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2025.08.21

#不動産価格#不動産投資#収益物件

収益還元法とは?不動産投資の価値を見抜く最重要評価法をやさしく解説

収益還元法とは?不動産投資の価値を見抜く最重要評価法をやさしく解説

ざっくり要約!

  • 収益還元法は、将来の収益をもとに不動産の現在価値を評価する手法
  • 「直接還元法」と「DCF法」の2種類があり、物件の種類による使い分けが必要
  • 利用時には前提条件や金利動向、収益性とリスクのバランスを見極めることが重要

不動産投資を検討するうえで、「この物件には本当はいくらの価値があるのか?」という疑問に直面する人は多いのではないでしょうか。

そんな疑問が浮かんだときに役立つのが「収益還元法」です。将来得られる家賃収入などの収益をもとに、不動産の適正な価格を見極める評価方法として、収益還元法は投資家や金融機関からも広く活用されています。

この記事では、収益還元法の仕組みや種類、他の評価方法との違い、そして投資判断にどう活かせるのかを、初めての方にもわかりやすく解説します。

収益物件の「価値」は何で決まる?収益還元法とは?

不動産投資における物件の「価値」は、見た目や築年数だけでは判断できません。特にアパートやマンションといった収益物件は、「どれだけ安定的な収益を見込めるか」が大きな評価基準となります。

収益に基づいて不動産の価値を算出する「収益還元法」の考え方や、他の評価手法との違いについて解説します。

収益還元法とは

収益還元法とは、将来的にその不動産から得られると予想される家賃収入などの純収益を基に、現在の価値を算出する評価方法です。

「収益性=価値」という視点で物件を見るもので、物件評価の代表的な手法として不動産鑑定評価や金融機関の担保評価でも用いられています。

例えば、年間の純収益が100万円で、利回りが5%の場合は、その物件の評価額は「100万円 ÷ 0.05 = 2,000万円」となります。なお、年間の純収益は家賃収入額ではない点に注意が必要です。区分マンションなら管理費用など、運用に係る費用を家賃収入から差し引いて計算する必要があります。

取引事例比較法との違い

収益還元法と同じく、不動産の価値を評価する際によく用いられるのが取引事例比較法です。取引事例比較法は、過去に実際に売買された類似物件の価格と比較して、現在の対象物件の価格を推定する手法です。

取引事例比較法には、例えば中古マンションや戸建住宅など、市場に流通している物件の相場観を把握しやすいという特徴があります。その一方で、収益還元法は物件の「将来的な収益力」に注目して価値を評価する方法なので、例え似たような物件であっても、家賃設定や空室率が異なれば物件の評価額に差が出ます。

つまり、表面的な比較ではなく、より実利的で投資家視点の評価をできるのが収益還元法の強みです。

原価法との違い

もう一つ、不動産の価値を評価する方法として用いられるのが原価法です。原価法は、対象の建物を新築するのに必要な費用(再調達原価)をもとに、経年による減価を差し引いたうえで評価額を算出する方法です。

原価法は主に新築物件や特殊用途の建物(学校、病院など)を評価する方法として使われるケースが多くなっています。収益性というよりは「物理的な価値」に基づいた評価手法と言えるでしょう。

対して収益還元法は、その物件が収益を生むかどうかを重視するため、例え築年数が古くても、高い賃料で安定的に運用できる物件であれば高い評価がつくこともあります。不動産の「稼ぐ力」を重視する投資家にとっては、収益還元法の方が実情に即した判断方法だと言えるでしょう。

収益還元法の2つの種類

収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」という2種類のやり方があります。どちらも将来の収益をもとに不動産の価値を評価する手法ですが、収益の捉え方や計算方法が異なっているのが特徴的です。

直接還元法

直接還元法は、年間の純利益(家賃収入から諸経費を差し引いた金額)を利回りで割ることで、不動産の現在価値を算出するシンプルな手法です。

例えば、年間の純利益が120万円で利回りが6%であれば、「120万円 ÷ 0.06 = 2,000万円」が物件の価値となります。

利回りには、周辺相場やリスク、期待収益率などが反映されます。投資初心者でも理解しやすい評価方法であり、ワンルームマンションやアパートなどの価格を算出するにあたっては、直接還元法が用いられるのが大半です。

中古物件の場合は、実際に物件から得られた1年間の収益を、想定される利回りで割り戻すという計算方法で算出されています。新築物件の場合は、物件周辺エリアの家賃相場から年間の収益を想定し、不動産会社が設定した利回りで割り戻すことによって価格が算出されることが大半です。

DCF法

DCFは「Discounted Cash Flow」の略語です。DCF法では、将来のキャッシュフロー(家賃収入や売却益など)を全て予測し、それを割引率で現在価値に換算して評価します。

DCF法を使えば直接還元法よりも精緻な物件の価値を算出できます。しかし、空室率や賃料の変動、修繕費用、将来的な物件の売却価格(復帰価格)など、多くの要素を先に想定することが必要です。

例えば、長期間にわたって保有する予定の大型物件や、収益構造が複雑なホテル・商業施設などの価値を算出する場合にDCF法は適しています。居住用の投資物件を評価する際にDCF法が用いられることは、それほど多くありません。

物件の価値を評価する前の段階で、将来の収支を細かく分析する必要があるため、DCF法は中上級者向けの評価手法と言えるでしょう。収益性の変動リスクや出口戦略も加味して投資判断を行いたいときにはDCF法を用いるのが有効です。

収益還元法を使った投資判断のポイント

収益還元法 投資判断 ポイント

収益還元法は単なる不動産の価格査定の手法というわけではなく、実際の投資判断や投資戦略を設計するためにも役立ちます。特に収益物件を購入・運用・売却する際には、数字の裏にある「本当の価値」を見抜く力が必要です。ここからは、利回りだけに頼らない判断軸や、金融機関の担保評価・出口戦略との関連性について解説します。

利回りだけでは判断できない価値を見抜く

表面利回りだけを見て物件の優劣を判断してしまうと、投資の本質を見誤る可能性があります。収益還元法では、実際に得られる「純収益」や空室率、修繕費、運営コストなどを織り込んで評価を行うため、より現実的な価値を把握可能です。

例えば、利回りが高く見えても、空室が多く運営コストがかさむ物件では、実質的な収益は低くなります。収益還元法を活用すれば、見かけの利回りに惑わされず、本質的な収益力を判断可能です。

・「利回り」に関する記事はこちら
不動産投資の理想的な利回りは?計算方法と物件選びのポイントを紹介

担保評価の推測にも

収益還元法は、ローン審査に当たって、金融機関が投資用不動産に対して行う担保評価の場面でも活用されています。

特に直接還元法による査定結果は、銀行の融資審査における「担保価値」の参考値となるケースが多いものです。審査に当たって金融機関が重視するポイントは、安定した家賃収入を見込めるかどうかというところです。

ローン審査を申し込む前に、自分で収益還元法による物件価格を把握しておけば、担当者との融資交渉をスムーズに進める材料とすることもできるでしょう。また、計算に用いる利回りの設定次第では、保守的な評価と攻めた評価の両方を想定できるため、資金計画の設計にも役立ちます。

出口戦略にも活用できる

投資用不動産の価値は、物件を購入する時だけでなく「売却する時」についても想定しておくことがポイントです。収益還元法を使えば、将来の売却価格の目安を事前に想定できるため、出口戦略の立案に活かせます。

たとえば、リフォームや設備の更新によって家賃を上げれば、純収益が増加し、結果として物件の評価額も上がる可能性があるでしょう。また、金利や市場の利回り動向によって収益還元価格が変動するため、適切な売却タイミングを見極める判断材料にもなります。

物件を購入する前の段階からその物件の「出口」を意識することは、堅実な不動産投資に欠かせない視点です。

・「出口戦略」に関する記事はこちら
不動産投資の出口戦略とは? 売却・相続・法人化、適切な出口を見極めるポイント

収益還元法を使うときの注意点

収益還元法は便利な評価手法ですが、使い方を誤ると実態と異なる評価結果になってしまうことがあります。

特に、前提とする利回りや予測される収益、金利・市況の変化などに、計算結果が左右されやすい点に要注意です。ここでは、収益還元法を実務に活かす際に気をつけたいポイントを3つに分けて解説します。

前提条件に注意

収益還元法では「どのくらいの賃料収入を見込めるか」「見込まれる空室率や修繕費はどの程度か」など、さまざまな「前提」をもとに計算を行います。

前提条件の見積もりが甘い、あるいは実態に即していないと、評価額が市場価格と大きく乖離してしまう点に要注意です。

また、土地や更地を収益還元法で評価する際には、将来的にどのような建物を建ててどう運用するかという「最適な活用方法」の想定が必須です。土地や更地を評価するうえでは、具体的な根拠に基づいた現実的なシナリオを設定することが、正確な評価のカギを握ります。

マーケットや金利動向も考慮する

収益還元法では、利回りの設定が算出される評価額に大きく影響します。また、最適な利回りは、投資用不動産の市場動向や金利の動向、空室や災害なども含めたリスクの想定などによっても変わるものです。

例えば、金融緩和により長期金利が低下している局面では、利回りも低く設定されやすく、高い評価額が出やすくなります。一方で、金利が上昇基調にある場合は、逆に評価額が下がる傾向もあります。市場の動きに目を向け、常に適切な利回りを見極めることが重要です。

収益性とリスクのバランスを見極める

収益還元法による計算をするうえでは「この物件でどれだけ儲かるか」に注目しがちです。しかし、投資においては収益性と同時にリスクも見極める必要があります。

空室率の変動、修繕費の急増、賃料の下落など、収益の前提が崩れた場合の影響を考慮しておかないと、実際の運用で想定外の損失を被ることもあるでしょう。

特に、利回りの高い物件は魅力的に見えても、空室・修繕などのリスクが高い可能性もあるため、収益とリスクのバランスを冷静に判断することが投資成功への近道です。収益還元法はそのバランスを可視化するツールとして活用すべきでしょう。

・「不動産投資のリスク」に関する記事はこちら
不動産投資の6大リスク一覧!未然に防ぐ方法とは?

まとめ

収益還元法は、不動産投資において物件の「本当の価値」を見極めるための重要な評価手法です。将来の家賃収入などから収益性を把握し、現実的な価格を判断できる点が収益還元法の大きな特徴と言えるでしょう。物件購入時の判断や金融機関から見た担保評価の想定、出口戦略の設計にも、収益還元法は活用できます。

ただし、収益還元法による計算結果は前提条件や市場の動向などに左右されやすいため、注意も必要です。収益とリスクのバランスを見極めて、投資判断に活かしましょう。

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ワンポイントアドバイス

収益還元法を活用する際は、利回りや収益だけでなく、「誰をターゲットとして」「いくらで」「どれだけの期間貸せるか」といった「収益の質」にまで踏み込んで考えましょう。

出口戦略を意識するなら特に、物件購入時の利回りだけでなく、数年後に売却できる見込みや市場の変化も視野に入れて評価することが重要です。数字に現れないリスクや将来の運用計画まで含めて、総合的な判断を下す目を養うことが、不動産投資で後悔しないコツです。

この記事のポイント

Q. 収益物件の価値はどう決まりますか?

A. 不動産投資における物件の「価値」は、見た目や築年数だけでは判断できません。特にアパートやマンションといった収益物件は、「どれだけ安定的な収益を見込めるか」が大きな評価基準となります。詳しくは「収益物件の「価値」は何で決まる?収益還元法とは?」をご覧ください。


 Q. 収益還元法にはどんな種類がありますか?

A. 収益還元法には、「直接還元法」と「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」という2種類のやり方があります。詳しくは「収益還元法の2つの種類」をご覧ください。


 Q. 収益還元法を使う際の注意点はありますか?

A. 収益還元法は便利な評価手法ですが、使い方を誤ると実態と異なる評価結果になってしまうことがあります。詳しくは「収益還元法を使うときの注意点」をご覧ください。

ライター:秦創平

海外も含めた不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門。

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