空室期間を短縮するための賃貸募集の工夫と改善策
ざっくり要約!
- 「閲覧・内見・成約」の段階別で分析し、空室の原因を特定することが重要
- 物件の写真改善や検索対策など、低コストで即効性のある具体策を優先すると良い
- 安易な家賃の値下げは避けて入居条件の見直しから着手するのが賢明
「今月もまた空室のまま明細が届くのか」と、通帳を見てため息をついていませんか?
管理会社に相談しても「家賃を下げましょう」の一点張りで、具体的な提案が出てこない現状に、強い不安と苛立ちを感じている不動産投資家の方は少なくありません。
しかし、空室が埋まらない理由は、物件そのもののせいではなく、入居者募集の戦術が市場のニーズとズレているケースが大半です。
この記事では、高額なリノベーションに頼らず、ポータルサイトでの検索順位を上げるテクニックや、仲介営業マンを味方につける交渉術など、即効性のある具体策を解説します。
目次
賃貸住宅の平均的な空室期間は?
首都圏における賃貸住宅の募集期間(募集開始から成約までの期間)は、約4.5ヶ月が一つの目安です。もし、首都圏の物件で空室が半年以上も続いている場合は、「時期が悪い」のではなく、募集戦略に問題がある可能性が高いと言えるでしょう。
株式会社タスが発表している「賃貸住宅市場レポート(2025年5月版)」によると、首都圏の賃貸物件における募集期間の推移には、エリアごとの明確な傾向が見て取れます。
東京23区(都心部)
東京23区内の平均募集期間は「4.42ヶ月」。ただこれはあくまで平均で、賃貸需要が極めて高い駅前・駅近・都心部などでは、空室期間が平均よりも短くなることも少なくありません。
例えば「東京23区内にあるのに半年以上決まらない」という状況は深刻な状態です。客観的なデータに基づく平均値を知ることで、自分の状況は即座に対策を打つべき緊急事態なのか、判断できるようになります。
東京市部・周辺3県(神奈川・埼玉・千葉)
首都圏における23区外のエリアでは、都心へのアクセスや駅からの距離によって募集期間にばらつきがあります。23区と比較すると総じて募集期間が長引き(4.5ヶ月〜5ヶ月超)、空室率も高い傾向が見られます。
賃貸住宅の空室期間が長引く原因は?
空室対策において最も危険なのは、原因を特定しないまま「なんとなく家賃を下げる」「とりあえずリフォームする」といった対策に飛びつくことです。空室が埋まらない原因は、入居者が物件を探すプロセスの「どこ」で躓いているかによって異なります。
まずは、「ポータルサイトで見られていないのか(閲覧数不足)」「内見の数が足りないのか(反響数不足)」「内見後に断られるのか(成約率不足)」という視点を持ち、以下の4つの主要な原因と照らし合わせてみてください。
賃料
空室期間の長期化につながる原因として最も多いのは、設定家賃が現在の市場相場と乖離していることです。
入居者はポータルサイトで「家賃の上限」を設定して検索します。そのため、どれほど素晴らしい物件であっても、競合となる近隣物件よりも家賃が数千円高いだけで、検索結果のリストから除外されてしまうリスクがあります。
例えば、新築時に設定した家賃をそのままにしていたりしないでしょうか。あるいは、近隣に家賃の安い物件が建ったのに、募集家賃を据え置きにしてしまっているといったケースも少なくありません。
「ローンの返済があるから家賃を下げられない」などの事情は、あくまでオーナー側の問題であり、残念ながら入居者には関係ありません。まずはSUUMOやホームズで近隣のライバル物件を検索し、適正家賃を見極めることがスタートラインです。
物件写真・広告文
「不動産ポータルサイトでの閲覧数(PV)が少ない」場合、その原因のほとんどは掲載されている写真とキャッチコピーの質にあります。
現代の部屋探しはスマートフォンで部屋を探すのが主流です。このため、検索一覧画面に表示される「1枚目の写真」の良し悪しによって、物件ページの閲覧数は大きく変わってきます。
アイキャッチとなる写真が魅力的に見えなければ、物件の存在そのものが認知されていないのと同じです。また、アイキャッチ以外にも、室内が暗く写っている写真、部屋が狭く見える写真などを使用している場合は別の写真に差し替えることをおすすめします。
広告文に「日当たり良好」などのありきたりなフレーズを使っている場合は、広告文を見直すのも1つの手です。例えば「在宅ワークに最適」「大型スーパー徒歩3分」といった具体的な生活メリットを伝える言葉へ書き換えるだけで、反応が大きく変わることもめずらしくありません。
設備・内装の劣化
「内見までは進むのに、申し込みが入らない」というケースでは、設備や内装、特に清潔感(第一印象)に難のある可能性が高いです。
ネット上の写真は綺麗に見えても、実際に現地を訪れた際に「共用部にゴミが散乱している」「郵便受けにチラシが溢れている」といったマイナス要素があると、入居者の熱量は一気に冷めてしまいます。
また「室内へ入った瞬間にカビや排水溝のニオイがする」「壁紙クロスに変色が見られる」などの場合も要改善です。
そのほか、設備の面で競合に劣っている場合は、そもそも内見まで進めないケースも少なくありません。例えば、水回りが旧式の3点ユニットバスだと、競合物件に負けてしまう大きな要因となります。
「独立洗面台」や「温水洗浄便座」は居住者からの人気が高いため、費用との兼ね合いにはなりますが、導入を検討すると良いでしょう。大規模なリノベーションができない場合でも、徹底した清掃と消臭、そして最低限の設備アップデートは必要です。
入居条件
物件そのものに魅力があっても、オーナー自身が設定した「入居条件」が厳しすぎて、自らターゲットを狭めてしまっているケースも散見されます。
日本の人口が減少している中で、「外国人不可」「高齢者不可」「単身者限定」「ペット不可」などの制限を設け続けると、自ら入居希望者の母数を削ることになってしまいます。
「入居者トラブルが怖い」という懸念はもっともですが、現代では家賃保証会社の審査機能や見守りサービスなどもあるため、オーナー側でリスクコントロールが可能です。
入居条件を緩和することでアプローチできる層が広がった結果、空室が埋まるケースは少なくありません。食わず嫌いをせずに条件を見直す柔軟性が重要です。
賃貸募集を改善するポイント

空室が埋まらない原因を特定できたら、次は具体的なアクションプランの実行に移りましょう。ここからは、何十万円もかけるリノベーションではなく、今すぐ着手できて効果を実感しやすい「即効性のある戦術」を中心に解説します。
ターゲティング
空室を埋めるために、まずは「誰に住んでほしいか」を徹底的に絞り込むことから始めます。「入居してくれれば誰でもいい」という考え方に基づいた募集の仕方では、結果として誰の心にも刺さりません。ターゲットを明確にすることで、初めて効果的なアピールが可能になります。
例えば、駅から距離がある物件なら「電車通勤の会社員」ではなく「完全在宅ワークのフリーランス」を狙い、書斎に使えるスペースや高速インターネットなどをアピールします。
あるいは、1階の部屋なら「階段が辛い高齢者」や「足音を気にする子育て世帯」へアピールすると良いでしょう。ターゲットの生活背景(ペルソナ)を具体的にイメージし、その人が喜ぶポイントを募集図面に書き込むだけで、反響の質は変わります。
需要の高い設備の導入
設備投資をする際は、その設備を入れることで「入居者が喜ぶか」だけでなく「SUUMOやホームズの検索条件(チェックボックス)に引っかかるか」という視点が不可欠です。
どんなに良い部屋でも、検索フィルターで除外されてしまえば、ユーザーの目に触れることはありません。検索されやすい人気設備を導入することは、露出を増やすために最も確実な投資です。
例えば、「TVモニター付きインターホン」「温水洗浄便座」「宅配ボックス」などはとてもニーズの大きい設備です。これらは数万円程度で後付け可能でありながら、検索ヒット率を大きく向上させます。
また、単身者向けの物件であれば「無料インターネット」もおすすめです。まずはポータルサイトの検索画面を開き、自分の物件がどの項目にチェックを入れられるか確認し、空欄を一つでも埋めるようにしてみましょう。
リフォーム
内見時の印象を良くするために、必ずしも高額なフルリフォームは必要ありません。コストを抑えつつ見栄えを良くするコツは「一点豪華主義」と「ホームステージング」です。
人は見た目の第一印象で物件の価値を判断します。例えば、水回りが3点ユニットバスであっても、鏡を横長のワイドミラーに交換したり、水栓(蛇口)だけを新品のサーモスタット式に変えたりすれば、印象を向上させられるでしょう。
また、IKEAや100円ショップの雑貨を活用し、玄関にスリッパを置く、キッチンにフェイクグリーンを飾るなどの「ステージング」も効果的です。
これらの方法は、3万円程度の予算でも、殺風景な空室に「生活のイメージ」と「温かみ」を吹き込めるため、内見者の成約を大きく後押しします。
物件の見せ方の改善
ポータルサイト用の写真は、単なる記録ではなく「クリックさせるための広告素材」と捉えましょう。スマホでの部屋探しが主流の現在では、検索一覧画面に表示される「1枚目の写真」が暗かったり狭く見えたりすると、詳細ページを開いてもらえません。
写真を撮影する際は、部屋を広く見せるために「広角レンズ(スマホ用アタッチメントでも可)」を使用し、目線の高さではなく「腰の高さ」から撮影するのが鉄則です。また、無料の画像編集アプリで明るさを補正するだけでも、魅力的な写真になります。
入居条件の緩和
空室が埋まらないと、「家賃の値下げ」を考えることは少なくありません。しかし、まずは「フリーレント(家賃無料期間)」の導入を検討しましょう。
家賃を下げることは、将来にわたる収益の低下と物件の資産価値下落を招きます。一方で、フリーレントは一時的な費用の持ち出しで済むため、長期的にはダメージが少なくなります。
例えば、家賃6万円の物件で「家賃を3,000円下げる」場合と「フリーレント1ヶ月をつける」場合を2年間(24ヶ月)で比較してみましょう。
家賃3,000円値下げ: 3,000円 × 24ヶ月 = 72,000円の減収(その後も減収は続く)
フリーレント1ヶ月: 60,000円 × 1ヶ月 = 60,000円の減収(一時的)
計算すると、フリーレントの方が手残りが多いうえに、長期的な利益も維持できます。
管理会社の変更
上記の対策を講じても状況が改善しない、あるいは提案に対して管理会社が動いてくれないなどの場合は、管理会社を変更する時期かもしれません。
入居率を改善できるかどうかは、オーナーの熱意だけでなく、管理会社の集客力や提案力に大きく依存するものです。もし担当者が「時期が悪い」「待つほかない」などとしか言わないのであれば、それは管理会社の能力不足か、あなたの物件が後回しにされている可能性もあります。
現代では、高い入居率を誇る管理会社や、Webマーケティングに強い会社など、多くの選択肢があるものです。また、入居者募集を一つの管理会社に任せるのではなく、複数の仲介会社に募集を依頼する「一般媒介」へ切り替えて競争させるのも一つの手です。
・「管理会社の選び方」に関する記事はこちら
不動産投資の賃貸管理会社の選び方|管理委託のメリット・デメリットも解説
・「空室対策」に関する記事はこちら
不動産投資の空室対策|入居者募集で成功するための実例と改善ポイント
まとめ
賃貸物件の空室対策は、「家賃を下げれば決まる」「リフォームすれば埋まる」という単純なものではありません。市場データを分析して、ターゲットに合わせた戦略を実行する必要があります。
まずは入居者が決まらない理由を具体的に特定し、写真の撮り直しや検索フィルター対策といった、低コストで即効性のある施策から着手してみましょう。
また、数字に基づいた損益シミュレーションを行い、一時的な感情ではなく経営的判断で条件変更を行うことが、長期的な安定経営につながります。

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ワンポイントアドバイス
管理会社の担当者も人間なので、メールだけでやり取りをするよりも、オーナーの顔が見える方が、「この人のために頑張ろう」という気持ちが強くなるものです。定期的に管理会社の店舗へ顔を出してみるのもおすすめの空室対策です。「気にかけてくれるオーナーだから、優先して紹介しよう。」という担当者の特別扱いを引き出すことも、有効な空室対策の一つです。空室期間が長引いたときは、一人で悩まずに周りを味方につけて乗り切りましょう。
この記事のポイント
Q.賃貸住宅の空室期間の平均はどれくらいですか?
A. 首都圏における賃貸住宅の募集期間(募集開始から成約までの期間)は、約4.5ヶ月が一つの目安です。詳しくは「賃貸住宅の平均的な空室期間は?」をご覧ください。
Q. 賃貸住宅の空室期間が長引くのは何か理由があるのでしょうか?
A. 空室が埋まらない原因は、入居者が物件を探すプロセスの「どこ」で躓いているかによって異なります。詳しくは「賃貸住宅の空室期間が長引く原因は?」をご覧ください。
Q. 賃貸募集の改善ポイントはどこでしょうか?
A. 何十万円もかけるリノベーションではなく、今すぐ着手できて効果を実感しやすい「即効性のある戦術」を中心に解説します。詳しくは「賃貸募集を改善するポイント」をご覧ください。