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宅地造成等規制法とは?許可が必要なケースや注意点など解説

災害などの危険性があるエリアを規制区域として指定する「宅地造成等規制法」。規制区域に指定された土地では、一定の造成工事に対し事前の許可が必要です。

規制区域内の土地を検討している場合、どのようなケースで許可が必要なのかなどを理解しておく必要があります。

この記事では、宅地造成等規制法の概要や規制区域内の土地を購入する際の注意点などをわかりやすく解説します。

宅地造成等規制法とは土地の工事を制限する法律

宅地造成等規制法とは、宅地造成に伴い、がけ崩れや土砂の流出を防止するために造成工事に規制をかける法律です。造成地の地盤の締固めや擁壁・排水設備の設置などに基準を定めて、適切に工事されるようにしています。

1961年に制定された法律ですが、近年地震による造成地の崩壊被害が増加していることから、2006年に技術的基準の内容が強化されました。

宅地造成とは、農地や森林などもともと建物を建てられるような宅地ではない場所に、切土や盛土、擁壁の設置などを行い宅地にすることを言います。

造成工事では、切土や盛土・擁壁工事・地盤改良をします。また、すでに宅地の場合でも、地盤改良などをする場合は造成工事にあたります。

都市計画法では一定以上の規模の宅地造成工事をする場合、都道府県知事などの許可が必要と定められています。

宅地造成工事規制区域とは

宅地造成等規制法では、がけ崩れや土砂の流出などが生じやすいエリアが自治体により「宅地造成工事規制区域」として指定されます。

指定された区域内での工事には工事許可が必要で、地盤改良や擁壁工事の方法などが基準を満たしていなければ許可を受けることができません。

また、工事完了後にも検査を受ける必要があります。

どの地域が宅地造成工事規制区域に指定されているのかは、自治体の窓口やホームページで調べられます。また、購入を検討している場合、その土地が宅地造成工事規制区域に指定されているかどうかは、事前に不動産会社から教えてもらえるので確認しておきましょう。

宅地造成工事規制区域内で許可が必要な宅地造成

宅地造成工事規制区域内では、一定の規模を超える宅地造成工事に対し規制がかけられます。

具体的には、次のような工事で事前の工事許可が必要になります。

  • 高さ2m超の切土
  • 高さ1m超の盛土
  • 500㎡超の宅地造成工事

高さ2m超の切土

切土で造成し、高さ2mを超える崖が生じるときは、事前の許可が必要です。

切土とは、高い部分の地面を削り取って平らにならす方法のことをいいます。傾斜地などで宅地を造成する場合によく用いられる方法です。

切土の場合は、もともとの地盤を削り取るだけなので、後述する盛土よりも地盤が強いという特徴があります。この切土で宅地を造成する場合、角度が30度以上の斜面でできる崖の高さが2mを超える場合、事前に許可を得なくてはなりません。

高さ1m超の盛土

地面を削り取る切土に対し、土を盛って地面を平らにする方法を盛土と言います。

盛土はもともとある地盤の上から新たな土を盛るため、地盤が二層にわかれているのが特徴です。切土よりも地盤が緩い傾向があり、地震や大雨などで崩れ落ちてしまう危険性が高まります。

盛土で宅地造成する場合、1mを超える高さに盛土する場合に許可が必要です。

また、工事によっては切土と盛土を同時に行う場合があります。この場合、盛土の高さが1m以下であっても、切土と盛土でできる崖の高さが2mを超える場合は事前の許可が必要です。

500㎡超の宅地造成工事

切土や盛土の高さに関わらず、宅地造成面積が500㎡を超える場合は許可が必要です。

個人の土地の場合、500㎡超の宅地造成をする機会はそう多くないと思いますが、留意しておきましょう。

宅地造成工事規制区域内の土地を購入する場合の注意点

宅地造成工事規制区域に指定されているからといって、必ずしも危険性が高いわけではありません。

また、区域内に建てられていても、資産価値に大きく影響することはないでしょう。ただし、工事許可が必要になる地域でもあるので、購入には注意しなければならない点もいくつかあります。

宅地造成工事規制区域内の土地を購入する際の注意点としては、次の2つがあげられます。

  • 建築済み建物でも改善命令を受けるケースがある
  • 中古物件購入時には検査済証と現況の確認を忘れずに行う

建築済み建物でも改善命令を受けるケースがある

事前の工事許可が必要なため、新築時のルールのみを気にする方も多いですが、すでに建設済みであっても、場合によっては改善命令を受けることがあります。

宅地造成区域内に土地を購入する場合、日常的に土砂崩れなどが起きないように点検する必要があります。すでに建設許可を得て建てた物件であっても、経年劣化などで危険性が高まる可能性があるため、点検の結果によっては改善の義務が発生します。

とくに、擁壁には注意が必要です。法律が定められる前に作られた擁壁などは、現行の基準に達していないものや、古くなって強度が低くなっているものも少なくありません。

昔の石積みの擁壁の場合、現在の建築基準法に適合していないケースも多く、さらに擁壁とみなされないケースもあります。

その場合、擁壁の改修や作り直しが必要になり、高額な費用がかかるでしょう。購入前に擁壁が基準に適しているのか、劣化していないかをしっかりチェックしておくことが大切です。

中古物件購入時には検査済証と現況の確認を忘れずに行う

宅地造成工事規制区域内の中古物件を購入する場合、「検査済証」を確認しましょう。

宅地造成工事規制区域で工事する場合、事前の許可が必要になるだけでなく工事完了後にも検査が必要です。その検査で基準に合格している場合に、「検査済証」が交付されます。

建築基準を満たしていることの証明となるため、すでに工事済みの土地や中古物件を購入する場合は、検査済証を必ず確認することが大切です。

工事から年数が経っていて検査済証を紛失している場合などは、自治体の窓口で「開発登録簿」を調べて確認ができます。

また、「検査済証」の確認だけではなく、現地の状態を自分の目で確認することも大切です。擁壁や排水設備が劣化している場合、危険性が高いと判断され改修工事をしなければいけない可能性があるからです。

工事規制区域内の物件を購入する場合、どのような地域であるのか事前調査をしっかり行い、納得したうえで責任を持って購入しましょう。

宅地造成工事規制区域内の不動産購入は事前確認が大切

宅地造成等規制法は、災害の恐れがある地域に指定される法律です。宅地造成工事規制区域で一定以上の規模の造成工事をする際には事前に許可を得なくてはなりません。

また、中古物件を購入した場合でも、危険性があると判断されると改善命令をうけ、改修工事などが必要になります。

そのため、基準に適合している証である検査済証を確認すると同時に、自分の目で現地の状況を確認して購入を検討することが重要です。

この記事を参考に、宅地造成等規制法を理解したうえで、慎重に土地購入を判断するようにしましょう。

この記事の監修

逆瀬川 勇造
資格情報: 宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。

この記事のポイント

宅地造成工事規制区域とは?

宅地造成工事規制区域とは、がけ崩れや土砂の流出などが生じやすいエリアのことで、自治体により指定されています。
この区域に指定されているかどうか、自治体の窓口やホームページで調査が可能です。また、購入を検討している場合は、事前に不動産会社からも教えてもらえます。

詳しくは「宅地造成等規制法とは土地の工事を制限する法律内、宅地造成工事規制区域とは」をご確認ください。

宅地造成工事規制区域内の土地を購入する場合の注意点を教えてください

宅地造成工事規制区域内の土地を購入する際の注意点としては、次の2つが主なものです。

  • 建築済み建物でも改善命令を受けるケースがある
  • 中古物件購入時には検査済証と現況の確認を忘れずに行うことが必要

詳しくは「宅地造成工事規制区域内の土地を購入する場合の注意点」をご確認ください。

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