ざっくり要約!
- マンション売却の価格には、売主の希望額である「売り出し価格」と、実際に取引が成立した「成約価格」があり、その差(乖離率)は近年の首都圏では5~10%前後です。
- マンション売却では、値引き交渉されることを前提に価格設定をすることが重要です。
- マンションの成約価格を高めるには、インスペクションやハウスクリーニングで物件の魅力を高めることも有効です。
マンションの売却を検討する際、まず気になるのは「いくらで売れるのか」という点ではないでしょうか。売却価格には「売り出し価格」と、実際に買主との契約で決まる「成約価格」の2つがあります。納得のいく条件で売却するには、この2つの違いを理解しておくことが大切です。
この記事では、売り出し価格と成約価格の違いをはじめ、購入希望者から価格交渉をされた際の対応方法、高く売るための工夫についても解説します。マンションを少しでも有利な条件で売却するために、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
マンションの「売り出し価格」と「成約価格」の違い
マンション売却をスムーズに進めるには、「売り出し価格」と「成約価格」という2つの価格を正しく理解することが大切です。それぞれの特徴を知ることで、適切な売却戦略を立てられます。まずは、2つの価格について具体的に見ていきましょう。
売り出し価格とは
売り出し価格とは、売主が「この価格で売りたい」と希望し、不動産情報サイトや広告チラシなどに掲載する価格のことです。一般的には、不動産会社が算出する査定価格を参考に、売主の希望額や市場の動向、売却スケジュールなどを考慮して設定されます。
あくまで売主の希望を反映した価格であり、この価格で必ず売れるという保証はありません。
成約価格とは
成約価格とは、売主と買主の双方が合意し、実際に売買契約書を取り交わした価格を指します。一般的に、売り出し価格をもとに購入希望者との価格交渉が行われ、最終的な成約価格が決定します。
実際に取引が成立した価格であるため、周辺エリアの売買相場を判断するうえで信頼性の高い情報となります。不動産会社が査定価格を算出する際にも、この成約価格の事例が重要な基準として用いられます。
マンションの売り出し価格と成約価格の乖離率は10%前後
マンションの売却では売り出し価格のまま成約することは少なく、成約価格との間に、ある程度の差(乖離)が生まれるのが一般的です。
下のグラフは、東日本不動産流通機構が公表している、首都圏中古マンションの新規登録価格(売り出し価格)と成約価格の乖離率の推移です。

グラフを見てわかるとおり、乖離率は市況によって変動します。 不動産市況が活発だった2021年頃には5%を下回る時期もありましたが、近年は上昇傾向にあり、5~10%超で推移しています。
値引き額は市況や物件の状況によって変わるため、最新の市場動向を不動産会社に確認しながら、売り出し価格を検討することが重要です。
購入希望者からの価格交渉にはどう応じるべき?

マンションの売却活動では、購入希望者から価格交渉(値引き交渉)を受けることが珍しくありません。予期せぬ交渉に戸惑うかもしれませんが、冷静に対応することで、売却の機会を逃さず、より良い条件で契約できる可能性があります。
ここでは、価格交渉をされた際の対応のポイントを解説します。
- 価格交渉は不動産市場の商慣習
- こちらから再交渉することも可能
- 状況を見ながら検討しよう
価格交渉は不動産市場の商慣習
不動産の売買において、価格交渉はごく一般的な商慣習です。購入希望者からの交渉の申し出に対して、感情的になったり、問答無用で断ったりすると、せっかくの売却の機会を失ってしまうかもしれません。
交渉される可能性があるという心構えをあらかじめしておくことが大切です。事前に不動産会社の担当者と方針を相談しておくと、いざ交渉の申し出があった際にも冷静に対応できるでしょう。
こちらから再交渉することも可能
購入希望者から提示された値引き要求を、そのまま受け入れる必要はありません。売主側から譲歩できる金額を提示する「再交渉(カウンターオファー)」も有効な手段のひとつです。
たとえば、200万円の値引きを要求された際に、100万円の値引きを提案するといった対応が考えられます。双方の希望の着地点を探ることで、お互いが納得できる形で契約することが可能になります。
状況を見ながら検討しよう
値引きに応じるかどうかは、売却活動の状況に応じて柔軟に判断することが大切です。たとえば、売り出し直後で多くの内覧希望者がいるような状況であれば、強気の姿勢で交渉を断ることも選択肢のひとつです。
一方で、長期間にわたって売却活動を行っているにもかかわらず、購入の申し込みが初めて入ったような場合は、前向きに値引きを検討する価値があります。状況を見極め、売却のチャンスを逃さないようにしましょう。

マンションの成約価格を高くするには?
少しでも高い価格でマンションを売却するためには、戦略と工夫が必要です。価格設定や物件の見せ方など、以下のポイントを押さえ、有利な条件での成約を目指しましょう。
- 値引き交渉を見据えて売り出し価格を決める
- まずは適正価格の把握を
- 売り時を考慮する
- 物件の魅力を高める施策を検討する
値引き交渉を見据えて売り出し価格を決める
価格交渉されることを前提に、あらかじめ値引き分を考慮した売り出し価格を設定するのもひとつの戦略です。たとえば、3,000万円での売却を希望する場合、5〜10%程度上乗せして3,150万円〜3,300万円で売り出すといった方法が考えられます。
ただし、相場からあまりにもかけ離れた価格で設定してしまうと、購入希望者の目に留まりにくくなります。
まずは適正価格の把握を
高く売りたいという気持ちから、むやみに高い価格で売り出すのは得策ではありません。相場から外れた価格では、購入希望者の検討対象から外れてしまう可能性があります。売れ残ってしまうと、結果的に価格を下げざるを得なくなることも少なくありません。
複数の不動産会社に査定を依頼したり、不動産情報サイトで近隣の成約事例を調べたりして、客観的な市場価格を把握することが大切です。
| ・「マンションの査定」に関する記事はこちら マンションは査定だけで売却しなくてもOK?査定方法や注意点を解説 マンションの査定シミュレーションとは? 仕組みや注意点を解説 |
売り時を考慮する
売却のタイミングも成約価格に影響を与える要素です。同じマンション内や近隣エリアで、条件の似た競合物件が少ない時期に売り出すことができれば、価格競争を避けやすくなります。
また、春先や秋口といった人の異動が多いシーズンは、不動産取引が活発になる傾向があります。不動産会社の担当者と相談しながら、売り出しのタイミングを検討しましょう。
物件の魅力を高める施策を検討する
物件の印象を良くすることで、より高く売れる可能性が高まります。専門家が建物の状態を診断する「インスペクション」を実施すれば、買主に安心感を与え、価格交渉の材料を減らす効果も期待できます。
また、家具や小物で室内をおしゃれに演出する「ホームステージング」や、プロによる「ハウスクリーニング」で清潔感を出すことも有効です。数万~数十万円の施策で物件の魅力を高めることで、値引きせずに売却できる可能性もあり、結果的に手元に残る金額が多くなることも考えられます。
| ・「インスペクション」に関する記事はこちら インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説 ・「ホームステージング」に関する記事はこちら ホームステージングとは?メリットや売却への効果、自分で行うポイントも解説 ・「ハウスクリーニング」に関する記事はこちら ハウスクリーニングの相場はいくら?水回りから一戸建てにかかる費用まで紹介 |

まとめ
マンションを売却する際は、「売り出し価格」と「成約価格」に差があることを前提に、価格交渉を見据えた計画を立てることが大切です。適正な相場を把握したうえで、状況に応じて柔軟に対応することが、納得のいく売却につながります。
あわせて、インスペクションやホームステージングなどで、物件の魅力を高めると、より有利な条件での売却が期待できます。こうしたポイントを意識しながら、計画的に売却準備を進めていきましょう。
マンション売却に関して不安な点がある場合は、東急リバブルへお気軽にご相談ください。
この記事のポイント
- マンションの「売り出し価格」と「成約価格」は違うのですか?
マンション売却をスムーズに進めるには、「売り出し価格」と「成約価格」という2つの価格を正しく理解することが大切です。
詳しくは「マンションの「売り出し価格」と「成約価格」の違い」をご覧ください。
- 購入者からの価格交渉には応じるべきでしょうか?
マンションの売却活動では、購入希望者から価格交渉(値引き交渉)を受けることが珍しくありません。予期せぬ交渉に戸惑うかもしれませんが、冷静に対応することで、売却の機会を逃さず、より良い条件で契約できる可能性があります。
詳しくは「購入希望者からの価格交渉にはどう応じるべき?」をご覧ください。
- マンションの成約価格を高くしたいです。
少しでも高い価格でマンションを売却するためには、戦略と工夫が必要です。
価格設定や物件の見せ方など、「マンションの成約価格を高くするには?」に記載のポイントを押さえ、有利な条件での成約を目指しましょう。
ライターからのワンポイントアドバイス
価格交渉で値引きに応じる際は、ただ金額を下げるだけでなく、売主側に有利な条件を付け加える交渉を試みるのもひとつの方法です。たとえば「値引きする代わりに、引き渡し時期はこちらの住み替えの都合に合わせてほしい」と提案することが考えられます。これにより、新居への入居と売却のタイミングがスムーズにつながり、仮住まいの費用や手間を省ける場合があります。
買主の要望を一部受け入れる代わりに、こちらの要望も伝えることで、一方的な譲歩になるのを防げます。不動産会社の担当者とよく相談しながら、お互いが納得できる落としどころを探ってみましょう。

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