退去費用 相場
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賃貸の退去費用の相場は?支払額を抑えるためのポイントを紹介

執筆者プロフィール

手塚裕之
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

エンタメ業界の管理職として12年勤務後、2018年12月からフリーライター活動を開始。税金、不動産、株式投資、クレジットカードなどお金に関する記事執筆・取材を行う。

ざっくり要約!

  • 賃貸の退去費用とは、物件の状態を元に戻す「原状回復費用」と「ハウスクリーニング費」といった費用の総称
  • 退去費用は部屋の広さによって異なり、20,000~90,000円程度が相場。借主負担の汚損の度合いによっては、さらに高額になることもある
  • 退去費用を抑えるためには常日頃から部屋をキレイに使うことが大切

退去費用とは、借主が退去する際に発生する賃貸物件を元に戻すための費用です。費用の一部は借主が負担する必要があり、部屋の使い方や部屋の広さ、賃貸契約の内容によって負担する金額がかわります。

借主が負担しなければならない退去費用は、どの程度の金額なのでしょうか。本記事では借主が負担する退去費用の内訳と、部屋の広さ別の退去費用相場についてご紹介します。

賃貸物件の退去費用とは退去時に必要な費用の総称

賃貸物件から退去する際には、物件に応じて発生する退去費用の支払いが必要です。退去費用は退去にかかる費用の総称であり、一般的に「原状回復費用」「ハウスクリーニング費」といった費用の合計を指しています。

原状回復費用

原状回復費用とは、借主(賃借人)が退去する際、部屋の状態を入居前の状態に戻す原状回復のために支払う費用です。借主は原状回復にかかる費用全てを負担する必要はなく、借主の不注意や故意による損耗・劣化を原状回復させる場合の費用に限られます。通常使用の範囲で劣化した箇所の修繕・交換費用は、原則として貸主(賃貸人)の負担です。

借主が原状回復費用を負担する範囲は、国土交通省が「原状回復を巡るトラブルとガイドライン」(以下、ガイドライン)として定めています。ガイドラインは、借主が負担する原状回復項目の一例を以下のように例示しています。

  • 飲み物をこぼしたことによるシミ、カビ
  • 冷蔵庫下のサビ跡
  • 雨の吹き込みなどによる畳やフローリングの色落ち
  • 手入れ不足によるガスコンロ、換気扇等の油汚れ
  • 風呂、トイレ、洗面台の水垢・カビ
  • 結露放置によるシミ、カビ
  • クーラーからの水漏れによる壁の腐食
  • 設置されたコンセントを使用しない照明器具の跡
  • ペットによる柱や床のキズ・臭い
  • タバコのヤニによる汚れ・臭い

なお、借主が負担する原状回復費用は、耐用年数および経過年数により決定されるケースがあります。カーペットを張り替えたばかりの部屋に4年間住み続けた場合、カーペットの耐用年数は6年と定められているため、3分の2は貸主負担となると考えられます。

ハウスクリーニング費用

賃貸物件から退去した後には、次の入居者のためにクリーニングが実施されます。原則としてクリーニング費用は原状回復費用の一部と考えられており、部屋の状態に応じて貸主・借主それぞれが負担する割合が変わります。

借主の掃除不足による部屋の損耗が認められない場合は、貸主がクリーニング代を負担し、掃除不足による汚れがひどい場合には借主が負担するようにガイドラインで定められています。しかし掃除の度合いはガイドライン上に明記されていないため、借主と貸主の間でクリーニング代負担をめぐるトラブルになることもめずらしくありません。

そのため、近年の賃貸借契約の多くでは、借主がクリーニング代を負担する特約が設けられていため、事前に契約内容を確認しましょう。

入居時の敷金は退去費用に充当される

入居時に支払う敷金は、原則として原状回復費用に充当されるお金として扱われます。借主が負担する原状回復費を前払いしている形になるため、修繕やクリーニングの費用が敷金の範囲で収まる追加で費用を支払う必要はなく、余った差額分は返還されます。

なお、原状回復費用の額にかかわらず、敷金が全額償却され返還されない特約を結ぶ賃貸借契約があります。この特約が含まれる契約では、借主負担の修繕・クリーニングが発生しないとしても敷金は返金されません。退去前には敷金償却の特約が結ばれていないか、契約書を確認しておきましょう。

賃貸物件の退去費用の相場

退去時に発生する費用は、借主・貸主それぞれが部分的に負担するため、一般的には数万~数十万円程度で収まります。費用が発生する項目とそれぞれの相場を知り、退去に備えたお金を確保しておくとよいでしょう。

退去費用の決まり方

賃貸住宅の損耗・毀損事例の区分
引用:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)

退去に伴う原状回復費用の負担は「グレードアップ」「経年劣化・通常損耗」「借主の故意・過失」のいずれかに該当するかによって負担者が変わります。

「グレードアップ」は、退去のタイミングで設備を最新のものに更新するなど、物件の価値を増大させるための修繕です。厳密には原状回復には該当しないため、費用は貸主が負担します。

「経年劣化・通常損耗」は、借主が通常の範囲で使用した部屋や設備に発生する劣化・損耗です。経年劣化・通常損耗に対する原状回復費用は、借主がすでに賃料に含めて支払っているため、原則として退去時に追加費用は発生しません。

「借主の故意・過失」は、借主が経年劣化・通常損耗以上に部屋や設備に与えたダメージを指します。本来貸主が負担する必要がない費用を発生させるため、原則として劣化・損耗を発生させた借主が費用を負担しなければなりません。

退去費用は、上記の判断により算出された原状回復費用に加え、クリーニング代が加算されます。クリーニング代の金額は部屋の状態や広さが影響するため、築浅で狭い部屋ほど低額に抑えられる傾向があります。

退去費用の相場

では、賃貸物件から退去する際には、実際にどの程度の退去費用がかかるのでしょうか。借主が過失・故意による大きな損耗を発生させていない場合の一般的な退去費用は以下の通りです。

広さ退去費用(相場)
1R・1K・1DK(20~30㎡)約20,000~40,000円
1LDK・2DK(30~50㎡)約40,000~70,000円
2LDK・3DK(50~70㎡)約50,000~80,000円
3LDK・4LDK(70~90㎡)約70,000~90,000円

上記の金額の大半を締めるのがクリーニング代です。居室を中心に、全体的な清掃を行うハウスクリーニングは、部屋の広さに比例して金額が上がります。

そのほか、個別の箇所を念入りに掃除する場合には別途費用がかかります。

場所掃除費用
キッチン周辺約15,000~25,000円
レンジフード・換気扇約10,000~12,000円
浴室(カビ、水垢)約12,000~20,000円
トイレ約6,000~10,000円
洗面所約8,000~10,000円
エアコン約10,000~15,000円
洗濯機・洗濯槽約10,000~30,000円

また、借主の過失で壁紙やフローリングが汚損した場合には、借主が原状回復費用を負担して張り替える必要があります。一般的には壁紙・フローリングは1㎡あたりで金額が設定されていますが、汚れた部分だけ切り抜いて張り替えることはできないため、部屋全体を張り替えなければならない点は覚えておきましょう。

項目費用(1㎡あたり)
壁紙約1,000~2,000円
フローリング(複合材)約5,000~12,000円
フローリング(無垢材)約6,000~13,000円
フローリング(クッションフロア)約2,000~3,000円

これらの費用はシーズンや地域によっても上下します。同じような構造の部屋でも退去費用が大きく異なる場合がある点は覚えておきましょう。

退去費用・原状回復をめぐるトラブル事例

原状回復に伴う退去費用の負担は、退去時に大変トラブルになりやすく、時には裁判にまで話が発展するケースがあります。過去にどのようなトラブルが発生しているのか事例を知り、退去時にはトラブルを避けるような対処を行いましょう。

事例1:過失による損傷修復費用のうち経年劣化を除いた部分が賃借人の負担と認められた事例

賃借人Aは、敷金として279,000円を差し入れて家賃93,000円の物件に入居しました。57カ月後の退去時には壁紙の落書きやビス穴等の汚損、カーペットにも多数の汚損があったため、賃貸人Bは原状回復費用として356,482円を請求。賃借人Aはこの支払いを拒んだため、賃貸人Bは提訴に踏み切りました。

裁判所は、賃借人Aの以下の主張を認め、賃貸人Bの訴えを棄却。敷金のうち219,092円を賃借人Aへ返還するように命じました。

  • 賃借人Aが負担すべき費用は子どもが落書きした11㎡分のみ
  • 入居時に壁紙が新品であっても、退去時の残存価格は約3割程度

事例2:ペット飼育に伴うクリーニング費用を賃借人負担とする特約に関する事例

賃借人Cは家賃139,000円の物件に、敷金417,000円を差し入れて入居しました。この物件には「解約時のリフォーム、汚損・破損箇所の修理・クリーニング、ペット消毒は賃借人負担で行う」という特約が付されており、賃貸人Dは20カ月後の賃貸契約解除時に、特約に基づく原状回復費用500,745円を請求しました。

賃借人Cはこれを受け、ペット飼育期間が3カ月程度と短く、さらには時間の大半をケージ内で過ごしていたことを理由に、居室の損耗は通常の範囲を超えないと主張。敷金全額の返還を求めて提訴しました。

裁判所は賃借人Cの主張を概ね認めながらも、ペット飼育にともなう消毒は賃借人負担が合理的と判断。またクッションフロアの一部にタバコの焦げ跡があったことを認め、一部補修費用を賃借人負担としました。その結果、賃貸人Dの訴えは却下され、賃借人Cへ敷金のうち357,360円の返還が認められています。

未然にトラブルを避けるには

賃貸借契約において、退去時が最もトラブルが発生しやすいタイミングです。賃貸人・賃借人双方の意見の食い違いから裁判にまで発展するケースがありますが、多くトラブルは契約内容の誤認や理解不足が要因となっていますので、契約時のタイミングで契約内容を理解しておくことが大切です。

特に、物件ごとに異なる内容となる特約は、賃貸の経験が豊富な方であっても見落としがちです。退去時の費用負担や敷金償却の有無といった項目がないか確認し、不明な点は仲介会社に説明を求めるとよいでしょう。

退去費用を抑えるために必要なこと

借主が退去時に支払う原状回復費用は、入居時に差し入れている敷金との差額で決まります。原状回復費用が多額になれば追加の支払いが必要になりますが、敷金内で収まれば一部返還される場合もありますので、できるだけ多くの返還を受けられるように契約上のポイントを押さえておきましょう。

入居前に契約内容をよく確認する

入居時には、見落としないよう契約書の内容をしっかり読んでおきましょう。特に物件ごとに異なる特約は原状回復費用に大きく関わりやすい項目です。退去時に借主が極端に不利になる特約が結ばれないよう、納得できる形での契約を結びましょう。

入居前の状況を記録しておく

賃貸物件は新築物件でない限り、以前に別の方が住んでいた経歴があります。自分ではない別の方がつけた傷や汚れに関する原状回復費用を請求されないよう、入居のタイミングで傷や汚れの写真を撮影しておきましょう。

撮影した写真はあらかじめ管理会社に共有しておけば、退去時に部屋の汚損・破損の責任を問われることを防げるでしょう。

常日頃から清掃を心がける

原状回復費用を抑えるためには、汚れのないキレイな部屋の状態をキープしておくことが大切です。シミやカビは放置されるほど落としにくくなりますので、通常のハウスクリーニングでは落としきれずに追加費用を請求されるおそれがあります。また、エアコン等が故障する原因にもなりますので、過失による故障として修理費用を請求されてしまうかもしれません。

原状回復費用負担が高額になることを避けるためにも、常日頃から小まめに清掃を行うように心がけておきましょう。

まとめ

退去時に発生する原状回復費用は、汚れや傷みが生まれた理由によって負担者が変わります。通常の生活で発生する通常損耗は貸主の負担ですが、借主の過失や故意による汚損の原状回復は、借主が費用を負担しなければなりません。

原状回復費用の多くは、常日頃から清掃を行い、汚れや傷みを発生させないことで減額させられます。退去時に多額の原状回復費用を請求されないよう、入居時から部屋をキレイに使うように心がけましょう。

この記事のポイント

賃貸物件の退去費用って何?

賃貸物件を入居前の状態に戻すための費用であり、敷金が優先的に充当されます。

詳しくは「賃貸物件の退去費用とは退去時に必要な費用の総称」をご覧ください。

退去費用・原状回復費用の相場は?

部屋の広さによって異なりますが、20,000~90,000円が相場です。

詳しくは「賃貸物件の退去費用の相場」をご覧ください。

退去費用を抑えるには何が必要?

契約書に書かれた費用負担の取り決めを理解したうえで、できる限り退去時に汚れが残らないよう、定期的に清掃することが大切です。

詳しくは「退去費用を抑えるために必要なこと」をご覧ください。

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