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2025.10.28

#ローン#不動産投資#投資戦略

自己資金ゼロで不動産投資は可能? 注意したいフルローン・オーバーローンのリスクとは

自己資金ゼロで不動産投資は可能? 注意したいフルローン・オーバーローンのリスクとは

ざっくり要約!

  • 「頭金ゼロ」は可能だが諸経費の用意は必要
  • キャッシュフローの悪化と資金ショートのリスクが高まる
  • 成功には厳しい条件があり、多くの人には代替案が賢明

将来の収入や老後の生活のために、資産形成の必要性を感じていませんか。しかし、まとまった自己資金がないため、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。

そんな中で「自己資金ゼロ」で始められる不動産投資は、非常に魅力的な選択肢に映るかもしれません。ただし、手軽に見えるこの方法にはリスクが伴います。

この記事では、フルローンやオーバーローンといった手法のメリット・デメリットを公平な視点から詳しく解説します。

不動産投資に必要な自己資金

不動産投資における自己資金とは、主に「頭金」「手付金」「諸経費」の3つです。不動産ローンで賄えるのは基本的に物件本体の価格であり、契約を保証するためのお金や、税金・手数料といった費用は、現金での支払いが求められます。

「自己資金ゼロ」という言葉だけを鵜呑みにするのではなく、まず不動産投資にはどのような費用が現金で必要になるのか、内訳を正しく理解しておくことが必要です。

頭金

頭金とは、物件価格の一部として、購入の最初に現金で支払うお金のことです。金融機関からの融資額を減らし、返済計画を安定させる目的で用意します。頭金を入れることで借入額そのものが減少するため、月々のローン返済額を低く抑えることが可能です。

また、頭金は金融機関に対して計画性や返済能力の高さを証明する材料にもなります。頭金を用意することで、融資審査で有利となることも少なくありません。

頭金は、将来のキャッシュフローを健全に保ち、より良い条件でローンを組むための戦略的な資金と考えることができます。

手付金

手付金とは、不動産の売買契約を結ぶ際に、買主から売主へ支払うお金のことです。手付金は、「契約を正式に締結する」という意思を示す、証拠金としての重要な役割を持ちます。

なお、支払われた手付金は、最終的に購入代金の一部として充当されるのが一般的です。相場は物件価格の5%〜10%程度で、3,000万円の物件であれば150万円〜300万円が目安となります。

ただし、もし買主側の一方的な都合で契約を解除する場合、支払った手付金は原則として返還されません。

諸経費

諸経費とは、物件本体の価格以外に発生する、税金や各種手数料などを合計した費用のことです。諸経費も、頭金や手付金と同じく現金で準備する必要があります。諸経費は基本的に融資の対象外だからです。

不動産の名義を登録するための「登録免許税」、物件を取得した際に課される「不動産取得税」、不動産会社へ支払う「仲介手数料」、そして火災保険料やローン保証料などが諸経費に含まれます。諸経費は、例えば中古物件であれば物件価格の7%〜10%程度が目安となります。

仮にローンで物件価格の全額を用意できたとしても、実際には多額の諸経費が現金で必要になります。投資計画を立てる際は、諸経費の予算を確保しておくことが不可欠です。

頭金ゼロでも不動産投資は可能

物件価格の100%を融資で賄う「フルローン」を利用できれば、頭金を用意せずに不動産投資を始めることが可能です。

申込者本人の返済能力が非常に高く、かつ購入する物件の資産価値や収益性が優れていると金融機関が判断した場合は、貸し倒れのリスクが低いと見なされます。結果として、全額融資が承認されるケースもあります。

融資がおりるかどうかは金融機関次第

フルローンを利用できるかどうかは、融資を申し込む金融機関の審査によります。「頭金ゼロ」は保証された権利ではなく、あくまでも金融機関の裁量によるものです。

同じ人が同じ物件で購入を申し込んだとしても、A銀行では承認され、B銀行では否決されるといったことも十分に起こり得ます。

金融機関は、融資したお金が計画通りに返済されることを最優先に考えます。一方で、フルローンは金融機関側の貸し倒れリスクも大きいものです。このため、申込者の返済能力を示す「属性」や個人信用情報を、通常よりさらに厳しく審査する傾向にあります。

頭金ゼロでの不動産投資は、金融機関の厳しい審査基準をクリアできた場合にのみ実現する、限定的な方法であると理解しておく必要があります。

フルローンが通りやすい物件の特徴

フルローンの審査では、金融機関から承認を得やすい物件に共通した特徴が見られます。それは「資産価値が下がりにくく、長期的に安定した収益が見込める」物件であることです。

金融機関が資産価値に着目する理由は、万が一ローンの返済が滞った場合、金融機関は物件を売却することで融資金を回収する必要があるからです。

一般的にフルローンが通りやすいのは、賃貸需要が旺盛な都心部にあり、耐用年数が長い鉄筋コンクリート造の新築または築浅マンションなどです。こうした物件では金融機関からの担保評価も得やすくなります。

・「不動産投資ローン」に関する記事はこちら
不動産投資ローンの種類と選び方|アパートローン・プロパーローン・ノンバンクの違いとは?
不動産投資ローンの金利相場はどれくらい?金利タイプによる返済額を比較

頭金ゼロで不動産投資を始めるメリット

頭金ゼロ 不動産投資 メリット

頭金ゼロで不動産投資を始めるメリットは「手元資金の柔軟性を保てる」「投資効率を最大化できる」「生命保険としての効果が高まる」という点です。

本来頭金として支払うはずだった自己資金を使わずに温存できるため、その資金を不測の事態への備えや他の投資に回すことが可能になります。また、手元資金が潤沢であれば、急な修繕が発生しても慌てず対応できます。

キャッシュを戦略的に活用できる

頭金ゼロの最大のメリットは、手元の現金(キャッシュ)を減らすことなく不動産投資を始められることです。

不動産投資では、エアコンの故障や入居者退去後の原状回復工事など、予測できないタイミングでまとまった出費が発生することが避けられません。手元に十分な現金を残しておけば、こうした突発的な事態にも、ローン返済を圧迫することなく対応できます。

もし頭金として手持ちの資金をすべて使い切ってしまった場合、修繕費をすぐに捻出できず、金融機関に追加融資を依頼したり、最悪の場合はカードローンを利用したりする必要に迫られる可能性があります。しかし、手元に現金を確保しておけば、そこから支払うことで健全な経営を維持できます。

レバレッジ効果が大きくなる

頭金を使わないことで、不動産投資の最も大きな特徴である「レバレッジ効果」を最大限に引き出すことが可能です。レバレッジ効果とは、少ない自己資金で大きなローンを組み、自己資金あたりの収益性を高める「てこの原理」を指します。

頭金なしで物件から利益を出せれば、自己資金に対する投資リターンの割合は大きくなります。

例えば、年間50万円の家賃収入(経費等を差し引いた後)が得られる物件があったとします。この物件を頭金500万円で購入した場合の投資利回りは10%です。しかし、もし頭金ゼロで購入できたとすれば、自己資金を全く使わずに年間50万円の利益を生み出したことになります。

・「レバレッジ効果」に関する記事はこちら
不動産投資の「レバレッジ効果」とは?

団信の保障額が増える

頭金を入れずにローン借入額を大きくすることで、生命保険としての保障を手厚くできるという側面もあります。これは、ローンの契約に付帯する「団体信用生命保険(団信)」の仕組みによるものです。

団信とは、ローン契約者が死亡または高度障害状態になった際に、残りのローン全額が保険金によって弁済される制度です。借入額が大きければ大きいほど、この保障額も大きくなります。

頭金ゼロの投資は、ローン返済というリスクを背負う一方で、もしもの時に家族へより大きな無借金資産を残せるという、手厚い生命保険の役割も果たしてくれるのです。

頭金ゼロで不動産投資を始めるデメリット

頭金ゼロでの不動産投資は、一見多くのメリットを持っているように思われがちです。しかし、月々の返済負担が増したり、予期せぬトラブルへの対応力が低くなったりといったデメリットもあるものです。

全体として投資の安定性を犠牲にする可能性も高いと言えるでしょう。ご自身がそのリスクを許容できるか、慎重に判断する必要があります。

オーバーローンのリスク

物件価格に加えて諸費用まで含めて借り入れる「オーバーローン」には、将来物件を売却する際に損失を生むリスクが潜んでいます。

オーバーローンを利用すると、ローン残高が物件の本来の資産価値を上回った状態からスタートするためです。不動産は経年により価値が下落していくのが一般的であるため、売却価格がローン残高に追いつかず、売却しても借金だけが残る「残債割れ」の状態に陥りやすくなります。

オーバーローンを利用すると、物件を簡単には手放せなくなる可能性も出てくる点に要注意です。

キャッシュフローを圧迫する

頭金を入れずに借入額を増やすと、毎月のキャッシュフロー(手元に残る現金)が大幅に減少し、最悪の場合はマイナスになる可能性が高まります。借入元金の総額が大きくなる分、毎月のローン返済額の負担が重くなるためです。

結果的に、家賃収入からローン返済や管理費、修繕積立金などを差し引くと、手元にはごくわずかな金額しか残らないか赤字になるという可能性が高まります。

毎月の手残りが少ないと、年に一度の固定資産税の支払いによって、年間の収支が簡単に赤字になってしまいます。したがって頭金ゼロでの投資は、「不動産オーナーになったのに、なぜか毎年お金が減っていく」という結果につながるリスクをはらんでいると言えるでしょう。特にローンの元金返済額が減価償却費を上回る「デッドクロス」には注意が必要です。

・「キャッシュフロー」に関する記事はこちら
キャッシュフロー重視 vs. キャピタルゲイン重視|不動産投資戦略の違いと選び方

資金ショートになるリスクが高まる

毎月のキャッシュフローが少ないと、予期せぬ出費が発生した際に、即座に資金ショート(資金不足)に陥るリスクを高めることにつながります。

賃貸経営では、給湯器の故障やエアコンの交換、入居者の退去に伴うリフォーム費用など、突然まとまった支出が必要になる場面も多いものです。

毎月の収支に余裕が無いと、急な費用の発生に対応できなくなってしまいます。最悪の場合は、高金利のカードローンなどに頼らざるを得なくなり、収支状況がさらに悪化するきっかけとなりかねません。

融資条件が悪化する可能性がある

フルローンまたはオーバーローンを利用しようとすると、金融機関から提示される融資条件が、頭金を入れる場合と比べて不利になる可能性が高まります。

金融機関にとって、フルローンは貸し倒れのリスクが高い融資商品と見なされます。貸し倒れリスクを補填するために、金利を通常よりも高く設定したり、融資期間を短くして早期の資金回収を図ったりするケースが少なくありません。金利が高く返済期間が短くなれば、毎月の返済額は増加し、キャッシュフローは悪化します。

頭金ゼロのローン利用は、目先の現金を温存できる一方で、長期間にわたり、より多くの利息を支払うことになり、結果として投資全体の収益性を下げてしまう可能性があるのです。

物件の選択肢が狭まる

頭金ゼロでフルローンを利用しようとすると、購入できる物件の選択肢が限定されてしまうというデメリットも存在します。

フルローンを使えるのは、金融機関が「この物件なら全額融資してもリスクが低い」と評価する、ごく一部の物件に限られるためです。フルローンにこだわると、収益性が高くない物件しか選べない状況に陥りかねません。

頭金ゼロに固執すると、物件選びの幅が狭まった結果、投資成功の可能性を低下させてしまうことも考えられます。

・「物件選び」に関する記事はこちら
不動産投資で成功する物件の選び方|優良物件を見極めるポイントと現地調査のコツ

それでも不動産投資に成功する人の3つの絶対条件

頭金ゼロという投資手法を用いて成功を収めるためには、3つの条件をクリアする必要があります。3つの条件とは、金融機関からの信用、不測の事態に耐えうる資金力、そして高度な投資判断力です。

投資する物件がどれだけ優れていても、申込者本人の返済能力が低ければ融資は受けられません。逆に、高い返済能力があっても、予備資金がなければ小さなトラブル一つで経営が破綻してしまう可能性があります。

金融機関が優遇する「属性(返済能力)」

一つ目の条件は、金融機関から「この人になら満額融資しても問題ない」と判断されるほどの、高い個人の信用力、すなわち「属性」を持っていることです。

金融機関は、融資した資金の回収を最優先に考えます。そのため、貸し倒れリスクが極めて低いと判断できる、返済能力が群を抜いて高い人物に対してのみ、フルローンという特別な選択肢を提供します。

属性の基準は金融機関によって異なるものの、年収700~1,000万円以上は求められるでしょう。加えて、医師や弁護士といった士業、上場企業の正社員、公務員など、社会的信用度が高く、長期的に安定した収入が見込める職業に就いていることが望ましいと考えられます。

潤沢な予備資金がある

二つ目の条件は、例え自己資金ゼロでローンを組むとしても、すぐに動かせる「予備資金」を潤沢に用意できることです。

不動産経営は、常に予期せぬ出費のリスクと隣り合わせにあります。空室の発生、家賃の滞納、設備の故障といったトラブルが起きた際、手元に現金がなければ即座に経営は行き詰まってしまいます。

「ローンに自己資金を使わない」ことと「手元に現金が全くない」状態は、全く意味合いが異なります。目安として、物件価格の10%程度、最低でも200万円から300万円程度の現金を「予備資金」として確保しておくことが望ましいと言えます。

業者の言いなりにならない判断力

三つ目の条件は、不動産会社の担当者が提示する情報を鵜呑みにせず、自らの知識で投資の可否を冷静に判断できる「専門家レベルの判断力」を備えていることです。

特に頭金ゼロの案件では、業者が利益を出すために「売りたい物件」を勧めてくるケースも多々見られます。

営業担当者の甘い言葉や楽観的な収支シミュレーションの裏に隠されたリスクを見抜く力がなければ、利益の出ない物件を購入してしまうリスクが高まります。また、金利が将来1%上昇した場合の返済額の変化など、最悪の事態を想定したシミュレーションを自力で行える状態であることが望ましいです。

適切な頭金の目安はどれくらい?

不動産投資を始めるにあたって、適切な頭金の目安は「物件価格の20%程度から」と考えるのが堅実です。

このくらいの頭金があれば、金融機関からの融資審査で有利になるだけでなく、月々のローン返済額を軽減できるでしょう。また、頭金は、借入額を減らすだけでなく、空室や急な修繕といったリスクに対する「緩衝材」としての重要な役割があります。

一定以上の頭金を用意することは、将来のリスクに備え、健全なキャッシュフローを維持するために非常に効果的です。

不動産投資の頭金(自己資金)については、以下の記事でも詳しく解説しています。

・「自己資金」に関する記事はこちら
不動産投資に自己資金はいくら必要?自己資金別の購入できる物件価格と種別を紹介

まとめ

自己資金ゼロでの不動産投資は、フルローンを利用することで理論上は可能です。しかし、多くの人にとってはリスクがリターンを上回る結果になりかねません。このため、非常に慎重な判断が求められる選択肢と言えます。

この方法で成功できるのは、高い年収と潤沢な予備資金を持つ、ごく一部の人に限られるのが実情です。

「自己資金ゼロで不動産投資を始めること」自体がゴールではありません。まずは状況を整理し、リスクが高いと判断されるのであれば、頭金を貯めるなど、ご自身のペースに合った着実な計画を立てることをおすすめします。

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ワンポイントアドバイス

もし不動産会社の営業マンから「自己資金ゼロでいけますよ」「すべて銀行で賄えます」と言われたら、一度冷静に確認することをお勧めします。
資産価値の高い優良な物件を紹介しているのではなく、「売りにくい物件」をフルローンによって売りやすくしているケースも少なくないからです。「フルローン・オーバーローン」にこだわった結果、物件の質を二の次にしてしまっては、その投資は結局うまくいかない可能性が高いでしょう。

この記事のポイント

Q. 不動産投資を始める際、自己資金はどれくらい必要ですか?

A. 不動産投資における自己資金とは、主に「頭金」「手付金」「諸経費」の3つです。不動産ローンで賄えるのは基本的に物件本体の価格であり、契約を保証するためのお金や、税金・手数料といった費用は、現金での支払いが求められます。詳しくは「不動産投資するために必要な自己資金」をご覧ください。


 Q. 頭金がありません。それでも不動産投資はできますか?

A. 物件価格の100%を融資で賄う「フルローン」を利用できれば、頭金を用意せずに不動産投資を始めることが可能です。詳しくは「頭金ゼロでも不動産投資は可能」をご覧ください。


 Q. 頭金ゼロで不動産投資を始めるメリットはありますか?

A. 頭金ゼロで不動産投資を始めるメリットは「手元資金の柔軟性を保てる」「投資効率を最大化できる」「生命保険としての効果が高まる」ということです。詳しくは「頭金ゼロで不動産投資を始めるメリット」をご覧ください。

ライター:秦創平

海外も含めた不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門。

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