ざっくり要約!
- マンションの上の階からの騒音に悩む場合、家主や管理組合に相談し、客観的な証拠となる騒音の記録を取ることが重要です。
- マンションの騒音の原因には、子どもの足音や話し声のほか、テレビの音や家電製品の稼働音、給排水音、ペットの鳴き声などが挙げられます。
- 騒音トラブルを未然に防ぐためには、防音性の高い物件や騒音トラブルの少ない物件を選ぶことや、防音マットを使うこと、家電の配置に配慮することが有効です。
マンションでの共同生活において、上の階からの騒音は悩みの種となることがあります。生活時間帯の違いや生活スタイルの相違から、足音や物音、話し声などが気になるケースは少なくありません。しかし、感情的に苦情を伝えてしまうと、かえって隣人トラブルに発展する可能性もあります。
この記事では、マンションの上の階からの騒音に悩んでいる方に向けて、具体的な対処法や注意点、騒音の原因、そして自身が騒音トラブルを起こさないための予防策について解説します。
記事サマリー
「家庭生活」の騒音における苦情件数は増加傾向にある
近年、家庭生活に起因する騒音問題への注目が集まっています。環境省が公表した「騒音規制法等施行状況調査の詳細」によると、2023年度に全国の地方公共団体が受理した騒音に関する苦情件数は19,890件にのぼります。

このなかで、特に注目されるのが「家庭生活」を発生源とする騒音苦情の増加傾向です。
2023年度の家庭生活に起因する苦情は1,352件で、2018年度の968件と比較すると約1.4倍に増加しています。全体に占める割合は6.8%ですが、住環境における音の問題が顕在化してきている状況がうかがえます。
また、低周波音に関する苦情においても、家庭生活に起因するものは全体の20.9%と、工場・事業場に次いで多くなっています。身近な生活空間での騒音トラブルが増えていることを示すデータといえるでしょう。
| ・「騒音」に関するご相談事例はこちら 上階の生活騒音についてのご相談 生活騒音を理由とする退去に係る損害賠償請求についてのご相談 |
マンションの上の階がうるさいときの対処法
マンションの上の階からの騒音は、平穏な日常生活を脅かす問題となり得ます。感情的に対応するのではなく、冷静かつ段階的に対処することが、解決への近道です。
ここでは、上の階がうるさいと感じた際の具体的な対処法と、その際の注意点について解説します。
- 直接苦情を言うのは避けるべき
- 家主・管理組合に相談する
- 騒音のデータを記録しておく
直接苦情を言うのは避けるべき
上の階の騒音に悩まされたとしても、直接相手に苦情を伝えるのは避けるのが賢明です。感情的になってしまうと、冷静な話し合いができず、かえって関係が悪化してしまう可能性があります。相手も意図せずに音を出している場合や、騒音と認識していないケースも少なくありません。
直接的な抗議は、相手に敵意や不快感を与えやすく、逆恨みなどの新たなトラブルを引き起こすリスクも伴います。また、一度こじれてしまった関係を修復するのは容易ではありません。
問題を穏便に解決するためには、感情的な対立を避け、客観的な視点を持って対応することが大切です。まずは、次に説明する家主や管理組合への相談を検討しましょう。
家主・管理組合に相談する
騒音問題に直面した場合、まずはマンションの家主(大家さん)や管理組合、管理会社に相談することをおすすめします。
中立的な第三者を通じて問題を伝えることで、感情的な衝突を避け、穏便な解決を図りやすくなります。家主や管理組合は、集合住宅におけるトラブル対応の経験を持っている場合が多く、適切な対応を助言してくれるでしょう。
相談する際は、いつ、どのような音が、どの程度の頻度や大きさで聞こえるのか、具体的に伝えることが重要です。可能であれば、後述する騒音の記録を提示すると、状況がより伝わりやすくなります。
管理組合や管理会社からは、掲示板への注意喚起の貼り紙や、全戸への手紙の配布、あるいは直接的な注意など、状況に応じた対応を検討してもらえます。
| ・「騒音トラブルの相談先」に関する記事はこちら 隣人トラブルが起きたらどうする?事例や相談先を解説 |
騒音のデータを記録しておく
家主や管理組合に相談する際や将来的に法的な解決が必要になった場合に備えて、騒音の状況を記録しておくことが有効です。感情的な訴えだけでは、問題の深刻さが伝わりにくく、適切な対応をしてもらえない場合があります。
記録には、以下のような情報を詳細にメモしておきましょう。
- 騒音が発生した日時
- 音の種類(足音、話し声、音楽など)
- 騒音が続いた時間
- 音の大きさ
音の大きさをメモする際は、「テレビの音が聞き取りにくい」「会話ができない」などを具体的に記しておきます。スマートフォンの録音機能や騒音計などを活用して、記録しておくのも有効な手段です。
音量を計測するには、専用の測定器をレンタルするほか、スマートフォンで使える騒音計アプリがあります。専用機器を使うには費用がかかるため、まずは無料のアプリを活用するとよいでしょう。
マンションの騒音トラブルの原因
マンションにおける騒音トラブルの原因は多岐にわたり、環境省の調査によると、主に以下が生活騒音の発生源となっています。
- 電気機器
- 楽器・音響機器
- 人の声・足音
- 給排水管音
- ペット
- アイドリング・空ぶかし
トラブルの原因となりやすいものを知っておくと、問題の解決や防止に繋がるでしょう。それぞれの原因について解説していきます。
電気機器
洗濯機や掃除機、エアコンの室外機、冷蔵庫など、日常生活に欠かせない家電製品の稼働音が騒音の原因となることがあります。特に、早朝や深夜など、周囲が静かな時間帯に洗濯機や掃除機を使用すると、振動やモーター音が階下や隣接する住戸に響きやすくなります。
また、エアコンの室外機の設置場所や古くなった製品の動作音、冷蔵庫のコンプレッサー音なども、人によっては気になる騒音となります。
楽器・音響機器
ピアノやギターなどの楽器の演奏音、テレビやステレオなどのオーディオ機器から出る音も、騒音トラブルの代表的な原因です。
特に楽器の音は、演奏者の意図とは別に、壁や床を伝わって広範囲に響くことがあります。音響機器についても、大音量での視聴はもちろん、低音が響きやすい映画や音楽などは、隣接する住戸に影響を与えやすいです。
これらの音は趣味や娯楽に関わるものであり、音を出す側と受け取る側で感じ方に大きな差が出やすい傾向があります。ヘッドホンの使用や、演奏・視聴時間の制限などの対策が考えられ、集合住宅においては特に配慮が必要といえるでしょう。
人の声・足音
子どもの走り回る音やジャンプする音、大人の足音、大きな話し声や笑い声、ドアの開閉音なども、上の階からの騒音として感じられやすい音です。特に子どもの足音は、時間帯や頻度によっては階下の住民にとって大きなストレスとなることがあります。
また、深夜の帰宅時の足音や話し声、友人などを招いた際の騒ぎ声なども、トラブルの原因となりがちです。
生活する上で発生する音ではありますが、床にカーペットを敷く、スリッパを履く、夜間は静かに歩く、大声で話さないといった、日頃からの配慮が重要になります。
給排水管音
意外な騒音源として、トイレの水を流す音や、お風呂、キッチンなどからの給排水音が挙げられます。特に古い建物の場合、配管を通じて音が伝わりやすい構造になっていることがあります。
日常生活を送る上で避けられないものですが、深夜や早朝の入浴や洗濯など、時間帯によっては他の居住者の睡眠を妨げる原因となる可能性も否定できません。
建物の構造に起因する問題であるため、個人の努力だけで完全に解決するのは難しい側面もあります。しかし、水回りの使用時間帯に配慮するなど、可能な範囲での気遣いが望まれます。
ペット
犬の鳴き声や猫の走り回る音など、ペットによる音も騒音トラブルの原因となります。特に犬の無駄吠えや、早朝・深夜の鳴き声は、近隣住民にとって大きなストレスになることがあります。
また、大型犬などが室内を走り回る音や振動も、階下に響きやすいです。ペット可のマンションであっても、鳴き声のしつけや、床に防音マットを敷くなどの対策は不可欠です。
ペットを飼育する際は、鳴き声や足音などが周囲に迷惑をかけていないか、常に気を配る必要があります。
| ・「ペットとの暮らし」に関する記事はこちら 犬と暮らす部屋選び・レイアウトのポイントは?飼う前・飼った後の注意点 |
アイドリング・空ぶかし
マンションの敷地内駐車場や、近隣の道路での自動車やバイクのアイドリング音、空ぶかしの音も、騒音問題を引き起こすことがあります。
早朝や深夜のエンジン始動音や、長時間のアイドリングは、窓を閉めていても室内に響き、睡眠を妨げるなどの影響を与える場合があります。
暖機運転や荷物の積み下ろしなどで短時間必要な場合もありますが、不必要な長時間のアイドリングや、無意味な空ぶかしは控えるべきです。特に、窓が開いていることが多い季節や、寝室に近い場所でのアイドリングは、周囲への配慮が必要です。
マンションで騒音トラブルを起こさないための対処法

マンションでの快適な暮らしを維持するためには、上の階からの騒音に悩まされないことと同時に、自身が騒音源にならないように配慮することも大切です。お互いが気持ちよく過ごせるよう、日々の生活の中でできる工夫もあります。
ここでは、マンションで騒音トラブルを起こさないための対処法を紹介します。
- 防音マット・カーペットを敷く
- 家電の配置に気をつける
- 防音性が高い物件を選ぶ
- 購入前・賃貸前にトラブル歴をヒアリングする
防音マット・カーペットを敷く
床に防音マットや厚手のカーペット、ラグなどを敷くことは、階下への足音や物音を軽減する効果的な方法です。
特に、子どもが走り回ったり、椅子を引いたりする音は、床材を通じて階下に響きやすいものです。防音性の高いマットやカーペットは、これらの衝撃音を吸収し、伝わりにくくします。
リビングや子ども部屋など、活動時間の長い部屋や音が響きやすい場所に敷くと良いでしょう。デザインや素材も豊富にあるため、インテリアに合わせて選ぶことができます。手軽に始められる対策でありながら、階下への配慮を示す意味でも有効な手段です。
家電の配置に気をつける
洗濯機や冷蔵庫、音響機器などの家電製品は、設置場所によって振動や音が伝わりやすくなる場合があります。
例えば、洗濯機は壁から少し離して設置したり、下に防振ゴムを敷いたりすることで、振動音を抑えることができます。冷蔵庫も壁に密着させるとモーター音が響きやすくなるため、適切なスペースを空けることが推奨されます。
また、テレビやスピーカーなどの音響機器は、隣接する住戸の壁側や床に直接置くのを避け、棚の上に置いたり、壁から離したりするだけでも、音の伝わり方が変わることがあります。家電の取扱説明書を確認し、推奨される設置方法を守ることも大切です。
防音性が高い物件を選ぶ
物件購入や引っ越しを考えている場合は、建物の構造や間取りに注目し、防音性の高い物件を選ぶことが、将来的な騒音トラブルを避けるための重要なポイントです。
一般的に、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造は、木造や鉄骨(S)造に比べて遮音性が高いとされています。
また、壁や床の厚さのほか、二重床や二重天井であるかといった構造も防音性に影響します。内覧時に、不動産会社に隣戸との間の壁や上下階の床スラブの厚さ・構造について確認するとよいでしょう。
角部屋や最上階を選ぶことでも、隣接する住戸が少なくなり、騒音の影響を受けにくく、与えにくくなります。
| ・「RC造(鉄筋コンクリート造)」を含む物件一覧はこちら ・「マンションの防音性」に関する記事はこちら 鉄筋造(RC造)と鉄骨造はどっちが防音性が高い?違いや調べ方を紹介 |
購入前・賃貸前にトラブル歴をヒアリングする
マンションを購入または賃貸契約する前に、その物件やマンション全体で過去に騒音トラブルがなかったか、不動産会社や管理会社に確認することも有効な対策です。
中古マンションの場合は、前の居住者がどのような理由で退去したのか、騒音に関する苦情が寄せられていなかったかなどを尋ねてみるのも一つの方法です。
また、内覧時に時間帯を変えて何度か訪れ、周囲の音環境を確認したり、可能であれば近隣住民に話を聞いてみたりすることも、入居後のギャップを減らすために役立ちます。
| ・「マンションの騒音」に関する記事はこちら マンションの騒音トラブル回避策!苦情を言われたらどう対応する? |
まとめ
マンションの上の階からの騒音は、居住者にとって悩ましい問題です。しかし、感情的に直接苦情を伝えるのではなく、まずは家主や管理組合といった第三者に相談し、客観的な騒音の記録を取ることが、円滑な解決へと繋がります。
騒音の原因は足音や家電の音、話し声など様々であり、自身が加害者にならないための配慮も不可欠です。これから住まいを選ぶ際には、建物の防音性や過去のトラブル歴を確認することが、快適な暮らしを送るためのポイントとなります。
騒音問題は、適切な知識と対応によって解決できる可能性があります。もし、防音性の高い物件をお探しの場合は、ぜひ東急リバブルにご相談ください。お客様の状況に合わせた最適なアドバイスと住まい探しのサポートをいたします。
この記事のポイント
- マンションの上の階がうるさい時はどうすれば良いでしょうか?
マンションの上の階からの騒音は、平穏な日常生活を脅かす問題となり得ます。感情的に対応するのではなく、冷静かつ段階的に対処することが、解決への近道です。
詳しくは「マンションの上の階がうるさいときの対処法」をご覧ください。
- マンションの騒音トラブルの原因は何が多いのでしょうか?
マンションにおける騒音トラブルの原因は多岐にわたりますが、環境省の調査によると、主に生活騒音が原因となっています。
詳しくは「マンションの騒音トラブルの原因」をご覧ください。
- マンションで騒音トラブルを起こさないための対処法を教えてください。
マンションでの快適な暮らしを維持するためには、上の階からの騒音に悩まされないことと同時に、自身が騒音源にならないように配慮することも大切です。
詳しくは「マンションで騒音トラブルを起こさないための対処法」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションの騒音問題で家主や管理組合に相談する際は、いつ、どのような音が聞こえるかを伝えることが重要ですが、加えて「その騒音によって、ご自身の生活にどのような支障が出ているか」を伝えることも有効です。
また、騒音の種類によっては建物の構造が関係しているケースもあり、個人の配慮だけでは解決が難しい場合があります。そのような場合は、他の居住者も同様の悩みを抱えていないか、管理組合を通じて確認してみるのもよいでしょう。複数の居住者からの声が集まれば、マンション全体の問題として捉えられ、抜本的な対策につながることもあります。

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