無などを映像で見せてもらうと、実際の暮らしをより具体的にイメージしやすくなるでしょう。

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