オーナーチェンジ物件とは?概要とメリット・デメリットを解説
ざっくり要約!
- オーナーチェンジ=入居中のまま所有者が替わる物件。賃貸契約や敷金などの権利義務は新オーナーに承継。
- メリット:購入直後から家賃収入/入居者募集の手間・費用を抑えやすい。
- デメリット:室内確認がしにくい/契約条件の変更が難しい/購入直後の退去や賃料見直しリスク。
目次
オーナーチェンジ物件は、入居者有の状態で購入する物件
オーナーチェンジ物件とは、入居者はそのままの状態で、所有者(=オーナー)を変更する物件です。以下で詳細を説明します。
オーナーチェンジ物件で引き継がれるもの
オーナーチェンジ物件は、通常の不動産売買と同じように所有権を得られます。
しかし、入居者がすでに賃貸契約を結んで入居している状態で、その賃貸契約はオーナーが変わったとしても有効な契約として継続します。
オーナーチェンジは、借地借家法で次のように定められています。
借地借家法 第31条
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
これによって、前のオーナーと結んだ賃貸契約も、新しいオーナーにそのまま引き継がれます。オーナーチェンジで引き継がれる権利は、次のものがあります。
- 賃料を受け取る権利
- 建物が返還される権利
- 原状回復してもらう権利
また、引き継がれるものは権利だけではありません。オーナーが入居者に対して負う義務もそのまま引き継がれます。
- 建物を使用させる義務
- 建物を修繕する義務
- 敷金を返還する義務
入居者との契約は、オーナーチェンジしたからといって解約や変更はできません。解約・変更するためには、オーナーチェンジ以外の正当な理由が必要になるため、注意が必要です。
敷金と原状回復について
引き継がれる権利と義務である「敷金」と「原状回復」については、法改正により次のように定められています。
- 敷金は賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときに賃料等の未払債務を差し引いた残額を返還しなければならないこと(第622条の2)
- 賃借人は通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化についてまで原状回復の義務を負わないこと(第621条)
基本的には以前のルールと変わりはありませんが、法改正で法律として明記されました。
オーナーチェンジ物件を選ぶメリット
オーナーチェンジ物件のメリットは、以下があげられます。
- 購入後すぐに家賃収入を得られる
- 安く物件を購入できることがある
- 入居者募集に関する手間や費用を省ける
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
購入後すぐに家賃収入を得られる
入居者がすでにいる状態なので、購入後すぐに家賃収入を得られるのは大きなメリットと言えます。
不動産投資では家賃収入が収益となるため、入居者の確保が重要です。
しかし、入居者がすぐに見つかるとは限らず、空室が続くというケースも多くあります。空室が続くと、その間経費だけが発生し続けます。
物件によっては半年や1年以上空室になる場合もあるため、すでに入居者がいるのは投資をするうえで大きな利点です。
また、家賃収入の目処が立っているので、事前に収入の具体的なシミュレーションができます。
安く物件を購入できることがある
オーナーチェンジ物件は、収益還元法で不動産の価格を算出するのが原則です。収益還元法とは、不動産が将来稼ぎ出す収益に基づいて不動産の価値を算出する方法のことを言います。
収益還元法では、収益性が高い=家賃設定が高いほど物件の価格も上がります。
しかし、収益性が低い=家賃設定が低い場合は、物件の価格は低くなります。そのため、家賃設定が相場よりも低い場合は、物件も安く購入できる可能性があります。
しかし、家賃設定が低い物件を購入するのは、メリットがないように思う方もいらっしゃるでしょう。
たしかに入居者がいる間は低い賃料収入しか得られませんが、退去後は賃料を相場に戻すことができます。
また、従来の家賃が相場に見合わないほど著しく低い場合や、経済状況の変化などが起こった場合は増額請求も可能です。
入居者のいない不動産の場合は、取引事例比較法や原価法で査定するため、賃料に関わらず物件の価格が算出されます。
状態や条件が良く賃料が低い物件などであれば、収益還元法で計算したほうが安く購入できるケースがあります。
入居者募集に関する手間や費用を省ける
入居者がいない状態で物件を購入すると、入居者の募集や審査など入居者を決めるまでに多くの手間や時間が掛かります。
また、仲介手数料などの費用も発生します。入居者がすぐに見つかれば大きな負担にはなりませんが、入居者がいつ決まるか予測するのは難しいでしょう。
入居者が見つかるまでは経費だけが発生し収益が得られないため、オーナーチェンジ物件であれば募集期間の損失を防げるというのも大きなメリットと言えます。
オーナーチェンジ物件のデメリット

オーナーチェンジ物件には、次のようなデメリットがあります。
- 購入前に室内を十分に確認できない
- 購入後の契約内容の変更が難しい
- 購入後すぐに退去されるケースもある
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
購入前に室内を十分に確認できない
物件には入居者がいる状態のため、事前に内覧して物件内部をしっかり確認することができません。
内装の状態や建物の老朽化などの調査が難しく、入居者が室内をどのような状態で使っているのかの確認もできない可能性が高いです。
そのため、入居者の退去後に部屋の劣化が発覚するというケースもあります。
また、既存の入居者は改めて審査ができない点にも注意が必要です。近隣トラブルや家賃滞納などを起こす入居者がいることも考えられます。
売主から詳細な情報を得られれば問題ありませんが、売却に不利な状況を進んで提供するオーナーは基本的には少ないでしょう。
購入後の契約内容の変更が難しい
先述の通り、オーナーチェンジ物件では賃貸契約もそのまま引き継がれます。所有者が変わったからといって契約を変更・解約はできないので、もし不利な条件で契約を結んでいてもその条件を引き継がなければなりません。
また、賃貸契約締結後は借主の権利のほうが強い傾向にあり、退去要求や賃料の変更・敷金の請求をしても、要求が通る確率は低いでしょう。
所有者変更の際に契約内容がもとで入居者とトラブルに発展するケースもあるため、注意が必要です。
購入後すぐに退去されるケースもある
すでに入居者がいるからといって、その後も入居し続ける保証はありません。購入後すぐに退去される場合もあり、その際は新しく入居者を募集する必要があります。
また、居住期間が長い入居者がおり、賃料が割高な場合も注意しなければなりません。物件は築年数に応じて価値が落ちるため、入居中は高い家賃設定ができていても、退去後に賃料の大幅値下げをしなければならない可能性があります。
まとめ
オーナーチェンジ物件の概要やメリット・デメリットをお伝えしました。
オーナーチェンジ物件はすでに入居者がいる状態のため、購入後すぐに家賃収入が見込めるというメリットがあります。
しかし、物件内を十分に確認できず、賃貸契約内容を変更できないなどのデメリットも考慮しなければなりません。とくに、見せかけの入居者を使った悪質な取引もあるので、初心者には注意が必要です。
この記事を参考に、オーナーチェンジ物件のメリット・デメリットを理解したうえで、慎重に投資を検討するのが良いでしょう。
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ワンポイントアドバイス
ご関心をお持ちでしたら、現賃料が相場に適正か、賃貸借契約をそのまま承継できるかをご確認ください。滞納の有無、敷金・更新料、保証会社の有無も要確認です。退去後の想定賃料・空室期間・修繕費を織り込み、“手残り利回り”と出口戦略を試算してください。内見不可リスクは写真・修繕履歴・管理状況で代替確認いただくと安心です。加えて、税務上の承継処理についても、事前にご確認いただくことをおすすめいたします。
この記事のポイント
Q. オーナーチェンジ物件のメリットは?
A. オーナーチェンジ物件のメリットとしては、
- 購入後すぐに家賃収入を得られる
- 安く物件を購入できることがある
- 入居者募集に関する手間や費用を省けることなど が挙げられます。
詳しくは「オーナーチェンジ物件を選ぶメリット」をご確認ください。
Q. オーナーチェンジ物件のデメリットは?
A. オーナーチェンジ物件のデメリットととしては、
- 購入前に室内を十分に確認できない
- 購入後の契約内容の変更が難しい
- 購入後すぐに退去されるケースもあること などが挙げられます。
詳しくは「オーナーチェンジ物件のデメリット」をご確認ください。