住宅ローンを活用した「賃貸併用住宅」の仕組みと投資視点での間取り計画
ざっくり要約!
- 自宅部分を延床面積の「50%以上」にするなどの要件を満たすことで、低金利な住宅ローンを建物全体に適用できる。
- 土地から購入する場合は「自分が住みたい場所」と「賃貸需要」のバランスが重要。
家賃収入で住宅ローンの返済を賄える賃貸併用住宅は、マイホーム購入と資産形成を同時に進められるため、土地を持たない方にとって特に合理的な選択肢です。
しかし、金利の低い「住宅ローン」を利用するには、自宅部分の面積制限など特有の条件があり、土地探しから始める場合には、資金計画の難易度も上がります。
この記事では、賃貸併用住宅で住宅ローンを組むための条件や、土地なし層が直面する審査のポイント、後悔しないためのリスク対策などを解説します。
目次
賃貸併用住宅の基本構造と住宅ローンの適用要件
賃貸併用住宅を検討する際、多くの方が最初に突き当たる壁が「お金」の問題です。「マイホームで収益を得る」という魅力的な仕組みを支えるのは、実は緻密なローン戦略です。
まずは、賃貸併用住宅の基本的な仕組みと、最大のメリットである「住宅ローン」を利用するための条件について解説します。
賃貸併用住宅とは
賃貸併用住宅とは、一つの建物の中に「オーナーが居住するスペース」と「他人に貸し出す賃貸スペース」が共存している形式の住宅のことを指します。
その最大の魅力は、自宅という資産を持ちながら、毎月の家賃収入をローン返済や生活費に充てられる点です。
マイホームが単なる「消費」の対象ではなく、将来にわたって家計を助けてくれる「生産的資産」に変わる、合理的な住まいの形と言えるでしょう。
収益物件は住宅ローンを利用できないのが原則
賃貸併用住宅において要注意なのは、原則として「他人に貸し出すための物件(収益物件)」を購入するためには、住宅ローンは使えないという点です。
住宅ローンは、あくまで「契約者自身とその家族が住むための家」を支援することを目的とした融資です。そのため、営利目的であるアパートやマンションの建築・購入には「不動産投資ローン(アパートローン)」を利用しなければなりません。
もし投資用物件であることを隠して住宅ローンを組んだ場合は、契約違反とみなされて一括返済を求められるリスクもあります。
賃貸併用住宅で住宅ローンを使えるのは、あくまで「自宅としての側面」が認められる場合に限ったケースであることを理解しておきましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンを比較
では、住宅ローンと不動産投資ローンでは具体的に何が違うのでしょうか。土地なしの状況から賃貸併用住宅を検討する方にとって、この差は月々のキャッシュフローに直結するポイントです。
一般的に、住宅ローンは不動産投資ローンに比べて金利が低く、返済期間も長く設定できる傾向があります。それぞれの特徴を比較表にまとめました。
| 比較項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
|---|---|---|
| 主な目的 | 自身および家族の居住用 | 賃貸事業・営利目的 |
| 金利の目安 | 低い(0.3%〜2%程度) | 高い(1.5%〜4%以上) |
| 返済期間 | 最長35年(一部40〜50年) | 20〜30年程度(法定耐用年数に依存) |
| 審査のポイント | 本人の年収、勤続年数など | 物件の収益性、本人の資産背景 |
| 住宅ローン控除 | 適用可能(条件あり) | 適用不可 |
・「不動産投資ローン(アパートローン)」に関する記事はこちら
不動産投資ローンとは? 金利・審査・選び方を徹底解説!
不動産投資ローンの種類と選び方|アパートローン・プロパーローン・ノンバンクの違いとは?
「住宅ローン」が適用される条件
賃貸併用住宅で「住宅ローン」を借りるには、金融機関が定める特定の基準をクリアする必要があります。
重要な基準の一つが「建物の延床面積の50%以上が自宅部分であること」です。つまり、半分以上を自分が住むスペースにするのであれば、建物全体(賃貸部分を含む)を住宅ローンで賄ってもよい、というルールです。
ただし、この「50%ルール」はすべての金融機関で共通ではありません。一部の金融機関や住宅金融支援機構の「フラット35」では、自宅部分が「半分以上」であることを条件としていますが、銀行によっては独自の比率や条件を設けている場合もあります。
賃貸併用住宅は住宅ローン控除が利用できる?
「住宅ローンが使えるなら、税金の還付(住宅ローン控除)も全額受けられるのでは?」と期待される方も多いですが、ここには税務上の留意点があります。
結論からお伝えすると、住宅ローン控除が適用されるのは「自宅部分のみ」です。例えば、建物全体の面積のうち、自宅が60%、賃貸部分が40%という構成の場合、住宅ローンの年末残高のうち「60%分」のみが控除の対象となります。
賃貸部分は事業用資産とみなされるため、控除の対象外です。その代わり、賃貸部分にかかる固定資産税やローンの利息などは、不動産所得の計算において「経費」として計上できる可能性があります。
賃貸併用住宅のローン審査と借入限度額の目安
賃貸併用住宅は、一般的なマイホームに比べて建築費や土地代などの総予算が高額になりやすい傾向があります。
そのため、多くの方が「自分の年収でいくらまで借りられるのか」「審査のハードルは高いのではないか」と不安を感じるものです。ここからは、審査の具体的な目安や、借入額を伸ばすためのポイントを解説します。
年収から見る借入限度額と「家賃収入」の合算可否
賃貸併用住宅のローン審査では、自身の年収に「想定される家賃収入」を一定割合まで合算して借入限度額を算出できる場合があります。
賃貸部分から得られる収益が将来の返済原資になると金融機関に認められるためです。通常の住宅ローンは「個人の給与所得」のみが審査対象ですが、賃貸併用住宅に対応したローンの場合は、事業性を評価に加味してくれる点が大きな特徴です。
例えば、本人の年収が700万円で、年間200万円の家賃収入が見込めるプランの場合、金融機関によっては家賃収入の50%〜100%を年収に加算して審査してくれます。
これにより、本来の年収だけでは届かないような高額な物件でも、融資を受けられる可能性が出てきます。
ただし、この合算の可否や加算される割合は、金融機関によって大きく異なるため要注意です。まずは、自身の属性とプランでは、どこまで合算が認められるかを事前に確認しておきましょう。
審査を有利に進めるために押さえておくべき金融機関の評価ポイント
ローン審査を有利に進めるためには、本人の信用力だけでなく「物件の収益性と市場性」をしっかりとアピールすることが重要です。
金融機関は「もしオーナーの給与が途絶えても、この物件の家賃収入でローンを完済できるか」という視点で評価を行うからです。そのため、単なる「住みやすさ」だけでなく、賃貸事業としての「安定性」が厳しくチェックされます。
評価対象となるのは、具体的に以下のようなポイントです。
- 物件の立地条件: 駅から徒歩圏内か、周辺に競合物件が多すぎないか。
- プランの妥当性: 地域のニーズ(単身向け・ファミリー向けなど)に合った間取りか。
- 事業計画: 空室リスクを見込んだ現実的な収支シミュレーションが組まれているか。
中古物件を購入してリフォーム・リノベーションする際のローン活用
中古物件を購入して賃貸併用住宅へリフォーム・リノベーションする場合は、購入費用と工事費用を一本化できる「セットローン(一体型住宅ローン)」の活用が有効です。
別々にローンを組むよりも金利を低く抑えられる上に、返済期間も最長35年などの長期で設定できるため、月々の支出を大幅に軽減できます。
ただし、中古物件の場合は建物の構造や築年数によって、融資期間が制限されたり、工事費用の一部が住宅ローンの対象外となったりするケースもあります。
物件選びの段階から、リフォーム費用を含めた融資が可能かどうか、専門家に相談しながら進めるのが安心です。
賃貸併用住宅の運用における利点と留意事項
賃貸併用住宅は、単なる「住まい」としての機能を超え、家計を支える「収益物件」としての側面も持ち合わせています。
この二面性を理解することは、長期的な資金計画を立てる上で欠かせません。ここからは、運用面で得られるメリットとリスクについて解説します。
利点
賃貸併用住宅の最大の魅力は、やはり経済的なゆとりと、将来の変化に対応できる柔軟性にあります。
返済額が下がる
住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てれば、月々の実質的な返済額を大幅に抑制可能です。不動産投資ローンに比べて圧倒的に低金利な「住宅ローン」を建物全体に適用できるケースがあり、さらにそこへ「家賃収入」という返済原資が加わるからです。
・「金利」に関する記事はこちら
【金利動向】「金利のある世界」における不動産投資の収支シミュレーションとリスク管理
ライフステージの変化に対する柔軟性
賃貸併用住宅は、家族構成やライフスタイルの変化に合わせて、建物の使い方を自由に変えられる柔軟性を持っています。
区分けされた賃貸スペースがあることで、将来的にオーナー自身の居住エリアを拡張したり、別荘や二世帯住宅として活用したりといった選択肢が生まれます。
例えば、子どもが独立した後に壁を取り払って広々とした自宅にリフォームしたり、高齢になった親を賃貸部分に呼び寄せて「近居」を実現したりすることも可能です。
最初から「ずっと貸し出す」ことだけを目的とせず、将来の自分たちの暮らしに合わせた転用ができる点は、長期居住を前提としたマイホームとして理想的です。
インフレ耐性
現金の価値が下がるインフレ局面において、資産を守る意味で賃貸併用住宅は特に有効です。不動産という「現物資産」はインフレとともに価値が上昇しやすく、かつ家賃相場も物価に連動して上昇する傾向があります。しかし、ローンの借入額(債務)の数字は変わりません。
将来的に物価が上がったとしても、賃料収入を上げることができればローンの返済負担は相対的に軽くなっていきます。
現金預金だけでは対応しきれないインフレリスクに対し、住宅という形で対策を講じられるのは、賢い資産形成の一環と言えるでしょう。
・「インフレ耐性」に関する記事はこちら
なぜ不動産投資はインフレ対策になるのか。インフレに強い物件の条件とは
留意事項
大きなメリットがある一方で、他人が同じ建物に住むことによる特有の課題についても目を向けておく必要があります。
騒音・プライバシー
同じ屋根の下に他人である入居者が住むため、騒音トラブルやプライバシーの確保には要注意です。距離が近いことで、生活音(足音、水回り、深夜の帰宅音など)が互いに気になりやすく、精神的なストレスを感じる場面が生じる可能性があります。
例えば、入居者が友人たちと夜遅くまで騒いでしまったり、逆にオーナー側の生活音が気になって入居者が退去してしまったりするケースもゼロではありません。
こうしたリスクを軽減するためには、設計段階で防音性能を高めるだけでなく、「入居者と顔を合わせた際の適度な距離感」をあらかじめイメージしておくことが必要です。
流動性
賃貸併用住宅は、将来売却を検討する際、一般的な戸建て住宅や一棟アパートに比べて「買い手」が見つかりにくい(流動性が低い)という性質があります。
物件が「自宅50%以上」という特殊な設計になっているため、純粋なマイホームを求める層からは「他人が住んでいる」と見られて敬遠されがちです。また、投資家からは「収益を生む面積が少なすぎる」と判断されることも多くなります。
売却を前提とした出口戦略を立てる場合は、どちらの層からも魅力的に見えるような「好立地」の選定や、二世帯住宅としても売り出せる「転用しやすい間取り」にしておくなどの工夫が必要です。
空室リスク
賃貸部分がある以上、常に空室リスクを想定した資金計画を立てておかなければなりません。家賃収入をあてにしてローン上限まで借り入れている場合、空室が発生すると、その期間の返済はすべてオーナーの給与など自己資金から持ち出すことになります。
特に入居者が退去してから次の入居が決まるまでの数ヶ月間は、家賃収入が無くなってもローンの返済額は減りません。
そのため、「満室時」の収支だけでなく、常に「空室が数ヶ月続いても家計が破綻しないか」という保守的なシミュレーションを行っておくことが重要です。
・「空室リスク」に関する記事はこちら
空室リスクを減らす! 賃貸需要の高い立地・物件の見分け方
後悔しないための「土地探し」と金融機関選びの戦略

土地を所有していない状態から賃貸併用住宅を建てる場合、一般的な家づくりよりも検討すべき事項が格段に多くなります。
「自分が住みたい場所」と「入居者が住みたい場所」を両立させつつ、さらに複雑なローン審査をスピーディーに通さなければならないからです。
賃貸需要(収益性)と住宅ローン適用(居住性)が両立するエリアの選び方
賃貸併用住宅の土地選びでは、自分たちにとっての暮らしやすさだけでなく「多くの人に好まれる条件かどうか」という視点を持つことが大切です。第三者がお金を払って住みたいと思う魅力(収益性)がなければ、空室リスクによってローン返済が滞る恐れがあるからです。
例えば、駅から徒歩15分の静かな住宅街はマイホームとしては理想的かもしれませんが、単身者向けの賃貸ニーズは低いかもしれません。一方で、急行停車駅から徒歩10分圏内で、近くにコンビニやスーパーがあるエリアなら、安定した賃貸需要が見込めます。
また、住宅ローンを適用させるためには「50%以上を自宅にする」必要があるため、自分自身も納得して長く住み続けられる環境であることも無視できません。このように、客観的な賃貸市場調査と自分たちのライフスタイルを重ね合わせ、両者が妥協なく交わるエリアをプロと一緒に見極めることが必要です。
土地購入と建物プラン、融資承認を並行させるコツ
土地なしから賃貸併用住宅を建てる際は、土地を見つける前に「建物プランの雛形」と「融資の事前準備」を済ませておくことが重要になります。
条件の良い土地は市場に出るとすぐに売れてしまい、土地を見つけてからハウスメーカーを探したりローン審査を始めたりしていると、他の買い手に先を越されてしまいます。具体的には、以下のような「同時並行」の体制を整えておくのがコツです。
パートナーの選定
賃貸併用住宅の実績が豊富な建築会社を事前に決めておく。
概算見積もりの作成
希望するエリアの坪単価から、土地+建物の総予算を把握しておく。
仮審査の実施
候補地が決まる前に、自分の属性でいくらまで借りられるか銀行に相談しておく。
このように「いつでも買い付け証明を出せる状態」を作っておくことで、スピード勝負の土地探しを成功させられます。
金利や保障内容を比較。賃貸併用住宅に強い銀行の選び方
銀行選びにおいては、表面上の金利だけでなく「賃貸併用住宅に対する融資姿勢」と「団体信用生命保険(団信)の充実度」を重視して比較するのがポイントです。金融機関によって賃貸併用住宅を「単なるマイホーム」と見るか「事業性物件」と見るかで、融資限度額や審査の難易度が大きく変わってきます。
例えば、ネット銀行は金利が低い傾向にありますが、賃貸併用住宅の審査基準が厳格なケースも少なくありません。一方で、地銀や信金は地域の賃貸需要に詳しく、家賃収入を返済原資として柔軟に評価してくれる場合があります。
また、万が一の際にローンを肩代わりしてくれる「団信」についても、特約(ガン保障など)が建物全体の借入にかかるのか、自宅部分だけなのかを確認しておく必要があります。
金利の低さだけを見るのではなく、ご自身のライフプランや物件の特性に最もフィットする金融機関を、多角的な視点で選ぶことがポイントです。
・「団体信用生命保険」に関する記事はこちら
【団信活用】投資用ローンの「団体信用生命保険」によるリスクカバー効果と資産形成
投資効率と居住性を両立する設計・間取りのポイント
賃貸併用住宅の設計において最も難しいのは、限られた敷地の中で「自宅としての快適さ」と「収益を生む賃貸性能」を高い次元で両立させることです。
住宅ローンの「50%ルール」をクリアしつつ、入居者にとっても魅力的な物件にするためには、プロの力を借りたプランニングが重要になります。
縦割り型・横割り型の比較
賃貸併用住宅の構造には、大きく分けて「縦割り型」と「横割り型」の2つのパターンがあり、それぞれの特徴を理解して選ぶことがポイントです。構造の選択によって、プライバシーの確保のしやすさや、将来のリフォームの柔軟性が大きく変わってきます。
例えば、「縦割り型」は、テラスハウスのように建物を左右に分割する形式です。上下階の音が他世帯に響かないためトラブルを防ぎやすく、それぞれの世帯が独立した玄関や階段を持てるのがメリットになります。
一方で、「横割り型」は、1階を賃貸、2階を自宅にするような積層形式です。オーナーは日当たりの良い上階を独占でき、入居者は階段の上り下りがない1階を好むケースが多いといった、それぞれのニーズに応えやすい特徴があります。
オーナー・入居者の動線を分けたゾーニング
お互いのプライバシーを守り、ストレスのない生活を送るためには、オーナーと入居者の「動線」を完全に分離するゾーニングが必要です。
同じ建物に他人が住むという性質上、日常的に顔を合わせすぎる設計では、お互いに気を使ってしまい、住み心地が悪くなってしまう恐れがあります。具体的には、以下のような対策が有効です。
共用部の分離
玄関の位置を建物の反対側に配置したり、アプローチを完全に分けたりすることで、偶然の接触を最小限に抑えます。駐輪場やゴミ置き場も、オーナー用と入居者用で場所を分けるのが理想的です。
生活音への配慮
部屋の配置を工夫し、オーナーの寝室の真上に賃貸部分の水回り(キッチンやトイレ)がこないようにレイアウトします。さらに、隣室との境界壁や床に高機能な防音材を導入することで、生活音によるトラブルを未然に防ぎます。
こうした細やかな配慮が、「長く住みたい」と思える快適な居住空間と、入居者が定着する優良な賃貸物件の両立を可能にします。
地域の賃貸需要に適合したプランニング
安定した家賃収入を得るためには、自分の好みだけでなく「地域の賃貸需要」をプランニングに反映させることが必要です。
どんなに豪華な設備を備えていても、そのエリアのニーズ(ターゲット層や賃料相場)と乖離していれば、空室リスクが高まってしまいます。
例えば、大学やオフィス街が近いエリアであれば、設備が充実した単身者向けのワンルームの需要が高くなります。
その一方で、公園や学校が多い閑静な住宅街であれば、防犯性の高いファミリー向けの間取りの方が需要は安定するでしょう。
また、最近では宅配ボックスやインターネット無料設備、オートロックなどは「あって当たり前」の設備として求められる傾向が強まっています。
「自分が住みたい家」をベースにしつつも、市場の声を反映させた客観的な視点を取り入れることが、賃貸事業としての成功を確実なものにします。
転用・出口を見据えた設計
賃貸併用住宅を建てる際には、数十年後のライフステージの変化や、将来的な売却(出口戦略)までを視野に入れた設計にしておくことが賢明です。
家は一生の買い物ですが、家族構成や社会情勢は変化するものであり、その変化に柔軟に対応できる設計こそが、資産価値を維持する鍵となります。具体的には、以下のような視点を持って設計を進めるのがおすすめです。
二世帯住宅への転用
将来的に賃貸部分の募集をやめ、親世帯を呼び寄せたり、成長した子どもの世帯が住めるような「二世帯住宅」として活用しやすい間取りにしておきます。
リフォームのしやすさ
ライフスタイルの変化に合わせて、自宅部分を拡張したり、逆に全体を賃貸に出したりできるよう、主要な壁以外を動かしやすいスケルトン・インフィル(骨組みと内装の分離)の考え方を取り入れます。
売却時のアピール
「完全な住宅」としても「収益物件」としても評価されるよう、汎用性の高いデザインや間取りを採用しておくことで、売却時の流動性を高めることが可能です。
・「出口戦略」に関する記事はこちら
不動産投資の出口戦略とは? 売却・相続・法人化、適切な出口を見極めるポイント
投資用物件を売却するベストタイミングは? 出口戦略の考え方
まとめ
賃貸併用住宅は、低金利な「住宅ローン」の恩恵を最大限に活用しながら、家賃収入によって資産形成を加速させられる、合理的な選択肢です。
特に土地なしから検討される方にとって、住居費という人生最大の支出を「収益」に変えられる点は、将来の大きな安心に直結します。
「家賃でローンを払う」という理想を現実のものにするためには、不動産仲介と建築・運用の両面に精通した専門家のアドバイスが欠かせません。
まずは個別相談やセミナーを活用し、ご自身の年収や希望エリアに基づいた具体的なシミュレーションから始めてみてはいかがでしょうか。事前に立てる綿密な計画こそが、賃貸併用住宅づくりを成功させるためのポイントです。

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ワンポイントアドバイス
土地なしから賃貸併用住宅を検討されるなら、あえて「自分が住まなくなった後」を強く想像してみてください。住宅ローンの条件を満たすことに執着しすぎると、収益性が低く、将来売りにくい物件になりがちです。ローンはあくまでも家・物件を買うための手段に過ぎません。
「30年後の資産価値」を客観的に評価してくれるパートナーを選び、収益と居住性のバランスをシビアに見極めることが重要です。
この記事のポイント
Q. 賃貸併用住宅とはなんですか?
A. 賃貸併用住宅とは、一つの建物の中に「オーナーが居住するスペース」と「他人に貸し出す賃貸スペース」が共存している形式の住宅のことを指します。詳しくは「賃貸併用住宅の基本構造と住宅ローンの適用要件」をご覧ください。
Q. 賃貸併用住宅でローンはどのくらいまで組めますか?
A. 賃貸併用住宅のローン審査では、自身の年収に「想定される家賃収入」を一定割合まで合算して借入限度額を算出できる場合があります。詳しくは「賃貸併用住宅のローン審査と借入限度額の目安」をご覧ください。
Q. 築古・少額投資で公庫を利用できるのですか?
A. 賃貸併用住宅の土地選びでは、一般的な住宅地よりも「少しだけ利便性に寄ったエリア」を選択するのがポイントになります。詳しくは「後悔しないための「土地探し」と金融機関選びの戦略」をご覧ください。