山手線 内側 エリア
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「山手線内側」ってどんなエリア? なぜ価格・資産価値が高いのか

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 山手線内側は交通利便性や希少性が高く、資産価値が維持されやすいエリアです。
  • 家賃や物件価格は高い傾向にありますが、田端駅や目白駅、高田馬場駅などが比較的リーズナブルなエリアとして挙げられます。
  • 山手線内側の物件を検討する際は、新築・中古にかかわらず、建物の耐震性能やマンションの管理状況などを確認することが重要です。

都心での生活に憧れを持つ人にとって、「山手線内側」は特別な響きを持つエリアです。交通の便が良く、商業施設も充実しているため、多くの人が一度は住んでみたいと考える場所かもしれません。しかし、そのブランドイメージの裏で「なぜこれほどまでに価値が高いのか」「実際に住む場合のメリット・デメリットは何か」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、山手線内側の特徴や資産価値が高い理由、住むうえでのメリット・デメリットを解説します。また、比較的家賃相場が安い駅や、物件を検討する際のポイントも紹介しますので、理想の住まい選びの参考にしてください。

「山手線内側」とは? なぜ高いの?

山手線内側は、交通網が集中する利便性の高さと、限られたエリアである希少性から、不動産価値が非常に高いことで知られています。こうした背景から、多くの人にとって魅力的な居住エリアと見なされています。

ここでは、その価値を支える3つの具体的な理由について見ていきましょう。

  1. 利便性が高い
  2. 希少性が高い
  3. 資産価値の維持・向上に期待できる

1.利便性が高い

山手線内側の大きな魅力は、その交通利便性の高さにあります。エリア内にはJRや地下鉄の多数の路線が網の目のように張り巡らされており、都内の主要なビジネス街や商業エリアへ乗り換えなし、あるいは少ない乗り換えでアクセス可能です。

通勤や通学の時間を短縮できるだけでなく、休日のお出かけや買い物にも便利で、時間を有効に活用できる生活が実現できます。終電の時間が遅い路線も多いため、夜遅くまで活動する方にとっても安心感があるでしょう。このように、日々の生活における時間的なゆとりを生み出す高い利便性が、山手線内側の価値を支える大きな要因となっています。

2.希少性が高い

山手線内側の価値を高めているもうひとつの要因は、その希少性です。山手線内側の面積は約63平方キロメートルで、これは東京都全体の面積のわずか約3%に過ぎません。 この限られたエリアには、千代田区、中央区、港区といった都心の中枢機能を持つ区の多くが含まれています。

新たな住宅開発の余地が少ない一方で、職住近接を求める需要は常に高い状態にあります。需要に対して供給が追いついていない状況が、このエリアの不動産価値を押し上げる要因となっています。結果として、山手線内側は単なる居住地ではなく、誰もが簡単に手に入れられない特別な場所という認識を生み出しているのです。

3.資産価値の維持・向上に期待できる

山手線内側の物件は、資産価値が下がりにくく、長期的に見て価値の維持や向上に期待できる点も大きな特徴です。 高い利便性と希少性を背景に、住宅の需要が安定しているため、景気の変動による価格下落の影響を受けにくい傾向があります。

また、エリア内では常に再開発プロジェクトが進行しており、街の魅力や利便性がさらに向上することで、不動産価値が将来的に上がる可能性も秘めています。 このため、マイホームとしてだけでなく、不動産投資の対象としても人気を集めています。将来的な売却や賃貸を視野に入れた場合でも、買い手や借り手が見つかりやすいという安心感があるでしょう。

山手線内側に住むデメリット

多くの魅力を持つ山手線内側ですが、実際に住むことを考えると、いくつかのデメリットも存在します。価値の高さや都心ならではの特性が、人によっては暮らしにくさに繋がる可能性もあります。住まいを選ぶ際には、メリットだけでなく、こうした側面も理解しておくことが重要です。

  1. 家賃・価格が高い
  2. 人が多い
  3. 自然が少ない

1.家賃・価格が高い

山手線内側に住むうえで、最も大きなハードルとなるのが家賃や物件価格の高さです。利便性や希少価値が高い分、不動産価格は都内の他のエリアと比較して高額になる傾向があります。

一人暮らし向けのワンルームでも、エリアによっては月々の家賃が10万円を超えることも珍しくありません。 物件を購入する場合も、当然ながら高額な資金が必要となります。

予算に限りがある場合は、希望する広さや条件をある程度妥協する必要が出てくるかもしれません。コストの高さは、山手線内側に住むことを検討するすべての人にとって、最初に考慮すべき点といえます。

2.人が多い

都心部である山手線内側は、平日休日を問わず、常に多くの人で賑わっています。主要駅の周辺や商業エリアでは、通勤ラッシュの時間帯でなくても人通りが絶えません。特に新宿や渋谷といった繁華街に近いエリアでは、夜遅くまで喧騒が続くこともあります。

静かで落ち着いた住環境を最優先に考える人にとっては、この人の多さがストレスに感じられるかもしれません。一方で、常に活気がある街が好きだという人には魅力的に映るでしょう。自身のライフスタイルや価値観と、エリアの特性が合っているかを見極める必要があります。

3.自然が少ない

オフィスビルや商業施設、マンションなどが密集する山手線内側は、郊外に比べて公園や緑地といった自然を感じられる場所が少ない傾向にあります。子どもをのびのびと遊ばせる広い公園や、気軽に散歩できる緑豊かな道を求める人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、最近では都心部でも再開発に伴い、ビルの屋上や敷地内に緑地を設ける「緑化」の動きが進んでいます。

例えば、皇居周辺や代々木公園、新宿御苑といった大規模な緑地も点在しており、エリアを選べば自然に触れる機会を作ることも可能です。都心ならではの洗練された緑の空間を楽しめるという側面もあります。

山手線内側で家賃相場が安い駅

高価なイメージが強い山手線内側ですが、エリアによっては比較的家賃相場がリーズナブルな駅も存在します。株式会社リクルートの調査結果によると、特に山手線の北側に位置する駅が上位にランクインする傾向が見られました。

以下の表で、山手線全30駅の一人暮らし向け賃貸物件(ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場ランキングを見ていきましょう。

順位駅名所在地家賃相場
1位田端北区9.1万円
2位目白豊島区9.26万円
3位高田馬場新宿区9.3万円
3位西日暮里荒川区9.3万円
5位池袋豊島区9.4万円
6位日暮里荒川区・台東区9.7万円
7位大塚豊島区9.8万円
7位駒込豊島区9.8万円
9位大崎品川区9.9万円
10位巣鴨豊島区10.2万円
11位鶯谷台東区10.4万円
12位五反田品川区10.68万円
13位品川港区10.8万円
14位新大久保新宿区11.0万円
15位高輪ゲートウェイ港区11.4万円
16位目黒品川区11.6万円
17位秋葉原千代田区12.0万円
17位上野台東区12.0万円
17位御徒町台東区12.0万円
17位神田千代田区12.0万円
17位代々木渋谷区12.0万円
22位田町港区12.3万円
23位新宿新宿区・渋谷区12.4万円
23位浜松町港区12.4万円
25位恵比寿渋谷区13.0万円
26位有楽町千代田区13.45万円
27位渋谷渋谷区13.5万円
27位新橋港区13.5万円
29位東京千代田区14.4万円
30位原宿渋谷区15.0万円

出典:リクルート「『JR山手線』沿線の家賃相場が安い駅ランキング2025年

結果を見ると、トップ10のうち9駅が高田馬場駅から日暮里駅の区間に集中していることがわかります。ここでは、特に家賃相場が安い上位の駅について、どのような街なのかを詳しく紹介します。

1位:田端駅

ランキング1位の田端駅は東京都北区に位置し、山手線と京浜東北線の2路線が利用可能です。 新宿や東京といった主要駅へ乗り換えなしでアクセスできる利便性を持ちながら、山手線沿線のなかでは家賃相場が比較的低いのが大きな魅力です。

駅の周辺は大きな繁華街がなく、落ち着いた雰囲気の住宅街が広がっています。 駅ビルの「アトレヴィ田端」にはスーパーや飲食店が入っており、日常生活の買い物には困りません。 治安も良好で、静かな環境で暮らしたい方や、都心へのアクセスと住環境のバランスを重視する方に適したエリアといえるでしょう。

2位:目白駅

豊島区にある目白駅は、山手線の単独駅で、隣の池袋駅の賑わいとは対照的に、閑静で落ち着いた雰囲気が特徴です。 周辺には学習院大学をはじめとする教育機関が多く、アカデミックな文教地区としての一面も持っています。

駅前にはスーパーや商店がそろっており、日常の買い物に便利です。 繁華街のような喧騒はなく、治安が良いことでも知られているため、女性の一人暮らしや子育て世帯も安心して暮らせる環境が整っています。 都心にありながら緑も感じられる上品な街並みで、静かな生活を送りたい方に適しています。

3位:高田馬場駅

新宿区に位置する高田馬場駅は、JR山手線に加えて西武新宿線、東京メトロ東西線の3路線が乗り入れる交通の要所です。 新宿駅や池袋駅へ約5分でアクセスできる高い利便性を誇ります。

駅周辺には早稲田大学をはじめ多くの学校があり、学生街として活気に満ちています。 そのため、リーズナブルな飲食店や商店街が充実しており、外食が多い方や買い物に便利さを求める方には暮らしやすい環境です。 賑やかなイメージがありますが、少し歩けば閑静な住宅街も広がっています。

3位:西日暮里駅

荒川区にある西日暮里駅は、JR山手線・京浜東北線、東京メトロ千代田線、日暮里・舎人ライナーの4路線が利用でき、交通アクセスに優れています。 都内の主要駅へ30分以内でアクセスできる利便性の高さが魅力です。

駅周辺は下町情緒が残り、物価が比較的安いとされています。 スーパーや飲食店も充実しており、生活しやすい環境が整っています。近年、駅前では再開発計画が進んでおり、将来的に街の利便性や魅力がさらに向上することも期待されるエリアです。

山手線内側の物件を検討するときのポイント

山手線 内側 物件 ポイント

山手線内側というブランドや利便性は魅力的ですが、物件を選ぶ際にはいくつかの注意点があります。「山手線内側だから」という理由だけで決めてしまうのではなく、資産価値や将来のライフプランを考慮したうえで、慎重に判断することが重要です。

ここでは、物件を検討する際に押さえておきたい3つのポイントを解説します。

  • 資産価値が上がる物件ばかりではない
  • 賃借中に家賃が上がる可能性がある
  • 状態の良い中古住宅が狙い目

資産価値が上がる物件ばかりではない

山手線内側の不動産は資産価値が維持されやすいといわれますが、すべての物件の価値が将来的に上がるとは限りません。同じエリア内でも、駅からの距離、建物の築年数、周辺環境、そして物件自体の状態によって資産価値は大きく変動します。

たとえば、最寄り駅から徒歩10分以上離れている物件や、管理状態が良くないマンションの場合、期待したような資産価値の維持は難しいかもしれません。購入を検討する際には、その物件が持つ個別の条件を冷静に分析し、将来性を見極める視点が必要です。

賃借中に家賃が上がる可能性がある

山手線内側の賃貸物件に住む場合、契約更新の際に家賃が上がる可能性があることも念頭に置いておく必要があります。このエリアは常に高い賃貸需要があるため、周辺の家賃相場が上昇した場合、オーナーが家賃の見直しを行うケースは少なくありません。

特に、好景気の時期や周辺で大規模な再開発が行われた後などは、家賃が上昇しやすい傾向にあります。将来の収入計画なども考慮し、家賃の変動リスクも受け入れられるかを考えたうえで物件を選ぶことが大切です。

状態の良い中古住宅が狙い目

山手線内側はすでに開発が進んでいるため、新築住宅、特に新築一戸建ての供給は限られています。そのため、物件探しの中心は中古住宅、特に中古マンションとなることが多いでしょう。

中古物件を選ぶ際に重要なのは、建物の状態をしっかりと確認することです。特に1981年6月1日以降の「新耐震基準」で建てられているかは、安全性の観点から必ず確認したいポイントです。 場合によっては、専門家による建物検査(インスペクション)の活用も検討しましょう。

また、マンションの場合は、管理組合が適切に機能しているか、長期修繕計画がきちんと立てられ、修繕積立金が計画通りに集まっているかといった「管理状態」の確認が欠かせません。 これらは、物件の将来的な資産価値にも直結します。

まとめ

山手線内側は、交通の利便性やステータス、資産価値の維持しやすさといった多くの魅力を持つエリアです。都心でありながら、田端や目白のように比較的落ち着いた環境で暮らせる街も存在します。

しかし、その一方で家賃や物件価格が高いこと、エリアによっては人が多く賑やかであることなどの側面も理解しておく必要があります。

山手線内側での住まい探しでは、エリアのブランドイメージだけでなく、個々の物件の価値を冷静に見極めることが重要です。特に中古物件を検討する際は、建物の耐震性能やマンションの管理状態などを入念にチェックしましょう。

山手線内側で物件を探している場合は、ぜひ東急リバブルにご相談ください。豊富な物件情報のなかから、お客様の希望に合ったご提案をさせていただきます。

この記事のポイント

山手線内側とはどんなエリアですか?

山手線内側は、交通網が集中する利便性の高さと、限られたエリアである希少性から、不動産価値が非常に高いことで知られています。

詳しくは「山手線内側」とは? なぜ高いの?」をご覧ください。

山手線内側で家賃が安いエリアはどこですか?

高価なイメージが強い山手線内側ですが、エリアによっては比較的家賃相場がリーズナブルな駅も存在します。

詳しくは「山手線内側で家賃相場が安い駅」をご覧ください。

山手線内側の物件を検討する際、何に気をつければ良いですか?

山手線内側というブランドや利便性は魅力的ですが、物件を選ぶ際にはいくつかの注意点があります。

詳しくは「山手線内側の物件を検討するときのポイント」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

山手線内側の物件を検討する際には「用途地域」を確認することも重要なポイントです。用途地域とは、都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途を定めたルールのことです。例えば、同じ山手線内側でも、落ち着いた住環境が保たれやすい「住居専用地域」と、店舗やオフィスが混在する「商業地域」では、街の雰囲気や騒音レベルが大きく異なります。また、将来的に近隣に高い建物が建つ可能性なども、用途地域からある程度予測することが可能です。
物件情報には必ず記載されているので、住環境を重視する場合は見落とさないようにしましょう。用途地域について不明な点があれば、不動産会社の担当者に質問してみることをおすすめします。

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