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2025.08.21

#不動産投資#節税対策

不動産投資 減価償却 減価償却とは 計算方法

不動産投資 減価償却 減価償却とは 計算方法

ざっくり要約!

  • 減価償却費は建物部分に適用される非支出型の経費で、節税効果が高い
  • 中古物件は特に短期間で多額の償却が可能
  • ただしデットクロスや譲渡所得課税のリスクなど注意点も多い

不動産投資を検討していると、「減価償却」という言葉をよく耳にします。特に「減価償却を活用すれば節税できる」といった説明を受けると、その仕組みやどれくらいの節税になるのかなど、気になる方も多いのではないでしょうか。

しかし、建物だけが減価償却の対象になる点や、建物の構造による耐用年数・計算方法の違い、中古物件の扱いなどは誤解も多く、間違った知識で判断すると後悔につながることもあります。

この記事では、不動産投資における減価償却の基本から、建物構造別の耐用年数、計算方法、節税メリット、さらにはデッドクロスや譲渡所得税といった注意点まで、シミュレーションも交えて徹底的に解説します。

不動産投資における減価償却とは?

不動産投資で得られる家賃収入には税金が課されますが、課税対象所得を圧縮するためには「減価償却費」を活用するのが有効です。減価償却の基本的な仕組みや対象となる資産、建物と設備・修繕費の違い、そしてなぜ節税効果があるのかなどを解説します。

減価償却の基本的な仕組み

減価償却とは、建物などの固定資産を購入した際、購入費用を一気に経費とするのではなく、法定耐用年数の期間をかけて少しずつ分割して経費計上していく会計上の処理です。

たとえば、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物については、法定耐用年数が47年とされており、建物の購入金額を47分割して毎年1年分を経費計上できます。

これは実際に現金を支出しない「帳簿上の支出」なので、キャッシュフローを減らさずに経費を増やせるという特長があります。

減価償却できるのは建物のみ

不動産投資で減価償却できるのは、建物や設備など、経年劣化によって価値が減少する資産に限られます。土地は経年劣化が起きず、年数が経過しても価値が減らないものとされているため減価償却の対象外です。

減価償却費を計算するためには、物件購入時に「土地」と「建物」の取得価格を分けて算出する必要があります。実務上は、売買契約書や固定資産税評価額をもとに按分するのが一般的です。

設備・リフォーム・修繕の取り扱いと耐用年数の違い

建物の付属設備やリフォーム費用も減価償却の対象になり得ますが、設備には建物本体と別の耐用年数が設定されています。例えば、エアコンや給湯器などの設備は6年、電気設備は15年です。

また、修繕費用については「修繕費」として一括で経費にできる場合と、「資本的支出」として減価償却が必要な場合とに分かれます。どう計上するのが正確なのか判断がつかない場合は、税理士に相談するのが有効です。

なぜ減価償却が節税につながるのか

減価償却費は、実際に現金を支出していないにもかかわらず、帳簿上の経費として所得から差し引けます。経費計上することで不動産所得が減少し、結果として所得税や住民税の課税額を圧縮可能です。

例えば、給与所得と不動産所得を得ているサラリーマン投資家は、減価償却の仕組みを使って損益通算すれば、所得税の還付を受けられます。「非支出型の経費」であることが、減価償却が節税メリットとして強調される理由です。

・「節税」に関する記事はこちら
不動産投資で節税ができる仕組みを解説! 住民税・所得税・相続税を節税したいときの注意点は?

減価償却の計算方法と耐用年数

減価償却 計算方法 耐用年数

減価償却費を正確に計上するためには、建物の構造ごとに決められている法定耐用年数の把握と、建物価格の算出、そして適切な計算方法の理解が欠かせません。

特に中古物件では、経過年数に応じた特例ルールもあるため要注意です。建物構造別の耐用年数から計算式の実務、取得価額の内訳や中古物件の償却期間などについて解説します。

【構造別】収益物件の法定耐用年数

建物の耐用年数は、構造ごとに法律で定められています。例えば、木造の住居なら22年、軽量鉄骨造は19年または27年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年が目安です。

建物の構造法定耐用年数(住宅用のもの)
木造22年
軽量鉄骨造(t3mm以下)19年
軽量鉄骨造(t3mm超)27年
鉄筋コンクリート造(RC造)47年

※参照:国税庁

なお、これはあくまで税務計算をするために決められた期間であり、実際の物理的な寿命とは異なります。構造によって減価償却費に大きく差が出るため、物件を選んだり節税戦略を立てたりするうえでは、正確な数字を把握しておくことが必須です。

減価償却費の計算方法

不動産投資に関する確定申告では、原則として定額法で減価償却を行います。定額法は、毎年同じ金額を経費に計上する方式です。計算式は以下の通りです。

減価償却費 = 建物価格 × 償却率

償却率は耐用年数ごとに決まっており、たとえば耐用年数22年の場合は0.046(4.6%)が適用されます。なお、期中に物件を取得した場合には「月割計算」が必要となり、取得月によって初年度の償却額は変動します。

建物価格の決め方

例えば戸建て物件を購入するなど、建物と土地が一体で売買される場合は、取得価額(物件の購入価格)を「土地部分」と「建物部分」に分けることが必要です。

一般的なのは「固定資産税評価額」をもとに按分する方法です。たとえば、評価額のうち建物が30%、土地が70%であれば、購入金額も同じ割合で振り分けることになります。

中古物件の償却期間

中古物件を購入した場合は、法定耐用年数から経過年数を差し引いた「残存耐用年数」で減価償却することになります。ただし、残存年数が2年以下となる場合には、以下の計算式で耐用年数を算出することが必要です。

中古物件の簡便法による耐用年数の計算式:
耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%(小数点以下切り捨て)

たとえば木造の築30年物件であれば、22年×0.2=4.4年となり、小数点以下は切り捨てて計算するため、4年で償却可能です。

短期間で多額の減価償却費を計上できるため、節税メリットは非常に大きくなります。ただし、償却期間終了後にローンの元金返済額が減価償却費を上回るデッドクロスが起こるリスクには要注意です。

【シミュレーション】減価償却費の計上でどれだけ節税できる?

減価償却費がどの程度の節税効果を生むのか、実際の金額でシミュレーションしてみることで理解が深まります。新築・耐用年数以内の中古・耐用年数超過の中古という3つのケースに分けて、年間の節税額を比較します。

また、節税を実現するために欠かせない、確定申告と帳簿記帳の基本的な流れも確認しておきましょう。

築年数に応じたシミュレーション

以下は、いずれも「物件価格2,000万円(うち建物価格1,000万円)」で物件取得したケースを想定し、年間の減価償却費と節税額(所得税・住民税合算で30%の税率を想定)を比較したシミュレーションです。

【ケース1】新築RC造マンション(耐用年数47年)

建物価格:1,000万円
法定耐用年数:47年
償却率(定額法):1 ÷ 47 = 0.0213(約0.022)
年間減価償却費:1,000万円 × 0.022 = 22万円
節税額:22万円 × 30% = 6.6万円/年

【ケース2】築10年の木造アパート(法定耐用年数22年)

残存耐用年数:22年 − 10年 = 12年
償却率:1 ÷ 12 ≒ 0.0833
年間減価償却費:1,000万円 × 0.0833 ≒ 83.3万円
節税額:83.3万円 × 30% ≒ 24.99万円/年

【ケース3】築30年の木造戸建て(法定耐用年数超過)

簡便法で耐用年数を算出:22年 × 0.2 = 4.4年 → 切り捨てで4年
年間減価償却費:1,000万円 ÷ 4年 = 250万円
節税額:250万円 × 30% = 75万円/年

年間の節税額が最も大きいのは、ケース3の木造戸建てです。ただし、築年数が大きく経過した木造物件は、空室リスクや修繕のリスクなどが大きくなります。仮に長期間の空室が発生したら、赤字額が節税額を上回ることもあり得ます。物件を選ぶ際には、節税とリスクのバランスを考慮することが必要です。

確定申告・記帳の基本ステップ

減価償却による節税をするためには、適切な帳簿の記帳と確定申告が必要です。一般的なサラリーマン大家が実践する記帳・申告の基本ステップを紹介します。

【1】帳簿をつける

家賃収入、経費、ローン利息、減価償却費を記録
青色申告の場合は複式簿記+貸借対照表・損益計算書が必要

【2】減価償却費を計算する

建物価格、耐用年数、取得月をもとに毎年算出
初年度は月割計算で経費計上する

【3】確定申告書を作成

青色申告決算書または収支内訳書に記入

【4】期限内に提出

毎年2月16日〜3月15日(変動あり)に提出
申告時期が早いほど還付金が入ってくる時期も早くなる

減価償却費の申告漏れや計算ミスがあると、税務調査で指摘を受ける可能性もあるため、初めての方は税理士や記帳代行サービスを活用するのも一つの手です。

減価償却を利用して節税するときの注意点

減価償却は不動産投資における代表的な節税手法です。しかし、特に減価償却が終わった後のことに目を向けると、あらかじめ把握しておくべき注意点もあります。

「デッドクロス」「償却期間の短さ」「売却時の課税リスク」などのポイントに加え、損益通算に関する制限についても押さえておきましょう。

デッドクロス

「デッドクロス」とは、減価償却が終了して経費計上できなくなった後も、ローンの元本返済が続くことなどを原因として、キャッシュフローが赤字になる状態のことを指します。

そもそも節税ありきで収支計画を組んでいると、節税額が減った時に、収益が大きく減ることになります。節税はあくまでも付属的なメリットと捉え、節税ができなくても家賃収入による収益を確保可能な物件を選ぶことが重要です。

減価償却期間

中古物件、特に法定耐用年数を超えた築古物件では、4年や5年といった短期間の減価償却が可能です。このような物件では、運用を初めてから最初の数年間は大きな節税効果を得られますが、償却期間終了後は節税メリットがゼロになるため、急激に収支が悪化する可能性が高くなります。

また、物件を購入してから5年間は、物件の売却益に対して課税される譲渡所得税が高い点に要注意です。このため、節税目的で物件を購入したとしても、節税メリットを活かしきるためには、最低でも5年間は運用する必要があります。

4年で減価償却を終えると、最後の1年間は赤字になるというケースも考えられるでしょう。投資用物件を購入するのであれば、5年以上の期間は運用する前提で収支をシミュレーションしておくことが必要です。

・「築古物件投資」に関する記事はこちら
築古物件投資のメリット・デメリットは?出口戦略・リノベのポイントを解説

売却時の譲渡所得税

減価償却を進めると、帳簿上の建物価格(簿価)は年々下がっていきます。そのため、将来的に物件を売却した際、実際の物件売却価格と簿価の差額が大きくなり、譲渡所得が大きく増加する可能性があります。

特に築古物件を高く売却すると、節税していたつもりが、売却時に多額の税金を支払うことになり、節税でプラスになった金額を全て吐き出してしまったというケースも少なくありません。減価償却による節税効果と譲渡所得税のバランスをあらかじめ見積もっておくことが重要です。

損益通算できる所得・できない所得

不動産所得が赤字になった場合は、損益通算によって他の所得と相殺することができますが、その対象には制限があります。たとえば、給与所得や事業所得との損益通算は可能ですが、株の売却益や退職金、配当所得などとは損益通算できません。

また、赤字の原因が「土地の取得費や借入金の利子」である場合は、損益通算が制限されるケースもあります。節税効果を正しく見積もるためには、自身の所得構成を踏まえたうえで、どの所得と損益通算できるのかを理解しておくことが必要です。

まとめ

不動産投資における減価償却は、現金支出を伴わずに経費を計上できる強力な節税手法です。建物価格の算出方法や耐用年数などを把握し、正しい計算方法を理解することで、所得税・住民税の圧縮につながります。

特に中古物件では、短期間で多額の減価償却費を計上できるメリットがある一方で、デッドクロスや譲渡所得税といったリスクにも注意が必要です。

確定申告や損益通算のルールも正しく理解し、長期的な収支計画を立てることが、減価償却を賢く活用するカギとなります。節税効果だけでなく、将来のキャッシュフローにも目を向けて戦略的に活用しましょう。

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ワンポイントアドバイス

減価償却の仕組みを利用した節税については、新築投資用マンションの宣伝文句としてよく使われています。しかし、新築マンションの節税効果は期間も効果も限定的です。また、中古物件で節税するとしても、減価償却が終わった後の収支を安定させる必要があります。

総じて、節税は不動産投資の副産物に過ぎません。本質的に、不動産投資が持つ最大の強みは、長期安定的な家賃収入であることを念頭に置いて物件を選ぶのが成功への近道です。

この記事のポイント

Q. 不動産投資での「減価償却」とはなんですか?

A. 不動産投資で得られる家賃収入には税金が課されますが、課税対象所得を圧縮するためには「減価償却費」を活用するのが有効です。詳しくは「不動産投資における減価償却とは?」をご覧ください。


 Q. 減価償却はどのように計算できますか?

A. 減価償却費を正確に計上するためには、建物の構造ごとに決められている法定耐用年数の把握と、建物価格の算出、そして適切な計算方法の理解が欠かせません。詳しくは「減価償却の計算方法と耐用年数」をご覧ください。


 Q. 減価償却を利用して節税できるのですか?

A. 減価償却は不動産投資における代表的な節税手法です。しかし、特に減価償却が終わった後のことに目を向けると、あらかじめ把握しておくべき注意点もあります。詳しくは「減価償却を利用して節税するときの注意点」をご覧ください。

ライター:秦創平

海外も含めた不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門。

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